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115. TOP10入り
しおりを挟むギルドランキングが確定した日、俺達は一応、ムササビ自治国家ウルフデパート屋上ペントハウスのブリジアの住処に、ギルドランキングTOP10入りを果たした事を伝えに来た。
「妾はご主人様が、ギルドランキング入りする事を信じていたワン!」
今日のブリジアは、お家にいるので、裸幼女スタイルだ。
俺達は結局、ギルドランキング8位につける事に成功したのだ。
1位が『フレシア』、2位が『三日月旅団』、3位が『鷹の爪』、4位が『カワウソの牙』、5位が『犬の尻尾』、6位が『シルバーウルフ』、7位が『プッシーキャット』、8位が『犬の肉球』、9位が『鉄血の乙女』、10位が『ドッグファイト』
「冒険者ギルド本部にいるブリジアさんと、お家にいるブリジアさんとでは、同一人物に思えないですよね……」
「妾は、基本ご主人様のオナペットワン! これが本来の妾なのだワン!」
ジュリの問いかけに、ブリジアが答える。
「で、ブリジア! ギルドランキングTOP10入りは果たした後は、何をすればいいんだ?」
「勇者になればいいワん!」
「そんなに簡単に勇者になれる訳、ないだろ!」
ブリジアの漠然ととした答えに、俺は反射的に突っ込みを入れる。
「今はそれだけしか言えないワン!
世界の危機が来る事は、確かなのじゃが、いつかは分からないワン!」
確かに、ブリジアには分からないだろう。
しかし、始まりの魔女がこの時代に俺を転生させたという事は、絶対に何かがある事は確かだろう。
その内、始まりの魔女が俺に接触してくるかもしれない。
「まあ、俺はアスタロトを倒す為に、強くなるつもりだから、修行は続けるけどね!」
「アスタロトは、一筋縄にはいかないと思うワン!」
俺とブリジアの会話に、アリスが反応する。
「アスタロト?」
アリスが、そいつ誰? って顔をしている。
「異界の悪魔だ。どうやら、前世に俺に仕えていたメイドが、今もそのアスタロトを探しているらしいんだ」
「何で探しているのじゃ?」
「俺の仇らしい」
「兄様の仇は、ガブ姉達がやっつけたんじゃなかったのか?」
「そいつは、ベルゼブブだな!」
「兄様を殺したのは、ベルゼブブじゃったか!
あやつなら、昔ケンカした事があったのじゃ!」
アリスは、どうやらベルゼブブとは、前の世界で顔見知りだったらしい。
「それで、喧嘩の結果はどうだったんだ?」
俺は気になり、喧嘩の結果を聞いてみる。
「妾の必殺ブレスを浴びせたら、蝿になって逃げていったのじゃ!
ワッハッハッハッハッ!」
やはりアリスは、前の世界では、とんでもない大物だったようだ。
「そしたら、アスタロトも知ってるんじゃないのか?」
「知らぬな」
アリスは即答する。
「一応、アスタロトも、ルシファー、ベルゼブブと並ぶ、地獄の支配者とか言われてると思うけど?」
「知らぬ。前の世界で強そうな奴らは、大体喧嘩を売った筈じゃが、アスタ何とかには会った事ないのう?」
アリスが、ウーン。と、首を捻りながら記憶を遡っている。
「もしかしたら、面倒臭そうなアリスと戦いたくなくて、隠れてたんじゃないのか?」
「それは、あるかも知れんのう。
妾は、西洋の悪魔共に恐れられていたからのう! ワッハッハッハッハッ!」
ディスったつもりだったのだが、どうやらアリスを喜ばしてしまったらしい。
「まあ兎に角、俺は、アスタロトを倒す為に修行を続ける!」
俺がやる事は決まってるので、自分のやるべき事をやるだけだ。
「しかし、アスタロトを倒すのは大変じゃと思うワン!
あやつは、相当頭がキレるワン!
50年前も、後一歩まで追い込んじゃのだが、最終的にはベルゼブブを裏切って逃げていったのじゃワン!」
アスタロトは50年前も逃げてたようだ。
「成程、昔も今も変わらないという事か。
勝てない相手とは、戦わないタイプだな。
そこを逆手にとれば、アスタロトを倒せるかもしれんな」
「どういう事じゃ?」
アリスが、俺の独り言に反応する。
「今の俺達なら、アスタロスは戦ってくれるという事さ!
何せ、今の俺達は滅茶苦茶弱いからな!
50年前の戦いで、冒険者ギルド総出で戦っても倒しきれなかった敵だ。
アスタロトにとって、今の俺達は鼻糞程度にしか思わないだろう。
という事は、弱っちい俺達が戦いを挑めば、アスタロトは逃げずに俺達と戦ってくれるという事さ!」
「兄様! それでは妾達は、負けるのでは無いのか?」
アリスが正論を言う。
「それはやりようだろ! お前、アスタロトが怖いのか?」
「怖い訳無かろう! アスタロトは前の世界では、妾に恐れをなして逃げ回ってた奴なのじゃ!
今の妾は、確かに滅茶苦茶弱くなっているのじゃが、アスタロトを見つけた頃ぐらいには、元の最強最悪の厄災龍、紅龍アリス様になってる筈なのじゃ!
ワッハッハッハッハッ!」
アリスは、笑って誤魔化しているようだ。
「確かに、800年後ぐらいに、アスタロトが見つかれば、アスタロトぐらい倒せるかもしれんな!」
「グッ! 3年で、元の実力に戻ってみせるのじゃ!」
俺の煽りに反応したアリスが、顔を真っ赤にして反論する。
単純な奴め。
「あの……やる気になってる所、悪いんだけど、僕は、これで暫くは皆とお別れなんだ!
4月から、サリス魔法国家の魔法学校に入学予定なんだよね。
本来はもっと前に入学する予定だったんだけど、アリンコダンジョンに手間取ってしまって、ずっと延期になってたんだよね」
ネム王子が、バツの悪そうな顔をして話を切り出した。
そう言えば、そんな事を言ってたな……
確か、ガリム王国出身の魔法の才能がある子供達は、強制的に魔法学校に入れられるんだったな。
「アッ! 思い出したのじゃ!
父様や、ケンセイ師匠の母校なのじゃ!
妾も魔法学校に行きたいのじゃ!」
さっきまで、強くなる為に修行すると言ってたのに、アリスは、もう魔法学校の方に心惹かれているようだ。
そういう俺も、魔法学校に興味がある。
俺はアリスの呪いのせいで、ほとんど学校に行けなかったのだ。
アリスに呪われてからは、学校に良い思い出はないが、呪われる前はそれなりに面白かった。
まあ、そのアリスの呪いも、全ての記憶を思い出したら、自ら望んで受けた呪いだったので、今では全くアリスを恨んでいないのだが。
「俺も魔法学校に興味があるかな……」
「アレン君が行くなら、私も行く!」
ジュリもどうやら、魔法学校に興味がありそうだ。
「魔法学校も、強くなる為には、良いかもしれないワン!
但し、冒険者ギルド会議が来月にあるから、それだけは出席するのだワン!」
どうやら、ブリジアの許可も出たようだ。
「そしたら、一旦家に帰ってお母さんとシャンティ先生に、魔法学校に行く許可を貰いに行かないとな!」
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