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95. サトラレ

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 いい匂いがする。

 懐かしい匂い。

 お日様の匂いだ。

 俺はその懐かしい匂いに誘われて、目を覚ます。

 目を覚ますと、見覚えのある巨大な峰が2つ、目の前に現れる。

 俺はその巨大な峰にむしゃぶりつく。

「あぁぁぁ……気持ちいいニャ!
 そんなに激しくされたら、またイッちゃうニャ!」

 ハッ!

「(俺はいつの間に寝たんだ?)」

「マスター! おはようなのです!」

 背後から姫に、声をかけられる。

 俺が後ろを振り返ると、姫は生まれたままの姿で横になっていた。

 というか、この無駄にでかいベッドに寝ている人達は、全員裸だ。

 俺も勿論裸で、朝勃ちをしている。
 俺は姫達に、勃起をしている所を見られたくない。
 俺は年頃のお子様なのだ。

 例え、姫の超絶魔法で剥けチンにされていたとしても、これとそれとは別の話だ。

 俺は両手で勃起したオチンチンを必死に隠す。

「パンツはどこ?!」

 俺はベッドの周りに立っている、姫達付きのデーモンメイドに訴える。

「「「ハッ!」」」

 巨大ベッドの周りで愛液をただ漏らしにしていたデーモンメイド達が、揃って返事をした瞬間には、いつの間にかベッドの上に移動しており、褌型のパンツを履かせてくれていた。

「(移動した、姿が全く見えなかった……)」

「マスター! メイドさん達は瞬間移動スキルを使ったのです!」

 姫が、俺の心を読んでいるかのように、俺の疑問を解説してくれた。

「(姫は、俺の心が読めるのか?)」

「マスターの心は、私には読めないのです!」

 姫は否定するが、どう考えても俺の心を読んでいる。
 現に、俺の心の中で思った疑問の返答をしているし……
 ゴトウ族の奴らは、兎に角チート過ぎる。

「当然なのです! ゴトウ族は、マスターが創り出した至高なる種族なのですから!」

 また、俺が心の中で思った事の回答してるし。

「姫、絶対に俺の心を読んでいるだろ!」

「読んでないのです!」

 姫はどう言い訳したとても俺の心を読んでる癖に、どうあっても心を読んでるとは認めない気らしい。

「姫が俺の心を読んでいるのは別にして、それより俺はいつの間に寝たんだ?」

 終わりそうも無い論争に終止符を打つ為に、話題を変えてみた。

「私が夜中に気付いた時には、ブリトニーとアンさん達と既に寝ていたのです!」

 姫が答える。

「……そうか」

「ご主人様は、お風呂にのぼせて倒れてしまったのニャ!
 それで、私とアンで介抱しベッドで寝かせたのね!
 そうだよね! ドラクエル!」

「そ……そうです! ブリトニー姉さまの言う通りです!
 決して私達は、アレン君とヤラシイ事なんてしてないです!」

 何故だか知らないが、ブリトニーとアンさんが必死で言い訳をしている。
 アンさんが口にしたヤラシイ事というのは気になるが、しかし、俺には全く記憶が無いので、結局は何をされていたのかを知る術はないのだが……

「グランドマスター! そろそろお時間でございます!」

 俺が暫く思考していると、姫付きメイドのその名もメイドさんが、有無を言わせず俺のジャージとマントを着せてくれた。
 何気に、メイドさん達の動きが全く見えないのだが、今回は瞬間移動を使っていない事だけは分かった。

 ここにいる3人のメイド達は、このダンジョンにいる他のデーモンメイド達に比べて別格だ。

「姫、メイドさん達の爵位って何なんだ?」

 俺は少し気になり、聞いてみる。

「ここにいる3人は、爵位は有りません!
 3人ともデーモンロードなので、他のデーモン達を統べる者達なのです!」

 姫が簡単に教えてくれた。

「補足しますと、只今Gデーモン族でデーモンロードに至っておりますのは、ここにおります3人と、ゴキ男爵様。
 それと、グランドマスターだけのデーモンメイドであります行方不明のメリル様の5人だけでございます」

 メイドさんが、補足情報を教えてくれる。

「メリル?」

 どこかで聞いた名だ。
 懐かしい響き。
 何故か、どうしても合わなければならない人物の様な気がするのだ。

「メリルは何で、行方不明なんだ?」

「メリル様は、グランドマスターが亡くなられた時、最後まで一緒におられたお方です。
 一緒に居たのに、グランドマスターを助けれなかった事を悔やみ続け、『漆黒の森』を1人で出て行ってしまったのです」

「でも俺を助けれなかったのは、仕方が無かったのだろ?
 ベルゼブブは、姫達や冒険者ギルド、お母さん達の力を合わせて、やっと倒せた程の実力だったと言ってたよな?」

「それでもメリル様は後悔し、どこかで壮絶な修行をし続け、何度もベルゼブブに挑んでいたようです。
 50年前の冒険者ギルドの威信をかけたベルゼブブとの戦いの時に、フラッと現れ私達に力を貸してくれたのですが、その後、直ぐに消えてしまい、今に至っております」

 俺はメイドさんの話を聞いて、何故だか、メリルを探してしっかりと話をしないとダメな気がした。

「マスター! 安心して下さいなのです!
 メリルもマスターが生まれ変わり、この世界に転生してきたと知ったら、マスターの元に必ず戻ってくるのです!」

「姫! ヤッパリ俺の心の中を読んでいるだろ!」

 やはり、姫は俺の心を完全に読んでいる。

「決して私には、マスターの心の声が聞こえないのです!
 マスターの事が好き過ぎて、いつの間にかマスターの考えている事が、分かるようになったなんて、決して無いのです!」

 もう既に、自分で俺の心の声が聞こえていると言っているし……
 これは姫だけの能力なのか?
 念話より厄介だ。
 常時、俺の考えている事がわかるのだろ。
 昔、サトラレという漫画を読んだ事があったが、今の俺はサトラレの状態という事なのか……
 一体、どれだけの範囲で、姫に俺の考えてる事が分かってしまうのだ?

「マスターの心が読めるのは、ゴトウ族で私だけなのです!
 マスターの心が読める範囲は、20メートル程なのです!」

「ヤッパリ、俺の心を読んでいるじゃないか!
 自分で言ってしまってるぞ!」

 俺は姫に指摘した。

「エッ!!」

 姫は、ハッとした顔をしている。
 どうやら、姫は俺に嘘を付けないようだ。
 俺の質問に、何でも思わず答えてしまうみたいだし……

「私は、絶対にマスターの心の中を読めないのです!」

 どうやら姫は、俺の心を読めないという設定だけは、崩したくないようであったのだった。
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