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ダンジョン編
43. ダンジョン経営
しおりを挟む俺は、暫く、新たに解放されたダンジョンマスター用のコマンドをチェックする。
成程、ダンジョンの階層を入れ替えたり、モンスターの設置、ダンジョンの改造とかが出来る訳か。
そして、ダンジョンポイントを使って、新たな設置物を置いたり付けたり出来るようである。
でもって、ダンジョンポイントは、ダンジョンの侵入者の数や、ダンジョン内で人が死ぬと得られるようだ。
因みに、1人ダンジョンに人が入ってくると、1ポイント貰え、1人ダンジョン内で死ぬと20ポイント貰える。
なんか、ちょっと嫌な気分。
効率よく、ダンジョンを成長させる為には、ドンドン、ダンジョンに人を呼び込み、人をたくさん殺せば、ダンジョンを改造して成長させられるけど、人殺しはちょっと……
まあ、ダンジョンに生息してる魔物が殺すのであって、自分が殺すんじゃないから、まだ良いと言えば良いのだけどね。
しかしながら、俺はダンジョンを改造して成長させたいのだ。
基本、俺ってドラ〇エ好きだから、レベル上げたいし。
どうやら、ダンジョンマスターがレベル上げる方法って、ダンジョンのレベルを上げる事みたいだしね。
てな訳で、俺はダンジョンの改造を始める。
最初にダンジョンポイントが100ポイント有ったから、それで出来る事をしておくのだ。
まずやる事は、フロアーボスの設置。
各階層にフロアーボスを置くのに、階層ごとに10ポイント必要になる。
なので、取り敢えず、4階層までにフロアーボスを置いてみた。
これで、40ポイント消費。
そして、セーフティゾーンの設置。
これも、1箇所10ポイント。
取り敢えず、4階層のフロアーボス部屋から近い所に設置してみる。
それから、定期的に復活する宝箱。
これは、色んな種類があり、薬草ばかりドロップする宝箱は10ポイント。1万ゴルがドロップする宝箱も10ポイント。
それから、10ポイントで得られる宝箱のドロップアイテムがランダム出てくる宝箱も、10ポイント。
そんな感じで、宝箱の種類も、10ポイントから、1万ポイントまでたくさん有ったりする。
まあ、取り敢えず、こんな所。
因みに、宝箱は、10ポイントのお宝がランダムに出る宝箱を1階層のボス部屋に設置。
2階層のボス部屋には、20ポイントのお宝がランダムに出る宝箱を置いた。
これで合計80ポイント使ったが、これまでにしとく。
まあ、他にもやりたい事が沢山あるけど、全然ポイント足りないから、取り敢えず、ダンジョンに冒険者を沢山呼んで、ダンジョンポイントを貯めなくてはいけないのである。
でもって、ダンジョンを出ようと思ったのだが、リレ〇トじゃなくて、マタリト使えば簡単にダンジョンから出れるのだけど、もう一度、この場所に戻ってくるのは面倒臭い。
とか、思ってたのだけど、普通に、フーラの欄に、ラスボス部屋があったので、これでいつでも簡単に、この場所に戻ってこれそうである。
てな感じで、カーランド王都に戻って、冒険者ギルドに。
冒険者ギルドに入ると、いつものようにバーカウンターに居るハゲのオッサンが話し掛けてきた。
「精霊様、久しぶりだな!」
「ああ! 今まで、初級者の森のダンジョンを攻略しに行ってたんだよ!」
「なるほどな。で、どうだった?」
ハゲのオッサンは、興味深そうに聞いてくる。
「取り敢えず、宝箱があったぜ!」
「なんだと!」
「まあ、各階層のフロアーボス部屋に宝箱があるんだけど、その宝箱の中身が定期的に変わるみたいだな!
調べてみたら、フロアーボスの復活と同時に、宝箱の中身も新しくなるみたいだ!」
「フロアーボスだと?そんなもの冒険者ギルドが調査した時には居なかったぞ?」
「じゃあ、変わったんじゃないのか?冒険者ギルドが調査したのって、スタンビートが起こった直後ぐらいだろ?」
「ああ。取り敢えず、2階層までの調査は終わらして、問題無い事を確認した。これからは、定期的に魔物を間引く依頼をするぐらいだと思ってたのだが……」
「俺達は、一応、3階層まで行って、フロアーボスが居る事と、宝箱が有る事が分かったから、この1週間、ひたすら1階層から3階層を周回してたんだが、宝箱から色々でたぜ!」
「そうなのか?」
「まあ、1階層のお宝は大した事なかったけど、3階層は鉄の剣とか、鉄の槍とか、金貨3枚とか、色々出たけどな!」
「嘘だろ!」
「ホントホント!」
なんか、ハゲのオッサンが食い付いてきた。
まあ、3階層は、まだ宝箱設置してないけど、後、10人冒険者がダンジョンに入って来たら、残りの20ポイントと合わせて30ポイント貯まるし、なんとかなるでしょ!
とか、話してると、パーティーメンバーにエルフやハーフエルフが居る冒険者パーティーが立ち上がり、冒険者ギルドを出ていった。(エルフ族は、古代エルフ語が分かるので、森の精霊さんと、ハゲのオッサンの話しを理解できる)
シメシメ。これは絶対に、初級者の森のダンジョンに行ったな!
そして、初級者の森のダンジョンに行った冒険者が宣伝してくれれば、益々、初級者のダンジョンに訪れる者が増えて、ダンジョンポイントが貯まり、ダンジョンのレベルも上がるのである。
兎に角、今の俺の知りたい事は、冒険者ギルドを出て行った冒険者パーティーが、初級者の森のダンジョンに向かったかどうか。
俺は、急いで、冒険者ギルドを飛び出し、フーラで初級者の森のダンジョンのラスボス部屋に転移する。
「父様!帰ってこられたのですね!妾は、寂しくて寂しく、涙が止まらなかったのじゃ!」
ラスボス部屋に戻ると、なんか、竜王が泣いている。
シロに簀巻きされてた竜王をデコピンしてやったら、なんか知らんが、俺の事を父様とか言い出しのだ。
多分、魔物って、弱肉強食だから、すぐに強者に媚びるのだろう。
でもって、竜王はちびっ子だから、強い=親だと思ったのかもしらない。
まあ、兎に角、コマンド拡げてチェックする。
コマンドには、階層をチェックする欄もあり、人が何人侵入してるかも分かるのである。
「おっ! どんどん、人が入って来てるぞ!」
「5人、8人、22人、39人!」
シロが、入って来た人数を数えている。
どうやら、俺のダンジョンマスターのコマンドは、俺のパーティメンバーにも見える仕様であるみたいだ!
「おっ! やったぜ!ダンジョンポイントが59になってるぜ!」
俺は、急いで、3階層のフロアーボス部屋に30ポイントの宝箱を設置する。
「これで、3階層に、いつでも冒険者が来ても大丈夫!」
「ですね! ご主人様! このコマンド押すと、1階層の地図が出て来そうですよ!」
シロが、指摘する。
「本当だ!」
コマンドを開けると、1階層の地図が出てきて、何処に人が居るのか一目で分かる仕様になっていた。
「なるほど。ご主人様、赤い点が侵入者で、青い点が魔物。そして、大きな青い点がフロアーボスで、宝箱のマークがある場所に、どうやら宝箱が有るみたいです!」
「メッチャ分り易いな!」
「ですね!」
「というか、そっちじゃないから!」
俺は、ダンジョンのマップを見ながらイライラする。
早く、1階層のフロアーボスを倒して、宝箱を手に入れて欲しいのに、みんなあらぬ方向に向かってしまうのだ。
「こいつら、ダンジョン攻略の基本も知らねーのかよ!」
「王都の近くって、そもそもダンジョンなんか有りませんから、知らなくて当然ですね!」
「あ~イラつく。そっちじゃねーてっ!」
森の精霊さんがイライラしながらマップを見る事、3時間。やっとこさ、一組の冒険者パーティーがフロアーボス部屋に到着した。
「やっとだぜ!」
「あっ! ご主人様! 大変です! 1人死んじゃいました!」
「本当だ。10ポイント入ってる。じゃなくて、ヤバいだろ!危険なダンジョンだと思われたら、もう、誰もダンジョンに来てくれなくなるぞ!」
「アッ! 青い大きな点が消えましたよ! どうやらフロアーボスが倒されちゃったみたいです! それから宝箱の蓋が開きましたよ!」
どうやら、宝箱の中身が空になると、コマンドの地図に映し出された宝箱が開いて見える仕様らしい。
「そんな事より、シロ! 急ぐぞ!」
俺は、セリカ姫とマリンと竜王を置いて、マタリトで、一旦、ダンジョンの外に出て、超高速スピードで、フロアーボス部屋に到着する。
そこには、宝箱から金貨1枚をゲットして、ウハウハな顔をしながらも、仲間が死んでしまい少しだけ悲しい顔をしてる冒険者の一団が居た。
俺は、有無を言わさず、エリクルで生き返えさす。
「精霊様! 仲間を救ってくれてありがとうございます!」
生き返った仲間のパーティーメンバーであるエルフの男が、俺に土下座する。
「ああ! たまたま俺は通り掛かっただけだから!」
俺は、そう言うと、すぐに初級者のダンジョンから出て、フーラでラスボス部屋に戻る。
「ご主人様! 大変ですよ! 今、助けた冒険者パーティーが2階層に進んでしまいました!」
「なんだと! 普通、1人死んだら帰るだろ!」
またまた、大問題。
「ほら、ご主人様が生き返らせちゃったから! しかも鱗粉も振り掛けちゃったから、パーティーメンバー全員のHPが全開しちゃったんですよ!」
「というか、無理だろ! 1階層で1人死んじゃってるんだぜ! それなのに、すぐに2階層に行くなんて!普通、レベルを上げてから2階層に向かうもんだろ!」
森の精霊さんのボヤキは、まだまだ続く。
ーーー
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
森の精霊さんは、ドラ〇エをやった事のない、この世界の無知過ぎる冒険者に辟易気味。
面白かったら、復活の呪文【お気に入り】を、押してくれると、嬉しく思います。
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