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250. トイレの清掃員

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「そして、 そこの君は誰なんだ?」

 アマイモンがトリップ中な為、サイトは、アマイモンとサンアリの横にいる、ずっと大人しく話を聞いていた美少年ショタに話しかけてみた。

「僕は、ヤナトさんに敗れてしまったセーレです。
 姫様の魔素は美味しいので、僕も姫様の使い魔になれて嬉しいです」

 セーレと名乗る美少年は、悪魔なのに天使の笑顔で受け答えをする。

 ん……というか、ヤナトが異世界の悪魔の幹部を倒したのか?

「お前、本当にヤナトに倒されたのか?」

「エッ? 本当ですよ! 『カワウソの牙』の皆さんは、本当に個性的な戦い方をしますので、僕はずっと防戦一方でした。
 でも、よく考えたら姫様のポーションをヤナトさんに貰って一気飲みしたら、気を失っていたみたいです!」

 セーレは、アッケラカンと笑っている。

「どんな状況になったら、ヤナトから姫の激マズポーションを貰えるんだ?」

「あれ? ヤナトさん達は、ゴトウ族では普通の事だと言ってましたよ!
 姫様やブリトニーの姉御さん達も、戦いの時は弱った敵に最低10回は回復魔法をかけるって仰っていましたが?
 姫様方は敵にも優しいのだと、僕はとても感激したのですが」

「アッ……アレな……
 まあ兎に角、姫の使い魔になれて良かったな」

 セーレは、姫とブリトニーがいつもやってる鬼畜な所業を、何故か素晴らしい行いをしていると勘違いしているみたいだ……

「それはそうと、姫の使い魔になる為に、アマイモンみたいに姫の足にキスしなくても良いのか?」

 少し気になり、セーレに聞いてみた。

「恐れ多いです! 僕達は、アマイモン様の配下なので、必然的にアマイモン様が姫様の使い魔になられたら、僕らも勝手に姫様の配下になれるのです!
 姫様に、直接触れる事など僕には出来よう筈も御座いません!」

 俺とセーレの会話を聞いていた姫が、セーレに話しかける。

「セーレは、アマイモンと違って良い子なのです!
 ヨシヨシしてあげるので、膝をつくのです!」

 セーレは、いきなり姫に話しかけられて緊張の為か、小刻みに震えながらも姫の前で膝をつく。

「ヨシヨシ、良い子良い子。
 良い子のセーレには、美味しいポーションを上げるのです!
 特別に、モフウフで新発売予定のパパイア味も1つあげるのです!
 これはワンちゃんやキラキラにも、まだあげてないヤツなのです!」

 姫はそう言うと、セーレに大量のポーションを渡した。
 セーレは、姫にとても気に入らたようだ。
 姫は、自分が気に入っている相手に、姫ポーションを渡す習性がある。

 ヤナトやスイセイ、クリスティーナの三バカトリオには、頻繁に姫特性ポーションを渡しているし、たまに、良い行いをしたゴトウ族の人間にも姫ポーションを渡しているのを見たりするのだ。

 セーレは、悪魔特有の矢印型の尻尾をブンブン振って喜んでいる。

 多分、姫は単純でおバカな感じな奴が好きなんだな。
 ん?もうしかして、俺もそれに当てはまるのか?
 いや、違うな。俺は知的なナイスガイの筈なのだ!
 俺は、そっちじゃなくて異世界人だから姫に好かれているのだろう。
 そうだ。そうに決まっている。

 サイトは自分がおバカな単純な男だと、全く気付いていないのであった。

「皆様方! 長らくお待たせしました!
 少しトリップしてたようですが、もう大丈夫です!
 それでは、修行の説明を始めるとしましょう!
 期限は1週間!
 ベルフェゴールを騙せ続けれるのは、多分1週間が限界でしょう!
 中央戦線は引き続き、ベルフェゴールを欺く為に、ガルム·ロマンチックや牛魔王達に、僕達が寝返った事を伝えずにガープと闘い続けてもらいます!
 西部戦線で頑張ってるカレンさんと『カワウソの牙』も、ほかっておいて大丈夫でしょう!
 セーレ君は、ここでアスモデウスに化けてもらって、引き続き大吉さん達と闘うフリというか、修行でもしておいて下さい!」

「ハイ! アマイモンさん!」

 セーレが、天使の笑顔で元気に返事をする。

「そして、シスターズとゴトウさん達はアジトのダンジョンで修行をみっちり行って貰います。
 僕や七つの大罪アスモデウスのような、誰もが知ってる超有名悪魔がダンジョン最下層のボス部屋に行けば、ダンジョンが更に活性化して8Sダンジョン位にはなる筈ですので、そこでみっちり修行しましょうね!」

 アマイモンが、打倒ベルフェゴールの今後の予定を、テンション高く披露してみせた。

「なんで新参者のコイツが仕切るのニャ!
 ゴトウ族は縦社会なのね!
 例え、私より強かったとしても、ゴトウ族に先に入った者の方が偉いのニャ!」

 ブリトニーがアマイモンの前に立ちはだかり、高圧的にメンチを切る。

「すみませんね! ブリトニーさん!
 僕はゴトウ族ではないので!
 アクマで、姫様の使い魔ですので!
 ゴトウ族の序列は、全く関係有りませんよ!」

 アマイモンは少しだけ空中浮遊し、フフンと、胸を反らしながらブリトニーを少し高い位置から見下ろす。

「ニャ……ニャンだってぇ!!」

 ブリトニーは、愕然として後ずさる。

「アマイモンより、ブリトニーの方が偉いのです!
 これは命令なのです!
 アマイモンは、これからゴトウ族の序列に従うのです!」

 姫はアマイモンに向かって、強い口調で命令した。

「な……なんと姫様……
 何故、その様な事を……」

 今度はアマイモンが、愕然としている。

「フッワッハッハッハッハッ! 私の方が偉いのニャ!
 膝まづいて、私の足をペロペロ舐めるのニャ!」

「クッ……仕方がありません……
 姫様の命令ですから……」

 ペロペロ

「違うのニャ!」

 ブリトニーが、アマイモンを勢いよく蹴飛ばした。

「もっと丁寧に舐めるのニャ!」

「こんな感じですか?」

 ペロペロペロペロ

「お前、中々見所がありそうなのニャ!
 お前は、私専属の椅子にしてやっても良いのニャ!」

「椅子ですか?」

「椅子ニャ! 毎日、私の横について廻り、私が座りたい時に、直ぐに四つん這いになり人間椅子になるのがお前の仕事ニャ!
 その時、思う存分、私の足を舐める栄誉をお前に与えるニャ!」

 また、ブリトニーが訳の分からない事を言っている。

「ブリトニー、それは却下だな。
 こんなウザイ奴が、俺の近くにいるのは敵わん!
 アマイモンは、俺からなるべく遠ざける事!」

「私も認めないのです! アマイモンは、毎日トイレ掃除を命じるのです!
 取り敢えずのアマイモンのお仕事は、アジトと王宮のトイレ掃除なのです!
 私の信用を得られる迄、頑張り続ければ、次のレベルの仕事を与えるのです!」

 どうやらアマイモンは、姫の命令により、アジトのトイレ清掃員になってしまったようだ。


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