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182. イケメン執事

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「グランドマスター、姫様方、お帰りなさいませ」

「お帰りなさいませ!」

【聖級移転】を使い、モフウフのアジトに帰って来ると、ゴキ男爵や、デーモンメイド達が【聖級移転】の前で待ち構え、一斉に出迎えてくれた。

 『ウルフデパート』のCEOでもあるブリジアは、1ヶ月間もの間『ウルフデパート』から離れていた為、仕事が山のように溜まっていて、ムササビから離れられないとの事だった。

「で……出迎えご苦労!」

 一瞬ビビったが、そんな素振りを見せないよう、平成を装い返答した。

「凄いわね! 爵位持ちのデーモンばかり何人いるの?」

 シャンティーさんが、驚いた顔をして見渡している。

「シャンティー様、300人程でございます」

 ゴキ男爵が、軽く礼をしながら返答する。

「何で、私の名前を知ってるの?」

「ハッ! シャンティー様のような、著名なマドモアゼルは、誰でも知っていて当たり前でございます。
 今回、私の部下のデーモン達を勢揃いさせているのは、シャンティー様付きのメイドを直接見て決めて頂こうと思い、集めた次第でございます!
 誰をお選び頂いても、しっかり調教……間違えました。
 教育致しておりますので、シャンティー様のお役に立てる筈でございます!」

「この中から、誰を選んでもいいの!」

「勿論でございます。
 その為に、こうして、お待ち致しておりましたのですから」

「ええと……あの……
 男の人でもいいのかな……」

「何も問題ありません。
 男性デーモンは、執事としての教育も夜の嗜みも、しっかりと教育しておりますので、シャンティー様を必ずや満足させる事ができると思っております」

「エッ! アッ! そ……そうなの……
 よ……夜の方は、どうでも良いけど、やはり、私のようなレディーには、イケメン執事は必要よね!
 でも、困ったわね。
 私好みのイケメン執事が何人もいて、決めれないわ」

「問題ありません。何人でも好きなだけお連れ下さいませ!」

「本当に?」

「本当でございます! シャンティー様の気に入ったデーモン執事を好きなだけ何人でもお連れ下さいませ!」

「じゃあ、この子と、この子!」

 シャンティーはイケメンデーモン執事を2人選んだ。

「シャンティー様、選んで頂きありがとうございます」

 イケメンデーモン執事2人は、片足をついて跪き、飛んでいるシャンティーの足にキスを順番にした。

「エッ! あの! こちらこそ、宜しく頼むわね!」

 シャンティーは顔を真っ赤にして、返答した。

「ゴキ男爵! アジトは何も問題ないか?」

「何も問題ありません。
 全て、順調に進んでおります。
 3日前から、B級からA級冒険者用のダンジョンも解放して、まずまずの人気を博しております!
 80階層をラスボス部屋に設定し、ラスボスのドロップアイテムを、ドン様のお弟子様が試作として造られた、市場価格で80万マーブル程の剣が手に入ると宣伝した所、たくさんの冒険者達が挑戦しに集まって来ております!」

「そうか、それは良かった。
 それより、話は聞いているか?」

「ハイ! バハオウ様より、全て聞いております。
 既に、200階層から300階層を、5Sダンジョンの魔物が出現するように用意できております!」

「シャンティーさん、準備はできているようですけど、こらからどうしますか?」

「エッ! アッ! ウン……
 それじゃあ、始める?」

 シャンティーは、緊張の面持ちで、両脇にイケメンデーモン執事を侍らせ、両手をそれぞれのデーモン執事にエスコートされながら答えた。

「200階層の階段フロアーに、200階層から300階層までのダンジョンコントロールルーム件、休憩場所を設置しておりますので、まずは そちらに移動しましょう」

 ゴキ男爵は、そう言うと、目の前に【上級移転装置】を出現させた。

「こちらでございます」

 ゴキ男爵に言われるまま【上級移転装置】を進むと、200階層の階段フロアーに到着した。

 階段フロアーの中は、ロココ調の家具に統一された、メルヘンチックな部屋になっており、猫足の大きなリビングテーブルの上に、何やらiPadのような魔道具が置かれている。

「そちらのリビングテーブルに置かれてある魔道具は、天才魔道具職人のゾイ様が、今回の合宿の為に急遽作ったダンジョン管理装置でございます。
 本来ならダンジョンマスターである私が、直接フロアーボスの配置を決めなければなりませんが、その魔道具があれば、誰でもフロアーボスの配置を自由に決める事ができます。」

「ふーん。それは便利ね!
 どう使うの?」

「まずは、お好きな階層をタッチして下さいませ」

「押したわ!」

「次に、モンスターをお選び下さいませ。
 液晶をスライドさせると、たくさんモンスターが出てきます。
 モンスターの名前の書いてある右端のボタンをタッチすると、そのモンスターの属性や特徴などが出てきます」

「本当だわ! これは便利ね!」

「好きなモンスターをお選び頂いたら、決定ボタンを押して終了です。
 因みに、各階層8体までのフロアーボスをお選びできるシステムになっております」

「フムフム、成程ね! とても簡単だわ!
 取り敢えず、200階層のフロアーボスを決めたので、今すぐに出発よ!」
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