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180. 変身

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 クッ!! なんて事だ!

 エリスさんをアジトに招待する事には、成功したが、俺の半径2メートル以内には近づかないだと!

 これでは、エリスさんと全く親密になれないではないか!

 試しに、エリスさんに近づいてみる。

 エリスさんは、何事もないように、そのまま後ろに俺が近づいた分だけ離れる。

 もう一歩近づく。

 エリスさんも、俺から1歩離れる。

 もう2歩近づく。

 エリスさんも2歩離れる。

 糞! 何でなんだ!

 今日の朝に会った時より、エリスさんとの実際の距離も、心の距離も、一段と遠くなった気がする……

 こうなったら、なりふり構っていられない。
 己の持っている全ての能力を使って、エリスさんに近づいてやる!

 風の闘気を足に纏い、極限まで圧縮し、マッハのスピードでエリスさんに近づく。

「これで、どうだー!!」

 スルッ!!

 エリスさんは、俺の全力スピードの猛ダッシュを軽く躱し、何事もなかったように、キッチリ2メートル離れた所に立っている。

「サイト君! 本当に何やってるの?
 エリスさんには、何があっても近づく事なんかできないよ!
 エリスさんは、常時、世界最速の神獣ペガサスの加護を受けてる状態なので、エリスさんが その気になったら誰も近づく事なんかできないんだよ!」

 そ……そんなぁ……
 こんな近くに、俺の理想の女性がいるというのに、触る事も、ましてや近づく事もできないなんて……

 いつもは俺主体で、お預けプレイを姫やメリルにやってるのに、今回は完全に、エリスさんに主導権を握られた状態での、お預けプレイという訳か……

 クッ! エリスさんは、魔法が殆ど使えなかったのではないのか?

 昨日、姫やブリトニーの攻撃を跳ね返したのもそうだが、自分の使役している使い魔の魔法を全て使えるなんて反則だろ!

 殆ど最強じゃないか!

 アンちゃんが言うには、この世界の殆どの有名な精霊達は、全てエリスさんの使い魔になっているらしい。

 それ程にもエリスさんの魔素は、精霊にとって格別な美味しさで、有名で強力な精霊をたくさん使役してても事足りるだけの、膨大な魔素総量まで誇っているのだ。

 今現在、精霊魔術師は、エリスさんのせいで冬の時代らしい。

 何故なら、一流所の名のある精霊達は、全てエリスさんの使い魔になっており、二流所、三流所の精霊しか残っていないからだ。

 普通は、強力な精霊を使い魔にするには、魔素をたくさん必要とする為、それ程、たくさんの精霊を使い魔にする事は不可能なのだが、エリスさんの場合は、余裕で使役できてしまう。

 初めての召喚の儀式の時に、それまで伝説上の神獣とされていた、龍の召喚にまで成功しているのだ。

 結局は、エリスさんの魔素総量でさえ魔素不足で契約はできなかったが、お友達契約までは達成してる。

 エリスさんの魔素総量でも、契約できない龍とは一体どれ程の強さなのか検討もつかない。

 ただ分かる事は、エリスさんとだけは、絶対に敵対してはダメという事だ。

 エリスさんに敵対すると、お友達だという赤龍アリエッタに報復されてしまうからだ。

 まあ、俺がエリスさんに敵対する事など、天地がひっくり返ってもないのだがな。

 そうこうしてるうちに1時間経ったのか、『三日月旅団』のメンバーが冒険者ギルド本部ロビーに戻ってきた。

「みんな揃ったようね! それでは合宿所に向かうわよ!
 それでは、ゴトウ·サイト! 
 案内宜しく!」

 弾んだ声でシャンティーさんが、俺に道案内をさせる。

 モフウフのアジトに向かう為、『ウルフデパート』に戻り、屋上ペントハウスの【聖級移転】に向かう。

 ペントハウスのリビングの扉を開けると、裸の幼女姿のブリジアがソファーに座りくつろいでいた。

「アッ! ご主人様! お帰りなさいだワン!」

「だ……誰?」

 幼女姿のブリジアを見た事ない、シャンティーとエリスさん、『三日月旅団』の面々が固まってしまった。

「妾は、ご主人様のオナペット、ブリジアだワン!
 さっき会ってたばかりなのに、失礼な奴らだワン!」

 裸の姿で犬語を喋るブリジアを見て、シャンティー達は、引き攣った顔をしてドン引きしている。

「エ……エリス、ゴトウ·サイトのアジトで、合宿するのはやめておこうか。
 見たところ、ゴトウ·サイトは、エロスの帝王で、間違いなかったみたいだし。
 あの幼女のお股に、容赦なくナニを突っ込んでるようだから、私のお股にも容赦なくナニを挿入する鬼畜にちがいないわ!」

 シャンティーは、そのままエリスの手を引いて引き返そうとする。

「下等精霊よ。お主は、何か勘違いしておらんか?
  妾は、ご主人様のオナペットじゃ! 
 オナペットのお仕事は、ご主人様を興奮させるだけじゃ!
 決して、ご主人のオチンチンを欲してる訳ではない!
 そもそも、妾は狼なので、それほど人間の男に興味はないわ!」

 ブリジアはそう言うと、子狐に変身した。

「エッ! ブリジアさんって、狼だったのぉ?」

 エリスさんが、変身したブリジアを見て驚いている。
 て、いうか、変身したのは狼じゃなくて狐だったのだが、それは何故か完全にスルーされている。

 まあ、この部屋で本来の姿の3メートルを超える大きさの銀狼に変身すれば、皆、驚いてしまうので、子狐に変身して正解だったのだが。

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