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93. 大奥
しおりを挟む「ゴトウ様、次の議題なのですが『ミノ1番』のチェーン店化です。
現在、ミノタウロス牧場を92階層から96階層まで拡大した事により、ミノタウロスの肉の生産量が5倍になりました。
尚且つ、『犬の尻尾秘密基地』最下層に高位の爵位持ちデーモン約300、ダンジョンマスターにデーモンロードの男爵どの。
伝説のドワーフ、ドン様、ガン様、ゾイ様、S級ギルド『カワウソの牙』の面々が集中して定住している為、『犬の尻尾秘密基地』内の魔素濃度がグングン上昇し、只今、『犬の尻尾秘密基地』はB級ダンジョンから、SSSSダンジョンとなっています。
その結果として、今までは92階層から下の階層でしかミノタウロスを出現させる事が出来なかったのですが、男爵殿によると、現在は70階層からミノタウロスを出現させれる事が確認されています。
現実的には、在庫過多になってしまう為、ミノタウロス牧場の拡大は考えていませんが、その気になれば、いくらでもミノタウロスの肉を生産する事ができます。
なので、もっとミノタウロスの肉を活用する為に、手始めに、漆黒の森の都市全土に『ミノ一番』をチェーン展開しようと考えています。
『ミノ一番』を各都市に配置し『聖級移転』を設置する事により、いざという時、各地に『犬の尻尾秘密基地』より兵を送り出す事も可能となりますし、とても便利なのではと思う次第であります!」
サンアリが席を立った状態のまま、熱弁を奮う。
そして俺達はというと、給仕のメイドが運んできた前菜をつまみに、ワインを飲みながら、話半分で聞き流す。
「ここの食事は、本当に美味しいですな!」
牛田さんが感心したように、カツオのカルパッチョのような前菜をモグモグ食べながら話す。
「確かに、上手いな!
サンアリ! ここの料理人と同じレベルの者をモフウフの俺の城にも派遣してくれぬか!」
牛魔王が、熱弁しているサンアリに話しかける。
「牛魔王殿、私の話を聞いてないんですか!
私は、今後のゴトウ族の事を話しているんですよ!」
「固いこと言うなよ!
そんな事より、俺の城に一流シェフを寄越してくれ!」
「牛魔王殿、一流シェフを雇うにもお金が必要なのです!
今は、そのお金の事を話しているのです!
一流シェフを雇って欲しいなら、私の話を聞いて下さい!
それから、そんなにここの料理が気に入ったのなら、毎日ここに食べにこればいいでしょ!
モフウフの城と『犬の尻尾秘密基地』は『聖級移転』で繋がっているんだから、移動に1秒もかからない筈だと思いますが!」
サンアリはキレ気味に、牛魔王に食って掛かる。
「おぉ! そういえばそうだな!
これから食事は、ここで毎日喰う事にするか!」
牛魔王は、既に前菜を平らげており、給仕のメイドに言って持ってこさせたミノタウロスのステーキをかぶりつきながら答えた。
「では、話を戻しまして、ゴトウ様!
『ミノ一番』のチェーン展開化をどのようにお考えですか?
ゆくゆくは、漆黒の森だけではなく、南の大陸全土に『ミノ一番』を展開し、他の大陸までチェーン展開しようと思っております!」
「いいんじゃないのか!
『ミノ一番』をチェーン化するなら、隣に宅急便の店を作ったらどうだ!」
「宅急便とは何ですかな?
郵便のようなものですかな?」
サンアリは、初めて聞く宅急便とはどのようなものかと、考えながらも質問する。
「『ミノ一番』に、『聖級移転』を設置するんだろ。
それなら、そうだな。
人、1人で持てる重さの品物なら、一律3000ルーブルで、翌日までに、他の宅急便の店舗に届けるサービスなんかやったら儲かるんじゃないのか!」
「ゴトウ様!
それは良い考えです!
『聖級移転』を使えば、どんな遠くの場所に荷物や人を運んでも一瞬です。
尚且つ、冒険者ギルドが所持している『上級移転』のように魔力もかかりませんので、ゴトウ族の人間なら使いたい放題です。
荷物を店舗から店舗へ『聖級移転』で、ひょいと運ぶだけなので、人員も店舗に1人いるだけでいいのですしね!
荷物も、人、1人が運べるだけというのも良いです。
制限をかける事も必要です。
そうしないと、ゴトウ族の優位性がなくなりますからな!」
「今、ふと思ったんだが、冒険者バックに入れればどれだけでも運べてしまうのではないか?」
そう、この世界には冒険者バックという物があったのだ。
人、1人で持てる重さといっても、冒険者バックならどれだけでも入ってしまう。
下手をすれば、3000マーブルで1トンでも10トンでも運べてしまうのだ。
「そしたら、冒険者バックの容量に合わせて価格を設定しましょう。
100キロまで入る冒険者バックなら、1万マーブル、300キロなら3万マーブルと価格を上げればいいんじゃないのですかな!」
「そうだな。
その辺の事は、サンアリに全て任せる。
好きなようにやってくれ!」
「宅急便の経営者は、ゴトウ様がなさいますか?」
「俺はいい。俺は目立ちたくないんだ。
目立つと、ろくな事がないからな。
中庸が1番なんだ。
商売の事は、全てサンアリに任す。」
ーーー
食事会という名の会議が終わり、メイド長のメリルに連れられて、10人一緒に寝れるという寝室に案内してもらう。
大食堂から暫く歩くと、一際目に付く豪華な扉が現れた。
「ここから先がサイト様と、姫様方のプライベートルームでございます。
この扉の向こう側には、サイト様達と、専属のメイドしか入ってはならないという規則になっております。
ダンジョンマスターのゴキ男爵様でさえ、ここから先には入る事はできません」
男子禁制なのか。
まるで大奥のようだな……
「それではどうぞ!」
ロリメイド長のメリルが扉を開けてくれる。
扉を開けると赤絨毯が轢かれたエントランスが広がり、目の前に大きな鏡が置かれている。
その鏡の中に、俺や姫やブリトニー、アンちゃん、ペロの他に、何故か『カワウソの牙』のおバカ3人組のヤナトとイケメン剣士スイセイ、クリスティーヌ、それからバハオウも写っていた。
「なんで、お前らまでここにいるんだ!
メリルが言ってただろ!
ここから先は、俺以外男子禁制だぞ!」
「グランドマスター!
俺達にもお情けを下さい!
1度でいいから、凄いという噂のポークビッツをケツに味わいたいのです!」
ヤナトが俺の袖を掴み、懇願する。
「グランドマスター!
クリスティーヌが言ってました!
グランドマスターのポークビッツは
今まで味わった中で、断トツの1番だったと!
私は受け専門なので、いつでも腸内は綺麗にしてます。
どうか1度、私のアヌスを味わって見て下さい。
女性のアソコでは味わえない締りで、グランドマスターを満足させる事ができると思います!」
イケメン剣士スイセイが、歯をキラリとさせて、お尻を突き出しアピールしてくる。
「グランドマスター! この変態達は置いておいて、私もブリトニー様のようなグランドマスターの性奴隷にして下さいませ。
私は、男性経験では誰にも負けません!
グランドマスターの性処理便所でも何でも構いませんので、どうか私を、グランドマスターのお側に置いて下さいませ!」
クリスティーヌも俺の腕に豊満な腕を押し付けながらアピールしてくる。
「お前らウザイのニャ」
ブリトニーが、ドスの効いた一声を発すると、ヤナト達は、ブルブルと震え上がり、「調子に乗ってすみませんでした!」と、言って、走って逃げ去っていった。
「何なんだアイツら……」
「ただのアホニャ!」
「あの……私はどうすれば……」
1人残ったバハオウがどうしたものかと、立ち尽くしている。
「バハオウは一緒について来るのです!」
姫がバハオウの手を取り、扉の中の花園に導いて行った。
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