上 下
93 / 286

93. 大奥

しおりを挟む
 
「ゴトウ様、次の議題なのですが『ミノ1番』のチェーン店化です。
 現在、ミノタウロス牧場を92階層から96階層まで拡大した事により、ミノタウロスの肉の生産量が5倍になりました。
 尚且つ、『犬の尻尾秘密基地』最下層に高位の爵位持ちデーモン約300、ダンジョンマスターにデーモンロードの男爵どの。
 伝説のドワーフ、ドン様、ガン様、ゾイ様、S級ギルド『カワウソの牙』の面々が集中して定住している為、『犬の尻尾秘密基地』内の魔素濃度がグングン上昇し、只今、『犬の尻尾秘密基地』はB級ダンジョンから、SSSSダンジョンとなっています。
 その結果として、今までは92階層から下の階層でしかミノタウロスを出現させる事が出来なかったのですが、男爵殿によると、現在は70階層からミノタウロスを出現させれる事が確認されています。
 現実的には、在庫過多になってしまう為、ミノタウロス牧場の拡大は考えていませんが、その気になれば、いくらでもミノタウロスの肉を生産する事ができます。
 なので、もっとミノタウロスの肉を活用する為に、手始めに、漆黒の森の都市全土に『ミノ一番』をチェーン展開しようと考えています。
『ミノ一番』を各都市に配置し『聖級移転』を設置する事により、いざという時、各地に『犬の尻尾秘密基地』より兵を送り出す事も可能となりますし、とても便利なのではと思う次第であります!」

 サンアリが席を立った状態のまま、熱弁を奮う。

 そして俺達はというと、給仕のメイドが運んできた前菜をつまみに、ワインを飲みながら、話半分で聞き流す。

「ここの食事は、本当に美味しいですな!」

 牛田さんが感心したように、カツオのカルパッチョのような前菜をモグモグ食べながら話す。

「確かに、上手いな!
 サンアリ! ここの料理人と同じレベルの者をモフウフの俺の城にも派遣してくれぬか!」

 牛魔王が、熱弁しているサンアリに話しかける。

「牛魔王殿、私の話を聞いてないんですか!
 私は、今後のゴトウ族の事を話しているんですよ!」

「固いこと言うなよ!
 そんな事より、俺の城に一流シェフを寄越してくれ!」

「牛魔王殿、一流シェフを雇うにもお金が必要なのです!
 今は、そのお金の事を話しているのです!
 一流シェフを雇って欲しいなら、私の話を聞いて下さい!
 それから、そんなにここの料理が気に入ったのなら、毎日ここに食べにこればいいでしょ!
 モフウフの城と『犬の尻尾秘密基地』は『聖級移転』で繋がっているんだから、移動に1秒もかからない筈だと思いますが!」

 サンアリはキレ気味に、牛魔王に食って掛かる。

「おぉ! そういえばそうだな!
 これから食事は、ここで毎日喰う事にするか!」

 牛魔王は、既に前菜を平らげており、給仕のメイドに言って持ってこさせたミノタウロスのステーキをかぶりつきながら答えた。

「では、話を戻しまして、ゴトウ様!
『ミノ一番』のチェーン展開化をどのようにお考えですか?
 ゆくゆくは、漆黒の森だけではなく、南の大陸全土に『ミノ一番』を展開し、他の大陸までチェーン展開しようと思っております!」

「いいんじゃないのか!
『ミノ一番』をチェーン化するなら、隣に宅急便の店を作ったらどうだ!」

「宅急便とは何ですかな?
 郵便のようなものですかな?」

 サンアリは、初めて聞く宅急便とはどのようなものかと、考えながらも質問する。

「『ミノ一番』に、『聖級移転』を設置するんだろ。
 それなら、そうだな。
 人、1人で持てる重さの品物なら、一律3000ルーブルで、翌日までに、他の宅急便の店舗に届けるサービスなんかやったら儲かるんじゃないのか!」

「ゴトウ様!
 それは良い考えです!
『聖級移転』を使えば、どんな遠くの場所に荷物や人を運んでも一瞬です。
 尚且つ、冒険者ギルドが所持している『上級移転』のように魔力もかかりませんので、ゴトウ族の人間なら使いたい放題です。
 荷物を店舗から店舗へ『聖級移転』で、ひょいと運ぶだけなので、人員も店舗に1人いるだけでいいのですしね!
 荷物も、人、1人が運べるだけというのも良いです。
 制限をかける事も必要です。
 そうしないと、ゴトウ族の優位性がなくなりますからな!」

「今、ふと思ったんだが、冒険者バックに入れればどれだけでも運べてしまうのではないか?」

 そう、この世界には冒険者バックという物があったのだ。
 人、1人で持てる重さといっても、冒険者バックならどれだけでも入ってしまう。
 下手をすれば、3000マーブルで1トンでも10トンでも運べてしまうのだ。

「そしたら、冒険者バックの容量に合わせて価格を設定しましょう。
 100キロまで入る冒険者バックなら、1万マーブル、300キロなら3万マーブルと価格を上げればいいんじゃないのですかな!」

「そうだな。
 その辺の事は、サンアリに全て任せる。
 好きなようにやってくれ!」

「宅急便の経営者は、ゴトウ様がなさいますか?」

「俺はいい。俺は目立ちたくないんだ。
 目立つと、ろくな事がないからな。
 中庸が1番なんだ。
 商売の事は、全てサンアリに任す。」

 ーーー

 食事会という名の会議が終わり、メイド長のメリルに連れられて、10人一緒に寝れるという寝室に案内してもらう。

 大食堂から暫く歩くと、一際目に付く豪華な扉が現れた。

「ここから先がサイト様と、姫様方のプライベートルームでございます。
 この扉の向こう側には、サイト様達と、専属のメイドしか入ってはならないという規則になっております。
 ダンジョンマスターのゴキ男爵様でさえ、ここから先には入る事はできません」

 男子禁制なのか。
 まるで大奥のようだな……

「それではどうぞ!」

 ロリメイド長のメリルが扉を開けてくれる。

 扉を開けると赤絨毯が轢かれたエントランスが広がり、目の前に大きな鏡が置かれている。

 その鏡の中に、俺や姫やブリトニー、アンちゃん、ペロの他に、何故か『カワウソの牙』のおバカ3人組のヤナトとイケメン剣士スイセイ、クリスティーヌ、それからバハオウも写っていた。

「なんで、お前らまでここにいるんだ!
 メリルが言ってただろ!
 ここから先は、俺以外男子禁制だぞ!」

「グランドマスター!
 俺達にもお情けを下さい!
 1度でいいから、凄いという噂のポークビッツをケツに味わいたいのです!」

 ヤナトが俺の袖を掴み、懇願する。

「グランドマスター!
 クリスティーヌが言ってました!
 グランドマスターのポークビッツは
 今まで味わった中で、断トツの1番だったと!
 私は受け専門なので、いつでも腸内は綺麗にしてます。
 どうか1度、私のアヌスを味わって見て下さい。
 女性のアソコでは味わえない締りで、グランドマスターを満足させる事ができると思います!」

 イケメン剣士スイセイが、歯をキラリとさせて、お尻を突き出しアピールしてくる。

「グランドマスター! この変態達は置いておいて、私もブリトニー様のようなグランドマスターの性奴隷にして下さいませ。
 私は、男性経験では誰にも負けません!
 グランドマスターの性処理便所でも何でも構いませんので、どうか私を、グランドマスターのお側に置いて下さいませ!」

 クリスティーヌも俺の腕に豊満な腕を押し付けながらアピールしてくる。

「お前らウザイのニャ」

 ブリトニーが、ドスの効いた一声を発すると、ヤナト達は、ブルブルと震え上がり、「調子に乗ってすみませんでした!」と、言って、走って逃げ去っていった。

「何なんだアイツら……」

「ただのアホニャ!」

「あの……私はどうすれば……」

 1人残ったバハオウがどうしたものかと、立ち尽くしている。

「バハオウは一緒について来るのです!」

 姫がバハオウの手を取り、扉の中の花園に導いて行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

サファヴィア秘話 ―月下の虜囚―

文月 沙織
BL
祖国を出た軍人ダリクは、異国の地サファヴィアで娼館の用心棒として働くことになった。だが、そこにはなんとかつての上官で貴族のサイラスが囚われていた。彼とは因縁があり、ダリクが国を出る理由をつくった相手だ。 性奴隷にされることになったかつての上官が、目のまえでいたぶられる様子を、ダリクは復讐の想いをこめて見つめる。 誇りたかき軍人貴族は、異国の娼館で男娼に堕ちていくーー。 かなり過激な性描写があります。十八歳以下の方はご遠慮ください。

公開凌辱される話まとめ

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 ・性奴隷を飼う街 元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。 ・玩具でアナルを焦らされる話 猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。

社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

BL
異世界トリップした先は、人間の数が異様に少なく絶滅寸前の世界でした。 草臥れた社畜サラリーマンが性奴隷としてご主人様に可愛がられたり嬲られたり虐められたりする日々の記録です。 露骨な性描写あるのでご注意ください。

憧れの剣士とセフレになったけど俺は本気で恋してます!

藤間背骨
BL
若い傭兵・クエルチアは、凄腕の傭兵・ディヒトバイと戦って負け、その強さに憧れた。 クエルチアは戦場から姿を消したディヒトバイを探し続け、数年後に見つけた彼は闘技場の剣闘士になっていた。 初めてディヒトバイの素顔を見たクエルチアは一目惚れし、彼と戦うために剣闘士になる。 そして、勢いで体を重ねてしまう。 それ以来戦いのあとはディヒトバイと寝ることになったが、自分の気持ちを伝えるのが怖くて体だけの関係を続けていた。 このままでいいのかと悩むクエルチアは護衛の依頼を持ちかけられる。これを機にクエルチアは勇気を出してディヒトバイと想いを伝えようとするが――。 ※2人の関係ではありませんが、近親相姦描写が含まれるため苦手な方はご注意ください。 ※年下わんこ攻め×人生に疲れたおじさん受け ※毎日更新・午後8時投稿・全32話

俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!

しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎 高校2年生のちょっと激しめの甘党 顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい 身長は170、、、行ってる、、、し ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ! そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、 それは、、、 俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!! 容姿端麗、文武両道 金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい) 一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏! 名前を堂坂レオンくん! 俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで (自己肯定感が高すぎるって? 実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して 結局レオンからわからせという名のおしお、(re 、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!) ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど なんとある日空から人が降って来て! ※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ 信じられるか?いや、信じろ 腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生! 、、、ってなんだ? 兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる? いやなんだよ平凡巻き込まれ役って! あーもう!そんな睨むな!牽制するな! 俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!! ※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません ※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です ※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇‍♀️ ※シリアスは皆無です 終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします

全ての悪評を押し付けられた僕は人が怖くなった。それなのに、僕を嫌っているはずの王子が迫ってくる。溺愛ってなんですか?! 僕には無理です!

迷路を跳ぶ狐
BL
 森の中の小さな領地の弱小貴族の僕は、領主の息子として生まれた。だけど両親は可愛い兄弟たちに夢中で、いつも邪魔者扱いされていた。  なんとか認められたくて、魔法や剣技、領地経営なんかも学んだけど、何が起これば全て僕が悪いと言われて、激しい折檻を受けた。  そんな家族は領地で好き放題に搾取して、領民を襲う魔物は放置。そんなことをしているうちに、悪事がバレそうになって、全ての悪評を僕に押し付けて逃げた。  それどころか、家族を逃す交換条件として領主の代わりになった男たちに、僕は毎日奴隷として働かされる日々……  暗い地下に閉じ込められては鞭で打たれ、拷問され、仕事を押し付けられる毎日を送っていたある日、僕の前に、竜が現れる。それはかつて僕が、悪事を働く竜と間違えて、背後から襲いかかった竜の王子だった。  あの時のことを思い出して、跪いて謝る僕の手を、王子は握って立たせる。そして、僕にずっと会いたかったと言い出した。え…………? なんで? 二話目まで胸糞注意。R18は保険です。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...