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64. 第1回ゴトウ会議

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 日差しが眩しい……

 俺は殆ど眠れなかった。
 ブリトニーが、昨日の牛魔王との闘いで、たくさん血を見た事で興奮し、朝方までハッスルしていた為だ。

 ブリトニーはどうやら真性のサイコ野郎のようだ。

 俺のパーティーメンバーは、俺も含めて変態ばかりのような気がする。

 アンちゃんだけがマトモなのが唯一の救いだ。

 アンちゃんをパーティーに入れた事で、何とか中庸を保っているのかもしれない。

 そう思うと、やはりアンちゃんの存在は重要なのだ。

 朝食を食べ終え、部屋に戻って、まったりしていると、牛魔王と牛田さん、そしてサンアリがやってきた。

 サンアリは、昨日俺達が牛魔王の城から帰った後、解放されたらしい。

「サンアリ! 無事だったか!」

「ゴトウ様が、牛魔王を倒してくれたお陰でなんとか助かりました。」

 俺が牛魔王を倒した訳でも、サンアリを助けた訳でもないのだが、勝手に助けたと思っているのなら乗っかておこう。

「そうか! ハッハッハ!
 ところで、牛田さんは何できたんだ?
 呼んでいないのだが」

 俺が真顔て牛田さんに話しかけると、牛田さんは額に汗を流しながら、必死に返答する。

「昨日の流れで、牛魔王様の配下は、皆ゴトウ様の配下になると言ってたではありませぬか!
 なので、私も牛魔王様の右腕として、一緒に参上させて頂いたのです!
 改めて、私もゴトウ様の配下にして下さい!」

「心から俺に従いたいのか?」

「ハイ!  私はゴトウ様に、一生涯忠誠を誓いまする !」

 本当だろうか? 【鑑定】で調べればすぐ分かるか。

 牛田·ゴトウ·マサオ
 騎士lv.95、獣戦士lv.150
 スキル;咆哮、闘気

 ちゃんとゴトウ族になってるな。
 俺に忠誠を誓っている事は確認できた。
 それより、こいつ【闘気】スキルを持っているのか、さすがは魔王の右腕だっただけの事はあるな。

「うむ。確かにマサル君は俺に忠誠を誓っているようだ!
 それでは『犬の尻尾秘密基地』に移動するか!  牛魔王、牛田、お前達は第83ダンジョンの最下層のボス部屋に行った事があるか?」

「な……なんで私の、名前を知ってるのですか?」

 牛田さんの額から、冷や汗が吹き出している。

「フフフフ!秘密だ!  そんな事よりボス部屋は行った事はあるか?」

「俺も、牛田も勿論あります!」

 額から汗をダラダラ流している牛田さんの代わりに、牛魔王が答えた。

「そうか、ならいいな。
 ブリトニー! 見本を見せてやれ!」

「はいニャ!」

 ブリトニーは聖級結界の中にある聖級移転の魔方陣の中に立った。

「ではいきますニャ!」

 ブリトニーは、青白く光り輝く魔方陣の中に沈むように飲み込まれて消えた。

「どうだ! 牛魔王! 分かったか?  
 あの魔方陣の上に立って、第83ダンジョンのボス部屋を、頭の中で思い浮かべればいいだけだ。
 ダンジョンの移転装置と同じ要領だ!」

「こ……この場所からダンジョンの最下層まで行けるのですか?」

 牛魔王が、目を白黒させながら驚いている。

「マスターなら可能なのです!」

 姫が何故か、無い胸を反らして、フフーンと誇らしげな顔をしている。

「よし! サッサと『犬の尻尾秘密基地』に移動するぞ!」

 第83ダンジョンボス部屋、改め『犬の尻尾秘密基地』に到着すると、執事の格好をしたゴキ男爵が、優雅な執事風のお辞儀をして出迎えてくれた。

「グランドマスター! お待ちしておりました!」

「牛魔王! ここが俺達のアジト『犬の尻尾秘密基地』だ!
 今からここで、第1回目のゴトウ族会議を始める。」

 この1週間の間に『犬の尻尾秘密基地』は大変貌《だいへんぼう》を遂げていた。
 ゴキ男爵が、俺の支持通りダンジョン内の整備を続け、最下層の半分は結界を張りモンスターが出現しない状態になっている。

 そこに居住スペースを作り、少しづつ家具などを搬入し、人が快適に住めるように整えているのだ。

 今は会議室と、ゴキ男爵と、ゴキ男爵の配下のデーモン達の部屋、『カワウソの牙』や、ダンジョンの中で俺達に逆らい調教された冒険者などの部屋など、すぐに必要な部屋だけはできている。

 最下層の半分のスペースと行っても東京ドーム程の広さがあるので、まだまだ十分な広さが残っている。
 今後の予定としては、俺達の部屋や大浴場なども造り、ここで生活をするつもりなのだ。

 会議室に入ると、どこから調達してきたのか、豪華な円卓テーブルに、豪華な椅子、豪華のな調度品と煌びやかなシャンデリアが飾ってあり、まるで貴族の邸宅を思わせるような装いになっている。

 席に座ると、ゴキ男爵と、少しだけ姫達より質素なメイド服を着た、俺好みのロリ系で可愛らしい爵位持ちのデーモンが、ハーブティーを持ってきてくれた。

「ゴキ男爵、この調度品やメイドはどうしたのだ?」

「グランドマスターが、私に任せてくれましたので、私の嗜好や趣味を思い存分入れさせてもらいました。
 メイドはグランドマスターの性癖に合わせて用意しました。しっかりと私が調教しておりますので、いつお試しになりましても宜しいですよ!」

「そ……そうか……俺好みか……
 部屋の趣味も、メイドも、俺はいいと思うぞ」

「お褒め頂き有難うございます!」

 ゴキ男爵が執事風に頭を下げた。

「よし! それでは改めて、第1回ゴトウ族会議を始める!」

「ハイです!」

「ハイニャ!」

「御意!」皆んなそれぞれ返事をした。

 ーーー

「まずはサンアリ! お前にはゴトウ族全体の会計をやってもらう!ミノタウロス牧場から得られる利益は全てお前が管理しろ!」

「お任せ下さい!」

「次に牛魔王だが、今まで通りモフウフを支配しろ!
 決して『犬の尻尾』や、俺の配下になったとは人に話すな!
 今は目立つ時ではない、下手に目立って冒険者ギルドに目をつけられたら面倒だ」

「確かに、姫様が漆黒の森全地域を支配する為には、目立つのは厳禁です!
 秘密裏に、魔王や、大魔王を配下にする必要があります!」

 サンアリが納得顔で頷いている。

「大ボス!  俺は今まで通りにしてればいいんだな!」

「ああ、今まで通りでいい。
 ミノタウロスの利権がなくなり、お金が足りないのであれば、サンアリに工面してもらえ! 」

「大丈夫だ!モフウフの税収だけで十分やっていける!」

「次に『犬の尻尾秘密基地』だがゴキ男爵! 今までと同じように、整備を続けてくれ、工事に必要な備品やお金が必要ならサンアリに工面してもらえ!それからもし人員が足りなかったら、牛魔王の配下から人員を貸してもらうといい!」

「御意!」

 ゴキ男爵が頭を下げた。

「俺達『犬の尻尾』は未攻略ダンジョンの攻略をしようと思う!
 ギルドランキング10位以内に入って、冒険者ギルド内でのある程度の地位を得ておきたいんだ!
 冒険者ギルドに目を付けられた場合、言い訳したいからな!」

「それは、良い考えです!
 漆黒の森を秘密裏に支配できたとしても、冒険者ギルドが認めるとは思えません。
 漆黒の森は南の大陸全国土の1/8を占めます。例え、元々ダークエルフの支配地域だったという大義名分があったとしても、難しいでしょう!
 今の内に、冒険者ギルドの運営する議会に潜り込み、内部工作しておくのは良い作戦だと思います!」

 サンアリの目がキラリと光った。

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