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第三章 王都へgo!
60. 王都
しおりを挟む「ハヤト兄様……これは、クロメお姉ちゃんも殺しておいた方が良かったかも……」
「そうだな。こんなおかしな奴が黒耳族だと思われてしまったら、一族の恥だ」
なんか、アヤメとハヤトは、クロメを抹殺する事に決定したようである。
というか、実の姉や妹を平気で殺すか?まあ、一族のみならず両親までも殺してるので、今更なんだけど。
『クロメ、来るぞ!』
「分かってます!」
クロメは、すぐさま全力に俺の魔力を纏って、二人から距離をとる。
「ははははは、クロメお姉ちゃん、何、必死に逃げてるの?未来視眼を持ってる私達から、本当に逃げれると思ってるの?」
アヤメは、余裕綽々だ。
やはり、5分先の未来が見える未来視眼のアドバンテージは、物凄く厄介なのだ。
いきなり、攻撃を仕掛ける素振りを見せると、簡単に対抗されちゃうし。
『で、どうするよ?』
「このまま逃げます!」
『逃げるのかよ!』
俺は、てっきり、アヤメとハヤトと戦うと思っていたのだが、どうやらアヤメは逃げる選択をしたようだ。
まあ、よく考えたらそれも有りかもしれない。
だって、絶対にあの二人、クロメの本気のスピードについてこれないし。
クロメが昔のままのクロメだと勘違いして、あの二人は墓穴を掘ったのだ。
『でも、良かったのか?あんなにバカにされて、クロメ、もの凄く怒ってただろ?』
「クックックックックッ。あの二人は、黒耳族の中でも本物のエリートです。任務に失敗した事など一度も無いのです。
だから、自分達より劣ってると思ってた私に、まんまと逃げられたと思ったら、物凄くショックを受ける筈です。私を殺すと決めたのに逃げられるって、あの二人のプライドは、もうズタズタになってる筈ですよ!」
クロメは、とても嬉しそうにほくそ笑む。
『そんなものなのか?』
「そんなものですよ。ほら、千里眼で見てみましょう」
俺の魔力で肉体強化して全力で逃げてきたので、もう、アヤメもハヤトも遥か彼方にいる。
そんな二人を千里眼で見ると、本当に二人は歯ぎしりして悔しがっていた。
『本当に、悔しがってやがる……』
「黒耳族にとって、任務は絶対。しかも二人は超エリート。何に置いても失敗した事もありませんし、挫折もした事がありませんから。ましてや、格下だと思ってた私に遅れを取ったなんて、プライドが許せないと思います」
『やったな!』
「ハイ! やりました!」
クロメは、とても嬉しそう。ザマーをコンプリートしたって所か。
『だけれども、奴ら、俺達を追ってくるんじゃないのか?』
「今も、一生懸命、追ってきてますね!」
『どうするよ?』
「絶対に追い付かれないだけですよ」
『奴らと、一生追い掛けっこするのか?』
「それもいいかもしれません」
『だけど、全然捕まえれなかったら、奴らも諦めるんじゃないのか?』
「絶対に諦めませんよ。私を捕まえて殺すまで。黒耳族は任務を絶対に遂行する伝説の暗殺一族なのですから。私を殺せなかったという汚点を残す行為など、あの二人は死んでも受け入れられないと思います」
『黒耳族って、執念深いんだな……』
「それが、黒耳族ですから」
クロメは、ニヤリとしながら答えた。
にしても、本当に、二人とも諦めない。
俺とクロメは、透視眼と千里眼で逐一アヤメとハヤトを観察してるが、1週間経っても、俺達を追ってきてるのである。
他に、やる事ないのかよ……
にしても、俺達の居場所は、どうして分かるのだろう。二人との距離は随分離れてるというのに。完全に俺達はロックオンされてる。
これも、暗殺を生業としてる伝説の黒耳族の特殊能力の何かかもしれない。黒耳族って、ほぼ忍者だしね。
そうこう旅を続けてたら、予定より相当早く目的地の王都に着いてしまった。
『クロメ、どうするよ?』
「マリアちゃんが来るまで、王都で待ちます」
まあ、そうなるよね。俺達はマリアの補助役をするつもりだし。
勇者リクトが、どうやら本当に勇者パーティーを利用して、新魔王に成り代わろうとしてたみたいだから、もう、勇者リクトの敵討ちとか、俺的にはどうでも良い事だし。
シリカ姫と、アレクサンダー王がどれだけ酷い奴だったとしても、俺的には何も被害を受けてないからね。
ただ、俺は、俺の元の持ち主である、勇者リクトの敵討ちをしようと思ってただけで、勇者リクトが自分が新魔王に成り代わろうとする悪人だとしたら、何を好んで悪人の敵討ちなどしないといかんと思っただけだし。
『マリアが来るのを待つとすると、アヤメとハヤトも、俺達に追い付いちゃうな』
「だったら、返り討ちにするまでです!」
『だとしても、アヤメの5分前が見える未来視眼は、厄介だぞ?』
そう、戦闘に置いて、5分前の未来が見えるというのは、とんでもないアドバンテージなのである。
「クックックックックッ。そんなもの5分前に気付いても逃げられない、広範囲超極大魔法を放てば良いだけですよ」
クロメは、とんでもなく邪悪な顔をして笑うのだった。
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