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第三章 王都へgo!
52. 街を煉獄の炎で燃やし尽くそう
しおりを挟む結局、今回のクエストは、失敗に数えられる事とはならなかった。
それは、クロメがある程度は、ちゃんと財布を探し出して、クエストを半分以上完了させていたから。
そして、捕まえた何人かの財布泥棒が、財布の中身を抜き取ってから、証拠隠滅の為に、財布を燃やしたと証言したから。
そもそも、犬猫捜しクエストも含めて、捜し物クエストを、たった1日でこれだけこなす冒険者など居ないからね。
それだけでも凄い事だし、クロメが黒耳族なのにクエストを失敗してしまったと、とても憔悴した状態で冒険者ギルドに現れたので、とてもじゃないが、クロメが嘘をついてるとは見えなかったから。
後は、ここの冒険者ギルド長のイケオジエルフが、この大陸を統べる冒険者ギルド副代表の九尾が目を掛けてるクロメの話を信じると、ギルド長裁定してくれたから。
意外と、このニナナカ冒険者ギルド長のイケオジエルフは、話が分かる良い人なのかもしれない。
『クワッハッハッハッハッ! 伝説の暗殺集団黒耳族最後の生き残り、このクロメ様が、ミッションを失敗する事などないのだーー!!』
この話を、さっき、受け付けのお姉さんに聞いたクロメは、ギルドの中央にあるテーブルに飛び乗り、高笑い。
どんだけ、嬉しかったのだろう。
まあ、他の冒険者達には生暖かい目で見られてたんだけどね。
そして、今日のクエストの受注。
捜し物クエストは、全てやってしまったので、今日はニナナカ城塞都市内でのお手伝いクエスト。人気がなさそうなクエストを厳選して、掲示板から取ってやる。
まあ、全部取っちゃうと、まだ城塞都市の外でクエスト出来ない初心者冒険者の仕事が無くなっちゃうからね。
クロメは、気遣い出来る良い子に育ってるのである。
まずは、飲食店でのネズミ駆除クエスト。
お店に行って、店主から話を聞いたら、すぐさまクロメは、魔法の詠唱を始める。
「煉獄の炎よ!我が主、偉大なる卍様の名の元に命じる!その矮小なる罪人《ネズミ》を全て燃やし尽くせ!煉獄業火《インフェルノ》!!」
クロメの罪人《ネズミ》だけを、煉獄の炎で焼き尽くす煉獄業火《インフェルノ》で、店にいるネズミを消し炭になるまで焼き尽くした。
本当に、罪人《ネズミ》だけしか燃えないって便利だよね。
話によると、罪人だけでなく、クロメが指定した人や物だけを燃やせちゃうらしい。なんて、恐ろしい魔法なの。
まさか、善人まで燃やせるとは思わなかった。
基本、クロメの魔法は、日本の異世界アニメを参考に、全てクロメが作ったオリジナル魔法なので、何でもありらしい。
でもって、次の依頼は、ドブ川のゴミさらい。臭いドブ川に浮いてたり、沈んでたりするゴミの除去をするクエスト。
本当に、体中が臭いヘドロだらけになる人気がないクエストで、初心者冒険者も避けて通るクエストなのである。
俺のクロメは、人が嫌がるクエストを進んでやる良い子なのだ。
でもって、
「煉獄の炎よ!我が主、偉大なる卍様の名の元に命じる!その矮小なる罪人《ドブのゴミ》を全て燃やし尽くせ!煉獄業火《インフェルノ》!!」
クロメが魔法を唱えると、ドブ川の水やヘドロの中だというのに、ドブ川にあったゴミが、全て燃えだした。
基本、地獄の炎って絶対に消えないんだよね。それが、水の中であろうと、海の中であろうと絶対に。
そして、地獄の炎の中でも、煉獄の炎は、罪人だけを消し炭になるまで燃やし尽くす炎。
罪人を消し炭になるまで燃やし尽くし居なくなれば、地獄の炎でも勝手に消えてくれる便利な炎なのである。
簡単に説明すると、地獄の炎は消えない炎。煉獄の炎は、指定した物だけを燃やして、燃やし尽くすと消える炎だと考えてくれれば良い。本当に都合が良いよね。
でもって、次は、教会に併設する孤児院の手伝いクエスト。
孤児院に暮らす子供達の護衛が主な任務。
何でも、街に孤児院の子供達が作ったポーションを売りに行くのを、護衛するクエストらしい。
ん? 何で、孤児院の子供達がポーション作れるのかって?そんなの知らん。俺の鑑定眼の能力知ってる?俺って、この世界の事、基本何も知らないの。
自分でこの世界の本を読んで得た知識しか知らないし。孤児院の子供達の事なんて、本に書いてないからね。
地球のインターネットに書いてる知識なら、何でも分かるけど、俺ってこの世界の事、実は何も知らないんだよね。
ヤッパリ、俺の鑑定眼全く使えん!
俺に、三行半を突きつけたイカレジジイじゃないけど、孤児院の子供を鑑定しても、何故、ポーションを作れるのかも分かんないなんて、やはり、俺は鑑定眼としては出来損ないなのかもしれない。
アッ! イカレジジイじゃなくて、偉大なる大悪魔召喚士イカレジ・ジイね!
本当に、クロメの設定は日増しに複雑になっていく。
そんな訳で、孤児院の護衛クエストをする事になったのだが、このクエストが、また新たな事件の始まりになるとは、この時の俺もクロメも全く分からなかったのだ。
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