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第三章 王都へgo!
40. 見張り
しおりを挟むスパイスカレーをたくさん食べたら、一休み。そして、そんな休憩中の俺達の事を先程から見張ってる者達が居る。
クロメも気付いてると思うが、俺は一応、言っておくことにする。
『見張られてるな』
「フフフフフ。敵意は無さそうなので、敢えて泳がせてるのです。何が目的か探らなければなりませんのでね!」
流石、伝説の黒耳族。しっかり、クロメも把握してるようだ。しかも、相手に敵意があるかどうかまでも読み取ってるし。
「エッ?」
クロメの言葉に、マリンが反応して周囲を窺ってしまう。
でもって、悪い事に、俺達を見張ってた者達と目が合ってしまう。
『クロメ!』
「承知!」
先程まで全く敵意無く見張ってた者達が、見つかったと思ったのか、突然、襲いかかってきたのだが、クロメが一瞬にして制圧してしまった。
まさに、神速。黒耳族の身体能力と、俺から溢れ出る地球からの魔力により身体強化魔法を重ねがけしてるクロメに対して、スピードで勝てる者など皆無。
俺達を見張ってた者は3人いたのだが、相手が飛びかかってきた瞬間には、背後に周りこみ、手刀でトン!トン!トン!と、見張ってた者達を気絶させていた。
「凄い!!」
そりゃあ、マリアもビックリするよね。
本当に、クロメは凄いんだから。
俺も、首トン!で、気絶する人達を初めて見た。アレって実際出来るんだね。
まあ、クロメの場合は、手刀に雷の魔力を込めて、電気ショックで気絶させてたような気もしたけど。
「どうやらこの者達は、異世界の大魔王であらせられる卍様を狙う、この世界の魔王の刺客だったようですね。
クックックックックッ。 だがしかし、我が主、卍様には、この第一の下僕であるクロメが付いてるのです!
こんな木っ端魔族など、卍様の一番の下僕である、この私にかかれば、首トン! で、一撃ですよ!フッフッフッフッフッ、クワッハッハッハッハッハッ!」
どうやらクロメは、日本の漫画やアニメによく出てくる首トン!を、上手く再現できた事に御満悦のようである。
ずっと練習してたし。さっき狩りしてた時も、シルバーウルフを練習台にして、首トン!を色々試してたし。
最終的には上手く出来なくて、電気ショックで気絶させる方法に落ち着いたようである。
それにしても、コイツらなんか見覚えがある。
クロメが言うように、羊の角が生えてるから魔族に見えるけど、きっとハーフ魔族だろう。
だって、昨日の夜、勇者リクトの夢で見たハーフ魔族の村長が居るし。
まあ、近くに、寂れた村がある事を、千里眼と透視眼で把握してたけど、よく見てみると、これは完全に夢で見たハーフ魔族の村そのものだったようである。
取り敢えず、捕まえた者達をクロメに縄で縛るように指示したら、何故か亀甲縛りにされていた。
クロメは、本当に、どんな日本のアニメを検索して見てるのだろう。
この件に関しても、近いうちに教育的指導が必要だと思われる。
そうこうしてると、首トンというか電気ショックで気絶させられてたハーフ魔族達が目を覚ます。
「クックックックックッ。この世界の木っ端魔族よ。目が覚めたようだな!
異世界の大魔王であらせられる、我が主、卍様に襲撃をしかけようとしていたみたいだが、この卍様の第一の下僕である、最後の黒耳族の生き残りクロメがいる限り、それは不可能というもの!」
クロメも、きっと、相手がハーフ魔族と気付いてる気もするが、異世界の大魔王の俺VSこの世界の魔王の戦いという設定を壊したくないらしく、無理矢理話を纏めよとしているみたいである。
「卍様?」
ハーフ魔族達は、首を捻る。
そりゃあ、そうなるよね。
だって、普通、眼帯の下の魔眼に名前付けてると普通の人は思わないし、そもそも眼帯付けたままだから、クロメが魔眼持ちかどうかなんて分からないし。
「クッ! お前達のような木っ端魔族が、卍様を愚弄するとは許せん!ゲヘナヘル、ゲヘナヘル……地獄の血の海に眠りし、卍様の4番目の下僕……」
なんか、また、クロメがブツブツとヤバそうな魔法の詠唱を始めてるし。
「クロメちゃん! 眼帯付けたままだから、この人達だって、卍様が誰か分からないよ!」
「アッ?!」
俺の代わりに、マリアが慌てて指摘してくれる。
本当に、クロメの設定は、常人には分かりにくいのだ。
魔眼持ちで、しかもその魔眼を異世界の大魔王とか、地獄の帝王と崇め奉り、しかも魔眼の奴隷になってるって、とてもじゃないが、初見じゃ全く分かんないしね。
「フフフフフフ。私とした事が早合点。至高なる卍様のお披露目がまだだったようだな。
ならば、しかと目をかっぽじって見るがよい! この異世界の大魔王であり、地獄の帝王であらせられる我が主、卍様を!」
クロメは、眼帯を取り去り、左手でピースサインをして、左目を拡げて俺を際立たせるキメポーズを取る。
まあ、そんな中二のクロメを見て、亀甲縛りで縛られて動けないハーフ魔族達は、ポッカ~ンと、口を開けて見る事しかできなかったのだった。
そりゃあ、ポッカ~ンとするよね。
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