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第2章 城塞都市グラードバッハ編
24. ギルド呼び出し
しおりを挟む俺とクロメとポチタロペスは、全ての盗人を捕まえて、冒険者ギルドに向かう。
結局、冒険者ギルドでも、
「ウォォォーー! 魔獣の襲撃だーー!!」
まあ、そうなるよね。
ポチタロペス、どう見てもヤバそうだし。
頭が3つある時点で、普通じゃないし
「クックックックックッ。矮小な人間め! 泣けーー! 喚けーー!この地獄の門番ポチタロペスに、恐れおののくがいい!!」
クロメは、真ん中のタロの頭の上に立ち、上から目線で御満悦。
クロメは、自分の凄さを見せつける事に躊躇無いのだ。
黒耳族では、強さこそが正義。強ければ何も奪われないのである。
「なんだ……クロメちゃんの使い魔かよ」
タロの上に、クロメが立ってる事を確認すると、冒険者達は安心したのか、騒ぐのを止めた。
もう既に、冒険者の間で、クロメはそういう奴だと認知されてるのだ。
中二のセリフをこよなく愛する幼女と。
クロメのミノタウロスの力こぶ亭での勇姿は、冒険者達の間で認知されていて、クロメはいつの間にかグラードバッハ冒険者ギルドでも有名人になってたのである。
ヤバい魔眼を持つ、黒耳族の幼女ってね。
まあ、黒耳族自体が伝説の暗殺一族であるので、クロメが凄くても、あんまり目立たないのである。黒耳族なら、それぐらいやるだろう。て、勝手に思われてるみたい。
黒耳族は、闇に紛れて暗殺を生業にする一族なので、実をいうと人々は黒耳族をあまり見た事ないのだが、勝手に尾びれ背びれがついて、時を止める魔眼を持つとか、天井に足を吸い付けて歩くとか、影の中に消えるとか、水の上を歩くとか、勝手に伝説が一人歩きしているのである。
なので、黒耳族のクロメが普通じゃなくても、何となく受け入れられてしまってるのである。
クロメ自身も、自分の凄さをアピールできればいいだけなので、それほど冒険者達が驚いていなくても気にしないようだ。
もう何事も無かったように、普通に、冒険者ギルドの受け付けのお姉さんに、クエスト完了の確認お願いしてるし。
どうやら、G級クエストなので依頼料もそれなりで、あまり儲けれなかったようだ。
それより、盗人を衛兵に突き出して貰ったお金の方が多いぐらい。
一応、4人捕まえたのだけど、そううちの1人に懸賞金が掛けられていて金貨5枚も貰えた。
G級クエストやるより、懸賞首を捕まえる方が儲かっちゃうんだよね。
とっとと、D級冒険者になりたいぜ。
そんな感じで暫くは、初級クエストばかりこなして、たった2週間で、クロメはD級冒険者に成り上がった。一応、グラードバッハ冒険者ギルド最速記録らしい。
そんなD級冒険者に昇格して、グラードバッハ城塞都市にも用がなくなり、王都に向けての旅を始めようと宿を出た所で、突然、受け付けのお姉さんが現れ、冒険者ギルドからクロメに対して、招集命令が下ったと連絡を受けたのだ。
全く持って行きたくないが、冒険者ギルドと喧嘩してもしょうが無いので、俺とクロメは、グラードバッハ冒険者ギルドに向かう事にする。
「卍様、何の呼び出しでしょう?」
『多分、グラードバッハ城塞都市に、ずっと居てくれっていう懇願だろ?クロメは、グラードバッハ冒険者ギルドで大活躍したもんな!』
「クックックックックッ。私と卍様の実力に恐れをなしたという事ですね!」
『別に、恐れをなしてはいないと思うけど。クロメが冒険者ギルドに認められたって事だな!』
「フン!そんな事は当たり前の事です! ですが、この街に居続ける事など出来ない相談です! 卍様の世界征服の覇業の妨げとなってしまいます!」
俺は、世界征服する気持ちなど、これっぽっちもないのに、何故そんな話になってるのだろう。
まあ、そんな事より、なんかクロメが嬉しそうだ。尻尾をブンブン振ってるし。
言葉では、ブツブツいつもの感じで言ってるけど、グラードバッハ冒険者ギルドに認められた事が、物凄く嬉しそうである。
今迄、生まれ故郷の村では、落ちこぼれと罵られて来てたのに、初めて、人から認められたのである。嬉しくない訳などないのだ。
『どうする?暫く、居てやるか?』
「それでは卍様の覇業の妨げになってしまいます!」
『いやいや、俺は覇業など望んでないし、クロメに清く正しく育って欲しいだけだし!』
「しかし、この国の王族を皆殺しにして、滅亡させる計画まで遅れてしまいますよ?」
クロメの妄想は、留まる事を知らない。
何で、俺が、この国を滅亡させなきゃならないのだ?勇者リクトの仇のシリカ姫と、現国王のアレキサンダーは殺すつもりだけどね。
『王族には、しっかりザマーするけど、この国を滅亡させる気はないからね!
取り敢えず、冒険者ギルドに行って、話を聞いてから考えようか』
「卍様の御心のままに」
クロメは、片膝をついて答えた。
しかし、冒険者ギルドに認められた嬉しさが抑えきれないのか、尻尾をブンブンさせて砂埃を撒き散してしまうのは、まだ、年端もいかぬお子様なので仕方が無い事だった。
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