10 / 61
第一章 魔眼転生
10. 封印されし卍眼が解放される
しおりを挟む「矮小な人間共よ!あ…ありがとう……」
次の日の朝。クロメは朝起きると、第1村人の少女の家族に、ありがとう。と、言った。
なんか、第1村人の少女の家族達は、とても驚いていたけど、クロメに笑いかけて、
「どういたしまして!」
と、言ってくれた。
本当に、たまたまだが、クロメが、初めて、ありがとう。と言った人達が、良い人達で良かった。
まあ、矮小な人間共と言うのは、どうかと思うが、第1村人の少女の家族は、クロメがそういう設定の遊びをしてる子供だと、勝手に勘違いしてくれたのだろう。
クロメの服装は、下が忍者のくノ一の格好で、頭には魔法使いの三角帽子。左目には、卍の字が描かれた眼帯までしてるし、中二病を拗らした子にしか見えないしね。
「クロメちゃんは、これからどうするの?」
クロメが出された朝食を食べてると、第1少女のお母さんが聞いてくる。
クロメは名前など名乗ってないが、何故、少女のお母さんが、クロメの名前を知ってるかというと、クロメは何故か、自分の持ち物全てに名前を刺繍しているのだ。
俺が、クロメの持ち物と分かってるんだから、名前なんか刺繍しなくてもいいだろ?と、聞いたら、妹に奪われない為と言っていた。
まあ、クロメの育った村は、弱肉強食がルールの村なので、未来視眼を持ってなかったクロメは、家族の中で随分と虐げられてきたのかもしれない。
そして、クロメが必要以上に自分を大きく見せようとするのは、誰にも自分の物を奪わせないようにする為だと思われる。
そして、一々、矮小な人間共よ!とか言うのは、私は強者だから、私の物は何も奪わせないよと、宣言してるのかもしれない。
クロメの事を、最初は、中二のヤバい子かと思ってたのだが、全ての行動には意味が有り、そして、もう、誰にも何も奪われないぞ!という強い決意が、言葉に込められているのだ。
それが分かっちゃうと、矮小な人間よ!と言うの、注意出来なくなっちゃうんだよね……
「卍様、今日の予定は?」
クロメが、普通に俺に聞いてくる。
少女のお母さんからすると、独り言を言うヤバい子だが、眼帯の下に隠された魔眼を主と慕っているのが、クロメの設定だと思ってるのか、スルーしてくれている。
『東の街に向かう予定だけどな』
「卍様は、東の街に向かうと仰っております!」
クロメが、少女のお母さんに言う。
「東の街道を通るのは、止めなさい!」
少女のお母さんは、強い口調で言う。
今まで優しかったお母さんが、ここまで強い口調で言うという事は、何かあるのかもしれない。
「そうだな。東の街道は、魔物が多く出るから、子供一人っきりの旅は危ない。北から迂回するルートで向かうといいだろう」
お父さんが、補足してくれる。
「クックックックックッ。私と卍様が、たかが魔物程度で恐れを成すと?」
なんか、クロメのスイッチが入ってしまったようだ。
「クロメちゃんと卍様が、どれだけ強かったとしても、絶対に東の街道を通っちゃ駄目よ!」
少女のお母さんは、真剣だ。
「矮小な人間風情が! 私と、我が主、卍様に指図するか!」
「そんなのするに決まってます! みすみす、クロメちゃんを、シルバーウルフやホーンラビットの餌になんて、するもんですか!」
ん?シルバーウルフとホーンラビットだと?
確か、その2匹の魔物は食べると美味しいと、ジジイの家で見た魔物図鑑に書いてあった。
それに俺達には、食事が必要なのだ。
お金、一切持ってないから、狩りをして今日の夕飯もゲットしないといけないし。
『クロメ! 行くぞ! 東の街道で、シルバーウルフと、ホーンラビット狩りだ!』
「はい! 卍様!」
クロメは、お母さんとお父さんをガン無視して、家を飛び出る。
「ちょっと、クロメちゃん! 待ちなさい!」
なんか、第1少女の家族が、俺達を追い掛けてくる。
どんだけ、人が良い家族なのだ。だけれども邪魔だっての!
俺は、クロメの保護者として、育ち盛りのクロメに栄養がある食事を食べさせる義務があるのだ。
もう、こうなったら面倒臭いので、実力行使するしかあるまい。
『クロメよ。この分からず屋一家に、俺達の凄さを、怪我しない程度で分からせてあげなさい!』
「クックックックックッ。承知しました。卍様。無知な一家に、私と卍様の力を、見せつけてやります!」
俺の言葉を聞いて、クロメは、俄然ヤル気になる。
そして、
「無知な一家よ! 聞け!我が主、卍様が、何も分かっていないお前達一家に、卍様に眠る深淵なる力の、ほんの一部、米粒ほどを見せてやれと仰せつかった!」
クロメは、そう言うと左目の眼帯を外し、第1村人の少女達に見せびらかすように、左手でチョキを作り、俺をグイッと見開く。
「ええぇぇぇぇ!!」
流石に、眼帯の中から、卍の字と細かな魔法陣が描かれた魔眼が現れて、第1村人の少女一家は驚いたようだ。
完全に、クロメの設定と思ってたようだし。
「クックックックックッ! 我が主、卍様の封印を解いてしまったからには、もう、ただでは済まぬぞ!
フフフフフ。フワッ! ハッ ハッ……ハァァ……あ……ああぁぁああぁぁぁ……体中に、力が漲って行くぅぅ……」
俺に刻まれた卍の文字と、魔法陣が、クロメの光悦した表情と呼応するように、青白く光り輝く。
というか、俺は、クロメの気分に左右されて、出せる力がアップされてる気がする。
多分、これがシンクロ率100パーセントの効果なのだろう。
イカれジジイは、俺の力の5パーセントしか出せなかったが、、シンクロ率100パーセントのクロメには、100パーセント以上、プラスアルファまで出せてしまうようだ。
クロメが言ってたように、異世界から禍々しい魔力が、グングン俺を通して、小さなクロメの体に取り込まれる。
「クワッハッハッハッハッハッ!! キタキタキタキタ! 感じる感じますよ!我が主、卍様の力が私の中に入ってくるのが!! 今の私なら、簡単にこの世界を支配できちゃうでしょう!」
もう、ヤバい言動満載のクロメに、第1村人の少女一家は、青い顔して引いてる。
そして、クロメは気分が最高潮になった所で、魔法の詠唱を始める。
「深淵に住みし地獄の王よ、盟約に従い、我に、全てを焼き尽くす地獄の業火を貸し与えよ。我が主、偉大なる卍様の名において命ずる」
村はずれの空き地の空に、青白い幾千もの魔法陣が現れる。
そして、
「大灼熱地獄《ヘルファイア》!」
クロメの巨大灼熱魔法が炸裂した。
ーーー
ここまで読んで下さりありがとうございます。
面白かったら、お気に入りに入れてね!
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~
有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。
主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。
勇者は発情中
shiyushiyu
ファンタジー
顔立ちよし、性格よし、決してモテないわけではない助態はウキウキのエロライフを満喫中だった。
今日もいつもみたいに一発ヤれると思っていたのに…
気が付いて異世界に転生したら、自分が思ってたハーレム世界とはちょっと違う世界だった!
神様!さっき話してたことと違いませんか?
助態は異世界でもエロライフを満喫できるのか…?
ムフフでハラハラな異世界生活!
――――――――――――――
毎日をそれとなく過ごしていた助態は、電車の中で綺麗なお姉さんのパンチラを見かける。
誘われたと思った助態は高揚する気持ちとは裏腹に階段から転落して死んでしまう。
死後の世界なんて信じていなかったが、本当にあった。
そこで神様に出会い、輪廻転生するまでの間、他の世界に転生させてくれることになった。
しかも自分の望む世界へと!
でも待って!ハーレム世界を望んだのに転生したのは発情中の勇者じゃん!話が違うよ神様ー!
スキルは自分ですることだけ。
武器は股間の秘剣。
そんなポンコツ発情勇者が異世界で無双しまくる?いいえしません。
ハーレムしまくる?いいえしません。
ある意味うらやまで、ある意味絶対にこんな世界に転生したくない異世界転生!
輪廻転生するまでの間の暇つぶしに主人公助態は、たくさんのエロを獲得することができるのか?
常に発情している勇者の冒険が今、始まった…
最初から裸の女の子とのラッキーハプニング?
――――――――――――
主な登場人物
平変助態…物語の主人公・職業:勇者・特徴:見た目は上の下、短髪で長いまつげに二重で高い鼻とやや吊り上がった目
情粋純純…職業:ヒロイン・特徴:貧乳・おっきくてくりくりの目
くびち:職業:魔術師・特徴:真っ赤で長い髪の毛、やや巨乳、スタイル抜群の綺麗系お姉さん
もふとも:職業:シーフ・特徴:純純が大好きなレズで胸のサイズは平均的、男っぽい性格
ルブマ:職業アーチャー・特徴:貧乳でロリ属性・むっつりスケベ
ぱいお:職業:騎士・特徴:巨乳でちょいぽちゃ、妄想癖のある腐女子、メガネっ娘
電光石火の雷術師~聖剣で貫かれ奈落で覚醒しましたが、それはそれとして勇者は自首して下さい~
にゃーにゃ
ファンタジー
「ありとあらゆる魔獣の動きを完全に停止させることしかできない無能は追放だッ!」
クロノは魔獣のからだに流れる電気を支配するユニークスキル雷術を使いこなす冒険者。
そんなクロノを勇者はカッとなった勢いで聖剣で刺し貫き、奈落の底に放り投げた。
「いきなり殺しとか、正気か?」死の淵で雷術が覚醒、体内の電気をあやつり身体を超強化する最強スキルに覚醒する。
覚醒した雷術で魔獣をケチらし奈落最深部へ。 そこで死にかけの吸血姫の少女を救い、びっくりするほどホレられる。一方、勇者パーティーは雷術師クロノを失ったことでドンドン迷走していくのであった。
※本作は主人公の尽力で最終的には『勇者サイド』も救いのある物語となっております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~
桜井正宗
ファンタジー
おっさんに唯一与えられたもの――それは【オートスキル】。
とある女神様がくれた素敵なプレゼントだった。
しかし、あまりの面倒臭がりのおっさん。なにもやる気も出なかった。長い事放置して、半年後にやっとやる気が出た。とりあえず【オートスキル】を極めることにした。とはいえ、極めるもなにも【オートスキル】は自動で様々なスキルが発動するので、24時間勝手にモンスターを狩ってくれる。起きていようが眠っていようが、バリバリモンスターを狩れてしまえた。そんなチートも同然なスキルでモンスターを根こそぎ狩りまくっていれば……最強のステータスを手に入れてしまっていた。これは、そんな爆笑してしまう程の最強能力を手に入れたおっさんの冒険譚である――。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる