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第一章 魔眼転生

7. 大灼熱地獄

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「卍様。この家、証拠隠滅の為に、燃やしてしまいましょう!」

 突然、クロメが、訳の分かんない事を言ってくる。
 というか、卍様? 俺、いつの間に卍様になったんだ?
 まあ、瞳孔に卍と書いてあるから、名前は卍で正しいかもしれんけど。

『え? ここでスローライフを送ればいいじゃないの?』

 俺は反論する。なにも俺TUEEEするだけが、異世界生活じゃないと思うし。モフモフとスローライフするのも、れっきとした異世界ライフなのである。

「卍様の覇道を成し遂げる為には、この堕落した生活を送ってしまう原因となる、居心地の良い家は不要なのです!」

『イヤイヤイヤイヤ。堕落した生活いいじゃん! それがスローライフというものだし!』

「絶対にダメです! それに、卍様は、この家の本当の主人を殺してしまいました!
 やはり、この家を燃やして、証拠隠滅を図るのが正解だと思います!」

『イヤイヤ、イカれジジイを殺したのはクロメだろ?』

「私は、卍様の覇道の妨げになると思い、ジジイを殺したにすぎませぬ。所謂、忖度という奴です!」

『お前、忖度と言えば、何でも許されると思うなよ!』

「兎に角、早く燃やしてしまいましょう!」

 本当に、覇道とか意味が分からん。
 クロメの奴、世界征服とかしたいのか?
 そもそも俺、眼球だし。眼球が世界征服とかって、おかしいだろ。

「深淵に住みし地獄の王よ、盟約に従い、我に、全てを焼き尽くす地獄の業火を貸し与えよ。我が主、偉大なる卍様の名において命ずる!大灼熱地獄ヘルファイア!!」

 ちゅど~ん!!

 考える間もなく、クロメは大灼熱地獄ヘルファイアで、イカれジジイの家を、跡形もなく消し炭にしてしまった。

『オイ! 何でいきなり燃やしちまうんだ!
 未来視眼とか、透視眼とか、金目のものたくさんあっただろ!それを売り飛ばせば、結構な金になったんだぞ! お前も知ってるだろ!未来視眼なんて、3億円もするんだぞ!』

 俺は頭に来て、クロメを叱りつける。

「何を仰ってるのですか? 卍様。貴重な未来視眼などを売り捌いたら、足が付いて卍様が、ジジイを殺した事がバレてしまいますよ?」

 クロメは、最もな事を言いやがる。

『だけれども、これからの生活もあるだろうがよ! もう、住む家も無くなっちまったんだぜ!』

「クックックックックッ。何を仰られているんですか? 偉大なる卍様の力があれば、物を買う時、お金など要りませぬ! 全て奪い取ってしまえば良いのです!クワッハッハッハッハッハッ!!」

 なんか、ヤバい。この娘、ヤバ過ぎる。
 なんで、過去の記憶では大人しそうな娘だったのに、こんなヤバい娘になってるの?
 やはり、巨大な力を得てしまうと、人は変わってしまうのか?
 この娘の場合は、変わり過ぎだけど。

『馬鹿者が!物を、奪い取れば良いだと!そんな悪い事は、俺は認めないんだよ! これからは、物はお金を出して買うように!』

 俺は、クロメの保護者として、注意する。
 俺には、この子をマトモな子にする義務があるのだ。それが、クロメの魔眼としての俺の努め。

「ですが!」

『俺は、クロメが良い子に育って欲しいだよ。 道を間違えないようにな』

 俺は、諭すようにクロメに言う。

「卍様……」

『分かってくれたか? クロメよ』

「クックックックックッ。御冗談を。卍様から流れ出る、オドロオドロしい魔力は、世界を統べる魔王のそれですよ」

 どうやら、クロメには馬の耳に念仏だったようだ。俺の言う事を全く聞く様子がないし、何やらオレが世界を統べる魔王だと勘違いしてるし。

『それでもだ!』

「卍様が、そう仰られるなら従います。私は身も心も卍様の供物として捧げていおりますから。どうかこの身は卍様の自由に使って下さいませ!」

 クロメは、片膝をついて、頭を下げた。
 だけれども、クロメが慇懃にかしこまっているのは、クロメの左目に寄生してる俺。
 目の前に誰も居ないのに、片膝をついて頭を下げてるクロメは、物凄くシュールであった。

 それにしても、クロメが俺の供物とか、どういう設定なんだ?
 なんか、異世界アニメを検索し過ぎなのか、ドンドンおかしな設定を付け加えられてる気がする。

 これからは、異世界アニメを検索するのは、1日3時間だけと決めたほうが良いかと、本気に悩む卍様であった。

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