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127.アニエス神聖国

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 俺達は、ナナミさんが置いていった魔法の絨毯を使って、女神様が居るアニエス神聖国を目指す。

 そして、会う人会う人に、魔法の絨毯を見てビックリされてしまうが、もう俺達は気にしない事にした。
 だって、魔法の絨毯は5メートルの高さまで飛べるのだ。
 5メートルの高さの人間など居ないから、気にする事などないよね。

 間違って、頭にぶつかる事などないし。
 そして、魔法の絨毯の運転の仕方なのだが、魔法の絨毯にはAIなるものが入っていて、俺達の言葉を理解するみたい。

 しかもAIは、自ら成長して、俺らの気持ちを組んで最適解の行動をしてくれるようになると、ナナミさんが言っていた。

 今も、アニエス神聖国に行きたいと命令しただけで、勝手に飛んでくれてるし。

 アマンダさんが、『そろそろお花摘みに行きたいな』と言ったら、花畑で止まって下ろしてくれた。

 そして、アマンダさんが急いで、花畑で隠れてお花摘みに行ったら、2回目に、サクラ姫がお花摘みに行きたいと行ったら、今度は街道から直ぐさま離れて、人気の居ない草むらまで、直ぐに移動してくれたし。

 2回目にして、女の子のお花摘みの意味をAIは汲み取ったのだろう。
 本当に、AIは恐るべき頭の良さである。

 それにしても、本当に魔法の絨毯は凄い。
 空を飛ぶ乗り物と言えば、ワイバーンをテイムして、戦闘に使う竜騎士隊が有名だが、それでも2人乗りが限界。
 俺達の魔法の絨毯は、リビング用なので普通に5人くらいは平気で乗れちゃうのである。
 しかも、魔法の絨毯に乗ってる間って、自由な事できちゃうし。

 ワイバーンや馬車みたいに操縦もしなくていいし、全ては魔法の絨毯に組み込まれてるAIさんが勝手に操縦してくれるのである。
 なので、普通に食事も出来るし、昼寝もできちゃう。
 まあ、雨が降って来た時は最悪だけど、その時は馬車移動に切り替えればいいだけだからね。

 そんな感じで快適に移動してたら、予定より早くアニエス神聖国が見えて来た。

 何故、アニエス神聖国だと分かるかだって?
 そんなのナナミさんが、超魔導電磁砲で真っ二つにへし折った、アニエスダンジョンが見えてきたから。

 本当に、雲の下辺りでポッキリ折れてるし。本来は雲の上までそびえ立ってたらしいけど、本当にポッキリ折れてるのだ。

 なんでも、女神が住まう天空庭園から下の8階層分が折れて地上に崩落して落ちて来たらしく、本当に大変だったみたい。

 アニエス神聖国に近付くにつれて、アニエス神聖国の状況が詳しく伝わってくるのだけど、崩落した上層の階層の魔物がアニエス神聖国に溢れ出てきちゃって、アニエス神聖国は、もうグチャグチャ。
 なんとか、女神の力で魔物達を全て討伐する事がてきたようだけど、死人もたくさんでて、それを女神様の奇跡の力で全て生き返らせたとか。

 本当に、女神様って凄いよね。多分、女神が住まう天空庭園に咲くという、『名も無き花』の朝露から作られた『女神のエリクサー』を使ったのであろう。

 そのせいで、暫くは『女神のエリクサー』は作れなくなってしまったとか。
 そもそも、地上では『名も無き花』は栽培できないらしく、アニエスダンジョンが復活して、女神様が天空に戻られたら、また『女神のエリクサー』が作れるようになるみたい。

 何故、こんなに『女神のエリクサー』の事が、世間に伝わってるかというと、アニエス神聖国の人々が、女神様の『女神のエリクサー』の力を、その目で見たから。

 そして、その話が伝わり、各国の王様や貴族がアニエス神聖国に大挙して訪れ、女神様から『女神のエリクサー』を譲って欲しいと懇願したのだが、全ての『女神のエリクサー』は、アニエス神聖国の住民を生き返らせる為に使ってしまったと、女神様は対応するのが面倒臭くなったのか、お触れを出したのである。

 まあ、女神様は、実際、『女神のエリクサー』の在庫を持ってても、誰に上げないと思うけど。
 アニエス神聖国に伝わる言い伝えだと、アニエスダンジョンを攻略して、女神に会えた者だけが、女神様から『女神のエリクサー』を貰えるらしく、アニエスダンジョンを攻略もしてない者が、例え王侯貴族であっても貰えないのである。

 ちょっと、堕女神しちゃったからって、王侯貴族も女神様を舐めてるよね。

 まあ、その堕女神させた張本人が、俺の婚約者のナナミさんなのだけど……
 女神様が、もし、『女神のエリクサー』を使ってくれなかったら、罪のない何千人ものアニエス神聖国の住民を殺した大罪人になる所だったのだけど、その張本人であるナナミさんは、何も知らないでいるのは幸せの事かもしれない。

 だって、俺だったら罪の気持ちで押し潰されてしまうと思うし。

 まあ、兎に角、ナナミさんがバツーダ帝都と、エルフ王国と、アニエス神聖国を壊滅寸前まで追い込んだ事実は、俺達『銀のカスタネット』だけの秘密にして、墓の下まで持って行く事にしたのである。

 だって、やってる事を冷静に考えたら、魔王がやるような事をしてる訳だし。
 考えようによっては、魔王さえをも越えてる気もするしね。
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