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105. 入学式は波乱の予感
しおりを挟む俺はニコル兄と別れ、サクラ姫達と合流し、パーティーハウスに帰った。
そして、継母に使用人の事を相談してみた。
「そうですか。トトさんは伯爵様でしたね。それでは私が使用人として、寮に入ります」
想像通りというか、やはり、継母が俺の使用人をするらしい。
そして、アマンダさんなのだが、男爵位の人は、使用人を連れて来ない人も多々いるみたいで、アマンダさんは使用人を付けないとの事。
実際、ニコル兄も使用人付けてないからね。
だけれども、サクラ姫のお付の者達がアマンダさんの世話もしてくれるみたい。
食事は、サクラ姫の部屋で取るような事を言っていた。
まあ、王族クラスの寮の部屋は、ベットルームもたくさんあるから、そのままサクラ姫の部屋で暮らすかもしれないしね。
だって、王族の部屋にはデッカイお風呂もあるらしくて、1度王族の部屋を使っちゃったら出れなくなっちゃうよね。
なんで、俺の部屋にはお風呂ないんだよ!
まあ、共用の大浴場に入ればいいのだけど。
ニコル兄も、共用の大浴場は大きくて良いぞ! と、言ってたし。
まあ、実家の風呂と比べれば、足も伸ばせるし、そりゃあ良いでしょ。
家のパーティーハウスの風呂も足ぐらい伸ばせるんだよ!
それにしても、母親と寮に入るなんて前代未聞の気が……
血は繋がってないけど、それでも俺と継母の関係って変だよね。
よく考えたら、ニコル兄の場合、継母は本当の血の繋がった母親で変な感じになると思うけど。
継母が俺の使用人として、寮に入ったら、ニコル兄も一緒に食事を取るのか?
絶対に、今の継母と俺の関係を見たらビックリすると思う。
だって、ニコル兄は、俺と継母の今の関係、全く知らないし。
ニコル兄が実家に居た頃って、俺と継母は険悪な関係だったし。
今の関係になる前に、ニコル兄って家を出てるんだよね。
しかも、実家では何もしてなかった継母が料理してるんだよ。
ニコル兄も、初めての母親の手料理を食べて感動するに違いない。
そして、その超絶な味に、俺のように二度ビックリ感動するのだろう。
今から、ニコル兄の驚く顔を見るのが楽しみである。
そんなこんなで、時が過ぎ入学式。
俺とサクラ姫とアマンダさんは、晴れて、マール王国学園に入学する事になったのだ。
ーーー
入学式は、どうやらマール王国学園の中庭で行われるみたいである。
新入生の中に、バツーダ帝国の第3王子の一団も居る。
流石に、王子が1人きりで入学する訳ではなさそうである。
バツーダ帝国の第3王子は漆黒の髪の色で切れ長の鋭い目。ハッキリ言うとイケメンである。
そして、護衛兼、クラスメイトになると思われる男子学生2名と、女学生が1人。
どうやら、バツーダ帝国からの留学生は4人であるようだ。
なんか、バツーダ帝国第3王子の周りはピリついてるし、近寄り難い雰囲気を醸し出してる。
まあ、ちょっと前まで戦争してたから当然なんだけど。
しかも、バツーダ帝国の領地をマール王国は奪ってるしね。
留学生という形を取ってるけど、実際は、人質だし。
そうこうしてると、入学式が始まった。
滞りなく、司会者の教師が入学式を仕切り、生徒会長の正義の人クレア姫ご挨拶する。
そして、妹の新入生代表のサクラ姫がバトンタッチ。
これまた、クレア姫に劣らない立派な挨拶をし、しかも笑いまで取ってるし。
本当に、王族の血なのか、サクラ姫は人を惹き付ける。
そして、そんなサクラ姫の事を、バツーダ帝国の第3王子は、殺すような目で睨み付けてるし。
まあ、絶対に目が合ってると思うのだが、サクラ姫は何事もないようにスルー。
本当に、サクラ姫は大人になっている。
というか、第3王子ヤバイよね……
俺は、第3王子が、サクラ姫に危害を加えないように、しっかり見張らなければならない。多分、俺達、第3王子と同じクラスになると思うし。
王族や公爵位レベル、それから成績優秀者は、必ずノウブルクラスと決まってるのだ。
因みに、俺やアマンダさんは特待生だからノウブルクラスが決定してる。
現役S級冒険者は、普通、学校行かないし、S級冒険者になってる事自体が、既に特別な事だからね。
それにしても、アマンダさんの人気は凄いよ。
元々、王都で人気があった冒険者だし、今は、王女様とも同じ冒険者パーティーに所属してるからね。
王都でも、S級冒険者パーティー『銀のカスタネット』の『血みどろ姫』が、サクラ姫だって事を、薄々気付いてた人達も居たと思うけど、マール王国学園にサクラ姫が入学するにあたり、マール王国は大々的に『銀のカスタネット』の『血みどろ姫』が、マール王国第2王女サクラ姫だと発表したのだ。
既に、サクラ姫は『経絡秘孔爆裂幼女』とか、『血みどろ姫』とか、恐ろしい二つ名を持ち、その実力はそれなりに知られてた存在なので、誰もアマンダさんや俺のお陰で、S級冒険者になったとは誰も思っていない。
この学園の教師になった、バツーダ帝国宮廷魔術師ヨセフ・アッカマンへの牽制でもある。
サクラ姫を暗殺しようと思っても、簡単にはいかないよというね。
そして、学園長であるサクラ姫の叔母さんの有難い挨拶の後、一応、張り出されてたクラス発表表を見て、俺とサクラ姫とアマンダさんは、これから色々な問題が起こるであろう、ノーブルクラスに足を踏み入れたのだ。
ーーー
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