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101. 帝都で穴掘り

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 ナナミさんは、2層目の城壁も、次々に破壊して行く。
 帝都を守る兵士達は、一番外の破壊された城壁の方向に集まってるから、破壊し放題。

 ナナミさんは、次々に城壁を破壊しまくる。

 もう、本当ね。帝都の人々は狂喜乱舞。
 帝都の中まで敵が侵入してきたと勘違いして、そりゃあ凄い事になってるよ。

 兵士も、街の人達が逃げ回るもんだから、中々、俺達の元にやって来れないみたい。

 そんでもって、ナナミさんはある程度城壁をぶっ壊したら、また中心方向に移動する。
 今度は、今まで進んできた方から少し移動して、わざわざ人々が避難して来てる側ね。

 そんな人が沢山いる場所で、突然、城壁が爆発するもんだから、もう本当に大騒ぎだよ。みんなその場から一目散に逃げて行く。そのせいで兵士は簡単に俺達の元には来れない。
 ナナミさんは計算してるのだ。どうやって効率的に城壁を破壊するのか。

 普通の鉱山でも、柔らかい地層に到達したら慎重に穴を掘るようにね。
 そう、ナナミさんは危険を回避して城壁を破壊してたのであった。

 そして、またある程度城壁を破壊したら、次の層。

 結局、半日掛けて、城がある中央の城壁まで破壊してしまった。

 帰り?

 帰りも、そりゃあ破壊するよ。
 まだ、全ての城壁を破壊した訳じゃなかったからね。
 夕方まで、バツーダ帝都の城壁を破壊し続けて、俺達のバツーダ帝国の旅は終わったのだった。

 バツーダ帝都の観光はどうなったのかって?

 そりゃあ、もう観光なんて無理でしょ。
 きっと、お店もナナミさんのせいで穴だらけだよ。
 それに、ナナミさんもサクラ姫と満足しちゃって、もうバツーダ帝都に興味なくなったみたいだし。

 きっと、今なら、マール王国もバツーダ帝国と戦争したら勝てるでしょ。
 バツーダ帝国も、もう、戦争どころじゃなくなってると思うし。
 帝都の復興に何十年も掛かるんじゃない。
 だって、ナナミさん……城壁の3分の1は破壊しちゃったからね。
 しかも、帝都の建物の半分ぐらいも穴だらけにしちゃったし。

 そんな感じで、俺達は、本拠地であるマールダンジョン31階層のパーティーハウスに戻って来たのだった。

 やっぱり、自分の家は落ち着く。
 ご飯も作らないでいいし、いつでもお風呂に入れるし、継母が全てやってくれるし。家も隅々まで掃除されててピカピカだし、本当に言う事無し。

 アッカマンの暗殺はどうなったかって?

 そんなのバツーダ帝都に住んでる住人達に対して、申し訳ない気持ちがいっぱいになっちゃって、アッカマンの暗殺なんてどうでも良くなっちゃったんだよ!

 俺も、家が穴だらけにされた人達に申し訳なさ過ぎて、早くバツーダ帝都から逃げ出したかったくらいだし。俺の復讐は、こうして有耶無耶になってしまったのだった。

 まあ、なんかの機会で、俺の前に立ち塞がったら、絶対に殺すんだけどね。
 今は、バツーダ帝都の復興に駆り出されてると思うから、それがアッカマンへの復讐の代わりになってる筈。

 そんな感じで、今日はパーティーハウスでしっかり休み、次の日、王城に王様に報告しに言ったのだ。

 ナナミさんのドワーフの血が突然騒ぎだし、その流れで、バツーダ帝都の城壁の3分の1を破壊してしまったと……

 俺達は、起こった事を包み隠さず、王様に話したのだ。

「出兵じゃ!」

 まあ、そうなるよね。
 今のバツーダ帝都の現状を知ったら。
 王様も、自分の目で、今のバツーダ帝都を見てみたいというもんだから、バツーダ帝都のすぐ近くに隠して設置してある、どこでも扉で見に行ったよ。

 そしたら、王様、物凄くほくそ笑んでたよ。

「サカタ子爵! 良くやった!お主は、今日をもって伯爵に陞爵させる!」

 なんかよく分からないが、ナナミさんの爵位が俺と並んでしまった。
 それだけの事を、ナナミさんは城壁を破壊したいという己の欲求を満たす事だけでやり遂げたのだ。

 誇れる事かと聞かれたら疑問だけど。
 まあ、マール王国としては、有り得ない程のお手柄だったのだろう。

 多分、ナナミさんのお陰で、戦争で死ぬ筈だったマール王国の兵士の人数が劇的に減ると思われるしね。

 王様が、王都に居る兵士を、すぐさまトランペット辺境伯領に送り込みたいというもんだから、ナナミさんが正規の5倍の料金で、特別に、トランペット辺境伯領に設置してあるどこでも扉を使わせてあげていた。

 小銭が大好きなナナミさんは、ホクホク顔。
 マール王国にしても、行軍の費用を考えたら、ナナミさんにお金を払う方が安くつくので、お互いウィンウィン。

 王様は、一応、バツーダ帝都近辺まで、どこでも扉で行ける事を知ってるのだが、それはしない選択をした。
 ナナミさんのどこでも扉を使えば、戦争が劇的に変わってしまうのだ。

 俺達、透明スキルまで使えちゃうから、敵国の帝王の寝室に、どこでも扉を設置する事も可能だし。

 どこでも扉を設置したら、すぐさまマール王国の兵士を呼び込んで、帝王を殺す事だって可能なのだ。

 まあ、それをヤレ!と命令しない所が、マール王の王様として矜恃なのだろう。

 逆に、俺達が帝国側の人間なら、バツーダ帝王は、ヤレ!と命令すると思うけどね。

 実際、サクラ姫を呪い殺そうとしてたぐらいだし。

 俺は、つくづくマール王国で生まれて良かったと、心から思ったのだった。

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