78 / 166
78. 66階層攻略!!
しおりを挟む俺達は、塔のダンジョン66階層フロアーボス部屋に突撃する。
一度扉を閉めてしまったせいで、死んでた筈のリザードマンメイジとリザードマンファイターが復活してる。
というか、リザードマンメイジが魔法の詠唱してるし。
完全に、俺達が扉の外に居るのに気付いていて、魔法の詠唱をしていたのだろう。
66階層のフロアーボス部屋に居る魔物になると、どうやら相当、頭も回るようである。
俺達は、当たり前のように回避する時間も無く、巨大なファイアーボールにぶつかりそうになったのだが、
カッキ~ン!
ナナミさんが、十一文字金剛権蔵棍棒で打ち返してしまった。
というか、魔法って打ち返せるの?
そんな事より、カッキ~ン! て、どう考えても魔法を打ち返す音じゃないし……
それより、魔法を打ったリザードマンメイジが燃えてるし。
しかも、お腹に風穴が開いてるし……
どう考えても、リザードマンメイジが打ったファイアーボールより威力が上がってるし、というか、燃え盛る石の玉?が、壁に埋まってるし?
リザードマンメイジの腹に風穴を開けたファイアーボールが、実体化して隕石になってたようである。
まさかとは思うが、ナナミさんがリザードマンメイジが放った、ただのファイアーボールに土魔法で魔法付与して打ち返したのか?
だから、ただの現象であった火魔法を打った筈なのに金属音が聞こえたのだ。
金属音?というのも謎なのだけど、兎に角、ファイアーボールをメテオに魔法変換して、ナナミさんは打ち返していたのである。
というか、敵が放った魔法に干渉して、違う魔法に変えてしまうって、これって、相当技術が居る事のような……
まあ、天才のナナミさんなら、それぐらいやってしまうか……
俺達『銀のカスタネット』にとって、ナナミさんがトンデモない事するのはいつもの事なので、それほど驚かないが、それをフロアーボス部屋の外から観戦していた『氷の貴公子』の面々は、アゴを外して相当驚いていた。
無理もない、ただのお子様だと思ってた、魔法使いのコスプレをしてた幼女が、イキナリ高度な魔法を使ったのだ。
いや違う……魔法と棍棒を使ったのだ。
メテオが飛ぶ動力は、ナナミさんのフルスイングのバッティングでもたらせられていたから。
普通、棍棒フルスイングして、相手の魔法に付与魔法掛けないし。考えれば考える程、ナナミさんはトンデモない事をクールな顔をしてこなしてしまうのである。
というか、ナナミさんがリザードマンメイジを倒したと同時に、アマンダさんとサクラ姫も動き出している。
アマンダさんとサクラ姫の動きは、めちゃんこ速い。
ズザン!
アマンダさんは、斬れ味が良くなった大剣ナナミ13号で、リザーマドンファイターの右手を斬り落とした。
リザードマンファイターは、上段から振り落とされたアマンダさんの剣戟を、一応、剣で受けていたのだ。
それなのに、アマンダさんは、リザードマンファイターの剣ごと、右手を斬り裂いたのである。
これにも、観戦中の『氷の貴公子』の面々は、目ん玉飛び出して驚いてる。
『氷の貴公子』の面々は、先程までリザードマンファイターと戦ってたのだ。
リザードマンファイターが使ってた剣が、まあまあの業物だと知っていたのである。
それなのに、アマンダさんは、まるで豆腐でも切るように簡単に切断してしまったのだ。
『氷の貴公子』の驚きは、これだけでは終わらない。
右手を斬り落とされて動揺してるリザードマンファイターに、サクラ姫がレイピアで一突き。
リザードンマンファイターの顔が、ボゴボコと、横や縦に色んな所が膨らんだり、凹んだりした後、
「ヒテブーー!!」
ベチャッ!!
体が破裂してしまったのだ。
サクラ姫は、リザードマンファイターの返り血を浴びて血だらけ。
もう、ここまで来ると、『氷の貴公子』の面々は、理解が追いつかな過ぎて笑うしかないようだ。
そして、ついに俺の番。
『銀のカスタネット』のメンバーが、俺の為に舞台を整えてくれたのだ。
俺は、カスタネット子爵家の家長として、『銀のカスタネット』の団長として、格好良い勝ち方をしなくてはならないのだ。
ナナミさんと、アマンダさんと、サクラ姫の戦闘がトンデモ無かったからね。
俺は、それを越える戦いをしないといけないのである。
てか、そんなの良く考えたら無理だろ?
俺、普通に、剣を持ったら剣豪になる派生スキルを持ってるだけだし。
確かに、俺は強くなったよ。
だけど、ナナミさんやアマンダさんやサクラ姫のように派手な戦い方は出来ないのだ。
どうする?どうする?どうする?
俺は、必死に頭を回転させて考える。
普通に、リザードマンキングに勝てると思うけど、勝ち方が重要なのだ。
魚の活き造りみたいに、生きたままリザードマンキングを捌くとか?そんな突拍子のない事をしなければ、俺の凄さが『氷の貴公子』には伝わらない。
とか、思ってたら、いつの間にかリザードンキングが、俺の目の前まで迫っていた。
俺は、反射的に居合斬り。
スパン!!
リザードンキングは、斜めに斬り上げられた俺の十一文字権蔵によって、上半身が地面にズリ落ちる。
「「エェェェェェェーーー!!!」」
外野が五月蝿い。
どうやら、フロアーボス部屋の外で観戦してた『氷の貴公子』の面々が騒いでいるようだ。
というか、コレで良かったのか?
俺、普通に倒しただけなのに。
決して、魔法変換させて、相手に風穴開けたり、剣ごと腕を斬り落としたり、ましてや、経絡秘孔突きで!相手をヒデブーさせてないのである。
「あの……リザードンキングを一撃で……」
氷剣のアレックスが、ワナワナ震えてるし。
まあ、俺達の実力としては、こんなもんでしょ。
だって、俺達には、どう考えてもプラチナ級のナナミさんも居るんだし。
最初に、ナナミさんがリザードマンメイジの奇襲攻撃を跳ね返して、しかも、逆にやっつけちゃった所で勝負あったのだ。
「占い師さん……こんなに凄かったの……」
「『銀のカスタネット』団長……ちょっと聞いた事無かったので、舐めてたが侮れんな……」
だけど、そんな風に思ってるのは、どうやらトトだけだったようだ。
少なくとも、『氷の貴公子』の面々は、倒す事は不可能と思われていた、リザードマンキングを、トトが、たった一撃で倒してしまった事に、衝撃を受けていたようだった。
ーーー
面白かったら、お気に入りにいれてね!
139
お気に入りに追加
874
あなたにおすすめの小説
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
弟のお前は無能だからと勇者な兄にパーティを追い出されました。実は俺のおかげで勇者だったんですけどね
カッパ
ファンタジー
兄は知らない、俺を無能だと馬鹿にしあざ笑う兄は真実を知らない。
本当の無能は兄であることを。実は俺の能力で勇者たりえたことを。
俺の能力は、自分を守ってくれる勇者を生み出すもの。
どれだけ無能であっても、俺が勇者に選んだ者は途端に有能な勇者になるのだ。
だがそれを知らない兄は俺をお荷物と追い出した。
ならば俺も兄は不要の存在となるので、勇者の任を解いてしまおう。
かくして勇者では無くなった兄は無能へと逆戻り。
当然のようにパーティは壊滅状態。
戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。
俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ!
===
【第16回ファンタジー小説大賞】にて一次選考通過の[奨励賞]いただきました
戦争から帰ってきたら、俺の婚約者が別の奴と結婚するってよ。
隣のカキ
ファンタジー
国家存亡の危機を救った英雄レイベルト。彼は幼馴染のエイミーと婚約していた。
婚約者を想い、幾つもの死線をくぐり抜けた英雄は戦後、結婚の約束を果たす為に生まれ故郷の街へと戻る。
しかし、戦争で負った傷も癒え切らぬままに故郷へと戻った彼は、信じられない光景を目の当たりにするのだった……
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる