上 下
4 / 166

4. 妹天使リーナ

しおりを挟む
 
 手相占いを続けていたら、次々と新たな『握手』スキルが覚醒してくる。

 もう、本当。ウッヒョー!だし、全然『握手』スキルは、ハズレスキルじゃないし。
 本当に誰だよ?『握手』スキルが、外れスキルなんて言った奴。

 アッ……多分、親父か……
 絶対に、家の為には利用させないし、稼いだ金も渡さんからな!

 で、それは置いといて、新たに得た能力の説明。

 どんな重い物も持ち上げられる能力や、どんな扉も開けられちゃう能力。それからHPを人から奪う能力。MPを人から奪う能力。自分のHPを人に与える能力。MPを与える能力。
 基本、全ての能力が、握手の動きをすると発現する能力である。

 そして、Lv.35にして、ついに発現した能力が、癒し手の能力。握手した人の怪我や病気を治す能力。これって、最早、聖女様の能力と同じなんだよね。自分に使う時は、自分のステータスを見る時と同様、右手と左手を握るだけでOK!

 これで、カークに理不尽に殴られても、簡単に治す事ができちゃう。

 しかも、最近は、手相占いにも、新たに得られた能力を利用し、ちょっと疲れてるような人には、自分のHPを分け与えてみたり、元気が有り余ってそうな人からは、少しだけHPを奪ってみたり、家事で手が荒れてるなと思う、主婦なんかの手を、癒し手の能力で少しだけ治してあげたりしてたら、なんか、想像以上に手相占いの人気が出てきちゃって、王都からも噂を聞きつけて、お客さんが、たくさん来るようになってしまった。

 王都って、カスタネット準男爵領から、歩いて来ると3日間もかかるというのに、本当に、女の人って占い好きだよね。

 まあ、目に見えて手荒れが治ったり、顔のニキビが治ったりしたら、そりゃあ、お客も来るか。

 まだ、骨折の治療とか、目立ち過ぎる治療はしてないけど、なんか癒し手の能力は、聖女様と同等の力がありそうなので、骨折でも、体の欠損でも、伝染病でも、お腹を斬られ腹わたが飛び出てたとしても、死んでなかったら、何でも治せちゃうみたい。

 今、気を付けるのは、兎に角、目立ち過ぎない事。

 俺の『握手』スキルは、どうやら規格外の力ぽいから、変な奴らに目を付けられたら、攫われて監禁されちゃう可能性もあるからね。
 そんなの嫌だし、小金を稼げて、少しだけ良い暮らしが出来るくらいで、俺は大満足なのだ。

 もう、実家を出る準備は着々と進んでるし、街に部屋も借りてたりする。
 今は、どんな理由で、家を出て行くか考えてる所。

 家の中で、もうビクビクしてないし、継母に、逆にいびられたいぐらい。
 ブチ切れて、「もう、出てってやる!」て、言ってやって、早く家を出たいしね!

 でも、そんな事を思うようになってから、逆に、全く、継母にいびられなくなっている。
 多分、俺が街で結構稼いでるのを知ってそう。継母も、一応、女子だから占いが好きなのであろう。

 妹のリーナも、事ある毎に、「手相占いして!」て、オネダリしてくるしね。

 で、俺も、可愛い妹の手相見てあげちゃうんだよね。

 で、妹リーナのステータスがコレ。

 名前: リーナ・カスタネット
 年齢: 8歳
 職業: カスタネット準男爵家長女
 大好きな人: トト・カスタネット
 大嫌いな人: カーク・カスタネット
 趣味: 三男トト・カスタネットの観察
 HP: 20
 MP: 45

 なんか、妹リーナは、俺の事が大好きらしい。しかも、趣味が俺の観察。
 俺の事を、やたらと見てくる理由が、これで分かった。
 俺が、井戸掘りしてる時も、ずっと井戸の上から覗いてたしね。

 ちょっと、ストーカーぽいけど、妹なので、ギリセーフでしょ。
 リーナは、天使のように可愛いいのだ。
 透明感のある白い肌に、サラサラのホワイトブロンドの髪。どうやったら無骨な父親と、性格が悪い継母から生まれたのか分からない。

 まあ、ホワイトブロンドの髪の色は、継母に似たのだと思うけど。

「お前、ちょっと手が荒れてないか?」

 俺は、リーナの手が少し荒れているのに気付く、というか、手の平にマメまで出来てるし。

「お兄ちゃんが居ない間、代わりに井戸を掘ってみたの」

「え? リーナが井戸を掘ってたのか?」

「うん! 私、井戸掘り得意なんだよ!ずっと、お兄ちゃんが掘ってたの見てたから」

「得意だからって、女の子が井戸掘りするもんじゃないだろ?」

「だって、お兄ちゃんが井戸を掘らないと、お兄ちゃんが、お母さんに怒られちゃうでしょ?」

 ウオォーー!!俺の妹は、なんて優しくて、兄思いなんだ?あの意地悪な継母や、性格悪い長男カークの妹だとは、到底思えない。

「リーナ、もう、井戸掘りなんかしなくていいからな!知ってるだろ?俺が、世界一、井戸掘り得意な事!」

「知ってるよ。だけど、誰かが井戸掘りしないと、お兄ちゃんが怒られちゃうんだよ!」

 リーナが、ウルウルしながら、俺を見上げてくる。
 ここで、やらなきゃ、俺はお兄ちゃんじゃない。
 俺は、いつでも、リーナの格好良いお兄ちゃんでいたのである。

 継母に怒られても良いと、今迄、井戸掘りをサボってたが、それにより、リーナに心配かけて、しかも井戸掘りまで、俺の代わりにやらせる事となるとは……本当に、悔やんでも悔やみ足りない。

 俺は、リーナの手を優しく握り締め、癒し手の力で、リーナの手荒れとマメを綺麗に治し、しかも、元よりスベスベサラサラにしてから、リーナに力強く言い放った。

「リーナ、見てろよ! お兄ちゃんの力を!」

 ーーー

 面白かったら、お気に入りにいれてね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます

兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。 「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。 魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。 ――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?! ――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの? 私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。 今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。 重複投稿ですが、改稿してます

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

戦争から帰ってきたら、俺の婚約者が別の奴と結婚するってよ。

隣のカキ
ファンタジー
国家存亡の危機を救った英雄レイベルト。彼は幼馴染のエイミーと婚約していた。 婚約者を想い、幾つもの死線をくぐり抜けた英雄は戦後、結婚の約束を果たす為に生まれ故郷の街へと戻る。 しかし、戦争で負った傷も癒え切らぬままに故郷へと戻った彼は、信じられない光景を目の当たりにするのだった……

恩恵沢山の奴隷紋を良かれと思ってクランの紋章にしていた俺は、突然仲間に追放されました

まったりー
ファンタジー
7つ星PTに昇格したばかりのPTで、サポート役をしていた主人公リケイルは、ある日PTリーダーであったアモスにクランに所属する全員を奴隷にしていたと告げられてしまいます。 当たらずとも遠からずな宣告をされ、説明もさせてもらえないままに追放されました。 クランの紋章として使っていた奴隷紋は、ステータスアップなどの恩恵がある以外奴隷としての扱いの出来ない物で、主人公は分かって貰えずショックを受けてしまい、仲間はもういらないと他のダンジョン都市で奴隷を買い、自分流のダンジョン探索をして暮らすお話です。

【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい

斑目 ごたく
ファンタジー
 「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。  さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。  失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。  彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。  そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。  彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。  そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。    やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。  これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。  火・木・土曜日20:10、定期更新中。  この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。

パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~

一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。 彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。 全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。 「──イオを勧誘しにきたんだ」 ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。 ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。 そして心機一転。 「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」 今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。 これは、そんな英雄譚。

処理中です...