2 / 179
2. スキル覚醒
しおりを挟む『今日からたくさん握手しなきゃ! 』
もう、トトは、居ても立っても居られない。人とたくさん握手して、レベルを上げて、もっと開示される情報を増やしたいのである。興奮するなってのが、無理な話。
握手するだけで簡単にレベルが上がる『握手』スキルに、物凄い可能性を感じ、もう一度、何度も、何度も、無駄に御者と握手してみたのは、しょうが無い話。
だけれども、同じ人と続けざまに握手しても、全くカウントに入らないと知るのは、そんなに時間が掛からない事だった。
俺は、その日の内に、屋敷に居る女性以外の庭師やら、奉公人と握手しまくったからね。
その数20人くらいだけど、100回以上握手したのに、レベルが上がらなかったから。
『何で、レベルが上がらない?もしかして、同じ人と握手してもカウントされないのか?』
色々考察してみた結果。結局、握手は同じ人と握手されてもカウントされる。ただし、同じ人とは1日1回しか握手とカウントされないので、同じ人と、1日に何度も握手しても仕方が無い事が分かった。
なので、毎日、握手してくれる使用人と毎日1回握手してから、街に繰り出し、知らない人達と握手しまくる生活を何日か続けた結果。
俺は、握手スキルがLv.10になったのだ。
その結果、名前、職業、年齢、スキル、種族、性別、趣味、嫌いなもの、好きな物、HPとかMPとかスキルポイントとかのステータスまで分かるようになった。
もうコレって、完全にレアスキルの鑑定スキルだよね。まあ、普通の鑑定スキルと違って、手を握らないと全く分からないのだけど。
だけれども、俺は、握手スキルの可能性を見出した。普通の戦闘スキルとかは、魔物を倒して経験値を得るとスキルが上がるのだが、俺の場合は人と握手するだけで、経験値というか、スキルポイントが上がる。
因みに、自分のステータスを見る場合は、自分の右手と左手で握手すると見える事に気づいた。
そしてコレが、俺の今のステータス。
名前: トト・カスタネット
年齢: 13歳
職業: カスタネット準男爵家三男
スキル: 握手Lv.10(次のレベルに必要なスキルポイント200)
HP: 80
MP: 120
スキルポイント:114
「ウッヒョー! 俺、スゲー!!」
こんなの見ると、興奮しちゃうよね。
最初は、名前しか分からなかったのに。
他にも、好きな物とか、趣味とかも見えるけど、そこは個人情報なので、内緒。
握手するとスキルポイントが1つ上がる。
それから、何回握手すればスキルポイントが貯まって、レベルアップ出来るかまで知れちゃうのだ。これは、普通の鑑定スキルでは無い機能。
でもって、この握手スキルで開示されるステータスを利用して、商売できるかもしれないと思って、早速、商売を初める事にした。
何だと思う。
それは、手相占い。手相占いなら、自然に人と手が握れる。
客が勝手に、俺と手を握りに来てくれるし、スキルポイントも稼げるし、お金も稼げるし、俺って、本当に頭がいい。
実を言うと、最近、人と握手するのが辛くなってきてたのだ。
毎日、同じ人に、「握手しよ!」とか、やってたので、カスタネット準男爵家の三男は、しょぼいスキルを得て、自暴自棄になり、ヤバい奴になってしまったと思われてそうだったし。
俺が一応、街を統べる領主の息子だから、握手してくれてたけど、普通、同じ人と毎日、握手するものじゃないしね。
でもって、路肩に椅子を持ってきて商売始めたら、すぐに、露天商のヤクザ屋さんが来て、みかじめ料を請求してきたのだが、
何で、カスタネット準男爵領の領主の息子が、自分の父親が統治する街で、みかじめ料払わなきゃいけないのか聞いてみたら、ヤクザ屋さんは、「カスタネット家のお坊ちゃんでしたか。それはそれは」とか、何とか言って、直ぐに居なくなってしまった。
その日ばかりは、本当に、カスタネット準男爵家の子供で良かったと思った。流石に、ヤクザ屋さんは怖いしね。
一応、手相占いの値段は、高くもなく、安くもない1500マールに決めた。
マールとは、この国、マール王国のお金の単位で、パンが一つで150マールする。
簡単に言うと、パン10個分の値段で手相占いする感じ。
最初はお試しとして、その辺のオバチャンを何人か捕まえて、タダで占いしてやったら、直ぐに、よく当たると評判になり、若い女の人なんかが、占いに来てくれるようになった。
本当に、オバチャンの情報発信能力というか、噂話の効果は凄い。
まあ、手相占いというより、握手して分かった名前やら、年齢やら、好きな事や嫌いな事など、完全に分かってる事も含めて、適当に相手の顔色を見つつ、どっちとも取れるような話を、相手に合わせて話してるだけなんだけど……女の子達は信じちゃうんだよね……
毎日、少なくとも30人位は、手相占いするから、1日に4万5000マール位は、確実に稼げちゃう。
ここまで来ると、俺はもう、庭の井戸なんか掘らないし、別に継母に、井戸掘らないからって、晩飯抜きにされたとしても気にしない。どうせ、成人したら出て行く家だし、外で外食すれば良いだけだしね。
そんなこんなで、俺は、齢13歳にして、家に縛られない経済的自由を手に入れてしまった。
スキル覚醒、ウッヒョー!だよね!
ーーー
面白かったら、お気に入りに入れてね!
524
お気に入りに追加
870
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる