骨から始まる異世界転生～裸の勇者はスケルトンから成り上がる。

413. 精神攻撃

　
「何も起きないな……」

「徹夜の張り込みが、面白いんじゃないですか！」

　隣で一緒に魔道スマホを見てるシロは、とても楽しそうだ。

「だけど、眠くなってきてるんだけど……」

「ハイ！ 菓子パンと缶コーヒー！」

「俺的に、マックのバリューセットの方がいいんだけど」

「ご主人様、僕は知ってるんですよ！
　ご主人様、マックの時は、いつもコーラしか飲まないでしょ！
　コーラじゃ眠気覚ましにならなんですよ！」

　シロが、酷い事を言ってきた。

「ハンバーガーには、コーラと決まってるんだよ！
　ハンバーガーを口に押し込んで、コーラで喉に流し込むのが最高じゃねーのかよ！」

「そんな事思ってるの、ご主人様だけですよ！」

「そんな事無い筈だ！ 俺的には、マックで販売する飲み物は、コーラだけで良いと思ってるくらいだし！」

「アホですか！ みんなシェークとか、他の飲み物も飲みたいんですよ！」

「お前は、期間限定のシェークが飲みたいだけだろ！」

「飲んだ事はないですけど、ご主人様の記憶を見て、興味を持ったのは事実ですね！」

「このミーハーが！」

　俺は、自分の信念というものがないシロを、ディスってやる。

「頑なに同じものしか飲まないご主人様は、頭が硬すぎるんですよ！」

「美味しくて、好きなものだけ飲む事の何が悪い！」

「コーラじゃ眠気覚ましにならないんですよ！」

「カフェイン入ってるだろ！」

「コーラのカフェインぐらいじゃ、眠気覚ましになんかならないんですよ！
　せめて、レッドブルぐらい入ってないと！」

「マックに、レッドブル売ってねーじゃねーかよ！」

「マックに、コーヒーは売ってます！」

「じゃあ、コーヒーで！」

　あれほどコーラに拘ってたのに、俺は反射的にマックコーヒーを受け入れてしまった。
　だって、滅茶苦茶眠いんだもん！

　しかし、

「却下です！ 張り込みにマックは認められてませんので！」

「じゃあ、今までのやり取りは、何だったんだよ！」

「さあ？」

　ーーー

　てな、話をしてたら、魔道スマホに映る映像に変化が起こっていた。

「オイ！ 何か、戦闘が止まってるぞ！」

「ですね……ダンジョンから出てくる魔物も、それを迎え撃ってた味方の獣人の人達も、手が止まってます！」

「アナスタシア達は？」

「テントで眠ってる筈ですが」

　とか、話してたら、アナスタシアやケンジとかも、夢遊病患者のように、フラフラとテントの外に出てきた。

「何が起きてるんだ？」

「分かりません！ ですが、精神攻撃のような、未知の攻撃を受けてるのは間違いありません！」

「アナスタシアとか、『鷹の爪』のメンバーは、全員、精神攻撃耐性とか滅茶苦茶高いだろ！」

「その筈ですけど、アナスタシアさんの精神耐性を上回る精神攻撃を受けてるとしか、この状況は考えられません！」

「どうするんだよ！」

　俺は、思ってもみなかった状況に動転する。

「このまま、現場に向かっても、僕達もアナスタシアさん達同様に、精神攻撃を受けてしまうと思います！」

「何か、方法は無いのかよ！ 暫くしたら、アナスタシア達、殺されちゃうんだぞ！」

「どんな原理で精神攻撃を受けてるか分かれば、対策が打てるんですけど、術者が姿を表してませんので、対策の打ちようが無いんですよ！」

　シロが、至極もっともな事を言ってくる。

「じゃあ、どうすればいいんだよ！」

「ご主人様、アナスタシアさん達と一緒に、死んできて下さい！
　そうすれば、原因が分かりますから！」

「お前、全然、謎解きしてねーじゃねーかよ！」

「ご主人様、昨日、頭の中で思ってたでしょ！
　無理に謎解きしなくても、時間が経てば、全て分かるって！」

「お前、そんな口にも出してない話を出してくるな！」

「でも、思ってた事は、事実でしょ！僕の神眼を1つ貸してあげますから！
　原因を探って来て下さい！」

　シロはそう言うと、突然、俺の左目に手を突っ込むと、眼球を抉り出し、代わりに、自分の神眼の1つと取り替えて、目薬代わりにエリクサーを振り掛けたのだった。

「雑ッ！」

「だけど、一瞬だったから、全く痛く無かったでしょ！」

「それはそうかも！ だけど、他にやり方とかあるだろ！
　俺は、 ちょっと前まで、眼球の無いスケルトンだったから耐えられたけど、普通の奴なら発狂してるぞ！」

「南の大陸では、これが普通のやり方らしいですよ！」

「まあ、確かにエリクサーがある世界では普通なのか……」

　そんな感じで、俺は、今まさに事件が起こってる現場に、向かわされたのだった。

　ーーー

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