345 / 568
345. 開戦
しおりを挟む「暇だな……」
俺は、サセックス公国の独立に成功し、気が抜けてしまっている。
「暇じゃないです! やる事だらけです!
いつまた、十字軍が攻めてくるかもしれませんし、内政や軍備も整えなければなりません!」
シロは、何やら毎日、忙しそうに動き回っている。
「そんなに直ぐに、攻めてこないだろ?」
「十字軍が攻めてこなくても、十字軍との戦争で疲弊したブリテン王国を狙って、フランク王国が攻めてくるかもしれませんよ!」
「フランク王国は無いだろ?攻めて来るとしたら、ノルマンディー公国だな!」
「ご主人様、結構、この世界の事も調べてますね!」
「俺を誰だと思ってる! 歴史大好きセドリック様だぞ!
この世界は、地球と歴史が被ってる所がたくさんあるから、すんなり覚えれるんだよ!」
「ご主人様! 遂に異世界無双が発動するんですか!」
「まあな! この世界は、俺が知ってる事が沢山有る!
これは、遂に、異世界無双しちゃうな!」
俺は鼻高々に、胸を張り反り返る。
「そんな訳で、もう既に、ビチ糞トーマス君率いるサセックス忍者部隊に情報収集して貰ってます!」
「早っ!」
「当たり前です! ノルマンディー公国は、海を挟んで、サセックス公国の対岸にあるんですよ!
情報収集してない方が、おかしいです!」
「だな」
確かに、ノルマンディー公国は侮れない。
前世の元の世界では、アーサー王の王国は、とっくに滅んで居る筈なのに未だに現存している。
それはひとえに、ブリテン王国の中枢を握ってた、元円卓の騎士(バンパイア)の力が強かったからに他ならない。
本来なら、ブリテン王国は、ノルマンディー王朝が起こっても良い時代なのである。
しかしながら、ノルマンディー公国は、未だに、フランク王国の臣下をしており、パッ!としていない。
絶対に、ノルマンディー公国は、ブリテン王国を征服する機会を狙っている筈なのである。
「で、ノルマンディー公国の今の状況は、どうなってるんだ?」
「数日前まで、十字軍との戦争で疲弊したブリテン王国に攻め込む気満々だったらしいです。
しかしながら、昨日の会議で、ブリテン王国に攻め込むのをやめて、サセックス公国と戦争をする事に決めたようですね!」
「えっ!? 昨日決まった情報が、もう、入ってきてるのかよ!」
「ええ。今は、これが有りますからね!」
シロは、お手製の魔道式スマホを取り出す。
「確かに」
この時代、オーバーテクノロジーの魔道式スマホ。
衛星も飛んでないのに、繋がっちゃう魔法の魔道具。
「ノルマンディー公国は、ブリテン王国より、サセックス公国の方が弱っちいと思ってるみたいですね」
「チッ! 舐めやがって!」
「相手の作戦としては、サセックス公国をササッと滅ぼして、ブリテン島内に陣地を築き、ブリテン王国と本格的にやり合うつもりらしいです!」
「イスパニア海軍や十字軍を壊滅させた、俺達の恐ろしさが、全く伝わってなさそうだな……」
「僕達、殆ど、単独行動でしたし、殆どの敵を瞬殺してますから、やられた敵でさえ、どうやって倒されたか分かってないと思います……」
「糞ッ! すっごく、舐められてると思うと癪に障る!
俺達、本当は、結構強いのに!」
「今回は、嫌でもサセックス公国の実力が分かりますよ!」
シロは、ニヤリと笑う。
「こうなったら、俺達の実力を分からせる為に、日本人お得意奇襲攻撃トラトラトラだ!」
「いえ。敢えて、ノルマンディー公国に攻め込ませましょう!
ここ数日、たくさんノルマンディー公国のスパイが、侵入してきてますけど、全て民衆に捕まえられて食べられてますし!」
「嘘だろ! サセックス公国の国民、人肉食べてるのかよ!」
「忘れちゃいました?サセックス公国の国民は、他国の人間は豚にしか見えないんですよ?」
「けど、だからって……」
「相手国からしたら、人間を食べるヤバい国だと思われますね!」
シロさん、ヤバすぎる。
やる事が、もう、人間じゃない。
「忘れてないですか?僕は魔物ですから」
まあ、確かに、魔物からみれば人間は餌だし、普通か。
人間からみたら、豚は、家畜で食料だし。
よく分からなくなってしまったが、俺は、シロに言い含められたのだった。
ーー
数日後、ノルマンディー公国が、サセックス公国に宣戦布告してきた。
相変わらずノルマンディー公国は、サセックス公国にスパイを何人も送り込んで来ていたが、全てサセックスの国民に捕らえられ、夕食のご馳走になっている。
そんな訳で、ノルマンディー公国は、サセックス公国の情報を入手出来ないまま、戦争を仕掛ける羽目になってしまったのである。
ノルマンディー公国が持つ、サセックス公国の情報は、ブリテン王国と十字軍の戦争時まで。
まあ、最近の情報と言えば最近の情報なのだが、今のサセックス公国の戦力は、その時の数千倍だ。
砲撃も魔法も効かない、不落の要塞国家。
不老不死である、100人のサS〇X騎士団。
しかも、シロが製作した精神と時の部屋を使って、既に数十年間も修練してる。
因みに、常人は、精神と時の部屋で修行出来るのは50年が限界のようだ。
それ以上、精神と時の部屋で過ごすと、みんな廃人になってしまうらしい。
「余裕そうだな」
「余裕ですね! なので、今回、僕達は、部下達の戦いを観戦する事にします!」
シロが、まさかの作戦を披露する。
「それは余裕過ぎないか?」
俺は、チョット不安になる。
サS〇X騎士団が、どれ程の実力か分かってないし。
「ノルマンディー公国程度の小国を、余裕で倒せないでどうするんですか!
取り敢えず、今回の総指揮は弟子のセーラに任せてるんで、僕達は大人しく観戦しましょうよ!」
てな感じで、無理矢理歴史に例えると、うつけ者だった織田信長の名が天下に轟くキッカケとなる桶狭間の戦いのような、天下取りへの最初の戦いが幕を開けたのだった。
ーーー
ここまで読んで下さりありがとうございます。
面白かったら、お気に入りにいれてね!
3
お気に入りに追加
634
あなたにおすすめの小説
モブだった私、今日からヒロインです!
まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。
このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。
そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。
だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン……
モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして?
※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。
※印はR部分になります。
死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く
miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。
ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。
断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。
ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。
更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。
平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。
しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。
それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね?
だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう?
※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。
※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……)
※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。
異世界召喚されて神様貴族生活
シロイイヌZ
ファンタジー
R18です。グロテスクな表現や直接的な性描写などがありますので、不快に思われる方や未成年の方はお読みにならないようお願い致します。
『なんだよ。俺、こんなあっさり死ぬのかよ』
そう思って目を開けたら、目に飛び込んできたのは青空。
流れに任せて魔物と闘い、流れに任せて美少女たちとのハーレム生活。
異世界と現世を自由に行き来出来る上に、異世界で欲しい物も錬金術で思いのまま。
誰もが羨むような異世界生活とおっさんの快進撃が始まる!
本業の合間に細々と書いています。平日は出来るだけ更新したいと考えてますが、仕事が立て込んでいる時は更新が遅れることがあります。ご容赦ください。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
幼い頃から家族に忌み嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで
あっきコタロウ
恋愛
投稿小説&漫画「そしてふたりでワルツを(http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/630048599/)」のR-18外伝集。
連作のつもりだけどエロだから好きな所だけおつまみしてってください。
ニッチなものが含まれるのでまえがきにてシチュ明記。苦手な回は避けてどうぞ。
IF(7話)は本編からの派生。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる