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337. 第1回サセックス領運営会議
しおりを挟むドワーフ王国の王子で、アンさんの弟、ヨネン·ドラクエル総指揮の元、サセックス領全土に及ぶ、大要塞化計画が着実に進んでいる。
「サセックス領って、日本の香川県ほどの大きさだけど、大丈夫なのか?」
「問題有りませんよ! ただ、万里の長城のように、サセックス領の周りを8メートルの高さの城壁で囲むだけですから!」
シロが、物凄い事をサラッと語った。
「お前! 今、滅茶苦茶な事言ったぞ!
万里の長城を完成させるのに、一体、何年掛かったと思ってるんだ!」
「2000年ですか?」
「そうだよ! そんなの建造してたら、俺達爺ちゃん婆ちゃんになっちゃうだろ!」
「大丈夫ですよ! 僕達、不老不死ですから、爺ちゃん婆ちゃんになりません!
それから、20日間で完成予定ですから!」
「嘘だろ!」
「本当ですよ! ヨネンさん達は凄腕仕事人集団なんです!
納期もシッカリ守ると評判なので、安心して下さい!」
シロが、自信満々に言い切った。
「納期守るって、手抜きされるんじゃないのか?」
「ドワーフは、約束を守りますし、手抜きもしませんから!」
「しかし、城壁で囲むったって、8メートルの高さぐらいじゃ、突破されるし、破壊されてしまうんじゃないのか?」
「新たに、僕が開発したアマダンタイトを越える強度を持つセメントで城壁を作りますから、問題無いです!
それから、城塞にはセンサーを設置する予定なので、どこから敵が攻めてきても分かるようになってます!」
シロが、サセックス大要塞化の大まかな概要を説明してくれた。
「ヤバイな……」
「ヤバイですよ。しかも、500メートル置きに、移転魔法陣を設置する予定ですから、城壁の周りに警備兵を駐屯させなくても、中央から一気に兵を送り出す事も可能になります!」
シロは、ヤバイくらい考えている。
サセックス大要塞化計画。
サセックス領を、一つの大きな要塞とする考え方。
絵空事のように思えるが、それを成し得る技術を持ってるし、施行できる業者も連れて来ていた。
ーーー
てな訳で、サセックス大要塞化の建築も始まり、少し落ち着いてきたので、第一回サセックス領運営会議が開かれる事となった。
出席者は、俺とシロとミレーネとヨネンさんと、食糧担当大臣のハイジさんと、オムツ大臣のセーラさん、それから犬探し大臣のペーター君。
因みに、ハイジさんとセーラさんとペーター君の容姿だが、ハイジさんは、パイ乙カイデーの活発そうな黒髪の少女。セーラさんは育ちが良さそうだけど、幸薄そうなワンレン金髪の美少女。ペーター君は羊飼いが似合いそうな純朴そうな少年といった感じだ。
なにかの物語に出てきてそうだが、きっと気のせいだろう。
ハイジは、パイ乙カイデーのS〇X解禁の15歳の少女だし!
「それにしてもご主人様、いい人材をみつけましたね!」
シロが珍しく褒めてくれる。
ハイジは、俺が食糧担当大臣に任命した後、勝手に、仮設住宅に避難している人達を、たくさん登用して、サセックス領全体に食糧が行き渡るような流通網を完成させてしまっていたのだ。
そしてオムツ大臣のセーラはというと、その手先の器用さを買われて、シロの右腕になっていた。
そして、ペーター君はというと、その人の良さが発揮されたのか、孤児達の纏め役をしている。
「これから、新たな人事を発表します!」
俺は、シロに渡された紙を読む。
「シロ。お前はサセックス領の新たな宰相、兼、軍師に任命する!」
「ハッ!」
シロは、立ち上がり返事をする。
今回は、第一回目会議で、場所もテントの中なので、任命式も簡略して行っている。
「ミレーネは、サセックス国教会の教皇に任命する!」
「ハッ! 承りました」
ミレーネは、仰々しく頭を下げる。
「ハイジさんには、引き続き、食糧担当大臣と、合わせて経済産業大臣に任命します!」
「あ……有り難き幸せ!」
ハイジさんは、つい最近まで、田舎の少女だったので、緊張しまくりである。
まさか自分が、サセックス領の中枢に関われるとは、微塵と思っていなかったようだ。
てな感じで、ドンドン進める。
「セーラさんは、役職は無いが、シロの補佐をお願いする!」
「ハイ。両親が戦争で死んでしまい、どう生きていけば良いか分からなかったので、助かりました」
幸が薄そうなセーラさんは、嬉しそうに頭を下げる。
「そして、ペーター君。君は今日から暫くの間、復興大臣に任命する!」
「復興大臣って……何をすればいいんですか?」
真面目で、純朴少年のペーター君が質問してくる。
「戦争孤児や、戦争で被害を受けた人々の話を聞いて支援するのが、君の仕事だ!
で、これが資金ね!」
俺は、魔法の鞄の中から大量のお金が入った袋を取り出し、机の上に、ドン!と置く。
「こ……こんなにも!」
「猫ババするなよ!」
見た事もないような大金にビビっているペーター君に、釘を刺す。
「当たり前です! これは、戦争で、肉親や田畑がなくなった人達を支援する為のお金なんです!
自分の為なんかに、使いません!」
純朴真面目を絵に書いたようなピーター君が、俺に向かって宣言する。
「一応、ペーター君の給料も含まれてるから、自分の生活費ぐらいは使ってよ……」
「自分は、干し肉さえあれば、生きていけます!」
純朴過ぎるペーター君は、本気だ。
僅かな干し肉だけで、給金は要らないと言っている。
「やっぱり、ハイジさんがお金の管理して!
ちゃんと、ペーター君に、毎月給金あげるように……」
「承知しました!」
ハイジさんは、俺に頼られて嬉しそうだ。
というか、【魅了】効果か、俺に完全に惚れている。
これからは、【魅了】スキルに頼るのは、程々にしようと思うセドリックであった。
「それにしても、本当に良い人材を見つけましたね!」
新たに登用した人材達を、面白そうにみていたヨネン·ドラクエルが話し掛けてきた。
確かに、全員、人が良さそうで、裏切りそうもなく、能力も高そうだ。
ドワーフ王国の王子という立場上、人を見る目や、審美眼が鍛えられているのだろう。
確かに、俺の周りには、力がある役に立つ奴が集まってくる。
「ご主人様は、それだけが取り柄ですから!」
シロが、褒めているか褒めていないのか分からない、褒め方をしてくれた。
「人徳だな!」
「違いますね! たまたまです!」
シロが言い切った。
ーーー
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