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324. 人肉ジャーキー
しおりを挟むバチコーン!!
魔女マーリンは、デスサイズを抜く暇もなく、シロに肉団子モーニングスターで横面をぶっ叩かれて、どこか遠くの方に飛んでってしまった。
「これ、オリ姫モーニングスター、関係無くね?」
「そうですね……」
まさか、こんなに簡単に魔女マーリンを退治できると思っていなかったであろうシロは、少し放心状態で答える。
というか、深く被ったローブのせいで、魔女マーリンの顔は良く見えなかったけど、シロを見て、少し引きつってた感じがした。
「僕も、そう感じました……」
俺が頭の中で考えてた事に反応して、シロが勝手に答える。
「まあ、お前、ヤバイ顔してたもんな!
ヨダレ垂らして、魔女マーリンの事を、食材でも見るような感じで!」
「僕って、そんなにヤバイ感じですかね?」
「カエル肉と人肉が好きという時点で、相当ヤバイ奴だけどな!」
「そんなに好んで、カエル肉も、人肉も食べてませんよ!」
シロは、必死に否定する。
「だけど、人肉干し肉は、たくさんストックしてるんだろ?」
「ご主人様だって、ビールのツマミに、たまに無性にビーフジャーキー食べたくなること有るでしょ? それと一緒ですよ!」
「人肉干し肉が、ビーフジャーキーと同じ訳ないだろ!」
「味は一緒ですけど?」
「そしたら、ビーフジャーキー食べとけよ!」
俺は、普通に突っ込む。
「確かに……だけど、ご主人様のせいで人肉干し肉に興味もっちゃったんですよね……」
歴史好きで、探究心が物凄く、研究家肌のシロにとって、歴史話に出てきた人肉干し肉を作らないという選択肢は無かったようである。
「干し肉なんて、何で作ったて同じだろ?
ビーフジャーキーと同じ味だと言うなら、塩辛いだけじゃないのか?」
「そうですね。ご主人様の癖に、マトモな事いいますね!」
「人肉干し肉をわざわざ作って、食べるお前の方がマトモじゃ無いと思うんだけど?」
「人の感覚だとマトモじゃないかもしれませんけど、魔物の感覚なら、至って普通だと思うんですけど?」
てな感じで、いつもの、人は人。魔物は魔物。という結論に達したのだった。
「で、どうしますか? 十字軍の人達、僕達に恐れをなして、逃げちゃいましたよ?」
「俺達というか、お前が怖くてだろ!
そんな事より、早く、オリ姫モーニングスターから、オッサンの死体を外して綺麗に洗っとけよ!
オリ姫が、トラウマになったら可哀想だろ!」
「ですね!」
シロは、遠心力によって、しっかり血抜きされたオッサンの死体をオリ姫からヒッペガシ、解体して、人肉に塩と香辛料で味付けする。
結構、残虐な事をしているのだが、バンパイアで魔物である現在の俺には、それほど残虐に見えないのは意外だ。
普通に、鳥や牛を捌いているようにしか見えない。
「手の甲に穴を開けて、船の周りに干すんじゃなかったのか?」
俺は、気になり質問する。
「実は、試しにやって見たんですけど、ヤッパリ、ちゃんと下処理して作った方が美味しかったんですよ!
僕は、ご主人様の記憶のお陰で、日本人の感性が有りますから、食に結構、五月蝿いんです!」
てな感じで、ビーフジャーキーじゃなくて、人肉ジャーキーを作ってたら、オリ姫が目を覚ました。
もうこの時には、オリ姫の体に付いた、オッサンの血肉も綺麗に洗い落としているので、なんら問題もない。
後は、干し肉作り専用の魔法の鞄の中に、味付けした人肉を入れて置くだけ。
どうやら、シロが作った干し肉作り用の魔法の鞄は、魔法の鞄の中で時間が流れ、しかも干し肉作りに最適な温度や環境が整えられているという話だ。
「じゃあ、そろそろネムラム姉妹を生き返らせに行くぞ!」
「ネムラム姉妹って、本当に要りますか?
僕とミレーネさんだけで、十分ご主人様を満足させれると思うんですけど?」
「馬鹿者! 俺はハーレム勇者なのに、ハーレムメンバーが二人しか居ないなんて、格好悪いだろ!」
「そんなもんですか?」
「双子で、ドリルツインテール金髪ロリ幼女は、絶対に俺のハーレムに必要な要素なんだよ!」
「分かりましたよ! ご主人様に従います。
僕の仕事は、ご主人様の無理難題を叶える事ですから!」
シロは、いつもブツブツ言いながらも、俺が強く言えば、絶対に俺の命令に従ってくれるのだ。
「で、ネムラム姉妹の遺体は、どこに有るんだよ!」
「この先の、ロンドン市街の廃墟の中ですね!」
「廃墟の中なのか?」
「ハイ。バチカンのバンパイアハンター部隊の罠にハマったようです!」
「遂に出るのか? バンヘルシング!」
「ご主人様、バンヘルシングはロンドンと関係深いので、ブリテン王国側のバンパイアハンターだと思いますよ!」
「そうなの?」
というか、バンパイアハンターに、どっち側って有るのか?
「ご主人様、バンパイア映画大好きですよね!
僕は、その記憶を見たので間違い無いです!
それに、カトリックは、イギリス?ブリテン国教会と仲が悪いですから!」
「何でお前は、俺の記憶より正確な情報を知ってるんだよ!」
「頭の差じゃないですか? 僕、ご主人様と違って優秀なので!」
まあ、確かに、シロは優秀だ。
実際、優秀で助かってるし。
流石の俺も、シロが優秀なのは認めるしか無いのだ。
「じゃあ、今からは歩きだな!」
「ですね! テムズ川から離れてますから!」
「バンパイアハンターって、もしかして俺の天敵だったりするかな?」
「まあ、ご主人様は、一応、バンパイアだから天敵なんじゃないですか?」
「だよな……」
「とっとと行きますよ! ネムラム姉妹なんかに、余り時間を取られたくありませんから!」
「やっぱ、止めとこうか?」
俺は、かなり強かったドレーク親子を倒したという、バチカンのバンパイアハンター部隊が、正直怖くなってきている。
「今更?」
「だって、かなり強いドレーク親子を、罠に嵌めて仕留めたとしても、倒しちゃった集団なんだぞ!」
「大丈夫ですよ! こっちには、ミレーネさんが居ますから!
相手のやり方は、元バンパイアハンターだったミレーネさんが、全部知ってると思いますから!」
「ミレーネ! お前、元バンパイアハンターだったのかよ!」
「言ってませんでしたっけ?」
「聞いて無いよ!」
「ヨーロッパに住んでた時は、バチカンの孤児院に拾われて、バンパイアハンターをやってたんです。
バンパイアハンターの対応なら、このミレーネにお任せ下さいませ!」
ミレーネは、任せて下さいとばかりに、たわわなCカップの胸を振るわせた。
ーーー
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