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319. 草薙の剣
しおりを挟む俺は意を決して、【影渡り】スキルを使って、ブリトニーの元に向かう事にした。
緊張する……。
ブリトニー·ゴトウ·ロマンチックは、会った者にしか分からないが、何もしてない筈なのに、得も言われぬ殺気?プレッシャー?を発しているように感じられるのだ。
南の大陸で、ブリトニーの名前を聞いてビビらない男は居ない。
全ての男は、ブリトニーの名前を聞いただけでチ○コを萎ませ震え上がり、失禁する。
ブリトニーの悪名を広めたのは、間違いなくチンコスライス。
勃起させたチ○コを100枚にスライスする鬼畜技だ。
俺は、そのチンコスライスされる覚悟で、ブリトニーの元に行くのだ。
だって、シロは、ブリトニーのお気に入り。
俺が付いてて、シロを死なせたと知れたら、ブリトニーに殺されるかもしれない。
まあ、殺されに行くつもりなので、殺されちゃうのは万々歳なのだけど。
てな訳で、ブリトニーを思い描いて、【影渡り】スキルを使うと、自分の影の中に溶けるように沈んで行く。
【影渡り】スキルは、何度か使った事が有るが、今日ほど恐ろしく感じた事は無い。
無心になれ。
ただ、ブリトニーの影に渡るだけ。
ブリトニーに怒りを受けて殺されたら、むしろラッキーなのだ。
『ん……?』
苦しい! 息が出来ない!
ブクブクブクブク
お湯の中?
てっ!? ブリトニーさん、入浴中かよ!
不味い、こんなシチュエーションで、ブリトニーに会ったら殺される!
よく考えたら殺されてもいいが、ブリトニーの入浴シーンを見て殺されるのは、お間抜け過ぎる。
俺は、息を止め、必死に湯船から出ないように耐えるが、直ぐに限界を迎える事になった。
「クハッー!」
俺は、溺れかけながらも、湯船から顔を出す。
「誰かと思ったら、ポークビッツなのニャ!」
ブリトニーは、ずっと、溺れ掛けてた俺を観察していたようだ。
俺は、ブリトニーのスーパーモデルのような完璧な裸体と、たわわな乳房を見て、思わず鼻血を噴出してしまう。
「やっぱり、ポークビッツは面白いのニャ!」
ブリトニーは、そう言うと、俺の髪を掴んで、そのまま湯船から出して、服をひん剥き、俺のビンビンに勃起したポークビッツを観察する。
「やっぱり、いつ見ても、小さ過ぎるのニャ。
これじゃあ、100枚にスライスできないのね……」
ブリトニーは、とても残念そうな顔をしている。
そして、イキナリ、勃起した俺のポークビッツを握り、引っ張り出した。
「小さかったら、長くするのニャ!」
「痛い! 止めて! いや、止めないで!」
俺は、突然のプレイに興奮する。
「チッ! 長くならないのニャ!
こうなったら、力ずくでいくのニャ!」
優しいモードで、引っ張っていたブリトニーが本気を出す。
「痛い! ちぎれる! 止めてーー! って、もう、ちぎれてるよぉぉーー!」
「ごめんニャーー! やっちゃったニャーー!残念ニャーー!」
ブリトニーは、急に、俺のポークビッツに興味を失ったのか、俺のちぎったナニを、ポイッ! と、湯船に捨てた。
「な……なんて事するんですかーー!」
俺は、急いで、湯船からポークビッツを拾い上げ、股間にくっ付けてエリクサーを振り掛ける。
「お前が、ポークビッツだから悪いのニャ!」
ブリトニーは捨て台詞を吐き、とっととお風呂から出て行ってしまった。
「ちょっと、待って下さいよぉーー!」
俺は、急いで後に着いて行く。
「一つ、言っておくけど、ここは男子禁制のモフウフ地下王宮の大奥ニャ!
姫様に見つかったら、ポークビッツ、殺されるニャ!」
ブリトニーが振り返りもせずに、とても重要な事を教えてくれた。
「嘘でしょ!」
確かに、前にモフウフに来た時に泊まった、王宮ホテルと造りが一緒である。
(モフウフ王宮ホテルのスゥィートルームの売りは、モフウフ地下王宮の大奥と全く同じ造りである事である)
ていうか、殺されたくない!
というか、俺は殺されたかった!
「待って下さい! 姫様は、居ないんですか! 僕は殺されに来たんです!」
「ニャにぃーー!!」
俺に興味を失っていたブリトニーが、俺の方に振り向き反応する。
ブリトニーは、いたぶりがいがある新しい玩具が来たような顔をして、俺をマジマジ見ている。
「何か、あったのニャ?」
ブリトニーは、ニヤニヤしながら、俺に質問する。
これは、完全に俺を心配して、話を聞いてくれてる顔じゃない。
「シロが、死んじゃったんです!」
俺は、号泣しながら、ブリトニーに端折って話した。
スパン!
「エッ……」
何か、地面が近い……。
というか、上を見上げると、頭が無い首から血を吹き出してる俺の体が、突っ立っている。
多分、全く見えなかったが、俺はブリトニーに手刀で首チョッキンされてしまったようである。
「はぁ~何だってぇ~!」
ブリトニーが、語尾ニャを忘れて、怒っている。
茶髪の髪の毛が、逆立ち鬼の形相である。
というか、可愛い猫耳が、まるで鬼人族の角のように見えてきた。
ブリトニーは、俺の頭を鷲掴みにし、息が掛かるほど近づけ睨みつけてくる。
「どういう事ニャ!」
「魔女マーリンに、死神の神器デスサイズで斬られ、魂ごと消滅しちゃったんです!」
俺は、余りの恐怖に、小便をチビりながら答える。
まあ、体は少し離れた所にあるから、俺自身がチビったような気はしないのだけど。
「魔女マーリン? 誰だそいつ?」
まあ、ブリトニーが知らなのも無理はない。
魔女マーリンは、アムルーダンジョンの第35階層に居る人物だしね。
「とても恐ろしい魔女です! 瞬間移動魔法を使われて、逃げられてしまったんです!」
「チッ! 瞬間移動かよ!」
ブリトニーは、完全に語尾ニャを忘れている。
どうやら、本当に怒ってる時は、語尾ニャは使わないようだ。
「で、シロを生き返させる為に、僕は死なないといけないんです!」
「じゃあ、死ねよ」
グチャ!
ブリトニーは握力だけで、まるでリンゴを握り潰すように、俺の頭を握り潰した。
「アノ……僕、不死者なので、魂まで消滅させないと死ねないんです……」
俺は、体から魂が飛び出て幽体?ゴーストになり、ブリトニーに説明する。
「頭を潰して、脳ミソまでグチャグチャに握り潰したら、普通、不死者でも死ぬ筈ニャのに!!」
ブリトニーが、ゴーストになった俺を見て、滅茶苦茶驚いている。
というか、語尾ニャが戻っている。
好奇心旺盛な猫耳族は、頭を潰しても死なない俺に、興味津々である。
ベチョ!
サイコニャン娘のブリトニーさんが、俺の体まで、ペッチャンコにしている。
「本当に、体を液体にまで擦り潰しても、死なないのニャ!」
「僕をコロスには、魂を狩るデスサイズで、斬るしか方法が無いんですって!」
「じゃあ、どうやって殺せばいいニャ!」
「だから、殺して貰う為に、ブリトニーさんの所まで来たんでしょ!」
俺は、幽体なのをいい事に、ブリトニーの頭を叩いて突っ込んでやった。
まあ、勿論、幽体だから、実際はブリトニーの頭を叩けないのだけど。
「所で、ポークビッツは、何で死にたいのニャ?」
ここで、やっと本題に入れる。
「始祖の指輪を持つ僕は、死ぬと、死に戻りできるんですよ!」
「ニャんだと!それで、人生をやり直すつもりニャのか!」
「死に戻りは、ランダムな時系列で戻るので、僕は早く死なないといけないんです!」
「ニャる程。だから早く死んで、シロが生きてる時間に巻き戻ししたいという訳ニャのね!」
やっと、ブリトニーが、話を最後まで聞いてくれた。
出来れば、ゴーストにされる前に、聞いて欲しかった。
「ブリトニーさん。僕を殺せますか?」
「私では無理ニャ! でも、姫様の持つ、草薙の剣なら可能だと思うのニャ!」
「草薙の剣って、日本神話に出てくる草薙の剣ですか?」
「そうニャ! アマイモンが日本からパクって来たらしいニャ!」
「あのオッサン、日本の三種の神器をパクるって、本当に何してるんだよ!」
というか、アムルーダンジョンにエクスカリバーも有るし、異世界に地球で失われた聖剣が有るのはよく有る事なのかもしれない。
「草薙の剣で斬られた者は、生気を刀に吸い取られるニャ!
次いでに、使用者の生気まで一緒に吸い取っちゃうニャ!」
「それ、ダメな奴じゃん!」
「姫様の生気(魔素総量)は出鱈目なのニャ!
だから、相手が死んでも、姫様は死なないのね!」
生気を吸い取る剣。
生気を全て吸い取っちゃったら、魂も消滅するのか?
何か、草薙の剣なら、俺を殺せそうな気がしてきた。
所謂、草薙の剣は、デスサイズと同様、魂を狩る神器なのだろう。
というか、熱田神宮にある草薙の剣は偽物?
源平合戦の壇ノ浦の戦いの時に、草薙の剣は海に沈んだ筈だから、漆黒の森の女王ガブリエル·ゴトウ·ツゥペシュが持っている草薙の剣こそ、本物なのかもしれない。
まあ、信じるか信じないかはアナタ次第だけどね。
ーーー
ここまで読んで下さりありがとうございます。
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3巻 2022年6月22日〜
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