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316. 解凍
しおりを挟む「ドーバー海峡が、寒さで固まって、ブリテン王国とフランク王国が、氷で陸続きになっちゃってます!」
「な……何だとぉぉぉぉーー!!」
俺は、興奮気味に驚いてみせる。
「ブリテン艦隊本隊も、結構、凍ってますよ!」
「不味いじゃん!」
「不味いですね! それから、フランク王国側に居た十字軍が、ブリテン王国に上陸しちゃってますし!」
「まあ、陸続きになちゃってるなら、そうなるわな。
というか、相手十字軍には、ドーバー海峡を凍らせちゃう程の、凄い魔術師が居るという事だよな……」
「ですね! 現在、ドレーク親子率いるバンパイア軍団が、殿を勤めて、ロンドンに撤退してるところです!」
「ドレーク程の実力者が、殿を勤めてるんなら安心だな!」
「ていうか、結構、押されてますよ!
というか、相手もバンパイア? じゃない……ダンピール?噂のバチカンのバンパイアハンター部隊みたいです!」
「ここにきて、バンパイアハンターが登場するのかよ!」
バンパイアハンター部隊が出てきたとなると、ドレーク達に分が悪い。
何せ、相手は、対バンパイアを殲滅する専門部隊なのだ。
「ご主人様、取り敢えず、メアリーさん達と相談します!」
シロは、iPad型魔道具を起動させ、メアリー達と、テレビ会議を始める。
「という訳です!」
シロが、端折って、千里眼で見た事と次第を伝えた。
「う~ん……先ずは、凍ったブリテン艦隊の救出だな……」
ブリテン艦隊イスパニア殲滅部隊総督メアリーが、悩んだ挙句 決定する。
まあ、現在、ブリテン王国の姫という立場なら、そうするしかない。
自然解凍を待つのもいいが、多分、自然解凍すると凍った人が死んでしまう。
死なせずに蘇生するには、火属性魔法で一気に解凍して、エリクサーを振り掛けるか、光属性魔法を掛けるしかない。
「てっ! 光魔法が使えるのって、ここには俺しか居ないじゃん!」
俺は、人にこき使われるのが、凄く嫌なのだ。
凍った人間が、ハーレム候補になれる程の美女なら張り切っちゃうが、凍ってる兵士は俺が知らないオッサン達。
ハッキリ言って、死のうが生きようが全く興味が無い。
「全く、ヤル気が出ないんだけど……」
「大丈夫です!エリクサーたくさん持ってますから!」
シロが、俺の仕事を少なくする解決策を出す?
「たくさんって、ブリテン艦隊の凍った人、何人居ると思ってるんだよ!」
「エリクサーは強力ですから、水に薄めて使います!」
「そんなの有り?」
「有りです! 次いでに、水じゃなくて氷が溶ける程の熱湯で薄めます!」
「熱湯って、ブリテン艦隊の人達、火傷しちゃうだろ!」
「大丈夫です! エリクサー混ぜてますから、普通に回復します!」
「どんだけ、エリクサーは優秀なんだよ!」
「なんせ、エリクサーですから!」
てな訳で、シロが作った無制限に入る魔法の鞄の中に、海水で作った熱湯とエリクサーを混ぜて、ドンドン入れていく。
熱湯を作るのも簡単。
海の中に、第6階位火属性魔法メテオをぶち込むだけ。
一瞬にして、海は沸騰し湯気を上げる。
それを魔法の鞄の中に入れるだけ。
シロが作った魔法の鞄は、どういう仕組みになってるのか分からないが、一瞬にして、熱湯だけを魔法の鞄に収納してしまう事が出来るのだ。
それを繰り返して、凍りついたブリテン艦隊の船にぶっ掛けるだけ。
船は見事に解凍され、人もしっかり解凍されて、死なずに生きている。
「人助けも出来て、戦力も復活させれましたね!」
シロが満足気に、俺に話し掛けてきた。
「ああ。全部、シロの手柄だけどな……」
そう、エリクサーを大量に持ってたのも、無制限に入る魔法の鞄を作ったのもシロ。
俺は、何もしてない。
「僕の手柄は、全てご主人様の手柄のような物ですよ!
天才でプリティーな僕が存在するのは、ご主人様が、僕を捕まえて、ボコボコに殴ったからですから!」
「言い方が良くないな……。他の人に話す時は、偉大な勇者セドリック様に優しく導かれ、ただの蜘蛛の魔物だったシロを、伝説の神獣アラクネに進化させて貰ったと言えよ!」
「エッ!? 僕って、神獣だったんですか!
でも、了解です! ご主人様の偉大さを皆に伝えられるなら、嘘も方便ですね!」
シロは、いつも一言多い。
まあ、いいけど。
そんでもって、メアリー総督は、助けたブリテン艦隊の偉い人達と作戦会議を開いている。
「作戦会議してる間にも、ロンドンが落とされるんじゃないのか?
もう、十字軍はロンドンに迫ってるんだろ?」
「ですね! というか、ドレーク親子、十字軍のバンパイアハンターに殺されちゃってますよ!」
「何だと! ネムラム姉妹は、俺のハーレム予備軍なんだぞ!」
俺は、シロの何気無い一言に、ショックを受ける。
「僕、ネムラム姉妹嫌いですから!」
「嫌いでも、知り合いが死んだらショックを受けるものだろ!」
「知り合いというより、敵じゃないですか?
僕、ご主人様の記憶を見て、ネムラム姉妹に酷い事されたの知ってますから!
ミレーネさんだって、ドレークとネムラム姉妹に殺された事あるんですからね!」
シロは、ミレーネの事を気に入っている。
俺の衣装と一緒に、いつもミレーネの衣装も自主的に製作してるのを見ても分かる。
「五月蝿い! 兎に角、行くぞ! メアリー達を待っておれん!
エリクサーを使って、ネムラム姉妹を生き返させる!」
「ご主人様も、モノ好きですね……。二人とも幼女に見えますけど、かなりのババアですよ!」
「ロリ幼女や、ロリババアは、異世界転生モノに無くてはならないスパイスなんだよ!」
「そうなんですか? まあ、本家リゼロのベアトリスも、ロリ幼女と言ってますけど、本当はロリババアですもんね!」
「そういう事だ! オリ姫! 全速力でロンドンに向かえ!」
俺は、急ぎ、操舵のオリ姫に命令する。
「キュイ!」
てな感じで、俺達ゴールデンスカル海賊団は、ゴールデンスカル2号からミレーネをピックアップし、テムズ川を北上?西上?し、ネムラム姉妹を復活させる為、ロンドンに向かったのであった。
「あの? ドレークは復活させないんですか?」
「……」
話が終わってから、シロが何か言った気がしたが、オッサンは要らないのでスルーした。
ーーー
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