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275. 王宮カジノ?

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 俺は、モフウフ中央にある王城? カジノ? 地下ダンジョン?に到着した。

「何だ? これ?」

 俺は、衝撃のあまり絶句する。

 そう、モフウフ王城は、完全なるハワイとかにあるリゾートホテル。
 1階にはカジノが併設されており、2階はスパ? 大浴場?というか、スーパー銭湯?になっており、3階以降は三ツ星ホテルになっているのだ。
 しかも、地下にはモフウフダンジョンが有り、入場料も取ってるらしい。

「これ、本当に王城?」

「三ツ星ホテルの上に、玉座とか城っぽい施設があるらしいですよ」

「城っぽい施設?」

「ハイ。城っぽい施設です。
 実際の王宮は、冒険者に解放してるモフウフダンジョンの、更に下の階層に有るんですよ。
 ブリトニー姉様の部屋も、そこに有りましたもん!」

 シロが詳しい説明をしてくれる。

「城というかリゾートホテルは飾りで、本来の王宮はダンジョンの下層に有るという事か?」

「はい。ブリトニー姉様が言うには、モフウフダンジョンは、現在、800階層ぐらい有るらしいですよ」

「800階層って……」

「それも、100年位前の話で、今は、もっと深い階層が出来てるかも? て、話です」

「そ……そうなんだ……」

 どうやらモフウフ王城は、地上部分はお飾りで、ダンジョンの下層部分が本来の王宮になっているようだ。
 なので、王城なのに、ホテルとかカジノとかスーパー銭湯とか、ふざけた施設を作っているみたいである。

 というか、これって、『漆黒の森』の王都を攻略するのって、無理ゲーなんじゃないのか?

 100年前で、800階層もあったんだろ。
 今は、1000階層ぐらい有るのか?
 もしかして、10S未攻略ダンジョン?
 そもそも、1000階層を攻略するのって、何年掛かるんだよ!

 それで、ラスボスが『漆黒の森』の女王ガブリエル·ゴトウ·ツゥペシュで、
 フロアーボスに、ブリトニーやアンさんなんかが居るという事だろ?

 それから、大魔王ゴトウ·サイトの専属メイドだったというメリルみたいなGデーモンもたくさん居るのだ。

 ていうか、正門から王城にくる間にも、メイド服や執事服を着ているGデーモンが、わんさか居たし。

 チラッと、鑑定で調べたら、伯爵やら公爵やら大公やら、高位のGデーモンばかりであった。

「Gデーモン族は、スルトさんみたいな土着の悪魔の10倍強いですからね。
 同じ爵位でも、実力は全然違いますから!
 1週間前、ブリトニーさんお付きのGデーモンさんを見ましたけど、ヤバかったですよ」

 シロが、新たな情報を教えてくれる。

「ブリトニーお付きのGデーモンまで居るのかよ!
 ていうか、アイツのお付きって、とても気の毒な悪魔だな……」

「ブリトニーさんのオナペットとしてコキ使われてましたよ。
 僕も、舌使いとか教えてもらいましたし」

「本来は、ブリトニーの護衛かなんかの筈なのに、オナペットって……」

 やはり、ブリトニー専属メイドは気の毒過ぎる。

「ダンジョンで会ったメリルさん程では無いですけど、バンパイア公爵のドレークさんと、双子のネム、ラム、3人がかりで戦っても、瞬殺されるレベルだと感じました」

「そんなに強いのに、オナペット……。戦力の無駄使いだな……」

「アッ! それからガブリエル姫様専属のメイドさんも見ました!
 多分、あの人はメリルさんと同等位じゃないかと思います!」

「何人ヤバイ奴が居るんだよ!」

『漆黒の森』は、過剰戦力過ぎる。
 絶対、『漆黒の森』の女王ガブリエル·ゴトウ·ツゥペシュを敵に回したらいけない。
 絶対に勝てないし。

「それから、お父さん以外の異界の悪魔も、何人か姫様に忠誠を誓っているとか」

「もう、強い奴のインフレが起こってるじゃないかよ!
 この世界じゃ、絶対に、俺TUEEE出来ねえよ!」

「それは、間違いないですね!
 ご主人様が、ブリトニー姉様やメリルさんに勝てるイメージが、全く湧きませんから!」

 シロがハッキリ答える。
 ここまでハッキリ言われると、逆に清々しい気分になる。

「まあ、この世界は、本来の俺達の世界じゃないから、『三日月』の無料優待券を使い切ったら、何とかアマイモンを見つけて、アムルーダンジョンに帰ろう!」

「それがいいです! この世界では、絶対にご主人様、主人公になれませんから!」

 シロも俺の意見に賛成のようだ。
 この世界は、観光のつもりで過ごせばいい。
 モフウフは、カジノがあったり、スパがあったり、エロいピンクなお店もたくさんあったり、どう見ても観光地だし。

「じゃあ、折角、来たし、カジノで遊んでくか!」

「ハロハロで刀を売ったから、軍資金もたくさんありますしね!」

 てな訳で、俺とシロは、モフウフ王城1階にあるカジノに入った。

 まんま、ラスベガスのカジノそのままである。

「ご主人様! 凄いです! キラキラしてます!」

「なんか、凄いな……。というか、異世界とは思えないな……」

「スロットマシンが有りますよ!」

「パチスロも有るな……」

「取り敢えず、1000万マーブル分チップに替えますね!」

「1000万マーブルだと!?」

「少なかったですか?」

 シロが、不安そうな顔をして聞いてくる。

「いや、多いだろ!」

「でも、僕が打った刀を売れば、幾らでも稼げますから大丈夫ですよ!」

 シロの金銭感覚は、貧乏人の俺とは全く違ったようだ。

 まあ、シロは金持ちだし。
 アムルー城塞都市でも、アナスタシアと組んで、相当稼いでたみたいだし。

 シロは慣れた手つきで、チャッチャッと、お金をチップに両替えしてきた。

「お前、もしかしたらここで遊んだ事が有るのか?」

「バレました? 1週間前、ブリトニー姉様に連れて来てもらいました」

「お前、ブリトニーのお股をナメナメしてただけじゃなかったのかよ!」

「カジノで遊んで、ボーリングして、卓球してから、大浴場に入り、スパでマッサージしてから、ブリトニー姉様のお股をナメナメしました」

 シロは、悪びれる事も無く答える。

「辛い思いをさせたと思ってたのに、相当、楽しんでたんだな……」

「ブリトニー姉様、僕には優しいですから!」

「チップを、全部寄越せ!」

 俺はムカついて、シロからチップを奪い取る。
 下僕の癖して、俺より楽しんでいたのが納得いかない。
 絶対に、シロより楽しんでやるのだ!

「いいですよ。僕が掛けても、ディーラーさんが忖度して、勝たせてくれちゃいますから」

「それは、ブリトニーと一緒に居たからだろ!」

「そうかもしれませんね。なら、スロットマシンをやりましょうよ!
 流石に、スロットマシンは忖度しませんから。僕は、カジノで負けてみたいんです!」

 なんて、贅沢な願い。
 俺も、そんな事言ってみたい。

 てな訳で、俺はシロから奪った1000万マーブル分のチップを軍資金に、スロットマシンをやる事にした。

 しかし、この選択が、これから起こる悪夢の始まりになるとは、この時は、夢にも思わなかったのだ。

 ーーー

 ここまで読んで下さりありがとうございます。
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