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270. 溶ける糸

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「ご主人様、かなり強くなったんじゃないですか?」

「ああ。タコ侍は強敵だった。
 しかも、一匹一匹、修行の仕方が違うのか、誰一匹として、同じ戦い方をしなかった」

「本物の侍でしたね」

「ああ。アホなケンジより侍だった」

「ロリコンケンジなんかと比べたら、タコ侍に悪いですよ!」

 シロのケンジの評価は、想像以上に悪いようだ。

「なら、メアリーより侍だったな!」

「メアリーさんなら、どっこいどっこいじゃないですか?
 あの人、相当な、侍かぶれですよ」

「だな。メアリーは侍に絡めれば、なんでも言う事聞いてくれるしな。
 侍は、必ずオ〇ニーしてから寝るとか言ったら、間違いなく、毎日オ〇ニーしてから寝るようになるな」

「間違いないです」

 シロも同意する。

 俺の周りの侍かぶれは、アホが多い。

「ご主人様も、その一人だと思いますけど?」

「何をー!」

「いい意味でですよ」

「アホにいい意味なんかあるのかよ!」

「アホな人だと、愚直に物事に取り組めるので、一流になれるといいますし!」

「バカにしてるのか!」

「メアリーさんも、ご主人様も、アホだから飽きもせず、精神と時の部屋で1000年も修行できたんじゃないんですか?」

「それは、一理有るな……。メアリー見てて、アホな奴だと思ったし……」

「そうです! 巨乳の女はアホなんです!
 チッパイの女の子のほうが、僕みたいに優秀な子が多いんですよ!」

 シロは、相当、チッパイを気にしてるようだ。
 というか、俺は、巨乳もチッパイも大好きなのだが……。
 意外と、普通の大きさのオ〇パイには、興奮しない気が……。

「何ですと! それなら、僕は、一生成長しません!」

 シロが、俺の頭の中を勝手に読んで、宣言する。

「それなら、大丈夫なんじゃないか?
 お前、今、不老不死スキル持ってるし」

「何ですと!」

「お前、自分を鑑定してないのか?
 ブリトニーが、【影渡り】スキルをくれた時、一緒に、【不老不死】スキルを与えてたぞ?」

「僕は、鑑定眼で見た物しか鑑定できないから、自分は鑑定できないんです!
 それより、何で、ブリトニー姉様が?」

「そりゃあ、ブリトニーが僕っ娘好きだからじゃないのか?
 多分、お前を今の状態で、保存というか、キープしておきたかったんだろ?」

「初めて、ブリトニー姉様が良い人に思えました!
 これで、この体のまま15歳になれば、ご主人様に合法ロリを捧げられるんですね!」

 シロは、とても嬉しそうだ。
 というか、シロは俺の事をロリコンだと思ってるのか?

「ご主人様は、真性ロリコンですよ!」

 シロが、俺の心を読んで突っ込んでくる。

「違うな。俺はロリもノーマルも熟女も好きだ!」

「でも、デブは嫌なんですよね?」

「そうだ! デブだけは嫌だ!」

「ブスはいいんですか?」

「ナイスバディなら」

「正常位でも?」

「バック限定だ!」

「ゲスですね」

「ゲスで結構! 俺の目標は、ハーレム勇者!
 ハーレム勇者に、ブスは似合わない!」

 とか、話しながらダンジョンを攻略してたら、450階層目で、また、奴が現れた。

「ご主人様! また、タコ侍です!」

「違うな。タコ侍ジェネラルだ!」

 種族: タコ侍ジェネラルlv.88
 職業: 剣豪(免許皆伝)
 称号: 三刀流の使い手
 スキル: 闘気、一撃、斬撃波、タコ墨
 趣味: 修行

「ご主人様! 三刀流ですよ!」

 シロが、見たまんまを伝えてくる。

「ロ〇ノア·ゾロかよ!」

「手が8本あるから、ゾロみたいに刀を口で咥えてませんよ!」

「これは、八刀流まで続く流れだな……」

 何か、戦う前から、ゾッとして疲れてしまう。

「ご主人様、八刀流に勝てるんですか?」

「無理だろ。二刀流に勝つのもやっとだったんだぞ!」

「ですよね……」

 まあ、兎に角、先に進むには、タコ侍ジェネラルを倒すしかない。
 もう、タコ侍ジェネラルが並び始めてるし。

「ご主人様、三刀流に対抗するには、スピードが一番大事ですよ!」

 シロが、俺にレクチャーしてくる。
 400階層目で、タコ侍と散々戦ったので、そんな事分かっている。

 結局は、二本の刀に対抗するには、スピードしかなかったのだ。
 俺は、400階層で、100匹以上のタコ侍と戦い、剣速が相当上がった。

 精神と時の部屋で1000年間修行した時ほどの剣速ではないが、その時の10分の1くらいのスピードは復活している。

「タコ侍ジェネラルに勝つには、10分の2まで、剣速を復活しなければなりませんよ!」

「分かってる」

 俺的には、タコ侍ジェネラルに勝つイメージは出来ている。
 元々、出せた剣速なのだ。
 俺のミッションは、精神と時の部屋で修行した剣速を取り戻す事。

 一度は、出来た事なので、絶対に出来ないという事はない。
 1000年修行すれば、至れる領域なのだ。

 その領域に至れる事を事前に知っていれば、いくらでも努力できる。

 出来るかどうか分からない事は頑張れないが、やれば出来ると分かってたら、人間いくらでも努力できるものなのだ。

 ただ、1000年掛かるのだけど。

 俺は、ガムシャラに刀を振り回し、タコ侍ジェネラルに斬りかかる。

 しかし、

 スパン!

 俺は、見事に、タコ侍ジェネラルに首を撥ねられる。

「ご主人様!」

 俺は、すぐさまシロに糸で回収され、そのまま担がれ階段フロアーまで逃げ帰る。

 首を撥ねられると、とても厄介なのだ。
 まあ、30分程で自然にくっ付くのだが、如何せん時間が掛かる。

 その間、ずっと頭を支えていないといけないし。

「腕が疲れる……」

「ご主人様、包茎手術で使う、溶ける糸で縫い付けておきましょうか?」

「頼む」

 シロは、パパッと、俺の首と胴体を繋げる。

「次いでに、骨も溶けるボルトで固定しておきました!」

「溶けるボルト?」

 意味が分からない。
 まあ、天才のシロなら可能なのだろう。
 普通に、首が動かせるようになってるし。

 まあ、兎に角、俺はシロに首をくっ付けてもらって、再び、タコ侍ジェネラルに挑むのであった。

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