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183. 同盟成立!
しおりを挟む「この島に、聖剣エクスカリバーが!!」
ドレークは、ドーナツ島に到着すると、興奮MAXで雄叫びを上げている。
分かっていたが、ちょっとテンション高過ぎなのが面倒臭い。
「この島には、聖剣エクスカリバーは無いからね!
このドーナツ島は、俺達のこの世界のアジト。
次いでに言うと、聖剣エクスカリバーが有るのは、アムルーダンジョンの先にある、この世界とは、また別の世界だから」
「何ですと! まさか、始祖様は、その別の世界にお隠れになっていると!」
ドレークは、前のめりで聞いてくる。
「それは知らないから。一応言っておくと、俺と始祖は、この世界では兄弟では無いからね。
前世で、俺と始祖は兄妹だったんだからね!」
俺は、もし、この世界で本物の始祖と遭遇した場合の予防線を張っておく。
だって、俺、本当は始祖と兄妹じゃないし。
実際、始祖と会った時に、始祖が俺の事なんか知らないと言ってきたら、
『何言ってんだ妹よ! お前には前世の記憶が無いかもしれないが、俺には有るんだよ! お前は、俺の妹で間違い無いぞ!』
と、言いくるめる作戦なのである。
「おおぉぉぉ! そうだったのでありますか! 流石は猊下!」
なんか、俺の呼称は猊下で定まったようである。
猊下って、確か宗教的に偉い人の呼称だった筈。
ドレーク的には、俺の事を、始祖教の偉い人という位置付けみたいだ。
「じゃあ、そろそろ行きますか!」
俺は、そろそろアムルーダンジョンに行く時間になったので出発する事にする。
「エッ!? 猊下、この島に聖剣エクスカリバー無いとすると、何の為にこの島に立ち寄ったのであらせますか?」
何の為って、黒髭と遭遇しない為なのだが、死に戻りを知らないドレークに説明するのは面倒臭い。
「ええと……」
「アムルーダンジョンには、ドレークさんとネムラム姉妹しか連れて行けないからですよ!」
シロが、考えが纏まっていなかった俺に、助け舟を出してくれた。
「そうそう! ここで、部下の人達とお別れしてくれ!
アジトにいる奴らへの言付けもあるだろ?
アムルーダンジョンに入ったら、暫くは戻れないのだからな!」
「そんな事など、問題有りません!
辺境伯以上の上位種のバンパイアなら、念話が出来ますので!」
ここで、まさかの新事実が浮かび上がってきた。
成程……ドレークが一週目でドーナツ島を発見出来たのは、ネムラム姉妹が念話で自分達の居場所の情報を送ったからか……。
今更ながら、謎が解けた。
「では、お前達のアジトに上位種のバンパイアは居るのか?」
「おりますが」
「なら、全艦隊を率いて、この島に来て貰え!」
「すみませんが、猊下が仰る意味がわかりかねますが……」
まあ、そう思うよね。
しかし、ドーナツ島からドレークの部下達が、自分達のアジトに帰るとしても、黒髭海賊団に見つかって襲われる可能性が高いのだ。
一周目に、ドレーク達が黒髭海賊団に見つからずに、アムルーダンジョンを発見できたのも奇跡に近い。
多分、俺達がドーナツ島を離れた後、ネムラム姉妹の手引きで、すぐにドーナツ島を訪れて、ミレーネ達を皆殺しにした後、俺達をすぐに追いかけたので、たまたま黒髭海賊団と遭遇しなかったと思われる。
「まだ、説明していなかったが、この海域には、現在、黒髭海賊団の全艦隊が訪れてるのだ」
「何ですと!まさか、遂に、我らと全面戦争をする気になったというのですか!」
ドレークが目を血走らして、興奮気味に語気を強める。
違うけど、そういう事にしておこう。
「そうかもな。だから、アイアンメイデン号一隻だけでの航海は危ないのだ」
「成程、そういう事なら頷けます! ならば直ぐに、この島に全艦隊が来るように手配いたします!」
「全艦隊率いて来るなら、この島にいる俺の子分共を全員、鬼ヶ島に送ってくれるか?」
そう、この島は、1ヶ月後以内に、黒髭海賊団に見つかる予定なのだ。
そんな危険な島に、それ程面識がある訳ではないが、一応、元ミレーネ海賊団で、現ゴールデンスカル海賊団のクルーを置いて行く訳にはいかないのである。
「それは構いませんが、我々は鬼人族とオーガとは敵対関係ですので……」
ドレークが、メアリーをチラチラ見ながら答える。
「なら、今日から同盟関係を結んでくれ!
同じ始祖の血筋だから、何も問題無いだろ?」
俺は、強引に話を進める。
「私達は、何も問題無いぞ!
そもそも、私達からわざわざバンパイア共に手を出した事もないし、バンパイアを襲っても金の足しにもならないしな」
メアリーは、同盟を了承する。
「しかし……我らは、始祖様の直系で、純血種なので……」
「お前、始祖の兄貴である、この俺のお願いを無下にするのか?」
俺は凄みをを効かせて、ドレークを睨みつける。
「め……滅相も御座いませぬ!
我ら純血種一同、鬼ヶ島の鬼人族とオーガと同盟を結びまする!」
ドレークは、額を地面に押付けながら土下座し、俺に誓った。
「そういう事だ! メアリー。
姉様のアンに、事の次第を伝える為に、一筆書いてゴールデンスカル海賊団の下っ端に渡しておけ!」
「了解だ!」
よく分からんが、上手くいった。
元々、鬼ヶ島の鬼人族とオーガは、それ程、バンパイアを憎んではいない。
一応、同じ血筋だと理解してるし、本気に喧嘩しても、バンパイアは滅多な事では殺せないので骨が折れるのだ。
まあ、血筋を重んじるバンパイア側から見れば断腸の決断だとは思うが、始祖の兄貴で、始祖に認められている勇者の俺には逆らえないようである。
これで、取り敢えずは、この世界での心残りは無くなった。
後は、アムルーダンジョンでレベルアップして、黒髭海賊団に立ち向かえるだけの実力を付けるだけ!
まあ、一度は、ドレーク達に聖剣エクスカリバーを見せる為に、ハルマン王都に行かなければならないのだけどね。
ーーー
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