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118. ローマは一日にして成らず
しおりを挟む「ミレーネ、ヨーロッパにある国を、俺に詳しく教えてくれないか?」
俺は、ローマ帝国があると聞いて、この世界の事を、もっと詳しく知りたくなってしまった。
「承知しました。まず、ローマ帝国は、この地図でいうと、こちらになりますね」
ミレーネは、そう言うと地図を指差す。
「なるほど、イタリアの辺だな」
俺は、予想通りの場所で納得する。
「そして、神聖ローマ帝国が、ローマ帝国の真上辺りになります」
「 神聖ローマ帝国まで有るのかよ!
で、地球でいうと、ドイツ辺りか」
俺は頷きながら、ミレーネに、次の国を教えてくれるように即す。
「フランク王国がここ。ブリテン王国がここ。そして、イベリア半島にあるのがカスティーリャ王国でございます!」
「なるほど、フランク王国がフランスで、ブリテン王国がイギリス、カスティーリャ王国がスペインって事だな!」
なんか、昔のヨーロッパぽい。
みんな聞いた事ある国名だ。
存在していた時代は、それぞれ違うと思うけど。
それから、ローマ帝国や神聖ローマ帝国があるなら、もしかしたらやキリスト教もあったりして。
「一応、確認するけど、もしかしてキリスト教って、あったりするか?」
「勿論、有りますよ!
ローマ帝国と、フランク王国と、ブリテン王国がキリスト教国ですね。
ローマ帝国がカトリック。ブリテン王国がプロテスタント。
そして、フランク王国がカトリック教徒とプロテスタントが半々ぐらいで住んでます!」
なんと、カトリックとプロテスタントまであるようだ。
地球と、歴史が物凄く似通っている。
「なるほどね。で、神聖ローマ帝国は、キリスト教国じゃないの?」
俺は、少し気になってたので質問してみた。
「神聖ローマ帝国は、ユダヤ教ですね」
神聖ローマ帝国が、まさかのユダヤ教国。
俺がいた世界では、神聖ローマ帝国はカトリック国だったのに。
「何で、神聖ローマ帝国がユダヤ教国か知ってるか?」
「勿論です。元は、ローマ帝国もユダヤ教を国教とする国だったんですか、何代も前の皇帝にキリスト教徒の皇帝がいて、その皇帝が、ローマ帝国の国教をキリスト教に定めてしまったんです。
それに反発したユダヤ教徒のローマ人達が、属国であったガリアに、新しく神聖ローマ帝国を作ったんです」
なんか、世界史のテストで、間違いの回答を自信満々に書いてる人みたいな事を言っている。
まあ、この世界自体が、間違った世界史のような感じなんだけどね。
取り敢えず、この世界が、俺が住んでいた地球と同じような歴史を歩んでいるのは分かった。
しかし、完全なる別世界。
というか、キリスト教があるという事は、バンパイアハンターとか居たりして。
バンパイアの弱点である聖水とか十字架とかもある筈だし。
「ミレーネ。もしかして、キリスト教って、バンパイアを毛嫌いしてるのか?」
「それは、勿論です!
ローマ帝国のカトリック総本山バチカンが、対吸血鬼、対悪魔の一大拠点になってます」
ミレーネが、興奮気味に顔を紅潮させて話してきた。
やはり、ダンピールとしては、思う所があるのだろう。
「で、プロテスタント側は、どうなの?」
「ブリテン王国に、有名なバンパイアハンターの一族、ヘルシング伯爵家が有ります」
なんか、やっぱり、地球と似てる。
吸血鬼ドラキュラに出てきた、バン·ヘルシング。
アレって、架空の人物じゃなかったのかよ?
実際いるみたいだから、どうしようもないんだけど。
まあ、ミレーネの話を聞いて、俺は一つだけ分かった事はある。
この世界は、バンパイアには生きにくい世界だという事だ。
「で、この世界のバンパイアは、どうやって生きてるんだ?
ヨーロッパでは、迫害されてるんだろ?」
俺は、ミレーネに質問する。
「爵位持ちで始祖様の血が濃い方達は、普通に人と混じって暮らしてます。
あの方達は、日光も十字架も弱点にはなりませんので、ローマ帝国や神聖ローマ帝国やブリテン王国とかで、普通に貴族とかやってます」
「そ……そうなんだ……」
俺は、妙に納得する。
バンパイアの貴族って、ドラキュラ伯爵もそうだけど、普通に人間の世界でも貴族なのが鉄板だしね。
「バチカンやらヘルシングに討伐されてしまうのは、爵位持ちじゃない弱いバンパイアですね」
「ダンピールは、どんな立ち位置なんだ?」
俺は、気になり質問する。
「ダンピールは、バチカンで飼われてる者が多いです。
ダンピールは、バンパイアの気配を感じる事ができますから」
「なるほど、だから、純血種のバンパイアに忌み嫌われていると?」
「そう言う事です。普通、バンパイアと人間の間には、滅多な事では子供は産まれませんので、バンパイアは人間の女と交わる時、全く避妊しません」
「で、たまに産まれるダンピールを、バチカンが探し出して、バンパイアハンターに育てると」
「その通りです。私も、どこかの爵位持ちのバンパイアの忌み子だと思われます。
産まれてすぐに、教会の孤児院に捨てられていたそうなので」
「なるほど。お前も俺と同じで孤児院出身か」
「始祖様も孤児院出身なのですか? ダンピールでも無いのに?」
ミレーネ的に、バンパイアの俺が、孤児院出身というのが理解できないらしい。
「俺は、元人間だからな!
そして、人間からスケルトンになって、リッチーになって、再びスケルトンに戻って、またリッチーになって、レッサーバンパイアになって、普通のバンパイアになったんだ。
まあ、普通と言っても、パーフェクト·バンパイアだから、特殊個体だけどな!」
ミレーネは、戸惑いの表情を見せる。
まあ、無理もないけど。
俺も、滅茶苦茶だと理解できてるし。
「よく分からないですが、始祖様は、壮絶な人生を送られていたのですね……」
「壮絶ではないけど、普通ではないかもな」
俺は、事もなげに答えてみせた。
なんせ、俺は、ミレーネが崇《あが》め奉《たてまつ》る始祖様だから。
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