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結婚相手~バーン視点~

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「どういうことだ!!」

建物から出た後、大声でクリフトを問い詰める。
「うるさいですよ。それに、黙って婚約してた人に言われたくないんですけど?」 

うっ……。

「どうせルカ達を探すための情報の見返りに、オルレラ侯爵に出された条件じゃないんですか?」
さすがだ。
もう、何も説明することもない……。

「その経緯とかはもうテオドールの声が戻ったら、にしましょう。まずは急いでルーツ寄宿学校に戻り、シュラ先生が言われていた古代語が読める相手と兄さんを会わせるしかない。フォルクス様だといいんですが……」
「お前、フォルクス様と結婚するつもりか!?」

ぶぁっとクリフトが吹き出す。
「いや、あれは兄との交渉の第一段階ですよ。俺の覚悟をみただけです。バーンがいてくれたので、貢ぎ物もあったし」
「貢ぎ物?」
「この件にオルレラ侯爵家が関わっている。その事実がこの先何かあった時に使えるカードになる」
そうか……。
今回のことで、先々に繋げる……さすが、セリアン商会の後継たち。

「兄も俺がまさか結婚という交渉を持ってくるとは思ってなかったでしょう。でも、その結婚相手が問題です」
「問題?」
「その相手がフォルクス様のように地位が高いほど、セリアン商会にもたらす恩恵が大きい。兄も結婚を認めざるを得ないため、禁書を借り受けることができます。実際は結婚しなくてもいいんですよ。禁書を用いた後、別れたと言えばいい。それは兄も分かっています。もちろん、その事実も後々カードとして使えますから」

改めて、商家の交渉術の巧妙さを知る。
「シュラ先生でも良かったんですけど、シュラ先生が読める人がいると言っていたので、先生本人ではない。それがネラル先生レベルだと、兄が結婚を認めない、という可能性がある。そうなると、禁書は手に入りません。なので、早くルーツ寄宿学校に帰って、確認しましょう」

「分かった。しかしクリフト、禁書がセリアン商会にあるのなら、最初からそう言えば……」
「いや、あれはカマをかけたんです」
「え?」
「書物の存在など、知りません。兄が小鳥で驚いたでしょう?あれは古代魔法の一種です。小鳥に変化しているんですよ。もちろん、人の姿にも戻れます。ならば、解呪の方を記した書物を持っているのでは?と思ったんです。俺は魔力がなく、跡取りの資格がありません。それは、あの古代魔法が使えないからです。だから、口伝なのか書物に記してあるのかすら知らない。兄達がどんなことをどんな方法で学んでいたかなど、興味もありませんでした。こんなことなら、古代語も学んでおくんだった……!この一件が落ち着いたら、学ぶことにします」

クリフトは魔力さえあれば、セリアン商会の一番の後継になれていたのかもしれない。
だが、そのおかげでこの交渉術が中央で発揮される。
国益を考えるならば、魔力がなかったことを感謝せねば。

再び、クリフトを伴ってルーツ寄宿学校に転移した。

「クリフト!バーン!」
「「ルカ!」」
良かった……目を覚ましたのか。
顔色も悪くない。
ルカの側にはシュラ先生も控えていた。

「クリフト、首尾は?」
「上々です。シュラ先生、禁書はあります。ただ、古代語を読める方を兄に紹介しなければならない。その方は……」
「俺だ」
「え?」
え?
「俺が古代語読める」

結婚相手は、ルカ!?
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