97 / 146
小鳥との交渉~バーン視点~
しおりを挟む
「兄さん、久しぶり」
えぇ!?
クリフトが小鳥に話しかけている。
兄だと?どういうことだ??
『予定にないけど?もちろん、それ相応のことだろ?』
「すみません」
!?
小鳥が妙齢の男の声を出している……。
この小鳥がセリアン商会の長兄?
『そちらは?』
「オルレラ侯爵家のバーン様です」
小鳥がチラリと私を見る。
まだ、どういうことか分からないまま、礼を欠いてはならぬと小鳥に向かって一礼した。
『おぉ!バーン様。この度はご婚約おめでとうございます』
なっ……。
なぜ、婚約のことを!?
まだ公表どころか、相手の家に通知すらしていない可能性もあるくらいの時しか経っていない。
我が家に間者でもいるのか?
家令のクレインが……いや、それはあり得ない。
クリフトが驚きといくばくかの怒りを含めた顔で私を見た。
それはそうだ。
私のルカへの想いを、知っているのだから。
だが、後悔はしていない。
テオドールの声が戻ったら、皆に話をしよう。
とりあえず、祝福を受けたからには返事をせねば。
「ありがとう」
声が小さくなってしまった。
祝福を望んでいない証拠か。
『で?用向きは?』
「古代魔法の解呪方法を書いた書物が欲しい。早急に」
『ほぅ……』
クリフトの真剣な顔……ここからが交渉に入るということか。
『とりあえず、用途を聞こうかな?』
話してしまっていいのか?
そもそも、本当に禁書を用意することができるのか……。
「友人が古代魔法によって声を奪われた。その無効化のために必要なんだ。費用はルーツ寄宿学校が出してくれるらしいけど、そこは無料でいいよね?……ウチの本なんだし」
!?
どういうことだ?
ウチの本、とは……クリフトはその禁書があることを知っていた?
『クリフト、なぜウチにその書物があると?』
「俺は魔力が生まれつきなかったから読んでないけど、兄さん達は読まされていたよね?解呪方法も書いてあるはず。門外不出なのは分かってる。俺もこの家に生まれたんだ。権利、あるよね?」
ますます分からない。
なぜ、商家であるセリアン家の子息が禁書を?
『へぇ。さすが、僕の弟!ちゃんと興味なく過ごしていたのに、見る所は見てる。でも、クリフトは古代書なんて読めないよね?ルーツ寄宿学校に読める人がいるんだろうけど、それじゃあ外に漏れるのと同じ。お前が読めるようになってまた僕の所に来れば、貸してあげるよ』
禁書の所持を認めた!
「分かりました……と言いたい所だけど、時間がない。兄さん、その書物は母さんも読んでる?」
『?もちろん』
「じゃあ、僕の結婚相手なら家族だから読む権利あるよね?」
『!?まさか。そのためだけに、結婚するつもり?……面白いね、いいよ』
「すぐ連れてくる!」
……は?
ちょっと、待て!
展開が早くてついていけない!
クリフトは小鳥に一礼すると足早に元の扉へと戻る。
とりあえず、私も同じく一礼し、続いた。
「どういうことだ!!」
えぇ!?
クリフトが小鳥に話しかけている。
兄だと?どういうことだ??
『予定にないけど?もちろん、それ相応のことだろ?』
「すみません」
!?
小鳥が妙齢の男の声を出している……。
この小鳥がセリアン商会の長兄?
『そちらは?』
「オルレラ侯爵家のバーン様です」
小鳥がチラリと私を見る。
まだ、どういうことか分からないまま、礼を欠いてはならぬと小鳥に向かって一礼した。
『おぉ!バーン様。この度はご婚約おめでとうございます』
なっ……。
なぜ、婚約のことを!?
まだ公表どころか、相手の家に通知すらしていない可能性もあるくらいの時しか経っていない。
我が家に間者でもいるのか?
家令のクレインが……いや、それはあり得ない。
クリフトが驚きといくばくかの怒りを含めた顔で私を見た。
それはそうだ。
私のルカへの想いを、知っているのだから。
だが、後悔はしていない。
テオドールの声が戻ったら、皆に話をしよう。
とりあえず、祝福を受けたからには返事をせねば。
「ありがとう」
声が小さくなってしまった。
祝福を望んでいない証拠か。
『で?用向きは?』
「古代魔法の解呪方法を書いた書物が欲しい。早急に」
『ほぅ……』
クリフトの真剣な顔……ここからが交渉に入るということか。
『とりあえず、用途を聞こうかな?』
話してしまっていいのか?
そもそも、本当に禁書を用意することができるのか……。
「友人が古代魔法によって声を奪われた。その無効化のために必要なんだ。費用はルーツ寄宿学校が出してくれるらしいけど、そこは無料でいいよね?……ウチの本なんだし」
!?
どういうことだ?
ウチの本、とは……クリフトはその禁書があることを知っていた?
『クリフト、なぜウチにその書物があると?』
「俺は魔力が生まれつきなかったから読んでないけど、兄さん達は読まされていたよね?解呪方法も書いてあるはず。門外不出なのは分かってる。俺もこの家に生まれたんだ。権利、あるよね?」
ますます分からない。
なぜ、商家であるセリアン家の子息が禁書を?
『へぇ。さすが、僕の弟!ちゃんと興味なく過ごしていたのに、見る所は見てる。でも、クリフトは古代書なんて読めないよね?ルーツ寄宿学校に読める人がいるんだろうけど、それじゃあ外に漏れるのと同じ。お前が読めるようになってまた僕の所に来れば、貸してあげるよ』
禁書の所持を認めた!
「分かりました……と言いたい所だけど、時間がない。兄さん、その書物は母さんも読んでる?」
『?もちろん』
「じゃあ、僕の結婚相手なら家族だから読む権利あるよね?」
『!?まさか。そのためだけに、結婚するつもり?……面白いね、いいよ』
「すぐ連れてくる!」
……は?
ちょっと、待て!
展開が早くてついていけない!
クリフトは小鳥に一礼すると足早に元の扉へと戻る。
とりあえず、私も同じく一礼し、続いた。
「どういうことだ!!」
12
お気に入りに追加
3,810
あなたにおすすめの小説
転生当て馬召喚士が攻め度MAXの白銀騎士に抗えません
雪平
BL
不幸体質大学生の青年が転生したのは魔術師ファンタジーBLゲームの世界だった。
当て馬として生まれたからには攻略キャラの恋の後押しをする事にした。
しかし、この世界…何処か可笑しい。
受け主人公が攻めに、攻め攻略キャラが受けになっていた世界だった。
童顔だった主人公は立派な攻めに育っていた。
受け達に愛されている主人公は何故か当て馬に執着している。
傍観者で良かったのに、攻めポジも危ぶまれていく。
究極の鉄壁一途な白銀騎士×転生当て馬召喚士
ゲームを忠実にするためには、絶対に受けとしてときめいてはいけない。
「君といられるなら、俺は邪魔する奴を排除する」
「俺はただの当て馬でいい!」
※脇CP、リバキャラはいません、メインCPのみです。
転生したいらない子は異世界お兄さんたちに守護られ中! 薔薇と雄鹿と宝石と
夕張さばみそ
BL
旧題:薔薇と雄鹿と宝石と。~転生先で人外さんに愛され過ぎてクッキーが美味しいです~
目が覚めると森の中にいた少年・雪夜は、わけもわからないままゴロツキに絡まれているところを美貌の公爵・ローゼンに助けられる。
転生した先は 華族、樹族、鉱族の人外たちが支配する『ニンゲン』がいない世界。
たまに現れる『ニンゲン』は珍味・力を増す霊薬・美の妙薬として人外たちに食べられてしまうのだという。
折角転生したというのに大ピンチ!
でも、そんなことはつゆしらず、自分を助けてくれた華族のローゼンに懐く雪夜。
初めは冷たい態度をとっていたローゼンだが、そんな雪夜に心を開くようになり――。
優しい世界は最高なのでクッキーを食べます!
溺愛される雪夜の前には樹族、鉱族の青年たちも現れて……
……という、ニンゲンの子供が人外おにいさん達と出逢い、大人編でLOVEになりますが、幼少期はお兄さん達に育てられる健全ホノボノ異世界ライフな感じです。(※大人編は性描写を含みます)
※主人公の幼児に辛い過去があったり、モブが八つ裂きにされたりする描写がありますが、基本的にハピエン前提の異世界ハッピー溺愛ハーレムものです。
※大人編では残酷描写、鬱展開、性描写(3P)等が入ります。
※書籍化決定しました~!(涙)ありがとうございます!(涙)
アルファポリス様からタイトルが
『転生したいらない子は異世界お兄さんたちに守護られ中!(副題・薔薇と雄鹿と宝石と)』で
発売中です!
イラストレーター様は一為先生です(涙)ありがたや……(涙)
なお出版契約に基づき、子供編は来月の刊行日前に非公開となります。
大人編(2部)は盛大なネタバレを含む為、2月20日(火)に非公開となります。申し訳ありません……(シワシワ顔)
※大人編公開につきましては、現在書籍化したばかりで、大人編という最大のネタバレ部分が
公開中なのは宜しくないのではという話で、一時的に非公開にさせて頂いております(申し訳ありません)
まだ今後がどうなるか未確定で、私からは詳細を申し上げれる状態ではありませんが、
続報がわかり次第、近況ボードやX(https://twitter.com/mohikanhyatthaa)の方で
直ぐに告知させていただきたいと思っております……!
結末も! 大人の雪夜も! いっぱいたくさん! 見てもらいたいのでッッ!!(涙)
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?
MEIKO
BL
【完結】そのうち番外編更新予定。伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷うだけだ┉。僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げた。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなの何で!?
※R対象話には『*』マーク付けますが、後半付近まで出て来ない予定です。
悪役令嬢のペットは殿下に囲われ溺愛される
白霧雪。
BL
旧題:悪役令嬢のポチは第一王子に囲われて溺愛されてます!?
愛される喜びを知ってしまった――
公爵令嬢ベアトリーチェの幼馴染兼従者として生まれ育ったヴィンセント。ベアトリーチェの婚約者が他の女に現を抜かすため、彼女が不幸な結婚をする前に何とか婚約を解消できないかと考えていると、彼女の婚約者の兄であり第一王子であるエドワードが現れる。「自分がベアトリーチェの婚約について、『ベアトリーチェにとって不幸な結末』にならないよう取り計らう」「その代わり、ヴィンセントが欲しい」と取引を持ち掛けられ、不審に思いつつも受け入れることに。警戒を解かないヴィンセントに対し、エドワードは甘く溺愛してきて……
❁❀花籠の泥人形編 更新中✿ 残4話予定✾
❀小話を番外編にまとめました❀
✿背後注意話✿
✾Twitter → @yuki_cat8 (作業過程や裏話など)
❀書籍化記念IFSSを番外編に追加しました!(23.1.11)❀
氷の華を溶かしたら
こむぎダック
BL
ラリス王国。
男女問わず、子供を産む事ができる世界。
前世の記憶を残したまま、転生を繰り返して来たキャニス。何度生まれ変わっても、誰からも愛されず、裏切られることに疲れ切ってしまったキャニスは、今世では、誰も愛さず何も期待しないと心に決め、笑わない氷華の貴公子と言われる様になった。
ラリス王国の第一王子ナリウスの婚約者として、王子妃教育を受けて居たが、手癖の悪い第一王子から、冷たい態度を取られ続け、とうとう婚約破棄に。
そして、密かにキャニスに、想いを寄せて居た第二王子カリストが、キャニスへの贖罪と初恋を実らせる為に奔走し始める。
その頃、母国の騒ぎから逃れ、隣国に滞在していたキャニスは、隣国の王子シェルビーからの熱烈な求愛を受けることに。
初恋を拗らせたカリストとシェルビー。
キャニスの氷った心を溶かす事ができるのは、どちらか?
役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました
綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜
【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】
*真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息
「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」
婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。
(……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!)
悪役令息、ダリル・コッドは知っている。
この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。
ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。
最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。
そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。
そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。
(もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!)
学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。
そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……――
元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる