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仲良し
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「あれー二人もいたのか!」
シュルツの執務室からの帰りにテオの部屋に寄ると、バーンとクリフトもいた。
「三人とも、今日はごめんな?俺が余計なこと言ったせいで……シュル、シュラ先生は怒ってはなかったから大丈夫だ!特に何も変わらず、明日から授業受けるからよろしくな!」
三人ともほっとした顔をする。
心配かけて悪かったな。
思ったことをすぐ言う癖を治そう……。
「お咎めなしで良かったね。三人で心配してたんだ。ルカは三つとも回るんだよね?」
テオは入り口で立ったまま謝罪した俺をソファー席に促す。
促されるまま、テオの隣に座った。
「そうみたいだ。まぁ、なんとかなるさ!」
座学は苦手なんだけど……。
「明日からしばらくは座学でみんな一緒ですから」
クリフトは一人立つと、テオの部屋なのに自分で茶器を準備し、それぞれの前に置く。
良い香りのするお茶だ。
「クリフト、ありがとう!良い香りがするな!」
クリフトに礼を言う。
「僕の部屋なんだけどね?」
「お茶くらいはいれさせて下さい。良い茶葉を持参してますので」
「さすが、セリアン商会の茶葉。良い香りだ。なぜ、先ほどは出てこなかったんだ?」
「気がつきませず、申し訳ありません」
「それは、僕が出さなかったってことを言ってる?」
三人が笑いながら楽しそうに会話してる。
仲良しだな。
「明日からの座学は何をやるんだ?」
「基礎だ。この国の歴史や魔法の成り立ちなどだな」
ふーん。
確かに、どれを選択しても必要なことか。
「バーンは授業に出なくてもいいのでは?一人で素振りでもしていた方が有益でしょう?」
クリフトは丁寧な言葉だが、声音や表情はからかっている。
「それはテオドールもそうであろう?お前も新しく得る知識などないはずだ」
「いや、僕よりもクリフトの方が勉強してるんじゃない?国政を学びたいと思ってるのに、知らないはずないし」
三人はそれぞれお互いを見ながら、褒めあってる……いつの間にこんなに仲良くなったんだ!?
え……俺のことは何も言ってくれない……。
「お、俺は座学は苦手だが、頑張るぞ!」
本当は俺もやらなくても大丈夫だけどな!
「そうですね。ルカには必要だと思います」
クリフト!
ま、まぁ、俺が知識あるって知らないしな……。
「ルカはちゃんと基本的なことを知っておいた方がいいよ。これからのこともあるしね」
テオ!
基本的なことも知らないと思われてる……まぁ、仕方ないよな……。
「そもそも、何か知っていることはあるのか?何も知らないのだろう?」
バーン!
無知……だと……。
俺、バーンには嫌われたかもと思ったけど、シュルツからは庇ってくれたから嫌われてなくて良かったって安心したのに……。
それどころか、二人にも嫌われてる?
もしかして、三人にとって邪魔だと思われてるんじゃあ……。
「国政の授業でも、ちゃんと分からないことは教えるから、心配しないで下さい」
クリフト!
「魔法の授業も僕がついてるんだから、大丈夫だよ。安心して」
テオ!
「剣術は私だけだな。皆に遅れを取るようなら、私の朝の鍛練にルカも加わるか?お前ならば構わない」
バーン!
一年間、この三人のことを面倒見てやろうなんて思ってたのに、こいつらも俺と同じことを思ってくれてたんだな。
この感覚は初めてだ。
桁違いの能力があり、みんなに羨望の眼差しで見られていた。
それと同時に、自分は異質なのだと線を引かれているようにも感じていた。
それが、知らないとはいえ、俺のことを気にかけ、引き上げてくれようとしている。
心配してくれている。
これが、仲間、か。
心の中が、ぽかぽかと温かくなる。
明日から、前の知識のことは忘れて、今のルカとして寄宿学校で学ぼう。
今のルカとして、この三人と切磋琢磨し合おう。
「なぁ!みんなで食堂にご飯食べに行こうぜ」
ご飯が一番の楽しみだ!
もっともっと、俺も三人みたいに仲良くなりたい!!
シュルツの執務室からの帰りにテオの部屋に寄ると、バーンとクリフトもいた。
「三人とも、今日はごめんな?俺が余計なこと言ったせいで……シュル、シュラ先生は怒ってはなかったから大丈夫だ!特に何も変わらず、明日から授業受けるからよろしくな!」
三人ともほっとした顔をする。
心配かけて悪かったな。
思ったことをすぐ言う癖を治そう……。
「お咎めなしで良かったね。三人で心配してたんだ。ルカは三つとも回るんだよね?」
テオは入り口で立ったまま謝罪した俺をソファー席に促す。
促されるまま、テオの隣に座った。
「そうみたいだ。まぁ、なんとかなるさ!」
座学は苦手なんだけど……。
「明日からしばらくは座学でみんな一緒ですから」
クリフトは一人立つと、テオの部屋なのに自分で茶器を準備し、それぞれの前に置く。
良い香りのするお茶だ。
「クリフト、ありがとう!良い香りがするな!」
クリフトに礼を言う。
「僕の部屋なんだけどね?」
「お茶くらいはいれさせて下さい。良い茶葉を持参してますので」
「さすが、セリアン商会の茶葉。良い香りだ。なぜ、先ほどは出てこなかったんだ?」
「気がつきませず、申し訳ありません」
「それは、僕が出さなかったってことを言ってる?」
三人が笑いながら楽しそうに会話してる。
仲良しだな。
「明日からの座学は何をやるんだ?」
「基礎だ。この国の歴史や魔法の成り立ちなどだな」
ふーん。
確かに、どれを選択しても必要なことか。
「バーンは授業に出なくてもいいのでは?一人で素振りでもしていた方が有益でしょう?」
クリフトは丁寧な言葉だが、声音や表情はからかっている。
「それはテオドールもそうであろう?お前も新しく得る知識などないはずだ」
「いや、僕よりもクリフトの方が勉強してるんじゃない?国政を学びたいと思ってるのに、知らないはずないし」
三人はそれぞれお互いを見ながら、褒めあってる……いつの間にこんなに仲良くなったんだ!?
え……俺のことは何も言ってくれない……。
「お、俺は座学は苦手だが、頑張るぞ!」
本当は俺もやらなくても大丈夫だけどな!
「そうですね。ルカには必要だと思います」
クリフト!
ま、まぁ、俺が知識あるって知らないしな……。
「ルカはちゃんと基本的なことを知っておいた方がいいよ。これからのこともあるしね」
テオ!
基本的なことも知らないと思われてる……まぁ、仕方ないよな……。
「そもそも、何か知っていることはあるのか?何も知らないのだろう?」
バーン!
無知……だと……。
俺、バーンには嫌われたかもと思ったけど、シュルツからは庇ってくれたから嫌われてなくて良かったって安心したのに……。
それどころか、二人にも嫌われてる?
もしかして、三人にとって邪魔だと思われてるんじゃあ……。
「国政の授業でも、ちゃんと分からないことは教えるから、心配しないで下さい」
クリフト!
「魔法の授業も僕がついてるんだから、大丈夫だよ。安心して」
テオ!
「剣術は私だけだな。皆に遅れを取るようなら、私の朝の鍛練にルカも加わるか?お前ならば構わない」
バーン!
一年間、この三人のことを面倒見てやろうなんて思ってたのに、こいつらも俺と同じことを思ってくれてたんだな。
この感覚は初めてだ。
桁違いの能力があり、みんなに羨望の眼差しで見られていた。
それと同時に、自分は異質なのだと線を引かれているようにも感じていた。
それが、知らないとはいえ、俺のことを気にかけ、引き上げてくれようとしている。
心配してくれている。
これが、仲間、か。
心の中が、ぽかぽかと温かくなる。
明日から、前の知識のことは忘れて、今のルカとして寄宿学校で学ぼう。
今のルカとして、この三人と切磋琢磨し合おう。
「なぁ!みんなで食堂にご飯食べに行こうぜ」
ご飯が一番の楽しみだ!
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