15 / 146
同室のメガネ
しおりを挟む
バーンは結局何をしに来たのか分からないが、まぁいい。
悪いヤツじゃないことは分かったしな。
とりあえず、テオと一緒に自室に向かう。
基本的に一室二名らしく、残念ながら同室はテオじゃなかった。
テオは個室だ。
高位貴族は個室が与えられるらしい。
身分差の悪弊かと思ったが、高位貴族は従者を伴っていたり、装飾品なども高価な品が多く、盗難などの被害が出てもいけないと個室が指定されるようになったらしい。
当然、料金も発生するらしく、俺はもちろん無料一択だ!
「僕、個室を止めてルカと同室に変えて貰おうかな……」
テオはそんなことを言ってくれるが、お金に問題もないなら絶対個室がいいに決まっている!
本来侯爵以上が個室らしいが、今年はバーンだけらしく、テオも侯爵と同等クラスの辺境伯なので、特例となったらしい。
「ダメだ!俺がテオの部屋に遊びに行けなくなるだろ?テオも、遊びに来てくれ!互いの部屋を行き来する……なんかいいよな!」
テオがなぜか、早足になった。
何かぶつぶつ言ってるが分からない。
先にテオの部屋に着く。
扉を開けると、すでに荷物が運ばれていた。
聞くと、まだ他にも届くらしい。
しかし、一人で過ごすには何もかも広すぎないか?
簡易的な浴室、備え付けの本棚、クローゼット、ベッドに机……快適すぎる!
「テオ!ベッドがでかい。二人で寝られるな!」
「えっ……そ、そうだね?」
テオは顔を赤らめ、そわそわしている。
?
なぜ、ベッドがでかいと褒めたら照れてるんだ?
テオは自分が持ってきていた貴重品などを備え付けの金庫に仕舞い、鍵をかける。
これは各自一つあるらしい。
俺には金庫に仕舞うものがないなぁ……。
父さんがお金を送ってくれると言っていたが、無理はさせたくない。
「お待たせ。ルカの部屋に行こう?同室が良い人ならいいんだけど……」
テオは心配症だな!
今年、この寄宿学校には50人程度入学予定らしいが、近くの者は通うため寄宿舎には30人ほどが暮らすことになるらしい。
その内、女の子は何人いるんだろう……俺のハッピーライフは……。
まぁ、女の子と同室ってことは無いだろうから、同室は男だろう。
気兼ね無くやれるヤツがいいな!
本来は魔力量によってコースが分かれ、その同じコースの者と同室になるが俺は未定?なので、空いている部屋になったらしい。
「テオはどのコース志望なんだ?」
「僕はやっぱり、術師コースかなぁ。ルカは?」
テオは魔力量もあったし、希望は叶うだろう。
「俺はまだ未定だから、決まるまでは三コースとも日替わりって言ってたけど、まぁ、いろいろやれて良かったかな。木こりなら……剣術コースで筋肉つける方がいいのか……術師コースで何か補助魔法を学ぶのも……国政コースは……いらないな!」
「やっぱり、木こりが基本なんだね……」
テオ、俺の話を聞いてなかったのか?最初から木こりって言ったのに……出世払いの木彫りの熊、やらないぞ!
俺の部屋は一階のテオやバーンとは離れた三階にある。
言われた番号の部屋の前につき、すでに同室の奴がいるかもしれないからノックする。
「……どうぞ」
おぉ、低くて良い声だ!
「入るぞ!」
中はテオの個室よりも若干広い。
一室を二つに仕切り、左右対称に机、小さなクローゼット、ベッドが置かれてある。
十分だな!
同室のヤツは……珍しい!メガネだ!!
暗めの茶色の髪はサイドは短く前髪が長めでメガネに少し被っている。
メガネが奥二重の深緑の瞳を知的に見せ、整った鼻筋と薄目の唇も相まって涼やかだ。
体躯は少し細めではあるが、病的ではない。
読書でもしていたのだろう、座っている机の前に本がある。
読書家で目を悪くしたのか?
座っているため身長は分からないが、低くはなさそうだ。
しかし、コイツも美形だな……。
なんだ?顔面審査もあるのか?
俺、これから落とされるとかないよな?
「俺はルカ!同室になった、よろしくな」
「あぁ」
それだけ?
「名前は?」
「クリフト」
……こいつ、会話が続かない!
テオがスッと前に出る。
「初めまして。僕はルカの友人でテオドール」
クリフトが椅子から立ち上がる。
「ロレーヌ辺境伯テオドール様ですね?お噂はかねがね……同じ寄宿学校で学べるとは幸運です」
「同じ寄宿生だ。テオでいい」
「なんと!恐れ多いことでございます。望外の喜びです。これからも親しくして頂けると……」
……会話が続いてる。
これは、俺に興味がないだけか?
顔面偏差値問題か!?
「クリフト!」
「……」
返事すらない!
汚いものを見るような顔になってる。
くそぅ、俺の顔はそこまでか!?
「お前は平民か?」
「……それが?」
「俺もだ!」
平民仲間だな!
顔が嬉しくて笑ってしまう。
無料じゃないと聞いて、平民仲間はできないかと思った……コイツも魔力量が多いのか?
「魔力量は多いのか?」
「……」
「俺は魔力量が多くないと無料って知らなかったんだよー。クリフト、知ってたか?」
「……」
「コースはどこだ?俺は魔力量測定が……」
「うるさい!黙れ!」
へ?なぜ、キレられた??
悪いヤツじゃないことは分かったしな。
とりあえず、テオと一緒に自室に向かう。
基本的に一室二名らしく、残念ながら同室はテオじゃなかった。
テオは個室だ。
高位貴族は個室が与えられるらしい。
身分差の悪弊かと思ったが、高位貴族は従者を伴っていたり、装飾品なども高価な品が多く、盗難などの被害が出てもいけないと個室が指定されるようになったらしい。
当然、料金も発生するらしく、俺はもちろん無料一択だ!
「僕、個室を止めてルカと同室に変えて貰おうかな……」
テオはそんなことを言ってくれるが、お金に問題もないなら絶対個室がいいに決まっている!
本来侯爵以上が個室らしいが、今年はバーンだけらしく、テオも侯爵と同等クラスの辺境伯なので、特例となったらしい。
「ダメだ!俺がテオの部屋に遊びに行けなくなるだろ?テオも、遊びに来てくれ!互いの部屋を行き来する……なんかいいよな!」
テオがなぜか、早足になった。
何かぶつぶつ言ってるが分からない。
先にテオの部屋に着く。
扉を開けると、すでに荷物が運ばれていた。
聞くと、まだ他にも届くらしい。
しかし、一人で過ごすには何もかも広すぎないか?
簡易的な浴室、備え付けの本棚、クローゼット、ベッドに机……快適すぎる!
「テオ!ベッドがでかい。二人で寝られるな!」
「えっ……そ、そうだね?」
テオは顔を赤らめ、そわそわしている。
?
なぜ、ベッドがでかいと褒めたら照れてるんだ?
テオは自分が持ってきていた貴重品などを備え付けの金庫に仕舞い、鍵をかける。
これは各自一つあるらしい。
俺には金庫に仕舞うものがないなぁ……。
父さんがお金を送ってくれると言っていたが、無理はさせたくない。
「お待たせ。ルカの部屋に行こう?同室が良い人ならいいんだけど……」
テオは心配症だな!
今年、この寄宿学校には50人程度入学予定らしいが、近くの者は通うため寄宿舎には30人ほどが暮らすことになるらしい。
その内、女の子は何人いるんだろう……俺のハッピーライフは……。
まぁ、女の子と同室ってことは無いだろうから、同室は男だろう。
気兼ね無くやれるヤツがいいな!
本来は魔力量によってコースが分かれ、その同じコースの者と同室になるが俺は未定?なので、空いている部屋になったらしい。
「テオはどのコース志望なんだ?」
「僕はやっぱり、術師コースかなぁ。ルカは?」
テオは魔力量もあったし、希望は叶うだろう。
「俺はまだ未定だから、決まるまでは三コースとも日替わりって言ってたけど、まぁ、いろいろやれて良かったかな。木こりなら……剣術コースで筋肉つける方がいいのか……術師コースで何か補助魔法を学ぶのも……国政コースは……いらないな!」
「やっぱり、木こりが基本なんだね……」
テオ、俺の話を聞いてなかったのか?最初から木こりって言ったのに……出世払いの木彫りの熊、やらないぞ!
俺の部屋は一階のテオやバーンとは離れた三階にある。
言われた番号の部屋の前につき、すでに同室の奴がいるかもしれないからノックする。
「……どうぞ」
おぉ、低くて良い声だ!
「入るぞ!」
中はテオの個室よりも若干広い。
一室を二つに仕切り、左右対称に机、小さなクローゼット、ベッドが置かれてある。
十分だな!
同室のヤツは……珍しい!メガネだ!!
暗めの茶色の髪はサイドは短く前髪が長めでメガネに少し被っている。
メガネが奥二重の深緑の瞳を知的に見せ、整った鼻筋と薄目の唇も相まって涼やかだ。
体躯は少し細めではあるが、病的ではない。
読書でもしていたのだろう、座っている机の前に本がある。
読書家で目を悪くしたのか?
座っているため身長は分からないが、低くはなさそうだ。
しかし、コイツも美形だな……。
なんだ?顔面審査もあるのか?
俺、これから落とされるとかないよな?
「俺はルカ!同室になった、よろしくな」
「あぁ」
それだけ?
「名前は?」
「クリフト」
……こいつ、会話が続かない!
テオがスッと前に出る。
「初めまして。僕はルカの友人でテオドール」
クリフトが椅子から立ち上がる。
「ロレーヌ辺境伯テオドール様ですね?お噂はかねがね……同じ寄宿学校で学べるとは幸運です」
「同じ寄宿生だ。テオでいい」
「なんと!恐れ多いことでございます。望外の喜びです。これからも親しくして頂けると……」
……会話が続いてる。
これは、俺に興味がないだけか?
顔面偏差値問題か!?
「クリフト!」
「……」
返事すらない!
汚いものを見るような顔になってる。
くそぅ、俺の顔はそこまでか!?
「お前は平民か?」
「……それが?」
「俺もだ!」
平民仲間だな!
顔が嬉しくて笑ってしまう。
無料じゃないと聞いて、平民仲間はできないかと思った……コイツも魔力量が多いのか?
「魔力量は多いのか?」
「……」
「俺は魔力量が多くないと無料って知らなかったんだよー。クリフト、知ってたか?」
「……」
「コースはどこだ?俺は魔力量測定が……」
「うるさい!黙れ!」
へ?なぜ、キレられた??
55
お気に入りに追加
3,817
あなたにおすすめの小説
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人リトと、攻略対象の凛々しい少年ジゼの、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です(笑)
本編完結しました!
『伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします』のノィユとヴィル
『悪役令息の従者に転職しました』の透夜とロロァとよい子の隠密団の皆が遊びに来る、舞踏会編はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
舞踏会編からお読みいただけるよう、本編のあらすじをご用意しました!
おまけのお話の下、舞踏会編のうえに、登場人物一覧と一緒にあります。
ジゼの父ゲォルグ×家令長セバのお話を連載中です。もしよかったらどうぞです!
第12回BL大賞10位で奨励賞をいただきました。選んでくださった編集部の方、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです。
心から、ありがとうございます!
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる