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運命の日~テオドール視点~

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とうとう、この日がやってきた。

寄宿学校での魔力量測定。
この日のために、僕は死ぬほど努力をしてきた。
実際、死にかけた。

地方領主の跡継ぎとして生まれ、なに不自由もなく育てられた。

問題は、僕がなまじ優秀だったことだ。

父は魔力量がとても少なく、本当は中央で働きたかったのに認められず、嫌々地方領主になったらしい。

地方領主も立派な仕事なのだが、父にはいつもお前は王の元で仕えられるように、と期待され育てられた。

魔力はある程度は生まれつき持っていたようだが、それでは足りないと幼い頃から魔力量を高める訓練を受けさせられていた。

その訓練は、自分の生命力ギリギリまで魔力を流し続け、枯渇する寸前で術師に魔法で魔力を回復させられ、またその魔力を流す、を繰り返す。

回復魔法のタイミングが難しく、何度も意識を失い、生死の境を彷徨った。


……緊張する。
簡易的な魔力測定ではなかなかの数値を出したが、正式な水晶玉による測定は当日しか許されない。

一発勝負で、人生が決まる。

列に並んでいると、後ろに誰か来た。
最後が良いと遅く来たのだが、同じ考えの奴もいたのか。

どんな奴か探るか……。

「初めまして。僕の名前はテオドール。テオって呼んで」

「おぉ、俺はルカ。よろしくな、テオ」

僕はニコニコ笑いながら、観察する。

ルカ……救国の騎士の名前を頂いたのか……よくあることだ。
ルカは日に焼けた体に、短髪黒髪、黒目。
背はそんなに高くはないが、これから伸びるのかもしれない。
細身だが、筋肉はついていそうだ。

この年齢にしては何かを悟ったかのような精悍な顔立ちをしている。
切れ長な一重の瞳、鼻筋は通り、薄い唇。
男らしいというより、とても、美しいと感じた。

しかし、身なりがかなり質素だ。
農村出身か……。
ある程度の魔力がないと寄宿学校は費用が高い。
貴族や商会の息子であればたいしたことではないが、どう見てもルカは違う。

かなりの魔力を持っていると自信があるのか?

「ルカはどこのコースが希望なの?」

「コース?」

え、知らないのか?

「知らないの?魔力量によって分かれるようになったんだよ」

キョトンとしている。
精悍な顔立ちが一気に幼くなり、なぜか少し鼓動が早まった。

「魔力量が多ければ無料だけど、少ないとけっこうお金かかるみたいだよ」

「寄宿学校は無料じゃねーの!?」

驚愕している。
農村までは情報が流布されていなかったのか。

「それも知らないの?無料じゃないよ。魔力量が少ないと国に貢献できないからって寄宿学校も費用がかかるようになったんだよ。だから、農村の子供とかは通わなくなったよ」

ルカの顔が真っ青になった。

必死で考えているのか、しかめたり、何かをひらめいたり、また落ち込んだり、表情がくるくると変わる。

可愛いな……。
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