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やっちまった

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聞くと、テオは地方領主の子らしく、親に期待され送り出されているので、この魔力量測定に緊張しているらしい。

俺も緊張している。
どのくらい手を抜くか、だ。

「テオは魔力量増やす訓練とかしたのか?」

「……したよ。けっこう増えたよ」

ほんわか、にこにこ。
和むな……テオ……。

魔力量を増やすのは容易なことではない。
元々、生まれもってのものだ。
それを増やすのは、魔力を少しずつ流し続け、回復魔法をかけられながら限界を越え続けないといけない。
精神的にもギリギリまで追い詰められる。

テオはこんなにほんわかしてるのに、アレに耐えたのか……優秀なんだろうな。

「ルカはどんな魔法が使えるの?」

「俺かー、何が使えるかなぁ……ちょっとまだ試したことないけど」

「……使えるくらい、魔力あるんだね?」

!?
しまった!

「いや、魔法なんて使えないって~!冗談だよ、冗談!」

まずい。
まだ魔力量すら測ったことない田舎のガキが、魔法なんて使える訳ないだろー!

ほんわかテオが一瞬怖い顔をしたような……?
気のせいか……?
今はにこにこ。
和む。

ボロを出さないように気を付けないと……。

その後は当たり障りのない会話でしのぐ。

順調に列は進み、次はテオの番だ。

水晶玉の前に立ち、片手をかざす。

かなり強い光。
すごい魔力量だ。

先程と同じように、大きなどよめきが起こる。

テオはそっと手を離し、ふっと息を吐いた。

「すごいなー!テオー!!」

俺は思わずテオに抱きついた。

「ルカ……ありがとう」

少し顔を赤らめながら、嬉しそうに微笑む。

努力が報われて良かった。
報われなかった奴らをたくさん見てきた。

「次はルカの番だよ」

「おぉ!」

ヤバい……テオの成功に喜んでばかりはいられない……。
金がかからず、悪目立ちしないラインが分からない……。

半分くらい?
半分じゃあ、無料にならない??

うーーー。

水晶玉の前に立ち、片手をかざす。

とりあえず、一気に半分流してあんまり光らなかったらもうちょい流そう。
そうしよう。

俺は半分くらいを心がけて一気に魔力を流した。

水晶玉が一瞬で強烈な光を放ち、あまりの光量にその場にいた全員が眼を閉じる。

パァーンッ

水晶玉が粉々に砕け散った。

会場が静寂に包まれる。

はい、やっちまったーーー。
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