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満腹の陽キャ
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京平さんとは和解して、とりあえず晩ご飯の準備だ。
今日は炒飯と野菜スープだからすぐできる。
味付けは濃いめでいいかな?
男二人だし。
量も多めに作って冷凍しておこう。
僕の昼ご飯にしてもいいしね。
炒飯用の大根の葉や葱をみじん切りにして、野菜スープ用には少し大きめに切る。
出汁はもう鶏ガラスープの素で煮込もう。
もやしやしめじと一緒に切った野菜を鍋に入れ、煮込むだけ。
あとは、炒飯。
これもさっき切った野菜と焼豚とご飯と玉子を中華調味料で炒めて終わり。
簡単。
こ、こんなのでいいのかなぁ~。
めちゃめちゃ大学生の同居人が作りそうな料理。
いや、大学どころか高校も行ってないから分からないけど、あくまでイメージ。
今まで、ちゃんとした訓練を受けた家政婦さん達が作った、ちゃんとした料理だっただろうに……。
いざこれを食卓に並べるって……勇気がない。
京平さんのことだから、もちろん罵倒したりしないだろうけど、少しでも残念そうな顔されたら……ショックだ。
ほら、もう弱くなってる。
心を許したらダメ。
でも、もうウダウダしてても仕方ない。
料理も冷める。
高級そうな食器に平凡な料理を盛って、テーブルに並べる。
晩ご飯が出来たら呼んでくれと言われていたので、京平さんの部屋をノックする。
「どうぞ」
「ご飯、できた」
「もう!?」
短時間でできたことに驚いている。
ヤバい……やっぱり手の込んだやつじゃないとダメなのかも。
「あれだよ?簡単なやつだよ?僕は京平さんが食べるようなすごい料理は作れないから、もう庶民のやつで……」
「すごい料理って。ふっ。私も十分庶民だから大丈夫だよ」
いや、庶民はこんな王子様オーラないから。
京平さんはPCの画面を閉じ、一緒にテーブルに向かう。
「そういえば、お酒とか僕は飲まないから分からないけど、準備した方が良かった?」
「いや、お酒はどうせ付き合いで外で飲むから、休みの時は別にいいよ。春澄が飲みたくなったら付き合うからいつでも言って。甘いのもダメ?」
「うーん。甘いのは美味しいけど、ちょっとだけ元ちゃんと飲んだ時に、すぐ酔っぱらって。酒癖悪いからもう飲むなって言われたんだ」
「へー」
京平さんのマンションはダイニングキッチンになっている。
リビングも繋がってはいるが、広いので別空間に感じる。
そんなダイニングキッチンのテーブルには、ショボい野菜スープと普通の炒飯。
うぅ……反応が怖い。
「すごいねぇ。あの間に本当にできてる」
と、とりあえず、しょぼいとは言われなかった。
「あの、こんなのしかこれからも作れないよ?まぁ、朝ご飯がメインだから大丈夫だとは思うけど……休みの日も外で食べてきてもいいからね?」
「十分だよ。美味しそうだ。ありがとう」
……モテるな。
いや、それは分かってたけど。
さらっと「ありがとう」だって。
当たり前なのに。
お金貰ってやってることなんだから、ありがとうなんて、必要ないのに。
「じゃあ、食べようか?頂きます」
「頂きます」
2人で手を合わせる。
一緒に頂きますと言ったものの、僕は箸を持ったまま、チラチラ京平さんの様子を伺ってしまう。
野菜スープ飲んでる……何て言うかな?
うぅ……緊張する。
「美味しいよ、春澄。野菜の甘みも出てる」
「よ、良かった」
味見もしたし、ただの工夫もない野菜スープなのに、ドキドキした。
ようやく、一息ついて僕も野菜スープを一口飲む。
うん、定番の味だ。
ほっとしていたら、京平さんは炒飯をムシャムシャ食べていた。
「美味しいよ!味も濃いめで進むね!あっさりの野菜スープに濃いめの炒飯……食べすぎてしまいそうだ」
よ、良かったーー。
京平さんがちょっとわんぱく気味に食べている姿に肩の荷が降りた。
やっぱり、男だからね!
濃いめがいいよね!
安心して、炒飯へと進む。
うん、ちゃんとパラパラしてるし、良い出来だな。
あんなに不安だったくせに、少し褒められると我ながら簡単に浮上してきた。
結局、京平さんは、お代わりまでしてくれた。
こんな、平凡な料理を好んでくれた。
「春澄の味付けは私の味覚に合うね」なんて言われて、キスされて引きこもってたくせに、ウキウキで後片付けしている今がある。
あー、手の平の上で転がされてるのかなぁ……。
今日は炒飯と野菜スープだからすぐできる。
味付けは濃いめでいいかな?
男二人だし。
量も多めに作って冷凍しておこう。
僕の昼ご飯にしてもいいしね。
炒飯用の大根の葉や葱をみじん切りにして、野菜スープ用には少し大きめに切る。
出汁はもう鶏ガラスープの素で煮込もう。
もやしやしめじと一緒に切った野菜を鍋に入れ、煮込むだけ。
あとは、炒飯。
これもさっき切った野菜と焼豚とご飯と玉子を中華調味料で炒めて終わり。
簡単。
こ、こんなのでいいのかなぁ~。
めちゃめちゃ大学生の同居人が作りそうな料理。
いや、大学どころか高校も行ってないから分からないけど、あくまでイメージ。
今まで、ちゃんとした訓練を受けた家政婦さん達が作った、ちゃんとした料理だっただろうに……。
いざこれを食卓に並べるって……勇気がない。
京平さんのことだから、もちろん罵倒したりしないだろうけど、少しでも残念そうな顔されたら……ショックだ。
ほら、もう弱くなってる。
心を許したらダメ。
でも、もうウダウダしてても仕方ない。
料理も冷める。
高級そうな食器に平凡な料理を盛って、テーブルに並べる。
晩ご飯が出来たら呼んでくれと言われていたので、京平さんの部屋をノックする。
「どうぞ」
「ご飯、できた」
「もう!?」
短時間でできたことに驚いている。
ヤバい……やっぱり手の込んだやつじゃないとダメなのかも。
「あれだよ?簡単なやつだよ?僕は京平さんが食べるようなすごい料理は作れないから、もう庶民のやつで……」
「すごい料理って。ふっ。私も十分庶民だから大丈夫だよ」
いや、庶民はこんな王子様オーラないから。
京平さんはPCの画面を閉じ、一緒にテーブルに向かう。
「そういえば、お酒とか僕は飲まないから分からないけど、準備した方が良かった?」
「いや、お酒はどうせ付き合いで外で飲むから、休みの時は別にいいよ。春澄が飲みたくなったら付き合うからいつでも言って。甘いのもダメ?」
「うーん。甘いのは美味しいけど、ちょっとだけ元ちゃんと飲んだ時に、すぐ酔っぱらって。酒癖悪いからもう飲むなって言われたんだ」
「へー」
京平さんのマンションはダイニングキッチンになっている。
リビングも繋がってはいるが、広いので別空間に感じる。
そんなダイニングキッチンのテーブルには、ショボい野菜スープと普通の炒飯。
うぅ……反応が怖い。
「すごいねぇ。あの間に本当にできてる」
と、とりあえず、しょぼいとは言われなかった。
「あの、こんなのしかこれからも作れないよ?まぁ、朝ご飯がメインだから大丈夫だとは思うけど……休みの日も外で食べてきてもいいからね?」
「十分だよ。美味しそうだ。ありがとう」
……モテるな。
いや、それは分かってたけど。
さらっと「ありがとう」だって。
当たり前なのに。
お金貰ってやってることなんだから、ありがとうなんて、必要ないのに。
「じゃあ、食べようか?頂きます」
「頂きます」
2人で手を合わせる。
一緒に頂きますと言ったものの、僕は箸を持ったまま、チラチラ京平さんの様子を伺ってしまう。
野菜スープ飲んでる……何て言うかな?
うぅ……緊張する。
「美味しいよ、春澄。野菜の甘みも出てる」
「よ、良かった」
味見もしたし、ただの工夫もない野菜スープなのに、ドキドキした。
ようやく、一息ついて僕も野菜スープを一口飲む。
うん、定番の味だ。
ほっとしていたら、京平さんは炒飯をムシャムシャ食べていた。
「美味しいよ!味も濃いめで進むね!あっさりの野菜スープに濃いめの炒飯……食べすぎてしまいそうだ」
よ、良かったーー。
京平さんがちょっとわんぱく気味に食べている姿に肩の荷が降りた。
やっぱり、男だからね!
濃いめがいいよね!
安心して、炒飯へと進む。
うん、ちゃんとパラパラしてるし、良い出来だな。
あんなに不安だったくせに、少し褒められると我ながら簡単に浮上してきた。
結局、京平さんは、お代わりまでしてくれた。
こんな、平凡な料理を好んでくれた。
「春澄の味付けは私の味覚に合うね」なんて言われて、キスされて引きこもってたくせに、ウキウキで後片付けしている今がある。
あー、手の平の上で転がされてるのかなぁ……。
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