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始まりの章
11.ヴェズの森の探索。ドム視点
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森の生態調査とBランク級のレッドボアが複数出てるって事で、冒険者ギルドから討伐の依頼も兼ねて、俺たちはヴェズの森に来ていた。
レッドボア単体ではそこまで強くない。しかし、複数出るとなると、危険なため、一応俺たちSランクへの依頼となった。
街から往復で2週間の工程を組み、レッドボア討伐へ出た。ヴェズの森の中心部に近いところまで進み、レッドボアを把握できる範囲は倒しきり、気が楽になっていた時だった。
仲間のディーが、巨大鳥を見つけたと言って弓を出した。
人族ではあるがディーは、かなり目が良く大分離れてると思われる鳥らしき影に向かって弓を射た。
鳥に当たったのだろう、落下していく姿を2人で追いかけた。
今日はさっぱり鳥料理だ、なんて言いながら。レッドボアは、美味いが脂身も多い。連日となると、2人とも飽きていた。
段々と血の匂いが近づいていくが、ディーは、人族でもあり、数日前から鼻水が出ているようで匂いが辿れないみたいだ。
血痕のあとと匂いで大体の位置がわかった俺は、気配を研ぎ澄まし、一瞬で距離をつめて鳥の羽根を掴みあげた。
そして、俺たちは驚くことになる。
かなり大きな羽根であったこともそうだが…
そこには、肩を押さえて震え、痛みに呻く少女がいた。
ディーが人なのか、と問う。
人に見える。
羽根さえなければ…
羽根を離せば倒れていく。無意識に支えると、そこには額に汗をかきながらも、天使のような美貌の少女がいた。
うぅっ。
呻く少女の声にはっとなり、少女を抱え、急いで拠点としている洞窟へ戻る。
洞窟でポーションを準備し、矢を抜こうとしたが、矢が肩を貫き羽根まで到達していた。
矢じりが羽根に刺さっている状態であり、肩部分の服を慎重にナイフで破る。そして、まずは羽根から矢じりを抜く。そして、矢をおり、肩からも抜く。
出血は思ったよりなかったが、かなり顔面蒼白となっている。
すぐにポーションをかけたが、中級であり、傷はまだ深い。
中級ポーションでは、せいぜい深めの切り傷を治すのが精一杯で、今回のように貫いた傷を治すためには、最高級ポーションか、エリクサーしかない。
エリクサーは、無理でも、最高級ポーションを用意しなかった事が悔やまれる。
普段の俺たちなら中級ポーションでも余裕だった。Sランクはそれくらい強い。
念の為に、と用意したくらいであり、今回実際に使用する機会もなかった。
後悔しても遅い…
油断したつもりはなかったが、慢心していたようだ。
ディーはその間に、薬草を探しにいく。
薬草を探すのにも時間を要する。
中心部ともなると、魔物も強くなり、薬草が育つ環境は少ないのだ。見つかれば恩の字、というくらい見つかりにくい。
このような少女だ。高熱が出ており、どこまで体力が持つか分からない。
それに…羽根を傷つけてしまっており、今後飛べるのか…
傷のある肩と羽根に当たらないよう、下に布を敷き込み、彼女を横たえる。
ディーがしばらくして、幸運にも薬草をみつけ、戻ってきた。
薬草で薬を作り、肩と羽根に塗る。他にも足首が腫れている状態であり、骨折がないことを確認して薬を塗って固定した。
パッと見は他には傷がないことを確認した。息は荒いが、少しはマシになっているはず…
時間の経過が長く感じる。
神に祈りながら、帰りの行程を2人で立てる。すぐにでも街に戻るべきだが、ここは、ヴェズの森の奥深く、未踏の地も多いところだ。
治療や薬草を探すのに時間を要したため、もう日が落ち始めている。
今から出れば夜を森で過ごすことになる。それに、レッドボア討伐後であり体力はあるにはあるが…
いくら俺たちでも彼女を護りながら安全に通れるかは、分からない。
このまま待機し、朝一で出ることにした。
いても立っても居られず、ディーが少女が起きた時に食べれるようなものを探しに行く。
俺は、彼女の側で夜に向けて焚き火の準備をしながら、彼女が少しでも不快にならないよう汗を拭いたり、口元に水を垂らす。
レッドボア単体ではそこまで強くない。しかし、複数出るとなると、危険なため、一応俺たちSランクへの依頼となった。
街から往復で2週間の工程を組み、レッドボア討伐へ出た。ヴェズの森の中心部に近いところまで進み、レッドボアを把握できる範囲は倒しきり、気が楽になっていた時だった。
仲間のディーが、巨大鳥を見つけたと言って弓を出した。
人族ではあるがディーは、かなり目が良く大分離れてると思われる鳥らしき影に向かって弓を射た。
鳥に当たったのだろう、落下していく姿を2人で追いかけた。
今日はさっぱり鳥料理だ、なんて言いながら。レッドボアは、美味いが脂身も多い。連日となると、2人とも飽きていた。
段々と血の匂いが近づいていくが、ディーは、人族でもあり、数日前から鼻水が出ているようで匂いが辿れないみたいだ。
血痕のあとと匂いで大体の位置がわかった俺は、気配を研ぎ澄まし、一瞬で距離をつめて鳥の羽根を掴みあげた。
そして、俺たちは驚くことになる。
かなり大きな羽根であったこともそうだが…
そこには、肩を押さえて震え、痛みに呻く少女がいた。
ディーが人なのか、と問う。
人に見える。
羽根さえなければ…
羽根を離せば倒れていく。無意識に支えると、そこには額に汗をかきながらも、天使のような美貌の少女がいた。
うぅっ。
呻く少女の声にはっとなり、少女を抱え、急いで拠点としている洞窟へ戻る。
洞窟でポーションを準備し、矢を抜こうとしたが、矢が肩を貫き羽根まで到達していた。
矢じりが羽根に刺さっている状態であり、肩部分の服を慎重にナイフで破る。そして、まずは羽根から矢じりを抜く。そして、矢をおり、肩からも抜く。
出血は思ったよりなかったが、かなり顔面蒼白となっている。
すぐにポーションをかけたが、中級であり、傷はまだ深い。
中級ポーションでは、せいぜい深めの切り傷を治すのが精一杯で、今回のように貫いた傷を治すためには、最高級ポーションか、エリクサーしかない。
エリクサーは、無理でも、最高級ポーションを用意しなかった事が悔やまれる。
普段の俺たちなら中級ポーションでも余裕だった。Sランクはそれくらい強い。
念の為に、と用意したくらいであり、今回実際に使用する機会もなかった。
後悔しても遅い…
油断したつもりはなかったが、慢心していたようだ。
ディーはその間に、薬草を探しにいく。
薬草を探すのにも時間を要する。
中心部ともなると、魔物も強くなり、薬草が育つ環境は少ないのだ。見つかれば恩の字、というくらい見つかりにくい。
このような少女だ。高熱が出ており、どこまで体力が持つか分からない。
それに…羽根を傷つけてしまっており、今後飛べるのか…
傷のある肩と羽根に当たらないよう、下に布を敷き込み、彼女を横たえる。
ディーがしばらくして、幸運にも薬草をみつけ、戻ってきた。
薬草で薬を作り、肩と羽根に塗る。他にも足首が腫れている状態であり、骨折がないことを確認して薬を塗って固定した。
パッと見は他には傷がないことを確認した。息は荒いが、少しはマシになっているはず…
時間の経過が長く感じる。
神に祈りながら、帰りの行程を2人で立てる。すぐにでも街に戻るべきだが、ここは、ヴェズの森の奥深く、未踏の地も多いところだ。
治療や薬草を探すのに時間を要したため、もう日が落ち始めている。
今から出れば夜を森で過ごすことになる。それに、レッドボア討伐後であり体力はあるにはあるが…
いくら俺たちでも彼女を護りながら安全に通れるかは、分からない。
このまま待機し、朝一で出ることにした。
いても立っても居られず、ディーが少女が起きた時に食べれるようなものを探しに行く。
俺は、彼女の側で夜に向けて焚き火の準備をしながら、彼女が少しでも不快にならないよう汗を拭いたり、口元に水を垂らす。
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