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しおりを挟む「今日は街を散策したいな」
テストが終わった次の日、その日は週に一度の休日だった。
テストは入学試験と似た問題が多くそこまで難しくなかった。
テストも終わったし初めての休日ということで僕は浮かれていた。
「でも街に行く前にこの洗濯物持って行かないと」
僕は洗濯物が入ったカゴを持って前世で言うところのクリーニング屋さんの所に行く。
学園の生徒は自分で手洗うかそこに持っていき洗ってもらっている。手洗いをしてる生徒はほぼおらずほとんどの生徒がそこを利用していた。
学園の近くにある洗濯屋は休日ということもあり混んでいた。
僕は受付の列に並ぶ。
無事洗濯物を渡すことができ建物を出ようとした時僕は声をかけられた。
「侯爵家のご子息ともあろう方がこんな所にご自分の足でいらっしゃるんですか。よろしければ俺があなたのお世話をいたしますよ。洗濯物だけじゃなくそのほかにも色々沢山ね」
僕に声をかけてきた人が一瞬誰だか分からなかったけどよく考えると入学式の日にぶつかった人だということを思い出した。
その人は僕に近寄ってくると腰を抱き寄せ耳元で囁いてくる。
「俺にあなたのお世話をさせてください。あなたに不自由はさせませんよ」
手が腰やお尻を撫でてくることや耳元で囁かれることにぞわっとして全身に鳥肌がたった。
「大丈夫です」
僕はその人を両手で押しのけ距離をとる。
「そんなこと言わないで下さい」
その人はまた近寄ってきて僕の手を握る。
「ユーマ?」
「ミコト」
名前を呼ばれた方を向くとカゴを持ったミコトの姿が見えた。
「大丈夫ですから」
僕は握られていた手を振り払うとミコトの方に走って逃げて行った。僕の手を掴んでいたその人は諦めたのかそれ以上は追いかけてこなかった。
「ユーマ、あの人Bクラスの人だけど知り合い?」
「ううん、入学式でぶつかっちゃったことはあったけど名前も知らない人」
「ふーん、ところでなんでユーマはこんな所にいるの?」
「洗濯物持ってきたんだけど」
なんでミコトはそんなことを聞くんだろうかこの時の僕は不思議だった。
「ユーマが自分で?」
「うん、洗濯物渡して帰ろうとしたらさっきの人にお世話させて下さいとか訳わからないこと言われて困ってたからミコトが来てくれて助かったよ」
僕の言ったことにミコトはびっくりしたような顔をしている。僕の言葉にそんなびっくりするようなところあったかな?
「あぁもう、ユーマは学園のみんなが知ってるような裏事情とか知らなすぎ。ちょっと待っててこれ渡して来たらさっきのこと説明してあげるから」
ミコトはそう言うと小走りで建物の中に入って行った。
ミコトを待つ間にも沢山の人がカゴを持って建物の中に入って行く。カゴを2個持っている人が多く中には3個持っている人もいる。
そんな人達を眺めながらミコトを待っている間にも僕は何人かの人にお世話させて下さいと声を掛けられその人たちに囲まれていた。戻ってきたミコトがその人たちを追い払ってくれた。
「ユーマはこれからどうする予定だったの?」
「街を散策しようかなと思ってた」
「僕も街に行く予定だったからどこかお店に入って昼食取りながらゆっくり話そうか」
僕達は丁度やって来た辻馬車に乗り街の入口まで行く。
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