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 「ごめん、ジェイドお待たせ。ところでなんで2人もいるの?」

 脱衣所の扉を開けると無言で3人が立っていた。

 「ユーマ様が心配だから来たんですよ。朝まであんなに動きにくそうにしていたのにお風呂に入るなんて危ないじゃないですか。ただ私1人では心許ないのでカイトさんにも来てもらったんですよ」

 今はいつも通りに動けるけど朝の様子しか知らないレンは心配しているようだ。

 「心配かけてごめんね。もういつも通り動けるから大丈夫なんだよ。でも折角来てくれたからみんなでお風呂に入ろっか」
 「昨日はあんな状態だったんですから無理はしないで下さいね」

 カイトも心配しているみたいだ。僕の回復は魔力を使ったチートだから心配するのも仕方ないか。

 「俺とユーマの2人の時間邪魔しやがって」

 ジェイドが小声で何か言っているけど声が小さすぎて聞こえなかった。

 「ジェイド何か言った?」
 「何でもないぜ。ユーマ転びそうになったら俺が支えてやるからな。なんなら手を繋いでお風呂入るか」
 「ありがと、けど大丈夫だよ」

 僕が断るとジェイドはちょっと寂しそうな顔をした。
 それから4人で服を脱いでお風呂に入った。
 カイトは日焼けしていて筋肉もしっかり付いている。服を着ていた時はそんなにがっしりした印象が無かっただけにびっくりだ。
 レンは反対に色白でほっそりしている。お湯に浸かるとほんのり赤くなり何ともいえない感じになっていた。
 そんなレンをチラチラとカイトが盗み見ていたのに僕は気付いていた。

 「ユーマ危ないぞ」

 レンとカイトのことが気になりすぎて段差があるのを見落としていた。
 転びそうになった僕のお腹の辺りをジェイドが支えてくれた。

 「ごめん、ありがとう」
 「滑りやすいんだから気を付けろよ。俺はもう出るな」
 「分かった。僕はもう少し温まってから出るね」

 身体も洗い終わり早々にジェイドは出て行ってしまった。僕はレン達から少し離れた所で湯船にに浸かる。

 「はぁー」

 ちょうど良い温度で気持ちよく、おじさんみたいな声が出てしまった。

 「んっ?」

 レンとカイトの姿が目に入ったけどなんだか2人の距離が近い気がする。肩と肩が触れ合っている。
 僕は外の景色を眺めているふりをする為2人に背を向け窓に近寄り2人に集中する。そして覚えた魔法で2人の会話を盗み聞く。

 「ちょっとカイト何やっているんですか」

 ちゃんと魔法は成功したみたいでレンの声が聞こえてきた。

 「だってレンと一緒にお風呂に入れるの嬉しいし肌が色っぽくて触りたくなったから。ほらここも固くなってきてるじゃないか」
 「あっ、んっ。もう駄目ですよ。ユーマ様がいるんですから。ちょっと駄目ですって。んっ」
 「ユーマ様なら外向いているから大丈夫だって。チュッ」

 あの2人一体何してるの。
 僕には声が聞こえるけど姿は見えない。会話から2人が何をしているのか想像することしかできなかった。

 「今日のデート楽しかったな。また休み合わせて行こうな」
 「絶対ですよ」

 あー、2人は付き合っていたんですね。
 お似合いのカップルだと思う。

 ざぱっ
 
 僕はもっと2人の会話を聞いていたかったけど熱くなってきたから出ることにした。
 大きい水音を立ててアピールする。
 振り返ると2人は少し離れていた。

 「レン、僕もう出るね。2人はもう少し入ってていいよ。外にジェイドいるから大丈夫だからね」

 僕はそれだけ言うとジェイドがいるはずの脱衣所に出て行った。
 外ではジェイドが水を用意して待っていてくれた。

 「ありがと」

 ジェイドの隣に座り水を飲む。勢いつけすぎて口から溢れでた水をジェイドが拭いてくれた。
 僕が水を飲み終わる頃に2人はお風呂から出てきた。
 レンの胸元に入る時には無かった小さな痕を僕は発見した。

 「今日はいいもの見たな」

 ベッドに入り2組のカップルのことを思い出しながら就寝した。いつもよりぐっすり気持ちよく寝ることができた気がする。
 次の日の訓練の時間、いつも通りレンがついて来てくれた。
 休憩時間になるとエルが差し入れを持ってやって来てユーキと楽しそうに話をしている。レンはカイトのために紅茶を淹れている。
 その光景を見ているだけで僕は胸一杯、お腹一杯になった。 
 余所見しすぎて果実水を溢した僕の世話をジェイドがしてくれた。
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