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ウェストラル王国編
171 アイリの想い
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映画鑑賞を終えてリゼ達の部屋に集まった女性達十人。
アイリは一人掛けの椅子に座り、三人掛けのソファーには左手前からウルハ、ミューラン、リナが座り、右手前側からはエイミー、ユフィ、シェリルの順に座る。
アイリの正面側にはリゼ、ミリー、エレクトラが座り、コーヒーや紅茶を飲んで女子会を開催する。
「さぁ、聞かせてもらうわよアイリ」
腕組みをして踏ん反り返ったリゼが問う。
「ちょっ、ちょっとなんでこんな公開処刑みたいな状況になってるんですか!?」
「皆さんとても興味がおありのようですから」
「でも恥ずかしいですよ!?」
「だからこそいいんです!」
エレクトラもミリーもアイリのこの話を楽しみにしていたようだ。
アイリにフラれたであろうダンテには申し訳ないが、女性陣はこのアイリの恋愛感情、今の気持ち、想いが気になって仕方がない。
「ううぅ…… な、何を話せばいいんですか?」
「そうね…… 聞きたい事は二つ。何故ダンテをフったのか、それと今のアイリが誰を好きなのか。まずはそれを聞きたいわ」
「ダンテは…… 何年も前から一緒にお仕事をしてましたし、なんでも相談に乗ってくれる素敵な男性です。一緒にいれば気を使う事もなく心地いいと感じますし、何があっても安心していられます」
アイリは全員に見つめられて恥ずかしさと気不味さを感じながら以前と同じ思いを話す。
「それでどうしてフったんだ!?」
ミューランとしても不思議に思う。
一緒にいて心地よく、安心できる相手であれば何も問題はないだろう。
「ダンテの告白を受け、自分で答えを出したのにも関わらず…… その日の夜は涙が止まりませんでした」
「何故涙が止まらなかったんです?」
眼鏡をクイッと持ち上げながら問いかけるユフィ。
恋愛ものの映画を見た影響もあって興味津々だ。
「それは…… 私が…… 好きな人に気づ……」
アイリは顔を赤らめながら言葉尻が萎む。
「それが蒼真なのね?」
リゼがスバリ真相に触れる。
一気に顔が真っ赤になるアイリだが、気持ちを落ち着かせてリゼに答える。
「…… はい。蒼真さんに対する想いは尊敬と憧れだと思ってたんですけどね。自分で言葉にして納得したはずなのに…… 胸が痛かったんです」
「ふむふむ、イイですね。続きをどうぞ」
ウルハが身を乗り出してアイリに続きを勧める。
「あの時は必死で自分の気持ちを抑えてましたし、その後の蒼真さんの態度が曖昧でどうしていいかわからなくて……」
「まったくですよ! あの時の蒼真さんの態度はちょっと頂けませんでしたねぇ!」
「そうよ! 私だって文句の一つも言ってやりたかったわよ!」
ミリーとリゼはあの日の蒼真には納得いかなかった事もあり、ややお怒り気味だ。
「蒼真さんは今も想っている人がいるんです。彼は嘘をつけない人ですから…… デヴィルと戦ったあの後からは少し距離を感じましたし、同時に寂しそうな表情を見せるようになりました。以前ミリーさんとリゼさんから聞いていた、元の世界の恋人の事を想っているのだとすぐにわかりました」
「え…… ミリーは気付いてた?」
「むぅ、リゼさんも気付いてないですよね……」
蒼真の変化にはミリーもリゼも気付いていなかったようだ。
アイリだけが気付き、その気持ちを理解したうえでのダンテへの答えだったのかもしれない。
そう思うとアイリに対して強く言えなくなるミリーとリゼ。
「尊敬し、憧れていたのは朱王さんも同じ事でしたので、蒼真さんの事も尊敬と憧れと納得しようとしたんです。でもそれができなくて…… 切なくて…… 涙が止まらなくて……」
涙を流すアイリは本心を語っているのだろう。
楽しく恋バナという雰囲気が全くない。
「その夜、朱王さんに相談に行きました」
「んなっ!? 朱王は一言もそんな事言いませんでしたよ!?」
「誰にも言わないでもらえるようお願いしましたから」
「ぬおぉお! 聞きたかったのに!」
ミリーは朱王が話してくれなかった事よりも、自分が聞きたかったという願望の方が強い。
「朱王さんは自分の気持ちを大事にしなさいと言ってくれました。もう一度蒼真さんを見て自分がどう思い、どう感じるか。その気持ちを大切に、自分に正直に生きなさいとアドバイスを下さいました」
「むぅ。朱王らしいですねぇ」
「あの人は本当に自分に正直に生きてるわよね」
自分の思ったままに全てを実行してきた朱王。
リゼが言うように、本当に自分に正直に生きているなと誰もが納得する。
「それで次の日の夜、お酒を飲んで酔っ払っていましたが、蒼真さんが言ってくれたんです。私に幸せになって欲しい、いつも笑っていてと。その瞬間もう蒼真さん以外考えられなくなりました」
その後酔い潰れてしまったのだが、自分の想いが今も異世界にいる恋人にあると語った蒼真の言葉だ。
酔っていたとしても本音である事に間違いはなく、自分の事も幸せになって欲しいと言ってもらえたのだ。
あの日のアイリにとって涙が出る程嬉しい言葉だった。
「ノーリスではいつも通りだったものね。その時にはもうアイリの想いは決まっていたわけね……」
ミリーと顔を見合わせて思い返すリゼ。
思い返しているのは何故か蒼真の膝上に座る朱王の姿だが。
「わたくしに勉強を教えて下さるようにと言ったのはアイリさんでしたが…… どうしてですか?」
「それは初めて蒼真さんに出会った頃の気持ちを思い出したくて…… は、恥ずかしいですね」
「出会った頃の気持ちはどうだったのですか?」
「やはり尊敬できますし、その言葉一つ一つがまるで魔法のようでした。動き一つとっても胸が高鳴る思いでしたし」
「恋とはそのような気持ちにさせてくれるのですね……」
エレクトラはまだ理解できない恋愛について少し考える。
いずれは自分に相応しいとされる男性との結婚をと考えていたエレクトラだが、ここにきて自分に選ばれた相手ではなく、自分が想いを寄せる男性と結婚がしたいと感じ始めた。
「では今の気持ちを聞かせてくれますか?」
エイミーから最後の振り。
「私は…… 蒼真さんが好きです」
顔を赤く染めながらも笑顔を見せるアイリはとても綺麗で、ミリーとリゼもアイリの言葉に満足そうだ。
ミューランがいい話だったと拍手すると他の幹部達も拍手をし、突然の拍手にまた恥ずかしくなるアイリだった。
その後は千尋や蒼真達の事を聞く幹部やウルハ達。
千尋の事が気になっているエイミーからの質問はもちろん朝の魔力訓練だ。
光り輝く千尋の訓練は予備魔力としての魔力球の完全制御と、今放出できる全魔力での強化の訓練であると説明した。
予備魔力? 完全制御? と疑問は多かったものの、朱王と同等の魔力制御が可能だと説明して納得してもらった。
朱王の人知を超えたその強さや能力の高さはクリムゾンの誰もが知るところ。
朱王には説明の付かない部分が多い為、朱王並みと言われれば理解不能と納得するのがクリムゾンメンバーだ。
千尋に恋心が芽生え始めたエイミー。
「リゼ様。千尋様を私にください」
「なっ…… ダ、ダメよ!!」
「では私を側室に」
「ダメよ!!」
「では私が正室に?」
「絶対に許さないわ!!」
「リゼさん、千尋さんに変な目を向けているとエイミーさんに取られちゃいますよ?」
「んなっ!? いつも千尋は可愛いいなぁって見てるわよ!! 変な目なんて向けてないわ!!」
「…… エイミーさんは千尋さんをどう見ますか?」
「綺麗で楽しい方だと思います。表情も豊かですし、時々凛々しく見えてとても素敵な方だと思います」
「リゼさん頑張ってくださいね!」
「もう!! やーめーてーよぉお!!」
普段から恋愛について攻めてくるリゼに、今後エイミーを嗾けて楽しもうと考えるミリーだった。
次にアイリの話に出てくる蒼真についてミューランが問う。
蒼真はアマテラスパーティーの師であり、ノーリス王国最強の剣豪ヴィンセントと互角か上回る程の実力の持ち主と説明した。
強さだけでなく様々な知識を持ち、努力家でかっこよく、優しくて時々可愛いと絶賛するアイリだが、エレクトラも同じように説明するので、事実なのだろうとミューランもとりあえず受け止める。
「エレクトラさんから見ても蒼真さんはそう映るんですか?」
「はい! 蒼真さんは素敵ですもの。わたくしが尊敬しております師匠様を一度倒して見せたのです。師匠様の勝利を信じて疑わなかったのですが、あの鬼気迫る戦いに胸が高鳴りました!」
「それは戦いですからそう感じただけではありませんか?」
「あの恐るべき威力を手に入れた師匠様に通常剣術で挑んだのですよ!? 危機的状況でありながら必死に耐え凌ぎ、そして最後の一撃で上回る。このような殿方にならこの身を任せても……」
「えぇぇぇぇえ!? エレクトラさん、やめてください!! お願いします!! たった今私の気持ちをお話ししたばかりじゃないですか!!」
「ふふふ。どうしましょうかね」
エレクトラもパーティーに入っていろいろと妙な事を口走るようになった。
揶揄い半分だが、エレクトラの容姿は超絶美人。
アイリもエレクトラに負けない程に美人なのだが、エレクトラが実際に蒼真に好意を持つようになれば必ず勝てるという確証は持てない。
まだ恋心が芽生えないエレクトラだが、今後誰にその想いを向けるかはわからないので心配だ。
そう、エレクトラが変な男に引っかからないか心配するのではなく、自分の想い人が盗られてしまうのではと、逆の意味での心配なのだが。
そしてウルハからは朱王についての質問が。
やはりここ最近の朱王についても気になるのだろう。
まずはミリーとリゼが朱王との出会いから話し始め、アイリの合流や様々な冒険、物作りや遊びとこれまでの出来事を振り返りながら話をする。
朱王の事を身振り手振り説明するミリーは可愛らしく、ウルハにとっても自分が好きな朱王の恋人だとしても好感が持てる。
それはミューラン達にとっても同じ事。
ミリーはクリムゾンの母となる予定の女性の為、クリムゾンに所属する者としては気にならないはずがない。
ミリーの話は面白く、何気ない仕草や言葉が人を楽しくさせる力を持つ。
この場にいる誰もが朱王の恋人がミリーであるならばとその表情も嬉しそうだ。
ただウルハはまだ側室の座を狙っている事に変わりはないのだが。
アイリは一人掛けの椅子に座り、三人掛けのソファーには左手前からウルハ、ミューラン、リナが座り、右手前側からはエイミー、ユフィ、シェリルの順に座る。
アイリの正面側にはリゼ、ミリー、エレクトラが座り、コーヒーや紅茶を飲んで女子会を開催する。
「さぁ、聞かせてもらうわよアイリ」
腕組みをして踏ん反り返ったリゼが問う。
「ちょっ、ちょっとなんでこんな公開処刑みたいな状況になってるんですか!?」
「皆さんとても興味がおありのようですから」
「でも恥ずかしいですよ!?」
「だからこそいいんです!」
エレクトラもミリーもアイリのこの話を楽しみにしていたようだ。
アイリにフラれたであろうダンテには申し訳ないが、女性陣はこのアイリの恋愛感情、今の気持ち、想いが気になって仕方がない。
「ううぅ…… な、何を話せばいいんですか?」
「そうね…… 聞きたい事は二つ。何故ダンテをフったのか、それと今のアイリが誰を好きなのか。まずはそれを聞きたいわ」
「ダンテは…… 何年も前から一緒にお仕事をしてましたし、なんでも相談に乗ってくれる素敵な男性です。一緒にいれば気を使う事もなく心地いいと感じますし、何があっても安心していられます」
アイリは全員に見つめられて恥ずかしさと気不味さを感じながら以前と同じ思いを話す。
「それでどうしてフったんだ!?」
ミューランとしても不思議に思う。
一緒にいて心地よく、安心できる相手であれば何も問題はないだろう。
「ダンテの告白を受け、自分で答えを出したのにも関わらず…… その日の夜は涙が止まりませんでした」
「何故涙が止まらなかったんです?」
眼鏡をクイッと持ち上げながら問いかけるユフィ。
恋愛ものの映画を見た影響もあって興味津々だ。
「それは…… 私が…… 好きな人に気づ……」
アイリは顔を赤らめながら言葉尻が萎む。
「それが蒼真なのね?」
リゼがスバリ真相に触れる。
一気に顔が真っ赤になるアイリだが、気持ちを落ち着かせてリゼに答える。
「…… はい。蒼真さんに対する想いは尊敬と憧れだと思ってたんですけどね。自分で言葉にして納得したはずなのに…… 胸が痛かったんです」
「ふむふむ、イイですね。続きをどうぞ」
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「あの時は必死で自分の気持ちを抑えてましたし、その後の蒼真さんの態度が曖昧でどうしていいかわからなくて……」
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「蒼真さんは今も想っている人がいるんです。彼は嘘をつけない人ですから…… デヴィルと戦ったあの後からは少し距離を感じましたし、同時に寂しそうな表情を見せるようになりました。以前ミリーさんとリゼさんから聞いていた、元の世界の恋人の事を想っているのだとすぐにわかりました」
「え…… ミリーは気付いてた?」
「むぅ、リゼさんも気付いてないですよね……」
蒼真の変化にはミリーもリゼも気付いていなかったようだ。
アイリだけが気付き、その気持ちを理解したうえでのダンテへの答えだったのかもしれない。
そう思うとアイリに対して強く言えなくなるミリーとリゼ。
「尊敬し、憧れていたのは朱王さんも同じ事でしたので、蒼真さんの事も尊敬と憧れと納得しようとしたんです。でもそれができなくて…… 切なくて…… 涙が止まらなくて……」
涙を流すアイリは本心を語っているのだろう。
楽しく恋バナという雰囲気が全くない。
「その夜、朱王さんに相談に行きました」
「んなっ!? 朱王は一言もそんな事言いませんでしたよ!?」
「誰にも言わないでもらえるようお願いしましたから」
「ぬおぉお! 聞きたかったのに!」
ミリーは朱王が話してくれなかった事よりも、自分が聞きたかったという願望の方が強い。
「朱王さんは自分の気持ちを大事にしなさいと言ってくれました。もう一度蒼真さんを見て自分がどう思い、どう感じるか。その気持ちを大切に、自分に正直に生きなさいとアドバイスを下さいました」
「むぅ。朱王らしいですねぇ」
「あの人は本当に自分に正直に生きてるわよね」
自分の思ったままに全てを実行してきた朱王。
リゼが言うように、本当に自分に正直に生きているなと誰もが納得する。
「それで次の日の夜、お酒を飲んで酔っ払っていましたが、蒼真さんが言ってくれたんです。私に幸せになって欲しい、いつも笑っていてと。その瞬間もう蒼真さん以外考えられなくなりました」
その後酔い潰れてしまったのだが、自分の想いが今も異世界にいる恋人にあると語った蒼真の言葉だ。
酔っていたとしても本音である事に間違いはなく、自分の事も幸せになって欲しいと言ってもらえたのだ。
あの日のアイリにとって涙が出る程嬉しい言葉だった。
「ノーリスではいつも通りだったものね。その時にはもうアイリの想いは決まっていたわけね……」
ミリーと顔を見合わせて思い返すリゼ。
思い返しているのは何故か蒼真の膝上に座る朱王の姿だが。
「わたくしに勉強を教えて下さるようにと言ったのはアイリさんでしたが…… どうしてですか?」
「それは初めて蒼真さんに出会った頃の気持ちを思い出したくて…… は、恥ずかしいですね」
「出会った頃の気持ちはどうだったのですか?」
「やはり尊敬できますし、その言葉一つ一つがまるで魔法のようでした。動き一つとっても胸が高鳴る思いでしたし」
「恋とはそのような気持ちにさせてくれるのですね……」
エレクトラはまだ理解できない恋愛について少し考える。
いずれは自分に相応しいとされる男性との結婚をと考えていたエレクトラだが、ここにきて自分に選ばれた相手ではなく、自分が想いを寄せる男性と結婚がしたいと感じ始めた。
「では今の気持ちを聞かせてくれますか?」
エイミーから最後の振り。
「私は…… 蒼真さんが好きです」
顔を赤く染めながらも笑顔を見せるアイリはとても綺麗で、ミリーとリゼもアイリの言葉に満足そうだ。
ミューランがいい話だったと拍手すると他の幹部達も拍手をし、突然の拍手にまた恥ずかしくなるアイリだった。
その後は千尋や蒼真達の事を聞く幹部やウルハ達。
千尋の事が気になっているエイミーからの質問はもちろん朝の魔力訓練だ。
光り輝く千尋の訓練は予備魔力としての魔力球の完全制御と、今放出できる全魔力での強化の訓練であると説明した。
予備魔力? 完全制御? と疑問は多かったものの、朱王と同等の魔力制御が可能だと説明して納得してもらった。
朱王の人知を超えたその強さや能力の高さはクリムゾンの誰もが知るところ。
朱王には説明の付かない部分が多い為、朱王並みと言われれば理解不能と納得するのがクリムゾンメンバーだ。
千尋に恋心が芽生え始めたエイミー。
「リゼ様。千尋様を私にください」
「なっ…… ダ、ダメよ!!」
「では私を側室に」
「ダメよ!!」
「では私が正室に?」
「絶対に許さないわ!!」
「リゼさん、千尋さんに変な目を向けているとエイミーさんに取られちゃいますよ?」
「んなっ!? いつも千尋は可愛いいなぁって見てるわよ!! 変な目なんて向けてないわ!!」
「…… エイミーさんは千尋さんをどう見ますか?」
「綺麗で楽しい方だと思います。表情も豊かですし、時々凛々しく見えてとても素敵な方だと思います」
「リゼさん頑張ってくださいね!」
「もう!! やーめーてーよぉお!!」
普段から恋愛について攻めてくるリゼに、今後エイミーを嗾けて楽しもうと考えるミリーだった。
次にアイリの話に出てくる蒼真についてミューランが問う。
蒼真はアマテラスパーティーの師であり、ノーリス王国最強の剣豪ヴィンセントと互角か上回る程の実力の持ち主と説明した。
強さだけでなく様々な知識を持ち、努力家でかっこよく、優しくて時々可愛いと絶賛するアイリだが、エレクトラも同じように説明するので、事実なのだろうとミューランもとりあえず受け止める。
「エレクトラさんから見ても蒼真さんはそう映るんですか?」
「はい! 蒼真さんは素敵ですもの。わたくしが尊敬しております師匠様を一度倒して見せたのです。師匠様の勝利を信じて疑わなかったのですが、あの鬼気迫る戦いに胸が高鳴りました!」
「それは戦いですからそう感じただけではありませんか?」
「あの恐るべき威力を手に入れた師匠様に通常剣術で挑んだのですよ!? 危機的状況でありながら必死に耐え凌ぎ、そして最後の一撃で上回る。このような殿方にならこの身を任せても……」
「えぇぇぇぇえ!? エレクトラさん、やめてください!! お願いします!! たった今私の気持ちをお話ししたばかりじゃないですか!!」
「ふふふ。どうしましょうかね」
エレクトラもパーティーに入っていろいろと妙な事を口走るようになった。
揶揄い半分だが、エレクトラの容姿は超絶美人。
アイリもエレクトラに負けない程に美人なのだが、エレクトラが実際に蒼真に好意を持つようになれば必ず勝てるという確証は持てない。
まだ恋心が芽生えないエレクトラだが、今後誰にその想いを向けるかはわからないので心配だ。
そう、エレクトラが変な男に引っかからないか心配するのではなく、自分の想い人が盗られてしまうのではと、逆の意味での心配なのだが。
そしてウルハからは朱王についての質問が。
やはりここ最近の朱王についても気になるのだろう。
まずはミリーとリゼが朱王との出会いから話し始め、アイリの合流や様々な冒険、物作りや遊びとこれまでの出来事を振り返りながら話をする。
朱王の事を身振り手振り説明するミリーは可愛らしく、ウルハにとっても自分が好きな朱王の恋人だとしても好感が持てる。
それはミューラン達にとっても同じ事。
ミリーはクリムゾンの母となる予定の女性の為、クリムゾンに所属する者としては気にならないはずがない。
ミリーの話は面白く、何気ない仕草や言葉が人を楽しくさせる力を持つ。
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