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クイースト王国編
099 超級魔獣デーモン
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飛行装備が完成した翌日、二度目のデーモンの討伐に向かう事にした。
前回は一体を問題なく倒す事ができたが、斥候のデーモンであの強さ。
油断はできない。
大量のお菓子と弁当を二つずつ購入して出発だ。
相変わらず車の中では映画を観ながらの緊張感のなさ。
いつもの事なので特に気にする事もないが。
三時間程で前回戦闘した地点へとたどり着いたが、今回はデーモンが向かってくる事はなかった。
そのまま車を進めて行くと強烈な魔力で威嚇される。
どうやら超級魔獣のテリトリーに入ったようだ。
車を降りて辺りを探る。
ここは広い平原で草木などは生えておらず、少し離れた位置に低い岩山が聳えるのみ。
その岩山の陰から巨大な魔獣が現れる。
その数九体。
「これはまずいね。デヴィル化すると私より強いかもしれない」
「うそ!? やばくない!?」
「最悪の場合全員で掛かれば何とかなるだろう」
「私達連携なんてできないわよ?」
「そもそもする気ないじゃないですか!」
「朱王様が負けるはずはないので大丈夫です!」
「奴らなかなか強そうじゃのぉ」
各々武器を持って構える。
最低でも一人一殺。
デーモンの中でも個体差があり、中央に立つのはデモンロードだろうか、一際大きな体を持つ。
それに続く大きさを持つ個体が三体。
眷属として生まれた古いデーモンだろうと予想する。
それに次ぐ大きさの三体。
このデーモンも数百年前に生まれたのだろうと思われる。
残りの二体は少し小さめだが、前回戦ったデーモンと同等の大きさだ。
まず飛び上がったのは最も小さなデーモン二体。
これに苦戦すればこの後キツい。
まずは朱王が出る。
「この二体が片付けばたぶん一気に襲ってくると思う。千尋君と蒼真君、ミリーは巨大な奴らの相手をお願いね。リゼさんとアイリ、朱雀は他の三体を。あれもかなり強いから気をつけて」
朱王の予測では全員が格上の相手だ。
全員が苦戦を強いられる事を予想する。
そして自分が戦うのはデモンロードだが、一体倒されるごとに強くなる。
かといって先に倒せば他の個体がデモンロードとなり、その力が還元されて超強力な個体へと変貌する。
危険極まりない為全て片付くまでは持久戦とするべきだ。
全員戦闘準備をして待機する。
朱王は地属性強化して二体のデーモンを迎え撃つ。
縦に並んで飛んでくる最も小さいデーモン二体。
その身長は軽く3メートルを超える。
駆け出した朱王は朱雀丸を右に構えて跳躍。
ただの跳躍だが地面で爆発が起こったかのような瞬発力。
デーモンの体を横薙ぎにぶった斬る。
一撃の元に一体目のデーモンを斬り伏せ、二体目に左逆袈裟に斬りあげる。
一体目への一撃程の威力がでない逆袈裟だが、デーモンの右腕から胸まで斬り裂く。
そのまま朱王の暴風の如き連撃でデーモンにとどめを刺す。
前回蒼真達が魔法陣を発動した状態での精霊魔法で苦戦したデーモンを相手に、強化のみで瞬殺する朱王。
初めて見る殺意を持った朱王は、デーモン以上の化け物に見えてしまう。
そして岩山からは残りのデーモンが一斉に飛び上がった。
最初に接触したのはアイリ。
下級魔法陣を発動してデーモンに雷刃を放つ。
左袈裟に振り下ろされたクラウからの雷刃は、デーモンの右の拳とぶつかり合う。
追加効果の付与された一撃がデーモンの右腕を切り傷と熱、そして麻痺を与える。
ヴォァァッ!! と悲鳴を漏らしたデーモンは左の拳でアイリに殴り掛かる。
ソラスによる雷刃で同じように左腕にも麻痺を残す。
デーモンはその超速回復により傷を塞いだが、雷による麻痺がまだ抜けない。
空中に舞ったままで右の横薙ぎの蹴りがアイリへと向かう。
重力操作を使用して地面へと落下速度を上げて蹴りを回避。
蒼真と同じような戦い方だ。
両手に麻痺が残る今がチャンス。
紫電を放つアイリは飛行装備を起動して飛び上がる。
チャージの終わらない雷狼を待つ間、クラウ・ソラスの迅雷でデーモンへの斬撃を繰り出す。
精霊魔法でなくともその威力は高く、デーモンも防御できずに悲鳴をあげて地面へと落ちていく。
チャージの終わったイザナギがクラウから飛び出すと共に、アイリは体を翻してデーモンに向かって降下。
地面に落ちたデーモンの背中にクラウを突き立てる。
雷刃がデーモンの体内を焼き、麻痺の効果を全身に与える。
続いてチャージを終えたイザナミで再び背中へと雷刃を突き立てる。
手加減は一切しない。
麻痺の効果があるうちにとひたすらに迅雷による斬撃を繰り出す。
超速再生によって傷はすぐに塞がるものの、そのダメージは蓄積されていく。
それでもまだ倒せないデーモン。
全身に与えた麻痺はその効果が切れるのは早いようだ。
背中から飛び上がり、デーモンを見据えるアイリ。
一気に畳み込むつもりだった為息も荒い。
息を整えると雷狼達もチャージを終える。
アイリの弱みは一撃の軽さだ。
最速の剣、最速の動きでも与えられるダメージは他のメンバーよりも低い。
そして魔力量も最も低い。
長引かせるわけにはいかない。
アイリは上級魔法陣ボルテクスを発動し、雷狼もその魔力に応じて巨大な姿へと変貌する。
立ち上がったデーモン。
全身の麻痺が抜け、咆哮をあげてアイリに向かう。
通常通りイザナギを放ったのでは威力が足りない。
やはり最大の攻撃力を誇る雷刃で放つべきだろう。
ボルテクスで強化された迅雷も、豪雷と呼べるほどに威力が高い。
全力で強化したデーモンの左右の攻撃に、剣を打ち付けるようにして防ぐアイリ。
豪雷でさえ相殺される程の強化。
その大きな体から放たれる拳は素早さの高いアイリでも捌ききるのは難しい。
苦しい、息が続かない。
それでも止む事のない攻撃にひたすら耐える。
このままではジリ貧だ。
魔力の消費量が大きいが、体から紫電を放って加速を狙う。
体捌きの速度を上げ、剣の威力をさらに引き上げる。
そしてわずかにデーモンの攻撃にタイミングのズレが生じる。
一瞬で懐に飛び込んで、全力の雷刃を右逆袈裟にソラスで斬りあげる。
ボルテクスで強化されたイザナミの雷撃は体内で爆発するかのような一撃だ。
クラウ・ソラスの能力、迅雷にイザナミと上級魔法陣ボルテクスの威力が上乗せされた轟雷。
仰け反るように倒れていくデーモンだが、まだ息はある。
とどめとばかりにクラウでの雷刃。
再び爆発の如き轟雷がデーモンの体内を焼き焦がす。
強烈な雷がデーモンの内蔵機能を停止させ、その命を奪う。
千尋や蒼真、ミリーに朱雀と次々と戦闘を始めていき、リゼはルシファーを薙いでデーモンを迎え討つ。
リゼへと拳を振りかぶったデーモンに最速の剣尖を放つ。
待ち構えたリゼの攻撃はもちろんバジリスクの毒を込めている。
その一撃を受けたデーモンにルシファーが刺さる事はない。
しかしバジリスクの毒がデーモンの体を蝕む。
悲鳴をあげて苦しみだすデーモン。
のたうち回るデーモンにリゼはシズクとリッカ、下級魔法陣ウォーターとアイスを発動して襲い掛かる。
普通に戦っても倒せるとは思えない。
今この毒で与えたダメージで苦しんでいるところを叩き潰す。
飛行装備でデーモンの上空へと舞い上がり、苦しむデーモンへとルシファーと氷の乱撃を叩き込む。
魔法陣で強化した氷は超高強度。
しかしその氷槍すら通らない程にデーモンは強靭だ。
そしてルシファーの刃も通らない。
それならばと魔力を練ってルシファーに水を纏う。
デーモンの真上から加速して腹部へルシファーを突き立てる。
同時に氷結魔法。
のたうち回っていたデーモンも氷に固められて身動きが取れなくなる。
再び舞い上がるリゼ。
空高く舞い上がったリゼは何をする気なのか。
上級魔法陣アクア、そして上級魔法陣ブリザードを発動し、超特大の氷槍を錬成。
上級魔法陣による超高強度な氷の槍。
上空から加速してデーモンへと降下するリゼと、同時に氷槍も加速しながらデーモンへと向かう。
そして最速の剣尖とともに放たれた氷槍は、身動きの取れないデーモンの胸を貫く。
その強度と質量、氷魔法による凝固と強度の低下によりデーモンの体が破壊される。
しかしデーモンの最期の悪あがき。
口内に魔力が集められ、風の弾丸がリゼへと向かう。
全力の一撃を放ったリゼは動けない。
咄嗟にシズクとリッカが防御壁を作り出すが風の弾丸が防御壁を破ると同時に爆破。
リゼも爆風でダメージを受ける。
地面へと落下したリゼだが、飛行装備をわずかに操ってそのまま落ちる事は回避。
強引に立ち上がってデーモンを見ると、息絶えた死体が転がっていた。
朱雀はデーモンに炎の斬撃を放つ。
その一撃を放つ朱雀は本当に楽しそうだ。
今日は飛行する魔獣デーモンの為、朱雀も炎の翼を生やしてデーモンに挑む。
デーモンの左右の攻撃に朱雀は全て剣で捌く。
重い一撃も全て受け流し、回避する事でデーモン相手でも余裕がある。
普段カミン達との訓練が、朱雀の剣術を以前の比ではない程に高めてくれた。
その実感を今まさに感じている。
朱雀とデーモンの攻防は苛烈さを極め、空を縦横無尽に飛び回りながらお互いの隙を狙う。
朱雀が顔面目掛けて向かった瞬間に口を開き、ブレスを吐き出すデーモン。
朱雀も負けじと口を開いて炎の特大ブレス。
相殺し合うブレスの爆発。
距離を取ろうとするデーモンと、それを追う朱雀。
超高速で飛行しながら魔力を高めたデーモンは、複数の圧縮した風球を放つ。
全て回避した朱雀。
その後方では圧縮空気の爆発が起こっているが気にしない。
そして追い付きそうになった朱雀と急制動するデーモン。
デーモンの後頭部に顔面から突っ込む朱雀。
その痛みに悶絶する朱雀だが、お構いなしにデーモンは両手を固めた拳で朱雀を叩き落とす。
その威力は尋常ではなく、上空数百メートルの高さから朱雀は地面に向かって高速で落ちていく。
ニイッとしたデーモンは朱雀の後を追って降下する。
朱雀が地面に打ち付けられる手前で炎翼の出力が増加。
地面スレスレに滑空して再び舞い上がり、デーモンと同じ高さまで上昇して空中浮揚。
強烈な一撃をもらったというのに楽しそうな朱雀。
デーモンは雄叫びと共にブレスを吐き出す。
同じように朱雀もブレスを吐き出す。
相殺し合うと同時に拳と剣を打ち付け合う双方。
再び空での飛行戦闘が再開される。
先行するデーモンを追う朱雀。
先程と同じ形だ。
しかし朱雀は口内に魔力を集中してブレスを撃ち出す。
撃ち出すブレスは爆裂弾。
当たった瞬間に爆発する。
飛行を阻害されてその速度を落とすデーモン。
余裕がなくなるデーモンと、未だ楽しそうな朱雀。
他のメンバーをチラチラと見ているあたり、今この状況を最後まで楽しむつもりなのだろう。
今はまだとどめを刺すつもりはなさそうだ。
前回は一体を問題なく倒す事ができたが、斥候のデーモンであの強さ。
油断はできない。
大量のお菓子と弁当を二つずつ購入して出発だ。
相変わらず車の中では映画を観ながらの緊張感のなさ。
いつもの事なので特に気にする事もないが。
三時間程で前回戦闘した地点へとたどり着いたが、今回はデーモンが向かってくる事はなかった。
そのまま車を進めて行くと強烈な魔力で威嚇される。
どうやら超級魔獣のテリトリーに入ったようだ。
車を降りて辺りを探る。
ここは広い平原で草木などは生えておらず、少し離れた位置に低い岩山が聳えるのみ。
その岩山の陰から巨大な魔獣が現れる。
その数九体。
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「うそ!? やばくない!?」
「最悪の場合全員で掛かれば何とかなるだろう」
「私達連携なんてできないわよ?」
「そもそもする気ないじゃないですか!」
「朱王様が負けるはずはないので大丈夫です!」
「奴らなかなか強そうじゃのぉ」
各々武器を持って構える。
最低でも一人一殺。
デーモンの中でも個体差があり、中央に立つのはデモンロードだろうか、一際大きな体を持つ。
それに続く大きさを持つ個体が三体。
眷属として生まれた古いデーモンだろうと予想する。
それに次ぐ大きさの三体。
このデーモンも数百年前に生まれたのだろうと思われる。
残りの二体は少し小さめだが、前回戦ったデーモンと同等の大きさだ。
まず飛び上がったのは最も小さなデーモン二体。
これに苦戦すればこの後キツい。
まずは朱王が出る。
「この二体が片付けばたぶん一気に襲ってくると思う。千尋君と蒼真君、ミリーは巨大な奴らの相手をお願いね。リゼさんとアイリ、朱雀は他の三体を。あれもかなり強いから気をつけて」
朱王の予測では全員が格上の相手だ。
全員が苦戦を強いられる事を予想する。
そして自分が戦うのはデモンロードだが、一体倒されるごとに強くなる。
かといって先に倒せば他の個体がデモンロードとなり、その力が還元されて超強力な個体へと変貌する。
危険極まりない為全て片付くまでは持久戦とするべきだ。
全員戦闘準備をして待機する。
朱王は地属性強化して二体のデーモンを迎え撃つ。
縦に並んで飛んでくる最も小さいデーモン二体。
その身長は軽く3メートルを超える。
駆け出した朱王は朱雀丸を右に構えて跳躍。
ただの跳躍だが地面で爆発が起こったかのような瞬発力。
デーモンの体を横薙ぎにぶった斬る。
一撃の元に一体目のデーモンを斬り伏せ、二体目に左逆袈裟に斬りあげる。
一体目への一撃程の威力がでない逆袈裟だが、デーモンの右腕から胸まで斬り裂く。
そのまま朱王の暴風の如き連撃でデーモンにとどめを刺す。
前回蒼真達が魔法陣を発動した状態での精霊魔法で苦戦したデーモンを相手に、強化のみで瞬殺する朱王。
初めて見る殺意を持った朱王は、デーモン以上の化け物に見えてしまう。
そして岩山からは残りのデーモンが一斉に飛び上がった。
最初に接触したのはアイリ。
下級魔法陣を発動してデーモンに雷刃を放つ。
左袈裟に振り下ろされたクラウからの雷刃は、デーモンの右の拳とぶつかり合う。
追加効果の付与された一撃がデーモンの右腕を切り傷と熱、そして麻痺を与える。
ヴォァァッ!! と悲鳴を漏らしたデーモンは左の拳でアイリに殴り掛かる。
ソラスによる雷刃で同じように左腕にも麻痺を残す。
デーモンはその超速回復により傷を塞いだが、雷による麻痺がまだ抜けない。
空中に舞ったままで右の横薙ぎの蹴りがアイリへと向かう。
重力操作を使用して地面へと落下速度を上げて蹴りを回避。
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両手に麻痺が残る今がチャンス。
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チャージの終わらない雷狼を待つ間、クラウ・ソラスの迅雷でデーモンへの斬撃を繰り出す。
精霊魔法でなくともその威力は高く、デーモンも防御できずに悲鳴をあげて地面へと落ちていく。
チャージの終わったイザナギがクラウから飛び出すと共に、アイリは体を翻してデーモンに向かって降下。
地面に落ちたデーモンの背中にクラウを突き立てる。
雷刃がデーモンの体内を焼き、麻痺の効果を全身に与える。
続いてチャージを終えたイザナミで再び背中へと雷刃を突き立てる。
手加減は一切しない。
麻痺の効果があるうちにとひたすらに迅雷による斬撃を繰り出す。
超速再生によって傷はすぐに塞がるものの、そのダメージは蓄積されていく。
それでもまだ倒せないデーモン。
全身に与えた麻痺はその効果が切れるのは早いようだ。
背中から飛び上がり、デーモンを見据えるアイリ。
一気に畳み込むつもりだった為息も荒い。
息を整えると雷狼達もチャージを終える。
アイリの弱みは一撃の軽さだ。
最速の剣、最速の動きでも与えられるダメージは他のメンバーよりも低い。
そして魔力量も最も低い。
長引かせるわけにはいかない。
アイリは上級魔法陣ボルテクスを発動し、雷狼もその魔力に応じて巨大な姿へと変貌する。
立ち上がったデーモン。
全身の麻痺が抜け、咆哮をあげてアイリに向かう。
通常通りイザナギを放ったのでは威力が足りない。
やはり最大の攻撃力を誇る雷刃で放つべきだろう。
ボルテクスで強化された迅雷も、豪雷と呼べるほどに威力が高い。
全力で強化したデーモンの左右の攻撃に、剣を打ち付けるようにして防ぐアイリ。
豪雷でさえ相殺される程の強化。
その大きな体から放たれる拳は素早さの高いアイリでも捌ききるのは難しい。
苦しい、息が続かない。
それでも止む事のない攻撃にひたすら耐える。
このままではジリ貧だ。
魔力の消費量が大きいが、体から紫電を放って加速を狙う。
体捌きの速度を上げ、剣の威力をさらに引き上げる。
そしてわずかにデーモンの攻撃にタイミングのズレが生じる。
一瞬で懐に飛び込んで、全力の雷刃を右逆袈裟にソラスで斬りあげる。
ボルテクスで強化されたイザナミの雷撃は体内で爆発するかのような一撃だ。
クラウ・ソラスの能力、迅雷にイザナミと上級魔法陣ボルテクスの威力が上乗せされた轟雷。
仰け反るように倒れていくデーモンだが、まだ息はある。
とどめとばかりにクラウでの雷刃。
再び爆発の如き轟雷がデーモンの体内を焼き焦がす。
強烈な雷がデーモンの内蔵機能を停止させ、その命を奪う。
千尋や蒼真、ミリーに朱雀と次々と戦闘を始めていき、リゼはルシファーを薙いでデーモンを迎え討つ。
リゼへと拳を振りかぶったデーモンに最速の剣尖を放つ。
待ち構えたリゼの攻撃はもちろんバジリスクの毒を込めている。
その一撃を受けたデーモンにルシファーが刺さる事はない。
しかしバジリスクの毒がデーモンの体を蝕む。
悲鳴をあげて苦しみだすデーモン。
のたうち回るデーモンにリゼはシズクとリッカ、下級魔法陣ウォーターとアイスを発動して襲い掛かる。
普通に戦っても倒せるとは思えない。
今この毒で与えたダメージで苦しんでいるところを叩き潰す。
飛行装備でデーモンの上空へと舞い上がり、苦しむデーモンへとルシファーと氷の乱撃を叩き込む。
魔法陣で強化した氷は超高強度。
しかしその氷槍すら通らない程にデーモンは強靭だ。
そしてルシファーの刃も通らない。
それならばと魔力を練ってルシファーに水を纏う。
デーモンの真上から加速して腹部へルシファーを突き立てる。
同時に氷結魔法。
のたうち回っていたデーモンも氷に固められて身動きが取れなくなる。
再び舞い上がるリゼ。
空高く舞い上がったリゼは何をする気なのか。
上級魔法陣アクア、そして上級魔法陣ブリザードを発動し、超特大の氷槍を錬成。
上級魔法陣による超高強度な氷の槍。
上空から加速してデーモンへと降下するリゼと、同時に氷槍も加速しながらデーモンへと向かう。
そして最速の剣尖とともに放たれた氷槍は、身動きの取れないデーモンの胸を貫く。
その強度と質量、氷魔法による凝固と強度の低下によりデーモンの体が破壊される。
しかしデーモンの最期の悪あがき。
口内に魔力が集められ、風の弾丸がリゼへと向かう。
全力の一撃を放ったリゼは動けない。
咄嗟にシズクとリッカが防御壁を作り出すが風の弾丸が防御壁を破ると同時に爆破。
リゼも爆風でダメージを受ける。
地面へと落下したリゼだが、飛行装備をわずかに操ってそのまま落ちる事は回避。
強引に立ち上がってデーモンを見ると、息絶えた死体が転がっていた。
朱雀はデーモンに炎の斬撃を放つ。
その一撃を放つ朱雀は本当に楽しそうだ。
今日は飛行する魔獣デーモンの為、朱雀も炎の翼を生やしてデーモンに挑む。
デーモンの左右の攻撃に朱雀は全て剣で捌く。
重い一撃も全て受け流し、回避する事でデーモン相手でも余裕がある。
普段カミン達との訓練が、朱雀の剣術を以前の比ではない程に高めてくれた。
その実感を今まさに感じている。
朱雀とデーモンの攻防は苛烈さを極め、空を縦横無尽に飛び回りながらお互いの隙を狙う。
朱雀が顔面目掛けて向かった瞬間に口を開き、ブレスを吐き出すデーモン。
朱雀も負けじと口を開いて炎の特大ブレス。
相殺し合うブレスの爆発。
距離を取ろうとするデーモンと、それを追う朱雀。
超高速で飛行しながら魔力を高めたデーモンは、複数の圧縮した風球を放つ。
全て回避した朱雀。
その後方では圧縮空気の爆発が起こっているが気にしない。
そして追い付きそうになった朱雀と急制動するデーモン。
デーモンの後頭部に顔面から突っ込む朱雀。
その痛みに悶絶する朱雀だが、お構いなしにデーモンは両手を固めた拳で朱雀を叩き落とす。
その威力は尋常ではなく、上空数百メートルの高さから朱雀は地面に向かって高速で落ちていく。
ニイッとしたデーモンは朱雀の後を追って降下する。
朱雀が地面に打ち付けられる手前で炎翼の出力が増加。
地面スレスレに滑空して再び舞い上がり、デーモンと同じ高さまで上昇して空中浮揚。
強烈な一撃をもらったというのに楽しそうな朱雀。
デーモンは雄叫びと共にブレスを吐き出す。
同じように朱雀もブレスを吐き出す。
相殺し合うと同時に拳と剣を打ち付け合う双方。
再び空での飛行戦闘が再開される。
先行するデーモンを追う朱雀。
先程と同じ形だ。
しかし朱雀は口内に魔力を集中してブレスを撃ち出す。
撃ち出すブレスは爆裂弾。
当たった瞬間に爆発する。
飛行を阻害されてその速度を落とすデーモン。
余裕がなくなるデーモンと、未だ楽しそうな朱雀。
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辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
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