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街を探索
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少し早く着きすぎたかな?
腕時計で時刻を確認すると、約束の時間である10時より20分早い9時40分であった。
今日は街案内をする約束の日である週末。そしてボクは現在、駅前広場でルシータを待っている。因みに今日のボクのコーディネートは、白のシャツの上に青のパーカーを羽織り黒のショートパンツを穿くと言うカジュアルスタイルだ。
そこでメールの着信音が。文面を確認してみると一言、『少し迷ったかな』と。そこで急いで音声通話ボタンを押す。すると数コールの後ルシータが出た。
「もしもし、ルシータ、今どこ? 」
「おはようツバサ。いま商店街のアーケードにいるんだけど、ちょうど仏具店が目の前にあるよ」
「あぁ、そこは魚町商店街の中だね! 」
「ここからどっちに進んだら良いのかな? 」
「えーと、そうだ、今から迎えに行くからそのままそこで待っていて。動かないでね」
そうして急遽待ち合わせ場所を変更したボク達は、10時を少し回ったぐらいに会う事が出来た。
因みにルシータのコーディネートは、モード系がベースのようで上下黒のシャツとパンツに黒のネクタイをしている。相変わらず格好良いし、似合っているなー。
「ツバサ、どうかしたのかな? 」
「いや、格好良い服が似合うなーと」
「ありがとう。ツバサも若々しさが弾ける可愛らしい服装だよ? 特にそのショートパンツ、太腿が曝け出されているのがチャームポイントだね」
ルシータはそう話しながら腰を曲げると、眼鏡の縁を摘み上下させながらボクの太腿に視線を向けてくる。
「いや、そんな風に見られたら恥ずかしいよ」
ボクが手を太腿にやり身を捩り恥ずかしがっていると、ルシータは更に距離を詰めて凝視しだした。
……なんか変態さんぽくって怖いよ。
そんな事を思っていると、ルシータがスクリと立ち上がり背筋を伸ばす。
「さてと、冗談はさておき、まずはどこに行くんだったかな? 」
じょっ、冗談!? どこからどこまでが冗談なんだろう? もしかして可愛らしいって言っていた辺りから?
心に軽くダメージを負ってしまったわけだけれど、気を取り直す事に。そうして街案内は始まる。今いる商店街をゆっくりとした歩調で説明しながら進み、まずは駅前広場まで行く。そしてちょっとだけ早いけど昼食を取るため、ボク達女子が御用達の軽食屋である『ユズレア』へ向かった。
「ボクは名物の苺抹茶パンケーキにしようかな。ルシータはどれにする? 」
「うーん、どれが良いかな? 実はお腹、少ししか空いていないんだよね」
「そしたらパフェなんてどう? 」
「そうだね、そしたらチョコレートパフェにしようかな」
そこで呼び鈴を鳴らし注文を済ませたボク達は届けられたデザートをパクつきながら、毎晩しているメールについての補足や、ルシータの特技が3秒で眠れる事についてのツッコミ、あと学校では互いにあまり近づかないようにしているよねーみたいな事を話した。
「そう言えばルシータは、日本語以外何を勉強していたの? 」
「色々あるけれど、主に勉強していたのは夢について、かな」
その言葉に心臓がドキリと鳴る。
「……夢」
「そうだよ、ただ夢と言っても将来の夢の方じゃなくて、寝た時に三日に一度くらいは見るあの夢の方だよ」
そこでルシータはわざとらしく真面目な表情を作る。
「……ツバサは、なぜ人は夢を見るのかについて、興味がないかな? 」
興味はある、あるけど毎日エッチな夢を見ている事は隠し通さなくてはいけない。だから変に話してボロが出てしまわないように、興味がないふりをしなくては。
「別に興味はないよ」
「……ふーん、そうなんだ」
そこでルシータは手に持つスプーンを器用にクルクルと回しながら、もう片方の腕の肘をテーブルに付きその手の上に顎を乗せる。そして真っ直ぐにボクの瞳を覗き込んできた。そのためボクは慌てて次の話題に振ろうとするのだけれど——
「何度も同じ夢、見たことないかな? 」
そのルシータの言葉で思わずドキリとして、動けなくなってしまう。
「その表情、同じ夢を見た事があるんだね? 」
全て見透かされている!? かっ、隠し通せない。
だからボクは肯定の意味を込めて、頭を少しだけ傾けてうなずく。
「へぇー、やっぱり見ているんだ。……何度も見る同じ夢は、正夢だとされているんだけど——」
「……正夢」
あのルシータとの秘め事が正夢。
「因みに正夢とは見た夢が将来、事実として起こる夢。そしてチカラがある者はみんな、夢に見た事が現実で起こると次の夢を見るようになる。これを繰り返す事によりいつしか夢は予知夢として昇華されていくの」
「……予知夢」
「ツバサがこちら側の人間である事がわかった以上、説明をしないといけないね。実は私も予知夢を見ていたんだ。その夢とはツバサとこうして食事をする事。その前に見た夢は、百合ヶ丘高校に教師として潜入する事。つまり夢を見たから私は、わざわざ日本までやって来たんだよ。そして夢しるべに従って生きていくと、必ず幸福になれると言われている。そうそう、もちろんツバサだからこの事を話しているわけなのだけれど、他の人には秘密でお願いね。……因みにツバサは、どんな夢を見続けているのかな? 」
「えっ、ボクは——」
「ボクは? 」
「……秘密」
そこでルシータがハッとした表情になる。そのため再度ドキリとしてしまう。
「もしかしてツバサ、誰かが死ぬ夢だったりするのかな? 」
「ちち、違うよ」
「しかし言いにくい事というのは、……もしかして、近しい誰かが出てくる夢なのかな? 」
「……うん」
「それはもしかして、……私、かな? 」
夢に出てくるのがルシータって事は、話しても大丈夫なはず。
「そう、だよ」
「まっ、言いたくないのなら言わなくても良いけど。だってそのツバサが見た夢は、必ず起こる事なのだから」
「……必ず起こる」
「うん、多少のズレはあったりするけれど、大まかな流れは変わらないよ。それより夢補充をしておいても良いかな? 」
「夢補充? 」
「うん、ツバサと食事に行く夢が正夢になったから、次の夢が見えるはずなんだ。だから見ておきたいのだよ」
「ボクは構わないけど、もしかしてここで寝るの? 」
「そうだよ、5分間くらい寝たら大丈夫だから」
そうしてルシータはテーブルの上に置いた自分の腕を枕にして、座ったまま眠ってしまった。
……本当に寝ちゃったよ。それよりルシータとのキスが確定事項だなんて。もっ、もしかしてこれからだったり、……それは無いか。
腕時計で時刻を確認すると、約束の時間である10時より20分早い9時40分であった。
今日は街案内をする約束の日である週末。そしてボクは現在、駅前広場でルシータを待っている。因みに今日のボクのコーディネートは、白のシャツの上に青のパーカーを羽織り黒のショートパンツを穿くと言うカジュアルスタイルだ。
そこでメールの着信音が。文面を確認してみると一言、『少し迷ったかな』と。そこで急いで音声通話ボタンを押す。すると数コールの後ルシータが出た。
「もしもし、ルシータ、今どこ? 」
「おはようツバサ。いま商店街のアーケードにいるんだけど、ちょうど仏具店が目の前にあるよ」
「あぁ、そこは魚町商店街の中だね! 」
「ここからどっちに進んだら良いのかな? 」
「えーと、そうだ、今から迎えに行くからそのままそこで待っていて。動かないでね」
そうして急遽待ち合わせ場所を変更したボク達は、10時を少し回ったぐらいに会う事が出来た。
因みにルシータのコーディネートは、モード系がベースのようで上下黒のシャツとパンツに黒のネクタイをしている。相変わらず格好良いし、似合っているなー。
「ツバサ、どうかしたのかな? 」
「いや、格好良い服が似合うなーと」
「ありがとう。ツバサも若々しさが弾ける可愛らしい服装だよ? 特にそのショートパンツ、太腿が曝け出されているのがチャームポイントだね」
ルシータはそう話しながら腰を曲げると、眼鏡の縁を摘み上下させながらボクの太腿に視線を向けてくる。
「いや、そんな風に見られたら恥ずかしいよ」
ボクが手を太腿にやり身を捩り恥ずかしがっていると、ルシータは更に距離を詰めて凝視しだした。
……なんか変態さんぽくって怖いよ。
そんな事を思っていると、ルシータがスクリと立ち上がり背筋を伸ばす。
「さてと、冗談はさておき、まずはどこに行くんだったかな? 」
じょっ、冗談!? どこからどこまでが冗談なんだろう? もしかして可愛らしいって言っていた辺りから?
心に軽くダメージを負ってしまったわけだけれど、気を取り直す事に。そうして街案内は始まる。今いる商店街をゆっくりとした歩調で説明しながら進み、まずは駅前広場まで行く。そしてちょっとだけ早いけど昼食を取るため、ボク達女子が御用達の軽食屋である『ユズレア』へ向かった。
「ボクは名物の苺抹茶パンケーキにしようかな。ルシータはどれにする? 」
「うーん、どれが良いかな? 実はお腹、少ししか空いていないんだよね」
「そしたらパフェなんてどう? 」
「そうだね、そしたらチョコレートパフェにしようかな」
そこで呼び鈴を鳴らし注文を済ませたボク達は届けられたデザートをパクつきながら、毎晩しているメールについての補足や、ルシータの特技が3秒で眠れる事についてのツッコミ、あと学校では互いにあまり近づかないようにしているよねーみたいな事を話した。
「そう言えばルシータは、日本語以外何を勉強していたの? 」
「色々あるけれど、主に勉強していたのは夢について、かな」
その言葉に心臓がドキリと鳴る。
「……夢」
「そうだよ、ただ夢と言っても将来の夢の方じゃなくて、寝た時に三日に一度くらいは見るあの夢の方だよ」
そこでルシータはわざとらしく真面目な表情を作る。
「……ツバサは、なぜ人は夢を見るのかについて、興味がないかな? 」
興味はある、あるけど毎日エッチな夢を見ている事は隠し通さなくてはいけない。だから変に話してボロが出てしまわないように、興味がないふりをしなくては。
「別に興味はないよ」
「……ふーん、そうなんだ」
そこでルシータは手に持つスプーンを器用にクルクルと回しながら、もう片方の腕の肘をテーブルに付きその手の上に顎を乗せる。そして真っ直ぐにボクの瞳を覗き込んできた。そのためボクは慌てて次の話題に振ろうとするのだけれど——
「何度も同じ夢、見たことないかな? 」
そのルシータの言葉で思わずドキリとして、動けなくなってしまう。
「その表情、同じ夢を見た事があるんだね? 」
全て見透かされている!? かっ、隠し通せない。
だからボクは肯定の意味を込めて、頭を少しだけ傾けてうなずく。
「へぇー、やっぱり見ているんだ。……何度も見る同じ夢は、正夢だとされているんだけど——」
「……正夢」
あのルシータとの秘め事が正夢。
「因みに正夢とは見た夢が将来、事実として起こる夢。そしてチカラがある者はみんな、夢に見た事が現実で起こると次の夢を見るようになる。これを繰り返す事によりいつしか夢は予知夢として昇華されていくの」
「……予知夢」
「ツバサがこちら側の人間である事がわかった以上、説明をしないといけないね。実は私も予知夢を見ていたんだ。その夢とはツバサとこうして食事をする事。その前に見た夢は、百合ヶ丘高校に教師として潜入する事。つまり夢を見たから私は、わざわざ日本までやって来たんだよ。そして夢しるべに従って生きていくと、必ず幸福になれると言われている。そうそう、もちろんツバサだからこの事を話しているわけなのだけれど、他の人には秘密でお願いね。……因みにツバサは、どんな夢を見続けているのかな? 」
「えっ、ボクは——」
「ボクは? 」
「……秘密」
そこでルシータがハッとした表情になる。そのため再度ドキリとしてしまう。
「もしかしてツバサ、誰かが死ぬ夢だったりするのかな? 」
「ちち、違うよ」
「しかし言いにくい事というのは、……もしかして、近しい誰かが出てくる夢なのかな? 」
「……うん」
「それはもしかして、……私、かな? 」
夢に出てくるのがルシータって事は、話しても大丈夫なはず。
「そう、だよ」
「まっ、言いたくないのなら言わなくても良いけど。だってそのツバサが見た夢は、必ず起こる事なのだから」
「……必ず起こる」
「うん、多少のズレはあったりするけれど、大まかな流れは変わらないよ。それより夢補充をしておいても良いかな? 」
「夢補充? 」
「うん、ツバサと食事に行く夢が正夢になったから、次の夢が見えるはずなんだ。だから見ておきたいのだよ」
「ボクは構わないけど、もしかしてここで寝るの? 」
「そうだよ、5分間くらい寝たら大丈夫だから」
そうしてルシータはテーブルの上に置いた自分の腕を枕にして、座ったまま眠ってしまった。
……本当に寝ちゃったよ。それよりルシータとのキスが確定事項だなんて。もっ、もしかしてこれからだったり、……それは無いか。
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