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序章 女神との出会いと異世界転生編
06.自分作り
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とにかく自分と同じ獣人にしたくて仕方ないと言った様子の女神だが、思う存分語ってもらいキリのいいところまで聞かないと止まらなそうだと諦めて良い聞き役に徹することにした。
「あとね、獣人は妖術で変身することができるから人間にもなれるし、四本足の獣にもなれるよ。
逆に獣人になる魔法は無いんだ、これが不思議なことにね」
「魔法と言うのは誰でも使えるんですか?
さっきの説明で、いわゆるファンタジーに良くある、剣と魔法の世界というのはわかりました。
動物をペットにする能力とか、生産でしたっけ? 何かを作る能力とかはどうなんですか?」
「良い質問だね、種族に関係なく能力を覚えて使うことはできるよ。
でも得手不得手は一生変わらないから、使いたい能力にあった種族がいいよってこと。
私の担当外だけど、戦闘第一なら有角人や魔人が超おススメだしね」
「そういう風に説明されると確かに獣人は良さそうですね。
でも美人エルフにも憧れちゃいますし…… すぐには決められません……」
「時間はいくらでもあるから好きなだけ悩んでいいよー
試しにアレコレ作ってみて気に入ったのが出来たら決めればいいしね。
今作成画面出すけど、基本的な操作はタッチで選んでいくだけだからすぐわかると思うよ」
女神の言う通り、目の前の空中にパソコン画面のようなものが現れた。一番上には種族ボタン、両端に身長や体型、色形柄などの項目が並んでいる。プレゼン資料の図を作る時に使っていた機能と似たような物だろう。
「わかりました、それじゃ試してみますね。
わからないことがあったら相談します」
「はいはーい、それじゃごゆっくり~」
目の前に表示されている画面を見ていると少し楽しくなってきた。ゲーム自体それほどやったことはないが、ファンタジー小説は好きだったし、過去をさかのぼれば魔法少女アニメが大好きだった七海だ。それはともかく、女神は女神でやることがあるのだろう。背中を向けて何か始めている様子だ。
しかしここからが大変だった。作成操作自体は直感的でプレゼン資料を作るよりもはるかに作りやすい。でもその作りやすさが罠で、どれも良く見えてしまい決めかねてしまうのだ。エルフも獣人もどちらもかわいいし、自分がその姿で動いているところを想像するとさらに楽しくなってくる。七海は夢中になって作成を繰り返していた。
作り続けてどのくらいの時間が過ぎたのだろうか。疲れもしなければお腹もすかないので、時間経過がさっぱりわからない。おそらくは百回以上作り直したはず。一回五分としても六時間くらい続けていることになる。
時間が大分経ってそうだけど問題ないかと女神に尋ねようとすると、彼女は横になって熟睡しているようだった。言われたわけではないが多分時間をかけすぎているのだろう。
最終的に七海は獣人を選択した。ベースとなる動物をアレコレ眺めていたら、子供の頃に両親と出掛けた動物園で見た記憶が鮮明に残っていたフェネックがいたからだ。想い出の動物は何ですか? なんて質問をされたらきっとフェネックと答えるだろう。
色は自由に決められるので、純白の毛色を選び、豊潤の女神を真似て耳と尻尾の先だけ山吹色にしてみた。女神自体の性格や話し方はいまいちだが、ルックスはステキで思わず真似したくなるのがちょっと悔しい。ちなみにプロポーションはお尻を小さめにしておきながら、バストはDカップくらいで七海の頃よりもかなり大き目にしてしまった。
自分で作っておいてなんだけど、大きくて横に広がったフェネックの耳と太目でふわふわした尻尾、それが真っ白な毛並みと相まってかなりかわいく出来た。全身に毛が生えているのが気にならないわけじゃないけど、却ってムダ毛処理とか余計なことに気を使わずに済むともいえる。
ようやく容姿が決まったので、完全に熟睡している様子の女神を揺さぶって起こした。むにゃむにゃ言いながらようやく目覚めた女神は、七海が作った獣人を見て上手にできていてかわいいと大満足な様子で褒めてくれたが、その理由のほとんどが狐の獣人だからだと思うとちょっと複雑な気分になる。
これまでは日々追われるよう時間に支配され続けてきた七海。いや地球上で暮らすほとんどの人たちは時間を気にして生きているはずだ。しかしこの狐耳メイドの女神にはそんな雰囲気をみじんも感じない。常にマイペースだし、なんなら時間を止めてまで自分の話を続けたい人なのだから。
それでも一応時間の概念は持っていたらしい。
「お疲れさま、よく随分頑張ったねー
だいたい八時間くらいかかったんじゃない?
さすが仕事熱心で真面目な七海ちゃんだ」
いやいや、そこでかわいくウインクされても嬉しくはない。それにしてもやっぱり相当の時間をかけてしまっていたようだ。時間は無限にあると言っても、人を、いや、女神を待たせたのは悪い気がした。
「大分お待たせしてしまってごめんなさい。
やればやるほど悩んでしまって……」
「そんなの気にしなくていいんだよ?
時間をかけたことを気にするよりも、楽しめて後悔しないことを気にすべきだからね。
これからの長い人生、まずは自分に正直に、そして楽しめるかどうかを考えるようにしてほしいな」
七海は女神の言葉に対し大きく頷いた。
「それじゃ次は色々な能力を決めていこうか。
戦ったり何か作ったり、ペットを飼うとかもそうだけど、すべて専用の能力が必要になるの。
その能力のことは、異世界の住人達も当たり前のようにスキルって呼んでる。
スキルは全部で六系統三十六種類あって、やりたいことに合わせて選んでいいよ」
女神は七海の眼前にある画面を覗き込むと、キャラクター作成画面の最下部に表示されている『NEXT>>』を押した。すると画面が切り替わり、空欄のスキル欄とその他にスキル一覧が現れた。並んでいるスキルにはそれぞれには簡単な説明が添えてあるが、直感的に理解できるものとさっぱりわからないものとがあって、どれを選ぶべきかまた悩んで時間がかかりそうである。
「書いてあることだけじゃわからなかったら遠慮なく聞いてね。
ペット飼いたいなら調教が必要で、調教使うなら演奏が必須になるよ。
一緒に戦ったりしてペットが怪我をしてしまった場合に治療をするなら生体研究もいるかなー」
「ペットと一緒に戦うって? 犬猿雉でも連れて鬼退治ですか?」
「イメージとしてはそんな感じかな。
たとえば強い生き物の代表だとドラゴンとかペットにすることもできるよ。
もしそう言う強い動物、いわゆるモンスターを捕まえるなら自分もある程度強くないとだけど。
だからなんらか攻撃スキルが必要になるかな、無事で生きていくうえでもね」
「なるほど…… 適当に選ぶんじゃなくて相関関係を考える必要があるんですね。
難しそうですけど頑張って選んでみます」
「最初に選べるのは七つまでよ。
スキルには熟練度と言うものがあって、スキル値って呼んでる。
当然高い方が有能ってことになるね。
普通の人たちは産まれた時に割り当てられたスキルを三、四種類持ってて10から始まるのね。
でも転生者は好きなスキル七つを40からスタートで超お得!
他にもいろいろ違いはあるけどまあそんな感じ」
「なんだかそれってズルくないですか?
得するのは嬉しいかもしれませんけど、そのせいで疎まれたり恨まれたりしないんでしょうか」
「気にしすぎだよー
転生者は世界に八人しかいない特別な存在なのは説明したでしょ?
そのことは異世界の一般人もわかってる。
だからもちろん特別視はされるけど、どちらかというと敬意をもたれるって感じかな。
ちなみに転生者は神の人って書いて神人(しんじん)って呼ばれてるよ」
新人の神人だ、とオヤジギャグを思いつき一人でにやけて恥ずかしくなりつつも、異世界へ行ってすぐ苦労したり危険な目にあうなんてことが無さそうでホッとするのだった。
「あとね、獣人は妖術で変身することができるから人間にもなれるし、四本足の獣にもなれるよ。
逆に獣人になる魔法は無いんだ、これが不思議なことにね」
「魔法と言うのは誰でも使えるんですか?
さっきの説明で、いわゆるファンタジーに良くある、剣と魔法の世界というのはわかりました。
動物をペットにする能力とか、生産でしたっけ? 何かを作る能力とかはどうなんですか?」
「良い質問だね、種族に関係なく能力を覚えて使うことはできるよ。
でも得手不得手は一生変わらないから、使いたい能力にあった種族がいいよってこと。
私の担当外だけど、戦闘第一なら有角人や魔人が超おススメだしね」
「そういう風に説明されると確かに獣人は良さそうですね。
でも美人エルフにも憧れちゃいますし…… すぐには決められません……」
「時間はいくらでもあるから好きなだけ悩んでいいよー
試しにアレコレ作ってみて気に入ったのが出来たら決めればいいしね。
今作成画面出すけど、基本的な操作はタッチで選んでいくだけだからすぐわかると思うよ」
女神の言う通り、目の前の空中にパソコン画面のようなものが現れた。一番上には種族ボタン、両端に身長や体型、色形柄などの項目が並んでいる。プレゼン資料の図を作る時に使っていた機能と似たような物だろう。
「わかりました、それじゃ試してみますね。
わからないことがあったら相談します」
「はいはーい、それじゃごゆっくり~」
目の前に表示されている画面を見ていると少し楽しくなってきた。ゲーム自体それほどやったことはないが、ファンタジー小説は好きだったし、過去をさかのぼれば魔法少女アニメが大好きだった七海だ。それはともかく、女神は女神でやることがあるのだろう。背中を向けて何か始めている様子だ。
しかしここからが大変だった。作成操作自体は直感的でプレゼン資料を作るよりもはるかに作りやすい。でもその作りやすさが罠で、どれも良く見えてしまい決めかねてしまうのだ。エルフも獣人もどちらもかわいいし、自分がその姿で動いているところを想像するとさらに楽しくなってくる。七海は夢中になって作成を繰り返していた。
作り続けてどのくらいの時間が過ぎたのだろうか。疲れもしなければお腹もすかないので、時間経過がさっぱりわからない。おそらくは百回以上作り直したはず。一回五分としても六時間くらい続けていることになる。
時間が大分経ってそうだけど問題ないかと女神に尋ねようとすると、彼女は横になって熟睡しているようだった。言われたわけではないが多分時間をかけすぎているのだろう。
最終的に七海は獣人を選択した。ベースとなる動物をアレコレ眺めていたら、子供の頃に両親と出掛けた動物園で見た記憶が鮮明に残っていたフェネックがいたからだ。想い出の動物は何ですか? なんて質問をされたらきっとフェネックと答えるだろう。
色は自由に決められるので、純白の毛色を選び、豊潤の女神を真似て耳と尻尾の先だけ山吹色にしてみた。女神自体の性格や話し方はいまいちだが、ルックスはステキで思わず真似したくなるのがちょっと悔しい。ちなみにプロポーションはお尻を小さめにしておきながら、バストはDカップくらいで七海の頃よりもかなり大き目にしてしまった。
自分で作っておいてなんだけど、大きくて横に広がったフェネックの耳と太目でふわふわした尻尾、それが真っ白な毛並みと相まってかなりかわいく出来た。全身に毛が生えているのが気にならないわけじゃないけど、却ってムダ毛処理とか余計なことに気を使わずに済むともいえる。
ようやく容姿が決まったので、完全に熟睡している様子の女神を揺さぶって起こした。むにゃむにゃ言いながらようやく目覚めた女神は、七海が作った獣人を見て上手にできていてかわいいと大満足な様子で褒めてくれたが、その理由のほとんどが狐の獣人だからだと思うとちょっと複雑な気分になる。
これまでは日々追われるよう時間に支配され続けてきた七海。いや地球上で暮らすほとんどの人たちは時間を気にして生きているはずだ。しかしこの狐耳メイドの女神にはそんな雰囲気をみじんも感じない。常にマイペースだし、なんなら時間を止めてまで自分の話を続けたい人なのだから。
それでも一応時間の概念は持っていたらしい。
「お疲れさま、よく随分頑張ったねー
だいたい八時間くらいかかったんじゃない?
さすが仕事熱心で真面目な七海ちゃんだ」
いやいや、そこでかわいくウインクされても嬉しくはない。それにしてもやっぱり相当の時間をかけてしまっていたようだ。時間は無限にあると言っても、人を、いや、女神を待たせたのは悪い気がした。
「大分お待たせしてしまってごめんなさい。
やればやるほど悩んでしまって……」
「そんなの気にしなくていいんだよ?
時間をかけたことを気にするよりも、楽しめて後悔しないことを気にすべきだからね。
これからの長い人生、まずは自分に正直に、そして楽しめるかどうかを考えるようにしてほしいな」
七海は女神の言葉に対し大きく頷いた。
「それじゃ次は色々な能力を決めていこうか。
戦ったり何か作ったり、ペットを飼うとかもそうだけど、すべて専用の能力が必要になるの。
その能力のことは、異世界の住人達も当たり前のようにスキルって呼んでる。
スキルは全部で六系統三十六種類あって、やりたいことに合わせて選んでいいよ」
女神は七海の眼前にある画面を覗き込むと、キャラクター作成画面の最下部に表示されている『NEXT>>』を押した。すると画面が切り替わり、空欄のスキル欄とその他にスキル一覧が現れた。並んでいるスキルにはそれぞれには簡単な説明が添えてあるが、直感的に理解できるものとさっぱりわからないものとがあって、どれを選ぶべきかまた悩んで時間がかかりそうである。
「書いてあることだけじゃわからなかったら遠慮なく聞いてね。
ペット飼いたいなら調教が必要で、調教使うなら演奏が必須になるよ。
一緒に戦ったりしてペットが怪我をしてしまった場合に治療をするなら生体研究もいるかなー」
「ペットと一緒に戦うって? 犬猿雉でも連れて鬼退治ですか?」
「イメージとしてはそんな感じかな。
たとえば強い生き物の代表だとドラゴンとかペットにすることもできるよ。
もしそう言う強い動物、いわゆるモンスターを捕まえるなら自分もある程度強くないとだけど。
だからなんらか攻撃スキルが必要になるかな、無事で生きていくうえでもね」
「なるほど…… 適当に選ぶんじゃなくて相関関係を考える必要があるんですね。
難しそうですけど頑張って選んでみます」
「最初に選べるのは七つまでよ。
スキルには熟練度と言うものがあって、スキル値って呼んでる。
当然高い方が有能ってことになるね。
普通の人たちは産まれた時に割り当てられたスキルを三、四種類持ってて10から始まるのね。
でも転生者は好きなスキル七つを40からスタートで超お得!
他にもいろいろ違いはあるけどまあそんな感じ」
「なんだかそれってズルくないですか?
得するのは嬉しいかもしれませんけど、そのせいで疎まれたり恨まれたりしないんでしょうか」
「気にしすぎだよー
転生者は世界に八人しかいない特別な存在なのは説明したでしょ?
そのことは異世界の一般人もわかってる。
だからもちろん特別視はされるけど、どちらかというと敬意をもたれるって感じかな。
ちなみに転生者は神の人って書いて神人(しんじん)って呼ばれてるよ」
新人の神人だ、とオヤジギャグを思いつき一人でにやけて恥ずかしくなりつつも、異世界へ行ってすぐ苦労したり危険な目にあうなんてことが無さそうでホッとするのだった。
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