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序章 女神との出会いと異世界転生編
02.異世界ゲーム
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結局のところ、通りすがりの怪しい人にそんな馬鹿げた話を持ちかけられるくらい、七海ははたから見て病んでいるように見えると言うことなのかもしれない。考えれば考えるほど悲しくなってくる。
「まああんまり深く考えずに聞いて?
私は豊穣の女神といって、沢山いる神々のうちの一人でとあるグループに属してるの。
で、そこで異世界創造ってのをしてるんだけど、欠員が出たから適任者を探してるってわけよ」
今まで言っていたことも信じがたい内容だったのに、さらに設定が追加されて頭が混乱してくる。一体この人、いや狐? は何者なのだろう。ゲーム会社か何かの人? もし本当に女神だとしても、神を名乗る割に威厳がないと言うか、やけに馴れ馴れしすぎやしないか?
「今うさんくさいって思ったでしょ?
それは否定しないけど本当のことだからまあ聞いてよ。
異世界創造に参加している神は九人いるんだけど、それぞれ一人ずつ異世界へ連れて行っているの。
少し前に私が担当していた子がやめちゃってね、次に連れていく子を探してんのよ」
「それで今の生活に嫌気がさしているのがありありと出ている私に声をかけたってことですか!?
今日たまたま見かけただけの私に?
まあ絶望しているのは否定できませんけど……」
「ま、当たらずとも遠からずって感じ?
実は前から目をつけててさ、適任かどうか調べていたのよね。
いわゆる身辺調査ってヤツ?」
探偵なのかストーカーなのかわからないけど、ますます発言が怪しくなってきた。そんなことより客先へ行く時間が迫ってきている。今日の七海にはこんな変人に付き合ってる暇なんてないのだ。
「話は分かりましたけど興味ないので私もう行きますね。
仕事に遅れてしまいますし」
「そんなこと心配しないで全部ほっぽり投げちゃえばいいのに。
この絶望の世界にサヨナラして素晴らしき異世界へ行こうよ」
「そう言うわけにはいきません!
絶望していたって疲れていたって仕事には責任を持ちたいんです!」
七海が強めに拒絶すると自称女神は少し驚いたようだ。これで解放してくれると助かるのだけど、と考えつつ踵を返し歩き出そうとした。
「七海ちゃんはマジメなんだねえ。
それじゃ仕方ない、時間がないって言うなら作ればいいでしょ?」
この人こちらの名前まで調べてあるのか、と思ったその瞬間、周囲を歩いていた人たちが一斉に立ち止まった。いや、歩みを止めたのではなく、何もかもが完全に止まっているようにしか見えない。
「もっとお話ししたいからさあ、時間止めといたよ。
これならまだ平気だね」
にっこりとほほ笑む狐耳メイドのその姿が悪魔の手先に見えてくる。
「ちょっと! こんなことして平気なんですか?
なにか事故とか体に悪い影響とか、そう言うことにはなりませんか!?」
「平気平気、問題ナッシング。
そうやってなんでも考えすぎちゃうから、普通に生きてるつもりでも心を痛めちゃうんだよ?
もっと気楽に楽しく、力を抜いて緩く生きていこうよ、異世界でさ。
そりゃ異世界へ行けば何でも解決、大金持ちになれて彼氏も出来てバラ色の人生なんて無理よ?
でもじゃあ今のままの生き方で何かに期待できるわけ?」
痛い…… 心も痛いがその他も色々と痛い……
「確かに今のまま生きていたって、この先いいことなんてなさそうなことくらいわかってます。
だからと言ってそんな詐欺にしか聞こえないような話、聞く価値無いと思います!」
「でもそろそろ私が神様だってことくらいは信じちゃったでしょ?
なんたって時間まで止めちゃったからね。
あんまりいい人生送ってきてないから疑い深くなってるのかもしれないけどさ。
七海ちゃんには、これを転機に幸せに生きてほしいと思ってるのはホントだよ?」
「そもそもなんで私の名前を知ってるんですか?
今日もここで待ち構えていたらしいですし、いろいろ怪しすぎますよ……」
「それはさっき言ったでしょ、身辺調査済みって。
異世界へ送って行くにはいくつか条件があるのよね。
その中で一番重要なことは、いまの人生に絶望しているけど攻撃性がないこと。
つまりは自暴自棄になって事件を起こすような思想の持ち主じゃ困るってわけよ」
そりゃまあ過激思想の持ち主では都合が悪いと言うのはわからなくもない。
「異世界へ連れていくこと、まあわかりやすく転生って言うね。
これは凄く特別なことなのよ。
創作でありがちな、事故死したとかニートにチャンスを与えるための転生なんてもってのほか。
まあ他の神々のやることは勝手だしどうでもいいけど?
とにかくうちらのグループでは御法度ってことで、じっくり吟味厳選した子だけ連れて行くの。
しかもたったの八人よ?」
「異世界を作っている神様ってそんなに大勢いるんですか?
そう言えば女神様たちのグループは何人でしたっけ?」
「ん、うちらは今のところ九人だね。
もう五千年くらい同じメンバーでつるんでるよ。
そんで近年になって人間たちの創作物に興味を持ってね、特にRPGゲームがお気に入りなんだー。
元々は地球のコピーを作って、それがどーゆー風に文明発展するか観察してたグループだったのよ」
「それってなんか生命に対する冒涜っぽく聞こえます……
一生懸命生きている人を眺めるゲームがそんなに楽しいですか?」
「まあ聞いてよ。
でもね、四千年以上経っても猿は人間にならなかったし、知的生命体が生まれることもなかったの。
なにか特別な条件、まあ自然現象かしら、そういうものが偶然産み出したのが今の地球ってこと。
これ以上観察し続けてもなにもおこらなそうだし、かといってそのまま放置もひどいでしょ?
だから自分たちで作った知性を持った人類を、その地球のコピーへ住まわせることにしたってわけ。
それが六百年くらい前のことかな」
「それはさっき言っていた八人以外にってことですか?
聞いていてあまり気分のいい話ではありませんね……」
「趣味が悪いって思った?
まあそれも価値観の一つだね。
でもね、人間同士が戦争で殺し合うのとか、富の集中や飢餓を放置するよりは大分ましじゃない?」
かといって神がなんにでも口や手を出して調停していく世界も、それはそれで違うと思う。
だからある程度の文化文明が発展して以降、神々は放任主義へと変わっていったのよ」
「だから自分たちが思い通りにできる世界を作ったってことですか?
ゲームとして楽しむための世界が異世界?」
「勘違いしないで貰いたいんだけど、思い通りにしたいわけじゃないよ?
そこに生きている人たちには、人生を食いつぶされるんじゃなくて自分のために生きてほしいだけ。
もちろんわがまま放題してほしいって意味じゃないけど、あなたなら意味わかるよね?
地球から連れて行った子たちも、元々向こうで産まれた子たちも、等しく私たちのかわいい子供だもん。
でも色々と現代のゲームを参考にしてるから、ついゲームって言ってしまうのかもね」
「それはわかるけど……
ゲームって言うから感じ悪いんです
かといって実験とか観察って言われてもいい気はしないけど……」
七海はいつの間にか目の前の女神と真剣に話をしていた。全てを真に受けているとは言えないけど、全て疑っているわけではない自分に少し驚きながら……
「まああんまり深く考えずに聞いて?
私は豊穣の女神といって、沢山いる神々のうちの一人でとあるグループに属してるの。
で、そこで異世界創造ってのをしてるんだけど、欠員が出たから適任者を探してるってわけよ」
今まで言っていたことも信じがたい内容だったのに、さらに設定が追加されて頭が混乱してくる。一体この人、いや狐? は何者なのだろう。ゲーム会社か何かの人? もし本当に女神だとしても、神を名乗る割に威厳がないと言うか、やけに馴れ馴れしすぎやしないか?
「今うさんくさいって思ったでしょ?
それは否定しないけど本当のことだからまあ聞いてよ。
異世界創造に参加している神は九人いるんだけど、それぞれ一人ずつ異世界へ連れて行っているの。
少し前に私が担当していた子がやめちゃってね、次に連れていく子を探してんのよ」
「それで今の生活に嫌気がさしているのがありありと出ている私に声をかけたってことですか!?
今日たまたま見かけただけの私に?
まあ絶望しているのは否定できませんけど……」
「ま、当たらずとも遠からずって感じ?
実は前から目をつけててさ、適任かどうか調べていたのよね。
いわゆる身辺調査ってヤツ?」
探偵なのかストーカーなのかわからないけど、ますます発言が怪しくなってきた。そんなことより客先へ行く時間が迫ってきている。今日の七海にはこんな変人に付き合ってる暇なんてないのだ。
「話は分かりましたけど興味ないので私もう行きますね。
仕事に遅れてしまいますし」
「そんなこと心配しないで全部ほっぽり投げちゃえばいいのに。
この絶望の世界にサヨナラして素晴らしき異世界へ行こうよ」
「そう言うわけにはいきません!
絶望していたって疲れていたって仕事には責任を持ちたいんです!」
七海が強めに拒絶すると自称女神は少し驚いたようだ。これで解放してくれると助かるのだけど、と考えつつ踵を返し歩き出そうとした。
「七海ちゃんはマジメなんだねえ。
それじゃ仕方ない、時間がないって言うなら作ればいいでしょ?」
この人こちらの名前まで調べてあるのか、と思ったその瞬間、周囲を歩いていた人たちが一斉に立ち止まった。いや、歩みを止めたのではなく、何もかもが完全に止まっているようにしか見えない。
「もっとお話ししたいからさあ、時間止めといたよ。
これならまだ平気だね」
にっこりとほほ笑む狐耳メイドのその姿が悪魔の手先に見えてくる。
「ちょっと! こんなことして平気なんですか?
なにか事故とか体に悪い影響とか、そう言うことにはなりませんか!?」
「平気平気、問題ナッシング。
そうやってなんでも考えすぎちゃうから、普通に生きてるつもりでも心を痛めちゃうんだよ?
もっと気楽に楽しく、力を抜いて緩く生きていこうよ、異世界でさ。
そりゃ異世界へ行けば何でも解決、大金持ちになれて彼氏も出来てバラ色の人生なんて無理よ?
でもじゃあ今のままの生き方で何かに期待できるわけ?」
痛い…… 心も痛いがその他も色々と痛い……
「確かに今のまま生きていたって、この先いいことなんてなさそうなことくらいわかってます。
だからと言ってそんな詐欺にしか聞こえないような話、聞く価値無いと思います!」
「でもそろそろ私が神様だってことくらいは信じちゃったでしょ?
なんたって時間まで止めちゃったからね。
あんまりいい人生送ってきてないから疑い深くなってるのかもしれないけどさ。
七海ちゃんには、これを転機に幸せに生きてほしいと思ってるのはホントだよ?」
「そもそもなんで私の名前を知ってるんですか?
今日もここで待ち構えていたらしいですし、いろいろ怪しすぎますよ……」
「それはさっき言ったでしょ、身辺調査済みって。
異世界へ送って行くにはいくつか条件があるのよね。
その中で一番重要なことは、いまの人生に絶望しているけど攻撃性がないこと。
つまりは自暴自棄になって事件を起こすような思想の持ち主じゃ困るってわけよ」
そりゃまあ過激思想の持ち主では都合が悪いと言うのはわからなくもない。
「異世界へ連れていくこと、まあわかりやすく転生って言うね。
これは凄く特別なことなのよ。
創作でありがちな、事故死したとかニートにチャンスを与えるための転生なんてもってのほか。
まあ他の神々のやることは勝手だしどうでもいいけど?
とにかくうちらのグループでは御法度ってことで、じっくり吟味厳選した子だけ連れて行くの。
しかもたったの八人よ?」
「異世界を作っている神様ってそんなに大勢いるんですか?
そう言えば女神様たちのグループは何人でしたっけ?」
「ん、うちらは今のところ九人だね。
もう五千年くらい同じメンバーでつるんでるよ。
そんで近年になって人間たちの創作物に興味を持ってね、特にRPGゲームがお気に入りなんだー。
元々は地球のコピーを作って、それがどーゆー風に文明発展するか観察してたグループだったのよ」
「それってなんか生命に対する冒涜っぽく聞こえます……
一生懸命生きている人を眺めるゲームがそんなに楽しいですか?」
「まあ聞いてよ。
でもね、四千年以上経っても猿は人間にならなかったし、知的生命体が生まれることもなかったの。
なにか特別な条件、まあ自然現象かしら、そういうものが偶然産み出したのが今の地球ってこと。
これ以上観察し続けてもなにもおこらなそうだし、かといってそのまま放置もひどいでしょ?
だから自分たちで作った知性を持った人類を、その地球のコピーへ住まわせることにしたってわけ。
それが六百年くらい前のことかな」
「それはさっき言っていた八人以外にってことですか?
聞いていてあまり気分のいい話ではありませんね……」
「趣味が悪いって思った?
まあそれも価値観の一つだね。
でもね、人間同士が戦争で殺し合うのとか、富の集中や飢餓を放置するよりは大分ましじゃない?」
かといって神がなんにでも口や手を出して調停していく世界も、それはそれで違うと思う。
だからある程度の文化文明が発展して以降、神々は放任主義へと変わっていったのよ」
「だから自分たちが思い通りにできる世界を作ったってことですか?
ゲームとして楽しむための世界が異世界?」
「勘違いしないで貰いたいんだけど、思い通りにしたいわけじゃないよ?
そこに生きている人たちには、人生を食いつぶされるんじゃなくて自分のために生きてほしいだけ。
もちろんわがまま放題してほしいって意味じゃないけど、あなたなら意味わかるよね?
地球から連れて行った子たちも、元々向こうで産まれた子たちも、等しく私たちのかわいい子供だもん。
でも色々と現代のゲームを参考にしてるから、ついゲームって言ってしまうのかもね」
「それはわかるけど……
ゲームって言うから感じ悪いんです
かといって実験とか観察って言われてもいい気はしないけど……」
七海はいつの間にか目の前の女神と真剣に話をしていた。全てを真に受けているとは言えないけど、全て疑っているわけではない自分に少し驚きながら……
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