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第一章 平凡兄 X 幼馴染 X 天才妹
1.イガイなエスオーエス
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どうやら今日は先行しているパーティーがいるようだ。お陰で有用なモンスターがまったく見つからない。たまに遭遇するのは労力とドロップ品の見合わない相手ばかり。頑張っても報われないことがわかっているので適当にあしらって逃げ回っていた。
『おにい? ちょっとは戦ってくれないとさぁ。
そんなだからランキング上がらないんだからね』
「そう言われてもなぁ、倒すのが大変なわりにいい素材落とすわけじゃないからさ。
勝てる保証もないんだからやってられないよ」
『思い切ってボコられればバズって視聴者数稼げるかもしれないじゃん。
最近は地味だと全然伸びないんだからもっと努力してよね。
せめてランキング圏外脱却して二桁には入りたくない?』
「でもうちのパーティーは男一人で華もないしなぁ。
今人気があるのってカワイイ実況系や能力をひけらかす派手系だろ?
どっちも俺には無縁だから諦めてくれよ」
ランキングは探索者として別に最重要事項と言うことはない。だがそれはあくまで探索者の立場での話であって、視聴者はそんな見方はしていない。だが純粋な強さやパーティーとしてのテクニックや能力にランキングを付けるならまだしも、完全に見た目だけで判断される人気ランキングに勝手に載せられ、しかも下のほうなのだから目も当てられない。
『それじゃランキング上げるためにかわいい女の子でも入れればいいわけ?
おにいが何言ったってウチは絶対に潜らないからね。
虹子が合格するのはいつになるかわかんないしさ。
それに今は新しいHMDRの試作で忙しいからムリムリ』
「まあ紗由は頭脳派だから適材適所だな。
虹子も次こそは絶対受かるって言ってたぞ。
戦闘に関しては…… もうちょっと考えてみるよ」
『ランキングは収入に直結するんだから努力してよね?
それじゃ今日は早いけど引き上げってことでヨロ。
―― って、ちょっと待って!?』
「どうした? 機材トラブルでも起きたのか?」
『ううん、HMDRのレーダー範囲拡大してみて。
同じ階層でSOS出してるパーティーがいるみたい』
「こんな浅いところで? よっぽどの初心者ってことか。
でも先行していた奴らだとしたらモンスターの残り具合が不自然だしなぁ。
とにかくそれほど遠くないから行ってみるわ」
俺は薄暗いダンジョン内を急いで走り出した。様々な特殊能力を持つようになった現代人の一部には走るのが早い奴もいるが、そんな能力が無い俺はごくごく普通の早さで現地へと急ぐ。数分走ったところでようやく詳細レーダーにSOS信号を出している探索隊が表示され、ほどなくして現地へとたどり着いた俺は目の前にある者を見て目を丸くしてしまった。
「こ、これはどういうことだ!?
紗由、映像見えてるよな?」
『これってもしかして氷、なの!?
おにい、サーチ結果にモンスターは映ってないけど十分注意して索敵してね。
その氷ってキャンプ用の焚火セットで溶かせると思う?』
「出来るかわからないけどやるしかないだろ。
氷柱の中に三人閉じ込められてるしな。
素性はわかるか? この辺りでは見かけない顔だぜ」
『映像から調べてみる。
救命隊にも連絡したから周辺の安全確保もよろしくね』
「人使いが荒いなぁ、まあ了解。
焚火セットじゃなかなか溶けないから少しずつ削ってみる。
これ呼吸できてるんだろうか、窒息しないか心配だな」
『先に採掘用のドリルで穴をあけた方がいいかもしれないね。
中の人に当てないよう注意してよ?
あっ、あと素性なんだけど、ウチらの配信にコメントくれた人がいて判明。
横須賀校所属のスノーダイヤモンドじゃないかってさ』
「横須賀? なんでこんなとこまで来てんだ?
まあいいや、これから通気口を開けてから氷を破壊してみる。
俺の能力でうまく行くといいんだけどなぁ。
救命隊の到着予定時間わかるか?」
『15分ってとこみたい。
呼吸確保が最優先だね』
「了解」
戦闘が得意ではない俺だが、救命活動は重要視しているし普段から訓練しているので得意な分野の一つである。それを証明するかのように、バックパックから手際よく道具を取り出した。
『おにい? ちょっとは戦ってくれないとさぁ。
そんなだからランキング上がらないんだからね』
「そう言われてもなぁ、倒すのが大変なわりにいい素材落とすわけじゃないからさ。
勝てる保証もないんだからやってられないよ」
『思い切ってボコられればバズって視聴者数稼げるかもしれないじゃん。
最近は地味だと全然伸びないんだからもっと努力してよね。
せめてランキング圏外脱却して二桁には入りたくない?』
「でもうちのパーティーは男一人で華もないしなぁ。
今人気があるのってカワイイ実況系や能力をひけらかす派手系だろ?
どっちも俺には無縁だから諦めてくれよ」
ランキングは探索者として別に最重要事項と言うことはない。だがそれはあくまで探索者の立場での話であって、視聴者はそんな見方はしていない。だが純粋な強さやパーティーとしてのテクニックや能力にランキングを付けるならまだしも、完全に見た目だけで判断される人気ランキングに勝手に載せられ、しかも下のほうなのだから目も当てられない。
『それじゃランキング上げるためにかわいい女の子でも入れればいいわけ?
おにいが何言ったってウチは絶対に潜らないからね。
虹子が合格するのはいつになるかわかんないしさ。
それに今は新しいHMDRの試作で忙しいからムリムリ』
「まあ紗由は頭脳派だから適材適所だな。
虹子も次こそは絶対受かるって言ってたぞ。
戦闘に関しては…… もうちょっと考えてみるよ」
『ランキングは収入に直結するんだから努力してよね?
それじゃ今日は早いけど引き上げってことでヨロ。
―― って、ちょっと待って!?』
「どうした? 機材トラブルでも起きたのか?」
『ううん、HMDRのレーダー範囲拡大してみて。
同じ階層でSOS出してるパーティーがいるみたい』
「こんな浅いところで? よっぽどの初心者ってことか。
でも先行していた奴らだとしたらモンスターの残り具合が不自然だしなぁ。
とにかくそれほど遠くないから行ってみるわ」
俺は薄暗いダンジョン内を急いで走り出した。様々な特殊能力を持つようになった現代人の一部には走るのが早い奴もいるが、そんな能力が無い俺はごくごく普通の早さで現地へと急ぐ。数分走ったところでようやく詳細レーダーにSOS信号を出している探索隊が表示され、ほどなくして現地へとたどり着いた俺は目の前にある者を見て目を丸くしてしまった。
「こ、これはどういうことだ!?
紗由、映像見えてるよな?」
『これってもしかして氷、なの!?
おにい、サーチ結果にモンスターは映ってないけど十分注意して索敵してね。
その氷ってキャンプ用の焚火セットで溶かせると思う?』
「出来るかわからないけどやるしかないだろ。
氷柱の中に三人閉じ込められてるしな。
素性はわかるか? この辺りでは見かけない顔だぜ」
『映像から調べてみる。
救命隊にも連絡したから周辺の安全確保もよろしくね』
「人使いが荒いなぁ、まあ了解。
焚火セットじゃなかなか溶けないから少しずつ削ってみる。
これ呼吸できてるんだろうか、窒息しないか心配だな」
『先に採掘用のドリルで穴をあけた方がいいかもしれないね。
中の人に当てないよう注意してよ?
あっ、あと素性なんだけど、ウチらの配信にコメントくれた人がいて判明。
横須賀校所属のスノーダイヤモンドじゃないかってさ』
「横須賀? なんでこんなとこまで来てんだ?
まあいいや、これから通気口を開けてから氷を破壊してみる。
俺の能力でうまく行くといいんだけどなぁ。
救命隊の到着予定時間わかるか?」
『15分ってとこみたい。
呼吸確保が最優先だね』
「了解」
戦闘が得意ではない俺だが、救命活動は重要視しているし普段から訓練しているので得意な分野の一つである。それを証明するかのように、バックパックから手際よく道具を取り出した。
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