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第一章 世界を跨いだ出会い
3.取り調べ
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取り調べとやらは随分長い時間かけて行われ、途中で腹が減ったと言ったら見たことの無い食い物を出してくれた。しかし酒はつけてくれず気前がいいのか悪いのか判断が難しい。
どうやら被害者として扱われているようで待遇は悪くなかった。そう、途中までは。時間が進むにつれ悪意は感じないが明らかに警備兵に疲れを感じるようになった。頻繁に交代しては同じ質問の繰り返しで飽きないのだろうか。
「一応な、一応もう一度聞くぞ?
名前を覚えていないのはわかった。
じゃあこの学生証はなんだ?
聞きなれない学校名なんで調べてみたがすでに存在していないじゃないか」
「俺に聞かれても知らぬものは答えようがない。
これは事実であって隠す意味も理由もないぞ。
それよりもうだいぶ夜が更けているのだろう?
そろそろ横になりたくなってきたのだがな」
「確かに寝かしてやりてえが、お前さんの身元がわからねえことにはなあ。
見た感じは中学生くらいなんだが、話を聞いていると随分大人だと思える。
とりあえず病院で検査してもらうしかねえか」
その時扉が開いて最初に会った警備兵、確かジョアンナがオカさんと呼んでいた男が入って来た。また交代するらしいが話すことなんて何もないのだから無駄なことに時間を使うのは勘弁してもらいたい。
「なあオカさんとやら、こんな無駄なことをするのはもうやめにしないか?
アンタだってそろそろ一杯やりたい時間だろうよ。
どうだ? そこらで一緒にやらんかね?」
「バカ言え、お前さんはどう見ても中学生だろ。
未成年の飲酒はご法度に決まってる。
それより親御さんの連絡先もわからないからどうしたもんか上が相談してるんだ。
悪いようにはしないからもう少し待っててくれよ」
「じゃあせめて飯だけでも食わせてくれ。
もう腹ペコで仕方ないんだよ。」
「さっきカツ丼食ったじゃねえか。
あれだって俺が自腹切ったんだぜ?
早いとこ処遇を決めてもらわねえと破産しちゃうっての」
「年齢が足りないから酒が飲めないってのはこの国では当たり前なのか?
それともこの城の中だけの話か?」
「城ってなあ…… お城じゃなくて警察署だよ。
未成年、つまり子供の飲酒はほとんどの国で禁止や制限をしてるな。
ガキの頃から飲んでるとバカになるからだろ」
「大人はバカじゃないとやってられねえから飲んで構わないって?
はっ、そりゃ結構なこった。
そういやあの女、ジョアンナはどうした?」
「調書取ってとっくに帰したよ。
今頃はまたパパ活ってやつだろうな、胸糞悪いぜ」
「あいつは商売女なのか?
ジョシコーセーとか言ってたのが職業なのかわからんが。
随分若そうに見えるがどこかの部族が口減らしにでも出したのかね」
「商売女なんて随分なこと言うじゃねえか!
あいつはそんなんじゃねえよ!」
オカは拳を握りしめて机を叩いた。その後ろでうたた寝をしていた警備兵がビクッっと頭を上げ目を覚ます。どうやら触れてはいけないことだったのかもしれない。
「そうか、生きていくためにどういった手段を取るかは自由だからな。
別に貶める意図はなかったんだ、すまない」
「いや、俺も急に声を荒げてしまってすまねえ。
九条ジョアンナはうちの娘の一つ上で同じ小中学校に通ってたんだ。
小さいころからよく知っているからつい情が入っちまってな」
「するとそこそこ長い付き合いなわけか。
貴殿がわが娘のように心配していると言うことは、心配しないといけない仕事をしているのだな?」
「ホントお前さんは何も知らねえんだな。
まるっきり別の世界から来たみたいに思えるよ。
まあ本人がいないところであんまり話すのもよろしくねえしこの辺にしとくか。
おっと、ちょうど迎えも来たようだぜ?」
「またどこかへ連れて行かれるのか……
酒は諦めるが、せめて飯は出るのだろうな?」
「出ることは出るが病院だから贅沢は言わないでくれ。
一応検査の手配をしてあるから大人しく頼むよ。
明日の午後にでも顔を出すからな」
こうして俺は次の係に引き渡されて病院とやらへ連れて行かれることになった。詳しく聞いてみるとなんのことはない。いわゆる治療院のようだ。記憶に障害が出ていることもあって必要以上に心配されているらしい。
なんにせよ今夜の寝床と飯にはありつけて一安心だ。子供の姿では酒が飲めないことは残念だが、そのうちひと気のないところで飲めばいいだろう。
俺が連れて行かれた病院と言う場所は、異常なまでに静かで清潔なのが返って気持ち悪かった。しかし眠気には勝てずあっさりと寝入ってしまった。
そして翌朝になり僅かな飯を食い、追い立てられるように病院の中を連れまわされた。
「いやいやいや、何をするか!
俺は騙されんぞ! これは拷問か処刑の道具であろうが!!」
「何言ってるんですか。
暴れちゃだめですって。
これはMRIという機械で頭の中を調べるだけですから怖くないですよお」
「怖い? 怖がってなぞおらん!
ただ警戒しているだけだ!
大体頭の中を調べるとはなんだ! かち割るつもりだろ!」
というようなやり取りがあったとかなかったとか、まあ色々あり…… 結局検査とやらはオカが来てからきちんと説明してもらい、それからにするという約束を担当者と取り交わし合意に至った。
どうやら被害者として扱われているようで待遇は悪くなかった。そう、途中までは。時間が進むにつれ悪意は感じないが明らかに警備兵に疲れを感じるようになった。頻繁に交代しては同じ質問の繰り返しで飽きないのだろうか。
「一応な、一応もう一度聞くぞ?
名前を覚えていないのはわかった。
じゃあこの学生証はなんだ?
聞きなれない学校名なんで調べてみたがすでに存在していないじゃないか」
「俺に聞かれても知らぬものは答えようがない。
これは事実であって隠す意味も理由もないぞ。
それよりもうだいぶ夜が更けているのだろう?
そろそろ横になりたくなってきたのだがな」
「確かに寝かしてやりてえが、お前さんの身元がわからねえことにはなあ。
見た感じは中学生くらいなんだが、話を聞いていると随分大人だと思える。
とりあえず病院で検査してもらうしかねえか」
その時扉が開いて最初に会った警備兵、確かジョアンナがオカさんと呼んでいた男が入って来た。また交代するらしいが話すことなんて何もないのだから無駄なことに時間を使うのは勘弁してもらいたい。
「なあオカさんとやら、こんな無駄なことをするのはもうやめにしないか?
アンタだってそろそろ一杯やりたい時間だろうよ。
どうだ? そこらで一緒にやらんかね?」
「バカ言え、お前さんはどう見ても中学生だろ。
未成年の飲酒はご法度に決まってる。
それより親御さんの連絡先もわからないからどうしたもんか上が相談してるんだ。
悪いようにはしないからもう少し待っててくれよ」
「じゃあせめて飯だけでも食わせてくれ。
もう腹ペコで仕方ないんだよ。」
「さっきカツ丼食ったじゃねえか。
あれだって俺が自腹切ったんだぜ?
早いとこ処遇を決めてもらわねえと破産しちゃうっての」
「年齢が足りないから酒が飲めないってのはこの国では当たり前なのか?
それともこの城の中だけの話か?」
「城ってなあ…… お城じゃなくて警察署だよ。
未成年、つまり子供の飲酒はほとんどの国で禁止や制限をしてるな。
ガキの頃から飲んでるとバカになるからだろ」
「大人はバカじゃないとやってられねえから飲んで構わないって?
はっ、そりゃ結構なこった。
そういやあの女、ジョアンナはどうした?」
「調書取ってとっくに帰したよ。
今頃はまたパパ活ってやつだろうな、胸糞悪いぜ」
「あいつは商売女なのか?
ジョシコーセーとか言ってたのが職業なのかわからんが。
随分若そうに見えるがどこかの部族が口減らしにでも出したのかね」
「商売女なんて随分なこと言うじゃねえか!
あいつはそんなんじゃねえよ!」
オカは拳を握りしめて机を叩いた。その後ろでうたた寝をしていた警備兵がビクッっと頭を上げ目を覚ます。どうやら触れてはいけないことだったのかもしれない。
「そうか、生きていくためにどういった手段を取るかは自由だからな。
別に貶める意図はなかったんだ、すまない」
「いや、俺も急に声を荒げてしまってすまねえ。
九条ジョアンナはうちの娘の一つ上で同じ小中学校に通ってたんだ。
小さいころからよく知っているからつい情が入っちまってな」
「するとそこそこ長い付き合いなわけか。
貴殿がわが娘のように心配していると言うことは、心配しないといけない仕事をしているのだな?」
「ホントお前さんは何も知らねえんだな。
まるっきり別の世界から来たみたいに思えるよ。
まあ本人がいないところであんまり話すのもよろしくねえしこの辺にしとくか。
おっと、ちょうど迎えも来たようだぜ?」
「またどこかへ連れて行かれるのか……
酒は諦めるが、せめて飯は出るのだろうな?」
「出ることは出るが病院だから贅沢は言わないでくれ。
一応検査の手配をしてあるから大人しく頼むよ。
明日の午後にでも顔を出すからな」
こうして俺は次の係に引き渡されて病院とやらへ連れて行かれることになった。詳しく聞いてみるとなんのことはない。いわゆる治療院のようだ。記憶に障害が出ていることもあって必要以上に心配されているらしい。
なんにせよ今夜の寝床と飯にはありつけて一安心だ。子供の姿では酒が飲めないことは残念だが、そのうちひと気のないところで飲めばいいだろう。
俺が連れて行かれた病院と言う場所は、異常なまでに静かで清潔なのが返って気持ち悪かった。しかし眠気には勝てずあっさりと寝入ってしまった。
そして翌朝になり僅かな飯を食い、追い立てられるように病院の中を連れまわされた。
「いやいやいや、何をするか!
俺は騙されんぞ! これは拷問か処刑の道具であろうが!!」
「何言ってるんですか。
暴れちゃだめですって。
これはMRIという機械で頭の中を調べるだけですから怖くないですよお」
「怖い? 怖がってなぞおらん!
ただ警戒しているだけだ!
大体頭の中を調べるとはなんだ! かち割るつもりだろ!」
というようなやり取りがあったとかなかったとか、まあ色々あり…… 結局検査とやらはオカが来てからきちんと説明してもらい、それからにするという約束を担当者と取り交わし合意に至った。
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