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第十四章 国王と王妃
65.最後に抱くもの
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クラウディアは、引き車(フロート)の上から沿道の民衆へ手を振り、乾燥させた麦を何度も撒いているうちに心が高揚していくのを感じていた。まさかこんな日がやってくるなんて思っても見なかった。奴隷にまで堕ち地獄のような毎日を送っていた哀れな少女が、これほどまでに祝福され、また自身から民へと祝福を授ける立場になろうとは。
この中には過去の自分同様辛い思いをしている人々がいるかもしれない。そんな誰かの希望と成れたなら、今ここに立っている意味があると考えていた。小さな子供から自分と似たような妙齢の女、働き盛りの男など様々な人たちが沿道へ集っている。他にも夫婦だろうか、それとも姉弟だろうか、仲の良さそうな人たちもいて微笑ましい。小さな姉弟を見るとやはり子供たちへと重ね見てしまうのは母ゆえだろう。
「皆さま! 国王陛下、並びに王妃陛下でございます!
ラギルレイト・ロハ・グイン・ダマエライト国王陛下からの祝福に感謝を!
クラウディア・アリア・ダマエライト王妃陛下からの祝福に感謝を!」
再び高らかに報知され両陛下が引き車で進んでいく。ここでクラウディアは、この祝いの参列にそぐわない形相の男を見つけた。その眼は明らかに自分を凝視しているが周囲の参列者が笑顔なのに比べて、睨んでいるような驚いているような複雑な表情である。その姿を見ているだけで鼓動が高鳴り、不思議と目が離せないでいた。
クラウディアはなにか不幸を抱えている人なのかと考え、その少年に笑顔を向けた。すると向こうも満面の笑みを見せてくれたので、スッと胸のつかえがとれた気がした。その瞬間――
人ごみを掻き分けてその少年が近づいてくる。引き車に乗った国王と王妃からは、祝福を授けるという名目で乾燥させた麦を撒きながら進んでいくのだが、それに届くように距離を詰めてきたのだろう。大分近くまでやってきた少年はまだクラウディアを見つめている。それになにか口をパクパクさせて訴えたいことでもあるように見える。
『…… …… …… ――』
まさか!? 今の口の動き、そして年齢に背格好はギルガメスとほぼ同じである。そうか、そうなのだ、きっとアレは――
『お母さま! お母さまなのでしょ?』
まだ声は届かないが、何を言っているのか口の動きがわかる程度には表情がはっきりと見えていた。名はなんと言っただろうか、アーゲンハイム伯爵からは一度聞いたきりだった。しかしミドルネームに自分と同じアリアを付けられた我が子がすぐそこにいる。その表情は朗らかで明らかにクラウディアを求めているように見える。ああ、我が息子に怯えるなんてバカな考えだったのだ。
そう考えたクラウディアは両手を広げ迎え入れるような態度を見せた。それは今すぐにと言うつもりではなく、我が子の存在を受け入れる気持ちがそうさせた物だった。しかし少年はその合図に呼応したように一気に引き車まで駆け寄ってくる。
そのまますぐそばにいた警備兵から剣を奪うと視線を王へと向けた。並みの使い手では傷をつけることも難しい王の強靭な肉とは言え、同じ男系男子のフラムスからすれば普通の人間と変わらず刃を突き立てることが出来るだろう。
そう考えたクラウディアは我が子がこれから犯す罪を背負うべく声を張り上げた。
「アルベルトの子よ! あなたが斬るべきなのはこの母です!
こちらへいらっしゃい!」
再び両の手を大きく広げ我が子を抱いた母は、かつて腕の中の子も宿っていた腹から、美しさを取り戻した背中まで貫通した剣(つるぎ)から零れ落ちる鮮血に染まっていった。
「名前…… 名前を聞かせて…… 我が息子……」
「フラムスです、お母さま――」
「フラムス、いい名だわ、伯爵に感謝しないといけな……」
愛する妃へと剣が差し込まれていく様(さま)をすぐ目の前で見せつけられた王は、瞬時に激高し己の剣を引き抜き兇徒(きょうと)の首へと突き立てた。そしてその一撃は、フラムスが初めて母と呼んだその言葉を断末魔へと変えた。
◇◇◇
「皆さま! 国王陛下、並びに王妃陛下でございます!
ラギルレイト・ロハ・グイン・ダマエライト国王陛下からの祝福に感謝を!
クラウディア・アリア・ダマエライト王妃陛下からの祝福に感謝を!」
フラムスは耳を疑った。我が名が背負っているものと同じアリアという名が聞こえたからだ。いずれこの国の王を倒し、その座を奪い取るために顔くらい見ておこうと来てみただけだったのに。まさかあれが、王の妃が母だと言うのか!?
自分に王族の血が流れていることは義理の父から聞いて確認済みだ。しかし母が王族に迎え入れられた存在だとは聞いていない。それでは自分の父は一体誰なのだ。あそこで偉そうにしている二人が両親と言うことはないだろう。なぜなら男系男子の自分を棄てる理由が無いからだ。
つまりは亡き先王の血族であることは容易に想像がつく。その王を殺し王座を奪ったのが現国王であるならば、フラムスがその命を奪い新たな王へ座しても構わないと言うことになる。そんなことを考えていたらふと王妃と目が合った。なぜあいつは笑っているのだ、憐れんでいるのか? 蔑んでいるのか? それとも嘲笑の笑いなのか。
そう考えたらいても経っても居られずに走り出していた。一緒にいたドロシーが背後で叫んでいるが後で迎えに行けばいい。向かう途中にはちょうどよく武器を用意している男たちがいる。手近なところから一振り拝借してから一気に駈け出すと、こちらへ背を向けている王へ向かって刃を突き立てんとしたのだが、この喧騒の中不思議と聞こえてくる母の呼びかけに吸い寄せられていった。
手に持った剣は母の腹へと突き刺さり、そのまま上方へ向かって背中から天を指していた。間違いなく助からない致命傷を与えた女は、なぜかフラムスを抱きしめながら笑って語りかけてきた。
「名前…… 名前を聞かせて…… 我が息子……」
「フラムスです、お母さま――」
初めて出会った母を抱きしめ返したはずだったが、それを認識する前にフラムスの意識は途切れた。
この中には過去の自分同様辛い思いをしている人々がいるかもしれない。そんな誰かの希望と成れたなら、今ここに立っている意味があると考えていた。小さな子供から自分と似たような妙齢の女、働き盛りの男など様々な人たちが沿道へ集っている。他にも夫婦だろうか、それとも姉弟だろうか、仲の良さそうな人たちもいて微笑ましい。小さな姉弟を見るとやはり子供たちへと重ね見てしまうのは母ゆえだろう。
「皆さま! 国王陛下、並びに王妃陛下でございます!
ラギルレイト・ロハ・グイン・ダマエライト国王陛下からの祝福に感謝を!
クラウディア・アリア・ダマエライト王妃陛下からの祝福に感謝を!」
再び高らかに報知され両陛下が引き車で進んでいく。ここでクラウディアは、この祝いの参列にそぐわない形相の男を見つけた。その眼は明らかに自分を凝視しているが周囲の参列者が笑顔なのに比べて、睨んでいるような驚いているような複雑な表情である。その姿を見ているだけで鼓動が高鳴り、不思議と目が離せないでいた。
クラウディアはなにか不幸を抱えている人なのかと考え、その少年に笑顔を向けた。すると向こうも満面の笑みを見せてくれたので、スッと胸のつかえがとれた気がした。その瞬間――
人ごみを掻き分けてその少年が近づいてくる。引き車に乗った国王と王妃からは、祝福を授けるという名目で乾燥させた麦を撒きながら進んでいくのだが、それに届くように距離を詰めてきたのだろう。大分近くまでやってきた少年はまだクラウディアを見つめている。それになにか口をパクパクさせて訴えたいことでもあるように見える。
『…… …… …… ――』
まさか!? 今の口の動き、そして年齢に背格好はギルガメスとほぼ同じである。そうか、そうなのだ、きっとアレは――
『お母さま! お母さまなのでしょ?』
まだ声は届かないが、何を言っているのか口の動きがわかる程度には表情がはっきりと見えていた。名はなんと言っただろうか、アーゲンハイム伯爵からは一度聞いたきりだった。しかしミドルネームに自分と同じアリアを付けられた我が子がすぐそこにいる。その表情は朗らかで明らかにクラウディアを求めているように見える。ああ、我が息子に怯えるなんてバカな考えだったのだ。
そう考えたクラウディアは両手を広げ迎え入れるような態度を見せた。それは今すぐにと言うつもりではなく、我が子の存在を受け入れる気持ちがそうさせた物だった。しかし少年はその合図に呼応したように一気に引き車まで駆け寄ってくる。
そのまますぐそばにいた警備兵から剣を奪うと視線を王へと向けた。並みの使い手では傷をつけることも難しい王の強靭な肉とは言え、同じ男系男子のフラムスからすれば普通の人間と変わらず刃を突き立てることが出来るだろう。
そう考えたクラウディアは我が子がこれから犯す罪を背負うべく声を張り上げた。
「アルベルトの子よ! あなたが斬るべきなのはこの母です!
こちらへいらっしゃい!」
再び両の手を大きく広げ我が子を抱いた母は、かつて腕の中の子も宿っていた腹から、美しさを取り戻した背中まで貫通した剣(つるぎ)から零れ落ちる鮮血に染まっていった。
「名前…… 名前を聞かせて…… 我が息子……」
「フラムスです、お母さま――」
「フラムス、いい名だわ、伯爵に感謝しないといけな……」
愛する妃へと剣が差し込まれていく様(さま)をすぐ目の前で見せつけられた王は、瞬時に激高し己の剣を引き抜き兇徒(きょうと)の首へと突き立てた。そしてその一撃は、フラムスが初めて母と呼んだその言葉を断末魔へと変えた。
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「皆さま! 国王陛下、並びに王妃陛下でございます!
ラギルレイト・ロハ・グイン・ダマエライト国王陛下からの祝福に感謝を!
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フラムスは耳を疑った。我が名が背負っているものと同じアリアという名が聞こえたからだ。いずれこの国の王を倒し、その座を奪い取るために顔くらい見ておこうと来てみただけだったのに。まさかあれが、王の妃が母だと言うのか!?
自分に王族の血が流れていることは義理の父から聞いて確認済みだ。しかし母が王族に迎え入れられた存在だとは聞いていない。それでは自分の父は一体誰なのだ。あそこで偉そうにしている二人が両親と言うことはないだろう。なぜなら男系男子の自分を棄てる理由が無いからだ。
つまりは亡き先王の血族であることは容易に想像がつく。その王を殺し王座を奪ったのが現国王であるならば、フラムスがその命を奪い新たな王へ座しても構わないと言うことになる。そんなことを考えていたらふと王妃と目が合った。なぜあいつは笑っているのだ、憐れんでいるのか? 蔑んでいるのか? それとも嘲笑の笑いなのか。
そう考えたらいても経っても居られずに走り出していた。一緒にいたドロシーが背後で叫んでいるが後で迎えに行けばいい。向かう途中にはちょうどよく武器を用意している男たちがいる。手近なところから一振り拝借してから一気に駈け出すと、こちらへ背を向けている王へ向かって刃を突き立てんとしたのだが、この喧騒の中不思議と聞こえてくる母の呼びかけに吸い寄せられていった。
手に持った剣は母の腹へと突き刺さり、そのまま上方へ向かって背中から天を指していた。間違いなく助からない致命傷を与えた女は、なぜかフラムスを抱きしめながら笑って語りかけてきた。
「名前…… 名前を聞かせて…… 我が息子……」
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