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第十三章 授かる姫君
56.王族の真実
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アサクサは聞いたこと全てに答えてはくれるが、それが本当なのかどうかは誰にもわからない。なにせ話は突拍子の無いものだし、事実なのか確かめる術(すべ)もないのだから。だが現在とは全く異なる高度な技術であることだけは疑いようがない。ギルガメスを寝かせながらフローリアはもう一度アサクサへと向き合った。
「凄いわね…… 何もないところからベッドが出て来たわよ……
もしかしてお茶とか出せるの? 少し喉が渇いたわ。
あと私にも椅子をお願いね」
「はい、お茶というと日本茶になりますが、この国で広く飲まれているお茶にしますか?
もう一つ、フローリアを新たな主人として登録可能ですがどうしますか?」
「普通のお茶を…… 待って、その日本茶というのを飲んでみたいわ。
新たな主人とか言うのは少し待っててもらえる?
お父さまにも相談した方がいいと思うのよね。
それでどこまで話したっけ?」
「自分の子へ遺伝子操作を施したところです。
その子が成長し二次性徴を迎えた頃に異変が起きました」
「その子供は男? それとも女?
待って、わかってるわ、男だったのでしょう?
そしてその異変も検討がついているわ」
フローリアは自信有り気にそう言うと日本茶を口にして目を丸くした。いくら医学に明るくないと言っても、年齢にそぐわず賢い大人と同等程度の知識はどの分野であろうと持っているからだ。
「はい、子供は男子でした。
男子の場合、精通が起きた後には自慰行為をするようになることが知られています。
しかしこの子の場合にはその回数が異常であったのです。
また、回数のみが異常ではなく、肉体成長が促進されることも判明しました」
「やっぱり自慰でもそうなるわけなのねえ。
最近ギルが急に逞(たくま)しくなってきたのも関係あるのでしょ?」
「はい、その通り、ギルガメスは現在週に2度ほど自慰を行っていると推察されます。
ただしこれは特別多い回数とは言えず見過ごせる範囲でしょう。
また、男子は自慰行為を女家族に見られること知られることを極端に嫌います。
将来的に渡り遺恨と成りえますので扱いにはご注意ください」
「大丈夫、わかっているわ。
今じゃお風呂だって一緒に入らないくらい私を避けるんだもの。
お互い成長して色々変わってきてるんだろうなって思ってたわ」
「話を戻します。
父親はそのことを知って自らにも同じ遺伝子操作を行いました」
「クズね! はっきり言ってクズの所業だわ。
目的が一つしか思いつかないもの!」
「はい、父親は新たに現地人の妻を娶(めと)りました。
ですが――」
「一人では満足せずに次々と妾(めかけ)を迎え入れた、でしょ?
それって始祖の伝記に載っていることと似ているわ。
書物だと周囲に女が集まってきてしまったため慈悲深く受け入れた、だけどね」
「はい、私の記録では16名の側室を迎えています。
最終的な子の数は43名、成人まで達した者が12名と記録されています」
「死亡率は今よりももっと高かったわけか……
でも危なければここへ連れて来て救うことも出来たわよね?
なぜそうしなかったの?」
「はい、付きっきりでは無かったため知らずのに亡くなっていたケースがほとんどです。
あわせて事故死も多かった模様です。
その反省を生かして奥御殿(ハーレム)が作られました」
「反省を生かして妾を抱えることを止めてほしかったわね……
始祖のことは大体分かったわ。
その成人した十二人の誰かの子孫が私たちってことなんでしょ?」
「明確なのは最初の男子が始祖の次の代を継いだ二代目と言うこと。
三代目の母親は二代目の異母妹であり候補は複数居りますが無記録です。
そのうちの何名かには先天性の障害が発生、以後近親繁殖は禁止となりました。
ちなみに二代目の世代では、最初の子以外に男子は産まれまていません。
最初の子は自分の秘密を教えられていたのでなんとしても男子を残そうとしました。
そのためにも奥御殿は役に立ったと言うことです」
「はぁあああぁ、なんだか情けなさ過ぎて私が恥ずかしくなってきたわ……
そう言えば何故この施設は引き継がれなかったの?
二代目やその次に引き継げば盤石だったのではないかしら」
「始祖はご自身へ施した遺伝子操作による作用と副作用に悩まされていました。
一日のほとんどを性交へ費やし他になんの楽しみも無かったと残しています。
副作用は性交終了後の強い脱力感(賢者モード)で、こちらも生きる意欲を削ぐ物のようでした。
これを毎日繰り返す生活が受け継がれてはいけないと通路を封印したのです。
今フローリアが持っているカードも、簡単に開けられないよう部屋へと残して出て行きました。
当人の名誉のために申しますと、世界の行く末も僅かに心配していました。
その後の記録はハンゾーが収集した情報が元なので、量や精度に不足があります」
「うっかり哀れで可愛そうな人って思いそうになるけど、完全に自業自得のクズだわね。
こんなに可愛らしいギルもいつかそうなってしまうのかと思うと悲しいわ。
それって何とかならないの?」
「はい、できます。
遺伝子操作を行えば弱めることが可能です。
しかし肉体増強効果も薄れることが予想されます。
フローリアはその賢い頭脳を棄てられますか?
なぜか女子には明晰な頭脳として遺伝していることはご存知でしょう?」
「ああ、そうだった。
私もその子供も恩恵を受けることになるのだわ。
それっていいことなのか悪いことなのか…… まったく悩ましいわ……
あ! そんなにすぐれた医療技術があるなら火傷の跡なんてすぐに消せるかしら?」
「はい、可能です。
状態によっては人工皮膚を使用してきれいさっぱり。
死者を蘇生する等の無茶でなければ大概のことは実現可能です。
もしお望みなら人類滅亡も今すぐ可能です」
「えっ!?」
「はい?」
「凄いわね…… 何もないところからベッドが出て来たわよ……
もしかしてお茶とか出せるの? 少し喉が渇いたわ。
あと私にも椅子をお願いね」
「はい、お茶というと日本茶になりますが、この国で広く飲まれているお茶にしますか?
もう一つ、フローリアを新たな主人として登録可能ですがどうしますか?」
「普通のお茶を…… 待って、その日本茶というのを飲んでみたいわ。
新たな主人とか言うのは少し待っててもらえる?
お父さまにも相談した方がいいと思うのよね。
それでどこまで話したっけ?」
「自分の子へ遺伝子操作を施したところです。
その子が成長し二次性徴を迎えた頃に異変が起きました」
「その子供は男? それとも女?
待って、わかってるわ、男だったのでしょう?
そしてその異変も検討がついているわ」
フローリアは自信有り気にそう言うと日本茶を口にして目を丸くした。いくら医学に明るくないと言っても、年齢にそぐわず賢い大人と同等程度の知識はどの分野であろうと持っているからだ。
「はい、子供は男子でした。
男子の場合、精通が起きた後には自慰行為をするようになることが知られています。
しかしこの子の場合にはその回数が異常であったのです。
また、回数のみが異常ではなく、肉体成長が促進されることも判明しました」
「やっぱり自慰でもそうなるわけなのねえ。
最近ギルが急に逞(たくま)しくなってきたのも関係あるのでしょ?」
「はい、その通り、ギルガメスは現在週に2度ほど自慰を行っていると推察されます。
ただしこれは特別多い回数とは言えず見過ごせる範囲でしょう。
また、男子は自慰行為を女家族に見られること知られることを極端に嫌います。
将来的に渡り遺恨と成りえますので扱いにはご注意ください」
「大丈夫、わかっているわ。
今じゃお風呂だって一緒に入らないくらい私を避けるんだもの。
お互い成長して色々変わってきてるんだろうなって思ってたわ」
「話を戻します。
父親はそのことを知って自らにも同じ遺伝子操作を行いました」
「クズね! はっきり言ってクズの所業だわ。
目的が一つしか思いつかないもの!」
「はい、父親は新たに現地人の妻を娶(めと)りました。
ですが――」
「一人では満足せずに次々と妾(めかけ)を迎え入れた、でしょ?
それって始祖の伝記に載っていることと似ているわ。
書物だと周囲に女が集まってきてしまったため慈悲深く受け入れた、だけどね」
「はい、私の記録では16名の側室を迎えています。
最終的な子の数は43名、成人まで達した者が12名と記録されています」
「死亡率は今よりももっと高かったわけか……
でも危なければここへ連れて来て救うことも出来たわよね?
なぜそうしなかったの?」
「はい、付きっきりでは無かったため知らずのに亡くなっていたケースがほとんどです。
あわせて事故死も多かった模様です。
その反省を生かして奥御殿(ハーレム)が作られました」
「反省を生かして妾を抱えることを止めてほしかったわね……
始祖のことは大体分かったわ。
その成人した十二人の誰かの子孫が私たちってことなんでしょ?」
「明確なのは最初の男子が始祖の次の代を継いだ二代目と言うこと。
三代目の母親は二代目の異母妹であり候補は複数居りますが無記録です。
そのうちの何名かには先天性の障害が発生、以後近親繁殖は禁止となりました。
ちなみに二代目の世代では、最初の子以外に男子は産まれまていません。
最初の子は自分の秘密を教えられていたのでなんとしても男子を残そうとしました。
そのためにも奥御殿は役に立ったと言うことです」
「はぁあああぁ、なんだか情けなさ過ぎて私が恥ずかしくなってきたわ……
そう言えば何故この施設は引き継がれなかったの?
二代目やその次に引き継げば盤石だったのではないかしら」
「始祖はご自身へ施した遺伝子操作による作用と副作用に悩まされていました。
一日のほとんどを性交へ費やし他になんの楽しみも無かったと残しています。
副作用は性交終了後の強い脱力感(賢者モード)で、こちらも生きる意欲を削ぐ物のようでした。
これを毎日繰り返す生活が受け継がれてはいけないと通路を封印したのです。
今フローリアが持っているカードも、簡単に開けられないよう部屋へと残して出て行きました。
当人の名誉のために申しますと、世界の行く末も僅かに心配していました。
その後の記録はハンゾーが収集した情報が元なので、量や精度に不足があります」
「うっかり哀れで可愛そうな人って思いそうになるけど、完全に自業自得のクズだわね。
こんなに可愛らしいギルもいつかそうなってしまうのかと思うと悲しいわ。
それって何とかならないの?」
「はい、できます。
遺伝子操作を行えば弱めることが可能です。
しかし肉体増強効果も薄れることが予想されます。
フローリアはその賢い頭脳を棄てられますか?
なぜか女子には明晰な頭脳として遺伝していることはご存知でしょう?」
「ああ、そうだった。
私もその子供も恩恵を受けることになるのだわ。
それっていいことなのか悪いことなのか…… まったく悩ましいわ……
あ! そんなにすぐれた医療技術があるなら火傷の跡なんてすぐに消せるかしら?」
「はい、可能です。
状態によっては人工皮膚を使用してきれいさっぱり。
死者を蘇生する等の無茶でなければ大概のことは実現可能です。
もしお望みなら人類滅亡も今すぐ可能です」
「えっ!?」
「はい?」
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