上 下
28 / 66
第七章 終焉の令嬢

28.真実の姿

しおりを挟む
 再び大雨に降られてしまった国王は、身体を冷やしながらも満足感で高揚していた。信じられないほど大きな感情の爆発、経産婦とは思えない未熟で敏感な肉体は、少年時代から相当数の女を相手にしてきた老獪な男にも経験の無いことだった。


 思い返せば始めて恋をしたと認識したのは十三、四くらいだったか。先日タクローシュによって処刑された王妃のスーデリカがその相手だ。それが自分の手から零れ落ち、兄である前国王に奪われた時の落胆と言ったら言葉ではとても言い表せない。反乱を起こした理由にその恨みが含まれていないと言ったら嘘になるが、それでもあの時は国の為と言う大義があったのも事実。

 その後王妃を取り返し自分のものにすることは出来たが、愛するものの子だからと言ってアルベルトを残しておいたのが裏目に出た。奴は自分の母を犯し、その罪で母であったスーデリカも処刑された。勝手な真似をしたタクローシュを責めたかったが、法に従えば死罪なのは間違いない。それに王妃はすでに幼きころのスーデリカではなかったのだから未練はなかった。

 問題は自分とスーデリカの間に出来た子であるタクローシュだ。あいつは激情しやすく容赦を知らない。このまま王になっても国を治めることが出来るか怪しいと考えていた。それにあの性格は兄上とよく似ている。まさかとは思うが、スーデリカを迎えた時にはすでに孕んでいたのではないだろうか。王の代替わりから間もなく出来た子だったが、喜びが先に立ち深くは考えてこなかった。

 その後側室との間にも男子が出来たが幼いまま病で亡くなり、もう一人も産まれてすぐに亡くなった。残された男子はタクローシュのみであり、その頃から自分が男として役に立たなくなり始めていたので甘やかし過ぎたせいもある。せめてやつに子が出来れば教育をし直すこともできるだろうが、今のところ望みは薄い。

 だからもう一度だけでも、せめて一度でいいから自らの男がその力を取戻せないだろうか。そう思わせているのはクラウディアと言う幼子(おぼこ)の存在であるが、あんな小娘に溺れそうになっている自分がおかしくて仕方ない。だが、あの娘相手ならもう一度自分を取り戻せるような気がしているのだった。

 もちろんそこに根拠などなく歩の悪い賭けではある。だがそれでもいい、クラウディアには手元へ置いて愛でていたい、そう思わせる何かがあった。もちろんあの娘の両親や親族配下全てを処刑したことで恨みを買っているはずだと言う自覚はある。確かにあの処分は行き過ぎであったがダルチエン伯爵が反乱を企てていたことは間違いなく、本来ならクラウディアも処刑されるはずだった。しかしタクローシュが奴隷としてアルベルトへ与え辱めたいと言い出したので好きにさせたのだ。

 それが今や王である自分が囲っているのだから数奇な話である。多くの貴族が王子の妃候補として自分の娘を差し出す中、ダルチエン伯爵は自分の娘を溺愛しており手放そうとしなかった。そのことも反乱を企てている疑いの一つとなり最後は兵を集めていたところを現行犯で取り押さえた。しかしクラウディアにそこまで細かく説明すべきかどうか王は悩んでいた。


 そんな悩みを抱えながらも手元へ置くことにしたこの未熟な娘が、自らの悦びを溢れさせこの王に向かって降り注がせるとは。子を作るための道具でしかないと考えていた女という存在をこんなに愛いと感じたのは初めてで我ながら驚いていた。初恋相手のスーデリカでさえただ可愛らしい、美しいと思っただけであったのに。絶頂を迎えて体の重みを王へと預けてしまっている幼子は、息を荒くしながらぼそぼそと呟いていた。

「陛下…… んぐ、ぬちゃぁ…… んぐんぐ、陛下ぁ……」

 意識があるのか無いのかすらあやふやな状況下、王の眼前に自らの女を晒しながらヒクヒクと震えさせている。女は上下を逆さにして王の上に跨ったまま、夢中で王の小さな男を咥えこんで口淫し続けていた。くちゅくちゅと音を立てながら唾液を垂らしている様を見て欲情した老王は、同じように涎を垂らしている縦筋の口へと舌を這わした。

『ぐちゅ、ぎゅちゅ、ちゃぷ、ちゅる――』

 どちらの唾液かわからないくらいに混ざり合って滴り出る悦びは、再び王の髭を濡らしていく。そのうちにクラウディアがまた大声を上げ果てた。

「んばっ、ああう、んぐ、あ、ああ、あああああ!!!
 陛下! お情けを! 陛下ああ!」

 身体を激しく反らせ真上まで顔を上げ大声で叫んだその姿は、まるで天にも昇る気持ちだと言う比喩をそのまま体現しているような大仰なものだった。しかしクラウディアにとっては本当に天にも昇る気持ちであり、この絶頂感で正気を保っていることが出来なかった。

 すぐに頭を下げたクラウディアは、再び幼き王を咥えこみ今までよりも早い速度で上下運動を始めた。同時に口内では、抱きこんだ王自身へと舌を絡ませ隅々まで舌を這いずりまわしている。

『んっちゅ、ぐちゅ、ぬっちゃ、くちゅ、んちゅ、ん、んん、んう、んん、ん……
 ぺちゃ、くっちゃ、んちゅ、はぁはぁ、陛下…… んぐぅ、きゅちゅっ、んはあ――
 ―― んごぁ、んもご、陛下あ、おご、んんおごぉ、陛下! んごっふあぁ――』

 クラウディアの口内はいつの間にか溢れんばかりのものに支配され、今まで通りの行為が難しくなってしまった。いったい何が起きたのかわからないまま、息苦しさで正気に戻ったクラウディアは、視界に入った王を見てすぐにそれが何かわかり驚きの笑みを浮かべた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

絶倫騎士さまが離してくれません!

浅岸 久
恋愛
旧題:拝啓お父さま わたし、奴隷騎士を婿にします! 幼いときからずっと憧れていた騎士さまが、奴隷堕ちしていた。 〈結び〉の魔法使いであるシェリルの実家は商家で、初恋の相手を配偶者にすることを推奨した恋愛結婚至上主義の家だ。当然、シェリルも初恋の彼を探し続け、何年もかけてようやく見つけたのだ。 奴隷堕ちした彼のもとへ辿り着いたシェリルは、9年ぶりに彼と再会する。 下心満載で彼を解放した――はいいけれど、次の瞬間、今度はシェリルの方が抱き込まれ、文字通り、彼にひっついたまま離してもらえなくなってしまった! 憧れの元騎士さまを掴まえるつもりで、自分の方が(物理的に)がっつり掴まえられてしまうおはなし。 ※軽いRシーンには[*]を、濃いRシーンには[**]をつけています。 *第14回恋愛小説大賞にて優秀賞をいただきました* *2021年12月10日 ノーチェブックスより改題のうえ書籍化しました* *2024年4月22日 ノーチェ文庫より文庫化いたしました*

【完結】後宮の秘姫は知らぬ間に、年上の義息子の手で花ひらく

愛早さくら
恋愛
小美(シャオメイ)は幼少期に後宮に入宮した。僅か2歳の時だった。 貴妃になれる四家の一つ、白家の嫡出子であった小美は、しかし幼さを理由に明妃の位に封じられている。皇帝と正后を両親代わりに、妃でありながらほとんど皇女のように育った小美は、後宮の秘姫と称されていた。 そんな小美が想いを寄せるのは皇太子であり、年上の義息子となる玉翔(ユーシァン)。 いつしか後宮に寄りつかなくなった玉翔に遠くから眺め、憧れを募らせる日々。そんな中、影武者だと名乗る玉翔そっくりの宮人(使用人)があらわれて。 涼という名の影武者は、躊躇う小美に近づいて、玉翔への恋心故に短期間で急成長した小美に愛を囁いてくる。 似ているけど違う、だけど似ているから逆らえない。こんなこと、玉翔以外からなんて、されたくないはずなのに……――。 年上の義息子への恋心と、彼にそっくりな影武者との間で揺れる主人公・小美と、小美自身の出自を取り巻く色々を描いた、中華王朝風の後宮を舞台とした物語。 ・地味に実は他の異世界話と同じ世界観。 ・魔法とかある異世界の中での中華っぽい国が舞台。 ・あくまでも中華王朝風で、彼の国の後宮制を参考にしたオリジナルです。 ・CPは固定です。他のキャラとくっつくことはありません。 ・多分ハッピーエンド。 ・R18シーンがあるので、未成年の方はお控えください。(該当の話には*を付けます。

孕まされて捨てられた悪役令嬢ですが、ヤンデレ王子様に溺愛されてます!?

季邑 えり
恋愛
前世で楽しんでいた十八禁乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したティーリア。婚約者の王子アーヴィンは物語だと悪役令嬢を凌辱した上で破滅させるヤンデレ男のため、ティーリアは彼が爽やかな好青年になるよう必死に誘導する。その甲斐あってか物語とは違った成長をしてヒロインにも無関心なアーヴィンながら、その分ティーリアに対してはとんでもない執着&溺愛ぶりを見せるように。そんなある日、突然敵国との戦争が起きて彼も戦地へ向かうことになってしまう。しかも後日、彼が囚われて敵国の姫と結婚するかもしれないという知らせを受けたティーリアは彼の子を妊娠していると気がついて……

異世界転移したら、推しのガチムチ騎士団長様の性癖が止まりません

冬見 六花
恋愛
旧題:ロングヘア=美人の世界にショートカットの私が転移したら推しのガチムチ騎士団長様の性癖が開花した件 異世界転移したアユミが行き着いた世界は、ロングヘアが美人とされている世界だった。 ショートカットのために醜女&珍獣扱いされたアユミを助けてくれたのはガチムチの騎士団長のウィルフレッド。 「…え、ちょっと待って。騎士団長めちゃくちゃドタイプなんですけど!」 でもこの世界ではとんでもないほどのブスの私を好きになってくれるわけない…。 それならイケメン騎士団長様の推し活に専念しますか! ―――――【筋肉フェチの推し活充女アユミ × アユミが現れて突如として自分の性癖が目覚めてしまったガチムチ騎士団長様】 そんな2人の山なし谷なしイチャイチャエッチラブコメ。 ●ムーンライトノベルズで掲載していたものをより糖度高めに改稿してます。 ●11/6本編完結しました。番外編はゆっくり投稿します。 ●11/12番外編もすべて完結しました! ●ノーチェブックス様より書籍化します!

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

姫ティック・ドラマチカ

磨己途
ファンタジー
混濁する記憶、生死の境をさまよう病床の中、砦村領主の息子ユリウスは意識を取り戻す。 どうやら自分はこの国の王女ジョセフィーヌの身体を借り受けて命を繋いでいるらしい。 故郷の恋人ミスティからの言伝を受け、周囲に自分の正体を隠しつつ、自分の身に何が起きたのか、それに、どうすれば元の身体に戻れるのかを探ることに。 慣れない王宮での生活・慣れない性別に苦戦を強いられるユリウスであったが、気付けばジョセフィーヌは次期王位継承権を巡る政争の渦中にあり、ユリウスは彼女の命を守り、彼女を女王へと導く使命をも背負わされるのであった。  開幕瀕死! 記憶なし! 味方なし! 体力なし! ひらめくドレスに剣を添えて、辺境剣士による正体隠匿系謎解き王宮戯曲、開幕です!

【完結】王宮の飯炊き女ですが、強面の皇帝が私をオカズにしてるって本当ですか?

おのまとぺ
恋愛
オリヴィアはエーデルフィア帝国の王宮で料理人として勤務している。ある日、皇帝ネロが食堂に忘れていた指輪を部屋まで届けた際、オリヴィアは自分の名前を呼びながら自身を慰めるネロの姿を目にしてしまう。 オリヴィアに目撃されたことに気付いたネロは、彼のプライベートな時間を手伝ってほしいと申し出てきて… ◇飯炊き女が皇帝の夜をサポートする話 ◇皇帝はちょっと(かなり)特殊な性癖を持ちます ◇IQを落として読むこと推奨 ◇表紙はAI出力。他サイトにも掲載しています

処理中です...